急性中耳炎とは?0-3歳で8割がかかる原因は?子供の症状と治療法

頬杖をつく女の子

この記事の読了時間は約 10 分です。

中耳炎はほとんどの子がかかる!

赤ちゃんが突然発熱して、なかなか泣きやまなかったら中耳炎かもしれません。
子供が耳やこめかみなどの痛みを訴えたら中耳炎かもしれません。
風邪を引いた後に、子供を呼んでも反応しなかったら中耳炎かもしれません。

子供の病気でとても多いのが中耳炎です。2013年度版の「小児急性中耳炎診療ガイドライン」によると、生後1歳までに62%、生後3歳までに83%の子供が小児の中耳炎(急性中耳炎)にかかるという報告があります。

参考|小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年版

しかも、1歳前後までに1度中耳炎にかかると何度も繰り返すことがあり、風邪で鼻やのどに疾患があると「ついでに中耳炎にかかっちゃいました……(*ノω・*)」というくらい頻繁にかかる子もいます。

ただ、中耳炎はよくかかる割に、軽視するとやっかいな病気です。もし、風邪や鼻炎などの延長程度に考えているママがいるとしたら、その考えは改めた方が良いでしょう。

今回は、長引くと厄介な病気「中耳炎」の原因や症状、治療法などについてお話したいと思います。

中耳炎の分類

中耳炎には主に5つの分類があります。それは、「急性中耳炎(きゅうせいちゅうじえん)」「慢性中耳炎(まんせいちゅうじえん)」「滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)」「真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)」「好酸球性中耳炎(こうさんきゅうせいちゅうじえん)」です。

急性中耳炎:中耳に炎症が起こっている状態。痛みが強い。
慢性中耳炎:急性中耳炎の後鼓膜が穿孔したもの。
滲出性中耳炎:中耳に浸出液がたまっている状態。急性中耳炎に引き続き起こることが多い。また、飛行機に乗った際に耳が痛くなり、その後痛みは治まったが耳が聞こえにくい、という場合には滲出性中耳炎の場合が多い。痛みは基本的にはない。
真珠腫性中耳炎:中耳に真珠腫ができたため、中耳に炎症が生じた状態。真珠腫とは、上皮が存在しないはずの鼓室内に、何らかの原因で上皮細胞が侵入して増殖したもの。腫瘍ではない。
好酸球性中耳炎:気管支喘息患者にみられる事のある難治性の中耳炎。ニカワ状の耳漏(耳だれ)が特徴。再燃寛解を繰り返し、感音難聴が進行する。

引用|中耳炎 – Wikipedia

中耳炎の中で一番最初にかかりやすいのが急性中耳炎で、急性中耳炎が悪化して、他の中耳炎になるケースが多いと言います。

そのため、ママはどのように子供の急性中耳炎を予防し、どのように急性中耳炎を治療するかを知ることが大切です。

急性中耳炎(きゅうせいちゅうじえん)とは

急性中耳炎とは、鼻やのどに付着した細菌やウイルスが、耳管(じかん)を通って鼓膜の内側の中耳に感染して炎症を起こし、膿がたまってしまう病気のことです。

日本耳鼻咽喉科学会では、急性中耳炎の定義を「急性に発症した中耳の感染症で、耳痛、発熱、耳漏を伴うことがある」としています。

また、急性中耳炎の診断としては、鼓膜の発赤、膨隆、光錘減弱、肥厚、水疱形成、混濁、穿孔、中耳腔の貯留液、耳漏、中耳粘膜浮腫などの鼓膜の所見が重要視されています。

子供の耳管は、大人に比べて太く短いため細菌やウイルスが中耳に入りやすく、前述した通り1歳前後までに約6割、3歳までに約8割の子供が急性中耳炎にかかります。

子供が急性中耳炎を発症すると、炎症によって中耳に膿がたまります。細菌やウイルスによって炎症を起こしているため、高熱の原因にもなります。

膿がたまることで中耳から鼓膜が圧迫されて強い痛みを感じたり、軽度の難聴(耳閉感)を引き起こす可能性もあります。そのため、急性中耳炎は、子供が耳の痛みや耳の異変を訴えることで気が付きやすい病気です。

ただし、1歳程度の小さな子供は耳の痛みを訴えられないことがあるため、発熱によって気が付く場合もあります。

子供が急性中耳炎にかかる原因

急性中耳炎の原因は、風邪の原因である細菌(肺炎球菌、インフルエンザ菌など)やウイルス(RSウイルス、ヒトヘルペスウイルス、麻疹ウイルスなど)が、鼻やのどから中耳に入り込んで感染することで起こります。

なぜ大人と比較して、子供の方が急性中耳炎にかかりやすいのでしょうか。

参考|どうして子どもは中耳炎になりやすいのか?|日本小児感染症学会:機関誌「小児感染免疫」Online Journal Vol.26 No.4「日本小児感染症学会若手会員研修会第 5 回福島セミナー」
参考|小児急性中耳炎診療ガイドライン2013年版 – caom-guide.pdf

原因1.解剖生理学的理由

前述したとおり、子供の耳管は、大人に比べて太く短く水平です。また、子供は鼻がかめない、アデノイド肥大気味で耳管が開大しにくいため、鼻咽腔に細菌やウイルスがたまりやすい状態です。

そのため、子供の耳管には鼻咽腔を通して細菌やウイルスが入りやすく、耳管の換気機能が発達していない子供の耳には、細菌やウイルスが定着して感染しやすい構造になっています。

原因2.免疫学的理由

子供がより急性中耳炎にかかりやすいと言われる生後6か月から2歳の期間は、ちょうど母体からの移行抗体がなくなり、免疫機能が発達する時期と重なります。

そのため、鼻水がよく出る風邪を引いた後は、他の病気の合併症として急性中耳炎が起こる可能性が高くなります。

とくに、強い粘り気がある緑っぽい鼻水や黄色っぽい鼻水(膿性鼻漏)が出る場合は、鼻水に細菌やウイルスが多く混ざっているため、鼻をすすらないなどの注意が必要です。

・肺炎になったら……急性中耳炎になるかも……
・インフルエンザになったら……急性中耳炎になるかも……
・RSウイルス感染症になったら……急性中耳炎になるかも……
・突発性発疹になったら……急性中耳炎になるかも……
・麻疹(はしか)になったら……急性中耳炎になるかも……

と考えて、子供の様子を気をつけて観察しましょう。

3.環境因子

急性中耳炎の発症要因や反復化、難治化の要因として環境因子は多岐にわたる。

1.集団保育や兄弟姉妹の存在

急性中耳炎は何度も反復する可能性があり、反復する子供の75%が保育園児だと言われています。

2.乳首の使用、授乳姿勢

おしゃぶりを使用したり、仰向け態勢での授乳は、耳管の気圧変化を起こしやすいため、細菌やウイルスが耳管に感染しやすくなります。

3.受動喫煙

日本呼吸器学会によると、親の受動喫煙によって子供の中耳炎のリスクは1.2-1.6倍に高まります。これは、受動喫煙が耳管粘膜の線毛運動を低下させ、感染症にかかりやすくなるためです。

参考|受動喫煙の害|一般社団法人日本呼吸器学会

4.母乳栄養の有無

生後6か月の子供が急性中耳炎に罹患する確率と母乳育児との関係を調べた報告によると、ミルク育児のみの子供は、母乳育児や混合育児の子供に比べて、急性中耳炎に罹患する確率が高いとされています(62%vs13%、p<0。0001)

参考|Sabirov A, Casey JR, Murphy TF, et al:Breast‒feeding is associated with a reduced frequency of acute otitis media and high serum antibody levels against NTHi and outer membrane protein vaccine antigen candidate P6. Pediatr Res 66:565‒570, 2009

5.ワクチン接種の有無

インフルエンザウイルスなどに感染すると、身体の免疫力が低下とともに、耳管機能も低下し、結果として中耳炎発症の原因になります。

アメリカでは、7価肺炎球菌ワクチン導入後に中耳炎の罹患率が減少しているという報告もあります。

参考|Taylor S, Marchisio P, Vergison A, et al:Impact of pneumococcal conjugate vaccination on otitis media:a systematic review. Clin Infect Dis 54:1765‒1773, 2012

そのため、中耳炎の起因菌である小児用肺炎球菌ワクチンの接種だけでなく、季節ごとにインフルエンザワクチンを接種することが急性中耳炎予防に重要だと小児急性中耳炎診療ガイドラインにも記載されています。

子供が急性中耳炎にかかる原因

上記の急性中耳炎にかかりやすい原因を踏まえたうえで、急性中耳炎の因子を挙げてみます。もちろん、単なる因子に過ぎないため、複合的に気をつけるための指標として考えてください。

参考|どうして子どもは中耳炎になりやすいのか?|日本小児感染症学会:機関誌「小児感染免疫」Online Journal Vol.26 No.4「日本小児感染症学会若手会員研修会第 5 回福島セミナー」

1.間接的要因(宿主関連因子、社会環境因子)

短期間の母乳栄養
気候、季節
両親の喫煙
集団保育(低年齢児)
同胞の通園
家庭内(同胞からの感染)
低年齢(2歳未満)
未熟児、男児
遺伝的要因
免疫異常
頭蓋顔面奇形
口蓋裂児
ダウン症
耳管機能不全
乳突蜂巣の発育不良例
抗菌薬の前投与
中耳炎の既往
アレルギー性鼻炎
副鼻腔炎
アデノイド増殖症
聞き分けのない子(治療拒否、内服拒否)

2.直接的要因(耳管咽頭口付近の粘液、分泌物が耳管を通じ鼓室に入り込む要因)

鼻閉
鼻閉時の嚥下
嘔吐
授乳時の姿勢
おしゃぶり
寝相(うつ伏せ寝)
胃食道逆流(GERD)
鼻すすり癖
強い鼻かみ
両側同時の鼻かみ
咳、咳あげる
くしゃみの方法(鼻をつまんでする)
スイミング(飛び込み、もぐり、クイックターン)
風呂でもぐる
無理な耳抜き
飛行機に乗った後
啼泣

急性中耳炎の治療方法

急性中耳炎は、一般的には自然治癒することがわかっていますが、場合によって治りにくい場合があります。そのため、痛みや耳だれ、発熱などが続く場合は、医師によっていくつかの治療を行います。

治療法1.鼻とのどの薬剤治療

風邪などが原因で鼻水が多く、それが急性中耳炎の原因だと認められる場合は、原因になっている病気の治癒が必要です。

そのため、炎症を抑える薬や痛み、発熱を抑える解熱鎮痛剤を使って治療を行います。

治療法2.痛みが治まるまで経過観察

中耳の炎症が治まり、中耳にたまった膿が耳管を通って鼻に抜けるようであれば、中耳炎が治まってきている証拠です。

ただし、膿が抜けるまではある程度の期間がかかるため、経過観察のために何度か受診し、鼻の通りをよくするために鼻水や痰の吸引をする場合があります。

治療法3.耳だれを吸引する

家庭で子供の鼓膜が破れて耳だれ(膿)が起こった場合は、耳の外側に出てきた膿だけをこまめに拭き取ります。耳の中を触ると炎症が悪化するおそれがあるため、ママが触ったり子供に触らせないようにしましょう。

耳だれは細菌の塊なので、耳だれが治まらない場合は、病院で吸引して綺麗にしなければ、急性中耳炎を何度も繰り返す場合があります。

治療方法4.腫れが引かない場合は抗生剤も

細菌性中耳炎の方がウイルス性中耳炎よりも腫れやすく、膿がたまりやすいそうです。そのため、見た目で判断できる場合は早めに抗生剤を投与し、その後経過観察を行う場合もあります(医師の判断による)。

治療方法5.鼓膜切開で膿を出す

中耳腔の膿が引かずに痛みが続く場合は、医師の判断によって鼓膜切開を行う場合があります。

治療方法6.完治するまで通院する

急性中耳炎は、中耳腔の膿がすべて抜けきってようやく完治します。膿の量が多い場合は完治まで数か月かかることもあるため、何度も耳鼻科に通院しなければいけません。

また、赤ちゃんのうちに一度かかると反復する恐れがあり、慢性中耳炎や滲出性中耳炎の原因にもなるため、完治するまでは安心せずに通院を欠かさないようにましょう。

ちなみに、現在は急性中耳炎に対し、以下の治療方針が一般的です。急性中耳炎の治療に、すぐに抗生剤や鼓膜切開を行うわけではありません。

20年前から実行され、世界の中耳炎の治療を変えた治療方針を紹介します。
耳痛や熱があるときには2日程度は痛み止めだけで様子をみます。耳痛や熱が続くときにだけ(10%程度)「抗生剤」を飲ませます。これでも痛みや熱が続くときにだけ(1%程度)「鼓膜切開」を行います。
「経過観察」、「抗生剤」、「鼓膜切開」と順番に行うことで、安全性に配慮しながら過剰な治療を避ける合理的な方法です。

引用|子供の急性中耳炎の治療は必要ですか?|ふかざわ小児科

急性中耳炎の予防法

急性中耳炎はウイルス性・細菌性の病気との合併症で起こるため、予防はそれぞれの病気に依存します。とくに、風邪を引いたときは、鼻水をすする前に、鼻の中をこまめに綺麗にするように気を付けましょう。

子供が2-3歳以上の場合は、鼻水のかみ方を教えて早めに鼻の中を清潔にする方法を身に付けさせましょう。

子供が0-1歳の場合は、ママが鼻水ケアをしなければ、鼻づまりを起こしてしまいます。ママが鼻水吸引器で鼻水を吸引するなど、子供の鼻づまりを解消してください。

ただし、鼻水は細菌やウイルスの塊です。口で吸引するタイプはママにも感染のおそれがあるため、なるべく電動タイプが好ましいです。

急性中耳炎は長引かせないこと

急性中耳炎は、耳の痛みや高熱が治まれば良いわけではありません。

目に見えない膿が全部抜け切って炎症が治まらなければ、再発して慢性中耳炎になってしまいます。また、急性中耳炎を治し切らず、膿や滲出液が出る状態が続くと滲出性中耳炎に移行する場合もあります。

滲出性中耳炎になると、急性中耳炎よりも軽度の難聴になる期間が長く、難聴の期間と言葉の発達の期間が被ってしまうと、言葉の遅れにつながる可能性もあります。

もちろん、急性中耳炎は自然治癒が多いのですが、まずは子供を病院に連れて行き、経過観察のうえで自然治癒ができるようにしましょう。ママは、たかが中耳炎とは思わずに、1か月、2か月でしっかり治し切るように対応してください。


参考|【耳と聞こえのQ&A】<急性中耳炎>:社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
参考|中耳炎の症状・治療について | たかはし耳鼻科 – 耳鼻咽喉科 –
参考|急性中耳炎|榊原耳鼻咽喉科医院