これで完璧!育児休業給付金の申請方法・条件と支給日、金額計算

書類を持つ男性

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2018年7月に加筆修正しています。

育児休業給付金は割と難しい

育児と仕事を両立したい働く女性や育児に専念したいイクメン男性は、さまざまな兼ね合いの中でがんばって育休(育児休業)を取得しようとしています。

では、いざ育休を取得したとして、仕事を休んでいる間の生活はどうすれば良いのでしょう。「会社が有給として給料を出してくれる?」……そんなわけ無いですよね。

育休は、子供を養育するための休暇を取得できる制度です。お金が潤沢な大企業ならまだしも、中小企業で育休期間に給料を出したら、会社が潰れてしまいます。

そこで、国は育休取得者に対して、育児で働けない期間の生活費をサポートをするために、雇用保険から「育児休業給付金」を支給しています。

育児休業給付金は女性だけではなく、男性の育休に対しても支給されるため、場合よっては世帯で400万円以上支給されることもあります。そのため、絶対に知っておくべき給付金制度なんです。

今回は、育児休業給付金の制度内容と申請方法、そして給付金支給額の計算方法などのお話をしたいと思います。

育児休業給付金(いくじきゅうぎょうきゅうふきん)とは

育児休業給付金とは、雇用保険の加入者などが子供を養育するために育休を取得し、その間会社から一定以上の賃金の支払いを受けられない場合に、雇用保険から支給される給付金のことを言います。

育児休業給付金の支給条件

育児休業給付金の支給には条件があります。以下の条件をすべて満たした場合、育児休業給付金を受け取ることができます。

育児休業給付金の支給条件
1.雇用保険に加入している人
2.育児前の2年(24か月)の間で、11日以上働いた月が12か月以上ある人
3.育休期間中に勤務先から給料が支払われる場合、その金額が80%未満である人
4.育休期間中に勤務する場合、1か月の就業日数が10日以下(80時間以下)である人

雇用保険加入が条件なので、自営業者や会社の代表(一般的には役員も)は対象にはなりません。また、2は同じ会社である必要はありません。条件に当てはまる人は、男性・女性、契約社員、パート・アルバイトにかかわらず育児休業給付金を受け取ることができます。

反対に以下の条件に当てはまる場合は、育児休業給付金を受け取ることはできません。

1.雇用保険に加入していない人・できない人
2.妊娠中に勤務先を退職する人・予定が決まっている人
3.育休開始の時点で、育休後に会社を辞める予定の人

3は契約社員など期間の定めがある社員の期間満了を含みます。また、期間の定めがない社員で、やむを得ず辞めなければいけない人は除外されます。

育児休業給付金の計算式と計算方法

気になる育児休業給付金の支給金額ですが、計算方法はとくに難しくはありません。ただし、以下はあくまでもおおまかな金額を知るための計算だと考えてください。

育児休業給付金額は給料の50-67%ほど

育児休業給付金の支給額は、育休開始日から180日目までは「賃金日額の67%×育休日数」、181日目からは「賃金日額の50%×育休日数」で計算された金額が支給されます。

育児休業給付金額=(賃金日額の67%×育休日数)+(賃金日額の50%×育休日数)

育児休業給付金の計算方法

賃金日額・賃金月額とは

賃金日額とは、簡単に言うと月給の総支給額(残業手当、通勤手当、住宅手当などを含む)を日割りした金額のことです。

賃金日額の算出方法は、育休に入る月の前月までで、賃金支払基礎日数が11日以上ある月の6か月分の賃金の合計額を180日で割って、賃金日額を算出します。なお賃金日額は1円未満(小数点以下)切り捨てです。

賃金日額=過去6か月の賃金の総額÷180日

また、算出した賃金日額に30日を乗算すると、賃金月額になります。

賃金支払基礎日数が11日以上ある月の6か月分の賃金の合計額とは

「賃金支払基礎日数が11日以上ある月の6か月分の賃金の合計額」という表現がわかりにくいのですが、以下のように考えます。

まず、賃金支払基礎日数とは、働いて賃金(時給・日給などの基本給)が発生した日のことです。

次に6か月分とは、育休開始の前月から該当する月の6か月ですが、育休前には産休があるため、通常は産休開始月、または産休開始月の前月から過去6か月分が計算対象になります(産休に入る月は11日以上働かないように調整が取れた方が良い)。

たとえば、育休開始月が12月で産休開始月が9月、またそれより以前の月の出勤日数と月次でもらった賃金が以下のものだったとします。

9月|出勤日数5日で月給8万円
8月|出勤日数15日で月給30万円
7月|出勤日数15日で月給30万円
6月|出勤日数13日で月給26万円
5月|出勤日数14日で月給28万円
4月|出勤日数15日で月給30万円
3月|出勤日数10日で月給20万円
2月|出勤日数15日で月給30万円

上記の場合において、「賃金支払基礎日数が11日以上ある月の6か月」に該当するのは、8月、7月、6月、5月、4月、2月です。9月と3月は、有給以外の欠勤があり、賃金支払基礎日数が10日のため該当しません。

8月(30万円)+7月(30万円)+6月(26万円)+5月(28万円)+4月(30万円)+2月(30万円)=174万円

というわけで、「賃金支払基礎日数が11日以上ある月の6か月分の賃金の合計額」は174万円になります。ちなみに、これを180日で割ると、「賃金日額=174万円÷180日≒9666円」となります。

育児休業給付金には上限がある

賃金が多い方がもらえる育児休業給付金も多くなりますが、支給額には上限があります。賃金月額にすると449,700円までと決まっています。

※この金額は2018年8月1日以降のもので、毎年8月1日に変更されます。

つまり、賃金月額が50万円だとしても、上限の449,700円で育児休業給付金を計算しなければいけません。

賃金に含めるものと含めないもの

なお、6か月の月給の総額を計算する場合、賃金に含めるものと含めないものがあるので注意してください。

賃金に含めるもの
・基本給(時給・日給・月給など)
・残業手当
・通勤手当
・住宅手当
など

賃金に含めないもの
・退職金
・ボーナス
・営業報奨金
・結婚祝い金、弔慰金
・解雇予告手当
など

育児休業給付金の計算事例と支給日の目安

賃金日額が算出できれば、あとは日数と掛目で育児休業給付金を計算できます。

給付金の計算例1)賃金月額25万円の女性が赤ちゃんが1歳になるまで育休取得した場合

賃金日額=1,500,000÷180日≒8,333円

1日目から180日目まで|8,333円×0.67×180日=1,004,959円
181日目から308日目まで|8,333円×0.50×128日=533,312円

1,004,959円+533,312円=1,538,271円

育児休業給付金額は1,538,271円になります。

給付金の計算例2)賃金月額40万円の男性が8か月間(240日間)育休取得した場合

賃金日額=2,400,000÷180日≒13,333円

1日目から180日目まで|13,333円×0.67×180日=1,607,959円
181日目から240日目まで|13,333円×0.50×60日=399,990円

1,607,959円+399,990円=2,007,949円

育児休業給付金額は2,007,949円になります。

給付金の計算例3)賃金月額60万円の男性が5か月間(150日間)育休取得した場合

賃金日額=2,698,200÷180日=14,990円

1日目から180日目まで|14,990円×0.67×150日=1,506,495円

賃金月額が449,700円を超えるため、全て449,700円で計算すると、育児休業給付金額は1,506,495円になります。

育児休業給付金の支給日の目安

育児休業給付金は、長期の育休生活を支えるために必要なお金なので、結構大きな金額になりますね。ここで気になるのは、育児休業給付金の支給日がいつになるかです。

育児休業給付金の支給申請は2か月毎に処理されるため、その度に支給申請が必要です。初回の支給申請は会社が行なうことが多いのですが、二回目以降は自分で申請する場合が多いでしょう。

たとえば、育休開始日が4月5日だった場合、6月5日以降に2か月分の育児休業給付金の処理が行なわれ、それから1-2週間後に2か月分の育児休業給付金が振り込まれます。

育児休業給付金の申請から振込までは、地域のハローワークによって多少違いがあるそうなので、気になる場合は問い合わせてください。

以上を加味すると、育休開始から育児休業給付金が支給されるまでは最短3か月、最長4か月程度をみておいた方が良いかもしれません。

育児休業給付金の支給申請方法

育児休業給付金を受け取るためには、「事前の受給資格確認手続き」と「初回の支給申請手続き」が必要です。2つの手続きはバラバラに行えますが、手間がかかるだけなので同時の方が良いでしょう。

事前の受給資格確認手続き

受給資格確認手続きは、会社に行ってもらいます。受給資格確認手続き(+初回の育児休業給付金支給申請)に必要な書類は以下の通りです。

受給資格確認手続きに必要なもの
・雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
・育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
・賃金台帳の写し
・出勤簿などの写し
・母子手帳の写し

それぞれ事前に会社から必要事項の記載、また母子手帳の写しの提出を求められます。賃金台帳や出勤簿などは会社が用意します。

会社は上記の書類を揃えてハローワークに提出し、育休申請者に育児休業給付金の資格があるかどうかを確認してもらいます。

初回の育児休業給付金の支給申請手続き

「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」は、名前の通り初回の育児休業給付金の支給申請手続きも兼ねています。

初回の支給申請は育休開始から4か月を経過する日の属する月の末日までが申請期限のため、受給資格確認手続きもそれに合わせて行うことが一般的です。

また、会社が受給資格確認手続きを行うため、育休申請者はいつまでに会社に申請が必要かを押さえておきましょう。

「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」がハローワークに受理されると、初回の育児休業給付金支給の申請は完了しているため、2か月分の育児休業給付金は育休開始後3-4か月程度で指定口座に振り込まれます。

2回目以降の育児休業給付金支給申請手続き

2回目以降の育児休業給付金の支給申請手続きを行います。育児休業給付金支給申請手続きは本人が行うことが多いのですが、会社が代行してくれる場合もあるため、事前に会社に流れを確認してください。

会社がハローワークに「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」を提出して、初回の育児休業給付金が振り込まれた後、「育児休業給付金支給決定通知書」「育児休業給付金支給申請書(次回申請書)」が郵送で届きます。

2回目以降の育児休業給付金の支給申請手続きは、「育児休業給付金支給申請書(次回申請書)」に必要事項を記入して、会社に郵送、またはハローワークに郵送するだけです。その後は、2か月毎に申請を繰り返します。

育児休業給付金の支給申請には期限があるため、忘れずに支給申請手続きを行うようにしましょう。

育児休業給付金に関する注意点

育児休業給付金にはいくつか注意点があります。

注意点1.給付金支給まで時間がかかる

育児休業給付金の支給は2か月ごとに行われるため、育休が2か月経過するまでは支給申請の処理が行なわれません。

そのため、育休が始まってから給付金が支給されるまでの3か月程度は、育児休業給付金をあてしないで生活できる準備を整えておきましょう。

注意点2.給付金の支給申請には期限がある

育児休業給付金の支給申請は、1回の申請ごとに期限があります。初回の育児休業給付金支給申請の期限は、育児休業を開始した日から4か月を経過する月の末日までです。

たとえば、育休が8月10日から始まる場合、12月31日までが初回の育児休業給付金の申請期限になり、この日を過ぎると2か月分の育児休業給付金の受給資格を喪失してしまいます。

また、次回以降の育児休業給付金支給申請の期限は、ハローワークから郵送される「育児休業給付金支給決定通知書」に記載されています。上記同様、申請期限までに育児休業給付金支給申請を行わなければ、当該の育児休業給付金の受給資格を喪失します。

本人が申請手続きをする場合ももちろんですが、会社が申請手続きを代行する場合も「忘れていた」では済まないことなので、会社に確認するなど十分注意してください。

注意点3.育休中に給料が出る場合は支給額が調整される

育休中でも給料が出る素晴らしい会社もあります。また、育休中に空いた時間で就労して、給料が発生することもあるかもしれません。ただし、その場合、育児休業給付金の金額が調整される場合があります。

育児休業給付金の調整
1.給料(賃金)が育休開始前の賃金月額の30%以下の場合、育児休業給付金が満額支給される
2.給料(賃金)が賃金月額の30%超80%未満の場合、「賃金月額×80%」と給料の差額が支給される
3.給料(賃金)が賃金月額の80%超の場合は、育児休業給付金は支給されない

育児休業給付金を賢く利用しよう

育児休業給付金は、あくまでも育休期間の生活を助ける給付金に過ぎないため、フルで働いていたときより家計のやりくりを考える必要があります。これは男性の育児休業給付金も同じですね。

ただ、ママ友と話をしていても、園で保護者ママと話をしていても、赤ちゃんの可愛さを知って「育休を取れば良かった……。」と後悔する男性は多いようです。

過ぎた時間は戻りません。赤ちゃんのころは二度と無いので、男性はよーーく考えて育休を検討しましょう。もちろん、男性の育休取得率は2-3%とまだまだ少ないため、現実的にはなかなか難しいんですが(^_^;)

育児休業給付金は、もう1つ「育休の延長」の話も知っておく必要があります。育休を延長した場合も1歳から1歳6か月まで、1歳6か月から2歳になる前日までは、育児休業給付金の対象になります。

ただし、育休延長の申請と育児休業給付金の延長申請は別物なので、手続きを間違えないようにしましょう。

産休の場合は働く女性の生活保障として、健康保険から「出産手当金」が支給されます。こちらも重要な給付金制度なので、支給条件や支給金額、申請方法などを押さえておきましょう。

また、産休・育休中は、社会保険料の支払いが免除されます。この話もとても大事なので、以下を押さえておいてください。社会保険料の支払いがあるかないかで、生活費の予定が変わってきますので。

このように出産・育児を助けてくれる色々な制度を総合して考えると、条件が合えば「あれ?育休とってもそこまで収入減らないんじゃない?」と気付くかもしれません。

出産・育児はお金だけの問題ではありませんが、お金も非常に大切な要素です。育児休業給付金などを賢く利用して、夫婦揃って良い子育てができる環境を整えましょう。


参考|ハローワークインターネットサービス – 雇用継続給付
参考|育児休業給付の内容及び支給申請手続について|ハローワーク
参考|平成26年10月1日から育児休業期間中に就業した場合の育児休業給付金の取扱いが変わります|厚生労働省