子供の耳掃除しすぎで起こる病気とは?実は大切な耳垢の役割

耳に指を入れる男の子

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子供の耳掃除しすぎがいけない理由

子供は、以下の理由から基本的に耳掃除をする必要はありません。

子供の耳掃除が必要ない理由
1.耳掃除をしなくてもほとんどの耳垢が外に出てくるため
2.耳掃除をすることで耳垢を押し込んでしまうため
3.耳掃除をすると余計に耳垢が出てしまうため
など

そもそも、耳垢がダメなものだと誰が決めたんでしょうか。たしかに耳垢が溜まりすぎると「耳垢栓塞症(じこうせんそくしょう)」になり、軽度の難聴の原因になることはあります。

ただ、耳垢は耳の中にある役に立たないゴミというわけではなく、大切な役割を持っています。そのため、ママは赤ちゃんや子供の耳垢を気にして、耳掃除ばかりしてはいけません。

そこで今回は、耳垢が持つ重要な役割、また耳掃除のしすぎで被る病気などのリスクについてお話したいと思います。

耳垢が持つ重要な4つの役割

赤ちゃんや子供の耳に耳垢を発見すると、取りたくなる気持ちはわかります。ただ、耳垢には重要な役割があるため、安易に取り除いてはいけません。

役割1.侵入したゴミの吸着

耳垢は、耳に侵入したほこりなどのゴミを吸着する役割を持っています。外耳道にある耳垢腺から分泌される脂分には粘性があり、侵入したほこりが奥に入り込まないように吸着しています。

脂分で吸着したほこりは耳垢になり、線毛という細かい毛によって外に排出されます。

役割2.皮膚を守る

耳垢は、皮膚を乾燥や物理的な衝撃から守る役割を持っています。耳は体内に近い器官のため、乾燥すると傷つきやすく、感染症の原因になります。

耳垢腺から分泌される脂分は鼓膜や外耳道を覆って乾燥を防ぐだけでなく、できた耳垢が外耳道や鼓膜に対する直接的な衝撃を和らげる緩衝材になります。

役割3.細菌の繁殖を抑える

耳垢には、タンパク質分解酵素、抗体の免疫グロブリンA(IgA)と免疫グロブリンG(IgG)などが含まれています。耳垢の免疫機能によって、侵入した細菌やウイルスの繁殖・感染を抑える役割を持っています。

役割4.昆虫の侵入防御

耳垢は、耳穴に昆虫などが侵入することを防ぐ役割があります。耳垢が持つ苦味成分や匂い成分、または脂分が昆虫を避け、耳の穴に昆虫が侵入するのを防ぐそうです。

参考|耳垢の話 耳鼻咽喉科 清水おかべクリニック

耳掃除のしすぎでかかる病気

このように耳垢には大切な役割があるため、過剰な耳掃除は必要はありません。さらに、耳掃除をしすぎることで、耳を傷つけたり、病気の原因になる場合があります。

耳掃除による病気1.外耳道炎(がいじどうえん)

外耳道炎とは、耳掃除で耳をいじりすぎることで皮膚の一部がはがれ、炎症を起こす病気のことです。炎症による痛み、かゆみ、耳だれなどがあります。

参考|外耳道炎とはどんな病気か|症状や原因・治療 – gooヘルスケア

耳掃除による病気2.外耳道湿疹(がいじどうしっしん)

外耳道湿疹とは、外耳道炎を起こして傷ついた耳が、細菌に感染したり、感染後の油脂分やアトピーなどによって、浮腫やただれができる病気のことです。

参考|外耳道湿疹とはどんな病気か|症状や原因・治療 – gooヘルスケア

耳掃除による病気3.耳垢栓塞症(じこうせんそくしょう)

耳垢栓塞症とは、綿棒などで湿性耳垢を耳の奥に押し込んでしまい、耳栓のように耳垢が詰まって取れなくなる病気のことです。耳垢が固まることで、軽度の難聴を引き起こす場合があります。

耳掃除による病気4.外耳道異物(がいじどういぶつ)

外耳道異物とは、綿棒で耳掃除をした際に、綿棒の綿が耳の奥に残って取れなくなることで、綿による軽度の難聴を引き起こす場合があります。

耳掃除による病気5.外耳道損傷(がいじどうそんしょう)

外耳道損傷とは、耳掃除などによって外耳道の皮膚が傷つく症状のことです。傷口からの出血や耳の痛みがあります。

耳掃除による病気6.外耳道真菌症(がいじどうしんきんしょう)

外耳道真菌症とは、耳掃除のしすぎや耳のいじりすぎで外耳道に傷がつき、そこ真菌(カビ菌)が入り込むことで起こる病気です。

外耳道真菌症にかかると耳の中に菌糸が広がり、真菌のせいで耳垢が黒くなります。また、耳垢が臭くなり、耳に痛みやかゆみも伴います。

参考|耳について | 大牟田市の耳鼻咽喉科 立石医院|風邪、アレルギー性鼻炎

耳掃除による病気7.鼓膜損傷・穿孔(こまくそんしょう・せんこう)

鼓膜損傷・鼓膜穿孔とは、耳掃除などによって鼓膜が破れてしまう症状のことです。耳の痛み、耳鳴り、難聴が起こります。

参考|鼓膜損傷<外傷>とはどんな病気か|症状や原因・治療 – gooヘルスケア

耳掃除による病気8.耳小骨損傷(じしょうこつそんしょう)

耳小骨損傷とは、鼓膜穿孔などで鼓膜が破れ、内部にある耳小骨が損傷する症状のことです。耳痛、耳鳴り、難聴に加えて、めまいなどが起きます。また、重度の難聴症状が出る場合があります。

耳掃除による病気9.内耳損傷(ないじそんしょう)

内耳損傷とは、鼓膜を破ってさらに耳の奥に何かが入ることで、蝸牛(かぎゅう)、前庭神経(ぜんていしんけい)、蝸牛神経などの内耳を損傷することを言います。めまい、難聴、耳鳴り、顔面神経麻痺などが起きる場合があります。

耳の病気はけっこう怖い

わたしたちが普段何もしなければ、耳の奥が傷付くことはありません。ところが、耳は傷付きにくい分、傷付いてしまうと治りにくい特徴があります。

そのため、耳垢を取ろうと耳掃除をしすぎると、耳垢の重要な役割を失うだけでなく、耳を傷つけ、病気のリスクを負うことがあると認識しておきましょう。

とくに、子供の耳は大人よりも外耳道が短く、少し奥に綿棒や耳かきを入れただけで、耳の表面や鼓膜が傷付いてしまいます。

「もうちょっと奥……もう少しで取れるんだけどなぁ。」という気持ちはわかりますが、それで子供の耳を傷つけるのは本意ではないですよね。

耳垢のメリットを得るため、病気やケガのリスクを回避するため、ママは子供の耳垢を躍起になって取る耳掃除はやめておきましょう。

ただし、耳掃除はしなくても、子供の耳のチェックは定期的にしてください。子供の耳には普段と違う色や匂いの耳垢が出る場合があり、何らかの病気を表すことがあります。そのため、耳垢の色や匂いなどもチェックしましょう。


参考|みみよりなお話「耳垢の役割について」|大氣耳鼻咽喉科