臍帯巻絡の原因・予防・治し方は?へその緒が首に巻きつく確率

検査中の妊婦さん

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出産時のへその緒の異常はよくあること

「出産のときに赤ちゃんの首にへその緒が巻き付いていて大変だった。」という話は聞いたことがあると思います。

出産時のへその緒の異常には種類があり、赤ちゃんの首や身体に巻き付いて分娩のリスク要因になったり、過剰にねじれて発育阻害や新生児仮死・死産の原因になったり、元気な赤ちゃんがお腹の中でぐるぐる動いてへその緒に結び目ができることもあります。

このようなへその緒(臍帯)の異常のことを総称して、「臍帯異常(さいたいいじょう)」と言います。

臍帯異常は胎児にはよくあることで、出産の3割近くが何らかの臍帯異常を伴っており、臍帯異常での周産期死亡は出産全体の0.05%、周産期死亡全体の15%を占めています。

出生1000あたりで表す周産期死亡(妊娠満22週以後の死産+早期新生児死亡)は3.3人で、日本は世界でもトップの死亡率の低さです。要は出産数に対して周産期の胎児、乳児の死亡確率が0.33%ということです。

さらに、以下の周産期死亡原因の内訳グラフを見ると、臍帯異常による周産期死亡は死亡数全体の15%程度です。

死産の原因および背景疾患

引用|産科医療のこれから: 日本の死産の疫学(日本産科婦人科学会の周産期登録データベースが参考とのこと)

つまり、年間出生数を約100万人とするなら、臍帯異常による胎児・乳児の死亡確率は0.05%ほどということです。

100万人×0.033×0.15=495人

もちろん、臍帯異常による周産期死亡の心配は少ないと言われても、赤ちゃんに影響がないわけではないため、予防法や治療法があるなら知っておきたいはずです。

そこで今回は、臍帯異常の中でもとくに数が多い「臍帯巻絡(さいたいけんらく)」についてお話したいと思います。

臍帯巻絡(さいたいけんらく)とは

臍帯巻絡とは、胎児が母体にいる際、または出産の際に臍帯(へその緒)が胎児の首や身体に巻き付いて圧迫されることを言い、新生児の25%ほどが臍帯巻絡で生まれてきます。

「首が締まって窒息することが死産につながるのでは?」と思うかもしれませんが、胎児は肺呼吸ではないため、臍帯で首が締まることによる窒息はあまり関係がありません。

臍帯巻絡が赤ちゃんの死産や新生児仮死などの原因になるのは、分娩で産道を通る際に臍帯が圧迫されることで血流が弱まり、臍帯を通じた胎児への酸素や栄養素が遮断されるためです。

また、臍帯巻絡はへその緒が首に巻き付いているイメージがありますが、臍帯巻絡の8割以上が首への巻きつきで、残りは胎児の身体の何処かに巻き付いているものです。

どちらにしろ、胎児の身体と狭い産道に臍帯が圧迫されることで新生児仮死などが起こる可能性があるため、分娩の際は十分な注意が必要な状態です。

臍帯巻絡の原因と巻き付く回数の影響

通常の臍帯巻絡は、首などへの巻きつきが1周の場合がほとんどですが、臍帯が長い場合は2周、3周巻き付くこともあります。

前愛育病院院長、前東京大学医学部講師の堀口貞夫先生が以下のように話しています。

1979年に都立築地産院でこの点を調べたことがあります。この一年間に生まれた1830例のうち、「へその緒」が巻き付いていたのは584例(31・9%)もありました。生まれた直後の赤ちゃんの元気さを示す*アプガー指数が10点満点の7点以上である元気な赤ちゃんは「へその緒」が巻き付いていた584例のうち545(93・3%)、「へその緒」が巻き付いていなかった1237例のうち1161例(93・9%)とほとんど差がありません。ただし、「へその緒」がグルグルと2回以上巻き付いていると、元気な赤ちゃんは88・7%と少し少なくなります。へその緒が2回以上巻き付いている例は、分娩全体の3・9%だけです。

引用|「へその緒が赤ちゃんの首に巻き付いている」時 | 堀口貞夫:幸せなお産 | ベビカム

つまり、臍帯は胎児に巻き付く周数が多いほど、分娩時に大事に至る可能性が高まるということです。

ちなみに、上記引用内では臍帯が2周以上の確率は3.9%とありますが、アメリカの産科学の教科書によると、臍帯が3周以上胎児の身体に巻きつくケースは臍帯巻絡全体の0.2%ほどだそうです。

1回の巻きつきであれば分娩時にほぼ問題はありませんが、2回以上の巻きつきの場合は圧迫が強くなり、胎児への酸素や栄養素が遮断される可能性が高まるため、状況によっては経膣分娩から緊急帝王切開に切り替えることもあります。

そして、結果として赤ちゃんが新生児仮死状態で分娩された場合は、以下の影響や早急の分娩処置が必要になります。

臍帯巻絡の原因は正確には分かっていませんが、通常よりも長い臍帯(過長臍帯)や赤ちゃんが激しい胎動を繰り返すなどの条件が重なって起こっているものと考えられています。

ちなみに、臍帯(へその緒)の平均的な長さは50-60cm程で、太さは1-2cm程ですが、通常よりも長い臍帯(過長臍帯)は75cm以上の場合を言います。

臍帯巻絡の予防や治し方

仮に母体内で胎児に臍帯巻絡が起こっても、直ちに母体に影響や状態の変化が見られるわけではないため、妊婦に自覚症状はありません。

また、母体内で胎児に臍帯巻絡が起こっても、羊水に浮かんでい胎児は身体の稼働にある程度余裕があるため、臍帯が圧迫されることは稀です。

そのため、臍帯巻絡は分娩時に発見されることが多く、残念ながら事前に予防する方法はありません。また運良く臍帯巻絡を発見できても、外部からは治療が行えないため経過観察をするしかないのが現状です。

そして、経過観察により、万が一胎児の胎動が弱くなったり、心拍が弱まった場合は、できる限り妊娠期間を継続したうえで、緊急帝王切開を行うなどの対応が取られます。

ちなみに、しゃっくりをよくする子は臍帯巻絡の可能性がある、ダウン症の可能性があるという噂がありますが、そのように言及している医師はいないと思います。心配であれば、担当の医師に尋ねてください。

さて、もう一度言いますが、臍帯巻絡の多くは臍帯が身体に1周巻きついたものであり、1周では胎児への影響はほぼありません。

臍帯異常は出産の25%程度と、誰にでも起こりうるものです。そのため、妊婦が臍帯巻絡を過剰に心配することはストレスになり、健康な出産の妨げになってしまいます。

もし、臍帯巻絡などの臍帯異常が心配な人は以下を参考にしてください。もちろん、病院で医師に色々と質問をしてみることもお忘れなく。