赤ちゃんの耳が聞こえない難聴の原因と特徴とは?早期発見方法は

難聴の原因

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難聴には先天性と後天性がある

子供の言葉の発達が遅れる原因の1つに、「難聴(なんちょう)」があります。

子供の難聴は、新生児期から生まれつき耳が聞こえない「先天性難聴」、乳幼児期に何らかの原因で耳が聞こえなくなる「後天性難聴」に分かれ、それぞれの難聴に原因があります。

先天性難聴は、親の遺伝子異常や妊娠中の妊娠高血圧症候群などの病気によって起こるものがあり、後天性難聴は、病気や事故、精神的なストレスによって起こるものがあります。

先天性難聴にかかる赤ちゃんは、毎年1,000人中2人未満の割合でいるそうです。また、後天性の難聴になる子供は1,000人中1人未満の割合で、合わせると難聴の確率は1,000人中2人以上となります。

参考|幼小児難聴とは?|国立病院機構 東京医療センター

子供の難聴は耳が聞こえない(聞こえにくい)だけでなく、聞くことによる学習ができないため、放置すると幼児期の言葉の発達に影響を及ぼすため、早期発見と可能であれば早期治療が求められる病気です。

では、赤ちゃんや子供がかかる難聴には、具体的にどのような原因や特徴があるのでしょう。

今回は、子供の先天性・後天性難聴の原因と早期発見をするための判断方法などについてお話したいと思います。

先天性難聴の原因

先天性難聴は、もともとの遺伝子が原因だったり、胎児期の母子の病気が原因で起こる難聴のことです。

原因1.遺伝子の異常

子供の難聴の3分の1は、遺伝によるものだと言われています。遺伝と言っても難聴が遺伝するわけではなく、親の遺伝子異常や病気によって、結果的に難聴になるケースがほとんどです。

原因2.ダウン症・染色体異常

ダウン症は遺伝子異常によって起こる病気で、21番染色体が1本余分にある染色体異常のことです。ダウン症の赤ちゃんは、難聴の症状を伴う場合があります。

原因3.早産(低体重児)による未成熟

妊娠37週未満の身体機能が未熟なまま早産で生まれてしまうと、赤ちゃんが難聴になる場合があります。

原因4.妊婦の感染症

妊婦が妊娠中に細菌やウイルスなどに感染すると、生まれてくる赤ちゃんが難聴になる場合があります。感染原因は、風疹ウイルス、ヘルペスウイルス、梅毒トロポネーマ、サイトメガロウイルス、トキソプラズマ原虫などがあります。

原因5.外耳道閉鎖症/小耳症(がいじどうへいさ/しょうじしょう)

外耳道閉鎖症(がいじどうへいさしょう)とは、生まれつき耳の穴が閉じている胎児奇形のことです。

小耳症(しょうじしょう)とは、耳の形成が不完全で通常よりも耳が小さい奇形のことで、外耳道閉鎖症を併発している場合がほとんどです。

原因6.口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)

口唇口蓋裂とは、胎生期に口唇や口蓋が裂けた状態で生まれてくることを言います。口唇口蓋裂になると、言語機能だけでなく聴覚機能に問題があるケースも多く、難聴の原因になる場合があります。

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後天性難聴の原因

後天性難聴は、事故や病気などさまざまな原因があります。以下は、後天性難聴が起こる原因の一例です。

原因1.中耳炎(ちゅうじえん)

中耳炎とは、子供がかかりやすい中耳腔の感染症のことで、3歳までの8割以上が発症します。

中耳炎は、急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性化膿性中耳炎などの種類があり、慢性化・反復化しやすいため何度もかかることで、耳が聞こえにくく、軽度の難聴になる可能性があります。

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原因2.外耳炎(がいじえん)

外耳炎は、外耳に炎症を起こす病気のことで、一般的には耳に水など何らかの異物が入って起こる細菌感染症です。

原因3.髄膜炎(ずいまくえん)

髄膜炎とは、ウイルスまたは細菌によって髄膜の炎症と腫れを起こす感染症のことです。

一般的な症状は頭痛、発熱、嘔吐などですが、症状が重くなると意識の混濁や刺激に対する感覚過敏などがあります。重度の髄膜炎の後遺症として難聴などの後遺症が残る可能性があります。

原因4.耳毒性薬剤(じどくせいやくざい)

耳毒性薬剤による難聴とは、結核、小児ガン、心不全などの病気の治療のために使用した薬剤(抗生物質)によって、内耳に障害を受けることを言います。これを「薬剤性難聴(やくざいせいなんちょう)」と言います。

原因5.突発性難聴(とっぱつせいなんちょう)

突発性難聴は、突然耳が聞こえなくなってしまう症状のことで、原因は明確ではありません。片方の耳の聴力が突然低下し、耳鳴りや耳閉感・めまいなどが併発することもあります。

わたしの友人にも子供のころに突発性難聴にかかり、片耳が聞こえない子が2人います。

原因6.音響外傷(おんきょうがいしょう)

音響外傷による難聴とは、大きな音や騒音を聞き続けることで聴覚機能が低下する症状のことです。

たとえば、コンサートホールなどで長時間、大音量の演奏を聞いたとき、一時的に耳が聞こえなくなることがあります。これも音響外傷です。

軽度の音響障害は、すぐに聞こえるようになりますが、時間がたっても耳の聞こえが悪い場合は治療が必要です。

原因7.頭部外傷

頭部外傷による難聴とは、事故などの外傷により聴覚機能が低下する難聴です。揺さぶられっ子症候群による難聴も頭部外傷にあたります。

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原因8.機能性難聴(心因性難聴)

心因性難聴とは、耳や聴覚機能に異常がないにもかかわらず、突然耳が聞こえなくなる症状のことです。

女児や小学生に多く見られる傾向があり、精神的なストレスが原因とされているため、ストレスを取り除くことで正常な聴力に戻す検討がされます。

原因9.ムンプス難聴

主に、おたふく風邪の原因になるムンプスウイルスによって起こる難聴のことです。ムンプス難聴は、おたふく風邪にかかりやすい4-5歳から小学校低学年に起こりやすい難聴で、重症化することが多く、改善が難しいと言われています。

参考|予防接種について|医療法人博友会 みちのクリニック 奈良県香芝市にある病院(整形外科・内科・外科・小児科・リウマチ科・リハビリテーション科)

難聴の特徴を押さえて早期発見が大切

一般的に、赤ちゃんは胎児のうちに聴覚が発達するため、新生児でもちゃんと音を聞き取ることができます。

ママやパパが生まれてすぐの赤ちゃんに話しかけても何も反応しないのは、呼びかけが聞こえないわけではなく、赤ちゃんが音をどう認識して、どう反応すれば良いかわからないためです。

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新生児聴覚スクリーニング検査は、自動聴性脳幹反応と耳音響放射を検査するものですが、赤ちゃん自身が聞こえた・聞こえていないと判定できないため、それほど精度が高いとは言えません。

実際、先天性難聴は1,000人中2人未満ですが、新生児聴覚スクリーニングで要再検と言われる数は、その10倍以上になるそうです。

では、なぜ先天性難聴の早期発見が望まれるかと言うと、耳の聞こえが悪いと情報収集が規制されることで、コミュニケーションに支障をきたし、言語発達が遅れることで、感情や社会性の発達にも影響が生じるためです。

言語能力は生後2年で基本的な発達をしていくため、2歳近くになってから「あれ?そういえば、ママって言わないな……。」と思った時点ですでに、言葉の遅れが生じていることになります。

先天性難聴が早期発見され、その後適切な支援が行われれば、あらゆる手段でコミュニケーションを取る方法が検討されるため、感情や社会性の発達の影響も最小化できます。

参考|幼小児難聴とは?|幼小児難聴・言語障害クリニック

聴覚スクリーニング検査よりママの接し方が大切

前述した通り、新生児聴覚スクリーニング検査は精度が高いものではないため、その後の定期検診も重要ですし、ママの普段の赤ちゃんとの接し方も重要です。

もちろん、赤ちゃんが先天性難聴でなくても、病気や別の原因で後天的難聴になることはあります。そのため、ママは常に子供の耳の聞こえに注意を傾けましょう。

生後3-4か月までは、急に音を出すことでモロー反射の有無を確認したり、生後4か月から1歳過ぎまでは、片側の耳から呼びかけをして、声の方を向く反応があるかどうかを確認してください。

ただし、モロー反射は音だけではなく温度や振動に対しても起こるため、呼び掛け(声)だけで見極めるようにしましょう。また、モロー反射があったからといって、難聴ではないとは言えないので注意してください。

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難聴は、早期発見することで、サポートを受ける期間も早く長くなります。そのため、赤ちゃんや子供の難聴の原因を知り、耳の聞こえの判断材料にすることはとても大切です。

ママは、普段から赤ちゃんや子供に語りかけ、コミュニケーションを取ることで、万が一の難聴に気付けるようにしてください。