双子や三つ子の妊娠・出産がママと赤ちゃんに及ぼすリスクとは

双子の姉妹

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双子、三つ子は可愛いけど…

双子や三つ子のように、2人以上の胎児を妊娠することを「多胎妊娠(たたいにんしん)」と言い、多胎妊娠によって2人以上の赤ちゃんを同時に出産することを「複産(ふくさん)」と言います。昔と比べると多胎妊娠の確率は上がっています。

まだ妊娠を経験していない女性の中には、双子や三つ子を見かけて「あー可愛いなぁ。わたしも双子ちゃん、三つ子ちゃんがいいなぁ。」と思う人はたくさんいますね。

ところが、医学的には多胎妊娠は異常妊娠・ハイリスク妊娠と定義されており、妊娠・出産にさまざまなリスクを伴います。

実際に、多胎妊娠は1人の子を産むよりも出産リスクがあり、以下の日本産科婦人科学会のグラフでは多胎妊娠が周産期死亡を起こす原因の1つ(8.0%)にもなっています。

死産の原因および背景疾患

出典|産科医療のこれから: 日本の死産の疫学(日本産科婦人科学会の周産期登録データベースが参考とのこと)

そのため、多胎妊娠の割合が増加傾向にあることは、妊娠・出産における母子のハイリスク因子として問題視されています。

そこで今回は、多胎妊娠が妊娠・出産において胎児や母体にどのようなリスクを及ぼすかについてお話したいと思います。

多胎妊娠が母体に及ぼすリスク

母体のリスク1.つわりが重い

個人差はありますが、一般的に多胎妊娠はつわりが重くなります。つわりの多くは妊娠初期症状として妊娠5-6週から始まり、嘔吐、食欲不振、食べ物の好みの変化などの症状が出現し、妊娠12-16週ごろに消失するものです。

個々人でつわり原因の特定は難しいものですが、一般的に妊娠初期の急激なホルモン分泌、代謝の変化、環境の変化に対して、母体が適応できないため起こるものだと言われています。

母体のリスク2.バニシングツイン

バニシングツインとは、妊娠初期の段階で1人の胎児を流産してしまうことを言います。流産と言っても胎嚢が母体の組織に吸収されるため、流産後に特別な処置は必要ありません。

多胎がわかる妊娠週数は妊娠8週ほどのため、多胎妊娠がわかってからバニシングツインが起こると、妊婦は流産が起きたときと同じような悲しみに襲われるでしょう。

バニシングツインは双胎の10-15%に見られる症状で、妊娠中期以降の1児死亡に比べると一方の生存している胎児に与える影響は少ないそうです。

参考|日本医科大学多摩永山病院女性診療科・産科医局-情報-多胎妊娠

母体のリスク3.胎児体重の負担

双子の多胎妊娠の早産率は40%ほどで平均出産週数は35週のため、単胎妊娠よりも4-5週ほど早く産まれてきます。そのため、出生児の体重も軽く、1人の平均出生体重はおよそ2,200グラムです。

とは言え、双子なので両胎児だけで4,400グラム以上もあり、一般的な巨大児をお腹に抱えているよりも母体に掛かる負担が大きくなります。

母体のリスク4.貧血と脱水症状

多胎妊娠は、単胎妊娠に比べて胎児に流れる血液量が多くなるため、それだけ母体の血液を必要とします。血液には鉄分が含まれるため、母体は鉄分が不足して、より貧血を起こしやすくなります。

また、血液が流れる分だけ水分も必要になるため、脱水症状にも気を付けなければいけません。

母体のリスク5.全身の浮腫(むくみ)

多胎妊娠は、胎児の体積に合わせて単胎妊娠よりも早いスピードで子宮が大きくなります。

子宮の急激な拡大は全身の血流を悪くしてしまい、冷え性やむくみにつながります。とくに、足先などに流れた血液は滞留しやすいため、痛みを伴ったむくみが起きる場合もあります。

母体のリスク6.妊娠糖尿病

妊娠糖尿病とは、妊娠期特有の糖尿病に似た症状のことで、糖尿病と同じように糖代謝異常を起こします。

糖代謝異常は胎盤の機能を低下させ、妊娠高血圧症候群や尿路感染症など、さまざまな合併症を引き起こす原因になります。

母体のリスク7.妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群とは、妊婦特有の高血圧状態のことで、妊娠20週以降から分娩後12週の間で母体に高血圧症状が見られることを言います。

高血圧が毛細血管の破壊や血管収縮を起こすことで、子癇(しかん)と呼ばれる痙攣、HELLP症候群、常位胎盤早期剥離などを合併する場合があります。

母体のリスク8.弛緩出血

妊婦は分娩後に子宮の収縮(子宮復古)で胎盤剝離部の断裂血管などが閉鎖されるため、出血をある程度抑えることができます。

ところが、多胎妊娠では通常の分娩後よりも子宮が伸長するため、産後に子宮の収縮力が弱くなり、自力の出血抑制ができずに大量の出血をすることがあります。

参考|多胎妊娠の方へ|大阪府立母子保健総合医療センター

多胎妊娠が赤ちゃんに及ぼすリスク

多胎妊娠が赤ちゃんに及ぼすリスクは、多胎妊娠の種類によっても異なります。

単胎妊娠に比べて、二絨毛膜二羊膜性(DD)は3倍、一絨毛膜二羊膜性(MD)が10倍、一絨毛膜一羊膜性(MM)では100倍も赤ちゃんに及ぼすリスクが高くなるそうです。

参考|双子ママの妊娠生活と出産・育児|プレママタウン

二絨毛膜二羊膜性(DD)、一絨毛膜二羊膜性(MD)、一絨毛膜一羊膜性(MM)の違いは以下を参考にしてください。

赤ちゃんのリスク1.切迫早産・早産

一般的に、双胎妊娠は40%、品胎(三つ子)では85%が早産になることがわかっています。

多胎妊娠は胎児にとって子宮が狭く、子宮収縮や子宮口の開口も起こりやすいため、早産の可能性が高まります。もちろん、早産で産まれる子には未熟児のリスクが増します。

赤ちゃんのリスク2.低出生体重

双子の平均出生体重は2,200グラムほどなので、低出生体重児(2,500g未満の赤ちゃん)になります。三つ子以上は、さらに平均出生体重が軽くなります。

赤ちゃんのリスク3.胎児発育不全(FGR)

多胎妊娠は単胎妊娠に比べて子宮内が狭いため、胎内でとる体勢によって一部に胎児奇形を起こしたり、十分に身体の機能が成長しない胎児発育不全(FGR)の場合があります。

赤ちゃんのリスク4.胎児ジストレス・胎児死亡

多胎妊娠の胎児は、母体が起こす妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群などさまざまな合併症によって胎児ジストレスを起こしたり、胎児死亡に至る場合もあります。

多胎妊娠の出産

多胎妊娠の出産は、病院で行います。助産院では医療行為が行えないため、万が一の場合を考えて設備が整った総合病院を選ばなければいけません。

仮に三つ子の場合は、それだけで妊娠リスクスコアが双子よりもハイリスク群と判断され、受け入れができな病院も多いため、早めの病院探しが必要です。

また、分娩方法は、自然分娩を心がけている病院もありますが、帝王切開で行う割合は高まります。

多胎の自然分娩は時間がかかりますし、娩出の際に双胎間輸血症候群(TTTS/そうたいかんゆけつしょうこうぐん)などがあると、緊急帝王切開に切り替えざるを得ません。そのため、切り替える恐れがあるなら、最初から予定帝王切開と決めている病院もあります。

一卵性双胎児が胎盤を共有した状態(一絨毛膜双胎)のときに、共通胎盤上の吻合血管を通して引き起こされる血流移動のアンバランスによって両児の循環不全を生じる病態

引用|双胎間輸血症候群 – Wikipedia

双子や三つ子はたしかに可愛いですし、羨ましいと思うことも多々あります。それでも、その裏にはたくさんのリスクがあり、母子ともにリスクを乗り越える努力の末に生まれてきているのです。

もし、検査の結果多胎妊娠が判明したら、子供を授かったことを感謝しつつも、多胎のリスクを十分に理解して医師の言うことを守り、元気な可愛い赤ちゃんに会える様にがんばりましょう。