乳幼児の脱水症状の水分補給は?母乳と経口補水液の飲み方は?

経口補水液の飲み方

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熱中症の間違った知識

乳幼児の脱水症状と言えば熱中症が思い浮かびますが、熱中症を正しく理解している人はそれほど多くはないと思います。

熱中症とは、体温が上がって大量に汗をかくことで、水分や塩分を失って脱水症状を起こしたり、体温が上がったまま体温調節ができなくなることが原因で、「熱失神」「熱痙攣」「熱疲労」「熱射病」の4つの症状を引き起こすことを言います。

熱失神・熱痙攣・熱疲労・熱射病は、手足のしびれや頭痛、吐き気、めまい、失神、痙攣などを起こし、症状が悪化すると臓器不全、機能障害、意識喪失などにつながり、最悪死亡にまで至る可能性があります。

とくに、年配の方が熱中症に間違った知識を持っていることが多く、以下のような勘違いをしてしまうことで、毎年多数の熱中症の重傷者が出てしまいます。

・7-8月の真夏に限った病気?
・かかりやすい気温は30度以上?
・強い直射日光を浴びなければ大丈夫?
・屋内にいれば問題ない?
・昼間にしか起こらない?
・熱中症になったら水を飲めば良い?

熱中症は、初夏の6月ごろから9月ごろまで続き、気温25度前後から起こり始め、直射日光が原因ではないため屋内でも夜間でも発症することがあり、単純に水を飲んでいるだけでは回復しない可能性がある病気のことです。

「えっ?ちゃんと水分補給していれば良いんじゃないの?」

適切な水分補給をしていれば問題は無いのですが、「水」を飲んでいるだけでは熱中症を悪化させてしまう可能性があります。

熱中症が起こる仕組みと脱水症状の種類

以前もお話しましたが、脱水症状は単純に身体の水分がなくなるだけではなく以下の3つの状態があります。それぞれの脱水症状によって、対応が異なるため注意が必要です。

高張性脱水
高張性脱水は、汗・おしっこなどで身体から水分がなくなることで起きる脱水症状。水分だけを失うため身体の塩分濃度が高くなり、のどの渇きを感じやすくなる。

低張性脱水
低張性脱水は、嘔吐・下痢などで身体から水分を失ったときに、体内の電解質(ナトリウム・カリウムなど)をより多く失うことで起きる脱水症状。身体の塩分濃度が低くなるため、のどの渇きはあまり感じない。

等張性脱水
等張性脱水は、さまざまな理由で水分と電解質が同じくらい失われることで起きる脱水症状。水分と電解質が失われるため、のどの渇きを感じ、水分補給しても電解質が足りないため、身体のバランスを崩し低張性脱水に移行する。

熱中症と脱水症状が起こる仕組み

熱中症(と脱水症状)が起こる仕組みはとても単純なものです。

気温が高い場所に居続けると体温が上がる

体温が上がるため血液の温度も上がる

血管が拡張し体表面を多く流れる血液で外気で体温を下げようとするが、気温が高いため体表面の血液温度がさらに上がってしまう

汗を大量にかいて体温を下げようとするが、血液の温度が上がっているため熱が下がらず、身体の水分だけをどんどん失ってしまう

熱射病や脱水症状が悪化する

さらに、水分を失ってしまった(喉が乾いた)からといって水だけを補給してしまうと、前述した「低張性脱水」を起こし、頭痛や手足がしびれ、場合によっては動けなくなり、熱中症が悪化してしまいます。

さらに、低張性脱水を起こすことで電解質のバランスが崩れるため、汗で水分を体外に出してバランスを取ろうという機能が働き、脱水症状も進行してしまいます。

それほど気温が高くなくても気が付かないうちに身体の水分を失ってしまい、水分補給をしようとして水をがぶ飲みすると低張性脱水になって動けなくなり、その場から移動できないうえに余計に水分を失うことで症状が悪化し、最悪の場合死に至る……熱中症はこのループが非常に怖いんです。

以下は、大塚製薬のサイト内の画像です。普段から水分を摂取していても熱中症になり、脱水症状を起こすのは、このような流れがあるためです。

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出典|効率的な水分補給|大塚製薬

脱水症状予防のための水分補給

真夏の暑い日であれば、まず避けなければいけないのは長時間の直射日光ですが、それほど気温が高くない場合でも適切な水分補給をして、熱中症を予防しておかなければいけません。

離乳食前の赤ちゃんの水分補給

離乳食が始まる前(生後5-6か月ごろ)の赤ちゃんの水分補給は、母乳とミルクだけで十分です。母乳とミルクをしっかり飲む子であれば、他の水分は摂取しない方が良いでしょう。

母乳は時期によって栄養素に多少の差はありますが、低張性脱水症状を防ぐために必要なナトリウム(母乳100gに対して15mg)とカリウムが(母乳100gに対して48mg)が十分に含まれています。

そのため、もし赤ちゃんに母乳・ミルク以外の水分を頻繁に与えると、赤ちゃんは授乳量が足りないことで、十分な栄養を摂取できなくなる可能性があります。

生後6か月以降の赤ちゃんの水分補給

生後6か月-1歳までの赤ちゃんの水分補給も、基本的には母乳やミルクで十分ですが、離乳食が始まって飲み物も少しずつ変わっていく時期です。

そのため、ミネラルウォーター、湯冷まし、薄めた麦茶などを適量・適温で与えても問題ありません。注意点は以下をご参考に。

2-6歳の幼児の水分補給

2歳になると色々な味にも慣れるため、通常の麦茶を飲ませても飲みにくいということはないでしょう。

年齢や生活環境によって好みは変わりますが、スポーツドリンクでも問題ありません。ただし糖分が多いため、家庭で薄めるなどの調整をしてください。

脱水症状を起こした場合の対処と水分補給

もし、予防をできずに脱水症状を起こしてしまった場合も、脱水症状を和らげるための対処+水分補給をしなければいけません。

離乳食前の赤ちゃんの脱水症状時の対処

離乳食前の赤ちゃんが脱水症状を起こしてしまった場合は、やっぱり母乳やミルクを飲ませることが一番です。赤ちゃんが母乳やミルクを十分に飲むことができれば全て事足ります。

ただし、母乳やミルクの飲みが悪い場合は、経口補水液(大塚製薬が販売している「OS-1」が有名)をスポイトやスプーンを使って、適量飲ませましょう。

ただし、水分補給のために飲むのではなく、脱水症状を和らげるために飲むものなので、用量を守って飲むようにしてください。

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出典|経口補水液OS-1(オーエスワン) 下痢・嘔吐・発熱等による脱水状態に |大塚製薬工場

乳児の場合は体重1kgあたり30-50ml/日と書いてありますが、離乳食前の赤ちゃんはもっと少なくて構いません。

母乳やミルクを飲ませた後に飲みが足りないと感じた場合のみ、小さじ1-2杯(5-10cc)程度を様子を見ながら数回飲ませます。

生後6か月以降の赤ちゃんと幼児の脱水症状時の水分摂取

離乳食後の赤ちゃんや子供が熱中症で脱水症状を起こした場合は、容量を守って経口補水液を飲ませてあげてください。

軽い脱水症状が回復した場合であれば、水や麦茶を適量(少量ずつ)飲ませて、これ以上水分を失わないように補給してください。

もし、嘔吐下痢を起こしている場合は、水や麦茶などの水分補給はしないで、経口補水液だけ用量を守って飲ませましょう。

経口補水液(けいこうほすいえき)とは

経口補水液とは、食塩とブドウ糖を一定の割合で水に溶かした飲用水のことで、点滴をすぐに受けられない発展途上国で、下痢、嘔吐、発熱などによる脱水症状の治療に用いられています。

「昔から脱水症状対策にはスポーツドリンクって決まってるんだけど?」

たしかに普段の水分補給にスポーツドリンクを飲むことは有効です。ただし、スポーツドリンクは脱水症状を起こす前に飲む飲料で、経口補水液は脱水症状のときに飲む飲料のため役割が違います。

脱水症状が出ている際、とくに乳幼児にスポーツドリンクを大量に飲ませると、低ナトリウム血症から水中毒を引き起こす可能性もあります。

OS-1は厚生労働省認可の特別用途食品の中の個別評価型病者用食品となっており、通常の飲料水ではなく医薬品に近い扱いです。

特別用途表示の範囲

出典|特別用途食品制度について|消費者庁

経口補水液の飲み方と注意点

経口補水液は病者用の食餌療法(しょくじりょうほう)に使われる飲料のため、飲み方と用量が決まっており、健康な人が普段の飲料用として飲むものではありません。

そのため一般的には、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士の指導を受けて飲用することがすすめられています。

経口補水液は、もともと病気の際に起こる脱水症状を緩和するために点滴を打っていたものが、より簡易的に(脱水症状時の)水分補給ができるようにと経口摂取が広まったものです。

そして、水分補給と言っても経口補水液はガブガブ飲むものではなく、低張性脱水などによって崩れてしまった身体の電解質バランスを整えるために、少しずつ摂取するための水分です。

まだ経口補水液の正しい摂取の仕方が広まっていないため、スポーツドリンクや栄養ドリンクと同じ感覚でがぶ飲みしてしまい、電解質バランスを崩してしまうと、重度な脱水症状につながってしまうこともあります。

とくに子供は、大人に比べて腎機能の発達が不十分なため電解質バランスを崩しやすく、経口補水液を摂取する際も注意して飲ませなければいけません。

ママは面倒でもしっかり量を測って、小さじスプーンやスポイトなどを使って経口補水液を飲ませ、子供が十分に落ち着いた後に、他の水分もこまめにあげるようにしてください。


参考|経口補水液OS-1(オーエスワン) 下痢・嘔吐・発熱等による脱水状態に |大塚製薬工場