中絶手術が可能な時期はいつからいつまで?費用と入院期間の目安

妊娠11週目の胎児

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人工妊娠中絶を知っておこう

妊娠で授かった全ての赤ちゃんが、この世に産まれるわけではありません。細胞の染色体異常や胎児・母体の病気など、さまざまな要因で流産や死産になることも少なくありません。

また、母子ともに健康にもかかわらず、家庭事情や社会的事情によって堕胎を選択する人もいます。好ましいことではありませんが、場合によっては仕方がない理由もあるのでしょう。

ところで、子供を堕ろすことを一般的に「中絶」と言いますが、本来中絶とは自然にしろ人工的にしろ、「胎児の死」によって出産に至らずに妊娠が途中で終わることを言います。

わたしたちが一般的に「赤ちゃんを堕ろす=中絶」だと認識しているのは「人工妊娠中絶(じんこうにんしんちゅうぜつ)」のことで、胎児がお腹の中で死んでしまい流産・死産に至ることは「自然妊娠中絶(しぜんにんしんちゅうぜつ)」と言います。

では、もし何らかの理由で赤ちゃんを堕胎することになった場合、どうすれば中絶手術を行えるのか?リスクはあるのか?費用はどれくらいかかるのか?などの疑問が湧いてきます。

そこで今回は、人工妊娠中絶が可能な妊娠時期(妊娠週数)や人工中絶によるリスク、中絶手術にかかる費用の目安についてお話したいと思います。

人工妊娠中絶とは

人工妊娠中絶とは、胎児が母体外において生命活動を継続することができない未熟な時期に、手術によって胎児と子宮内容物を母体外に排出して、妊娠を中断することを言います。

人工妊娠中絶は、一般的には「人工中絶」、または単に「中絶」と言われることもあります。

母体外に排出した胎児に生存の可能性がない時期は、一般的に妊娠22週未満ですが、人工中絶の判断は母体保護法第14条に基づいて、特定の医師が個別に行うものとされています。

参考|人工妊娠中絶の定義|日本産婦人科医会

人工中絶手術を行う条件

人工中絶手術を行うためには、妊婦本人と胎児の父親のサインが入った「中絶同意書」が必要です。

もし、胎児の父親がどうしてもわからない場合、犯罪や失踪などにより胎児の父親としての意思表示ができない場合は、妊婦本人の同意だけで中絶手術を行うことができます。

ただし、中絶同意書によって中絶手術を行うかどうかは、特定の医師の判断によります。

人工中絶手術が可能な時期

人工中絶手術を受けられる時期は、妊娠週数で決められています。現在、中絶手術が可能な妊娠週数は「妊娠満22週未満」です。

中絶手術はいつから?

中絶手術がいつから行えるかは、病院によって異なります。ただし、妊娠がわかる時期が妊娠4週頃で、妊娠が確定する時期が妊娠5-6週以降のため、中絶手術が行える時期も妊娠5-6週以降が多いでしょう。

中絶手術はいつまで?

前述した通り、中絶手術が可能な時期は「妊娠満22週未満」なので、妊娠21週6日をすぎると中絶手術は行えません。ただし、日本産婦人科医会では、リスクがあるため妊娠11週までに行うことが望ましいとしています。

人工中絶手術を行うためには、事前に準備期間が必要です。病院によって、または妊娠週数によって準備時間は異なりますが、妊娠21週に入ってから病院に行っても、すぐに人工中絶手術を行うことはできないため注意が必要です。

ちなみに、妊娠満22週以降に中絶手術を行うと、妊婦や胎児の父親、医師など関係者全員が同意をしていても「堕胎罪」になり、妊婦がDVなどの暴力を受けて胎児が死産に至った場合、胎児を堕胎に至らしめた人は堕胎罪、及び暴行罪になります。

人工中絶手術の種類

人工中絶手術は、妊娠週数によって「初期中絶手術」と「中期中絶手術」に分かれます。

参考|中期中絶手術の流れ|婦人科【産婦人科】|大阪 医療法人オーク会

手術の種類1.初期中絶手術

初期中絶手術とは、妊娠11週6日までに行う中絶手術を言います。

初期中絶手術の方法には、鉗子を使って子宮内から胎児及び子宮内容物を掻き出す「掻爬法(そうはほう)」、吸引機を使って吸い取る「吸引法」があり、これらを子宮内容除去術と言います。

掻把法は子宮頸管を広げる前処置が行われますが、吸引法には前処置の必要がありません。どちらも手術自体は10分ほどで終わるため、術後の妊婦の経過に問題がなければ、医師の判断によって日帰りも可能です。

手術の種類2.中期中絶手術

中期中絶手術とは、妊娠12週0日から妊娠21週6日までに行う中絶手術を言います。

中期中絶手術の方法は、陣痛促進剤を投与して陣痛を促し、分娩のように胎児を娩出した後に、胎児の命を断つというものです。陣痛を促すため、出産前のような痛みが伴う場合もあります。

中期中絶は、初期中絶とは違って胎児も成長しているため、妊婦は事前準備と術後の経過観察も含めて、4-5日ほどの入院が必要になる場合があります。

中絶手術の流れと手順

中期中絶手術は数日の入院が必要ですが、流れは病院によって多少異なります。以下は、中絶手術の流れの1例です。

中絶手術までの流れ

中絶手術を行うためには、事前の準備が必要です。たとえ、初期中絶手術でも、妊娠が発覚してすぐに手術が行えるわけではなく、以下の流れで中絶手術を行うことになります。

1.現在の妊娠週数を計算してから中絶手術日が決定される。

2.必要な場合は手術前の検査を行う。

3.中絶手術前に中絶同意書などの必要書類を提出する。

4.入院などで必要な準備をしてから中絶手術を行う。

中期中絶手術1日目

中期中絶手術を行う場合、事前準備としてラミナリア桿(かん)を子宮頚管に挿入して拡張します。2日かけて子宮頸管を拡張する場合もあります。

中期中絶手術2日目

子宮頸管を拡張したら、次は子宮内にバルーンを入れてさらに拡張させて子宮収縮を促します。また、陣痛促進剤を投与して陣痛を促しますが、陣痛までに10時間以上かかる場合もあります。

陣痛が始まった後に、通常分娩の方法から胎児の娩出を行い、子宮内容除去術で子宮内容物を掻き出して手術が完了します。

バルーン挿入から、実際の胎児の娩出までに数日入院をする場合もあります。

中期中絶手術3日目以降

妊婦の体調によって2-3日の入院が必要になります。中期中絶手術は、厚生労働省が定める死産(妊娠12週以降)になるため、死産証明書と死産届を役所に提出して、死児を火葬しなければいけません。

初期中絶費用・中期中絶費用の目安

中絶手術は、ほとんどの場合が保険適用外で自己負担です。そのため、病院によって中絶費用はバラバラです。

費用の目安1.一般的な中絶費用

「中絶手術ができる東京のクリニック比較」というサイトによると、中絶手術費用の目安は以下のようになります。

初期中絶費用の目安|70,000-150,000円

妊娠11週までの初期中絶では、中絶手術自体は難しいものではないため、それほど多くの費用はかかりません。

中期中絶費用の目安|200,000-300,000円

妊娠12週からの中期中絶では、入院をして出産と同じ方法で胎児を娩出するため、ある程度の費用がかかります。また、母体に想定外のことが起こり、治療が必要な場合はその分の費用も必要になります。

その他費用の目安

妊娠検査|500円-1,000円程度
手術前検査料金|3,000円-7,000円程度
エコー|2,000円程度
薬品代|数百円程度

参考|人工妊娠中絶の手術費用の目安

費用の目安2.健康保険適用のケース

前述した通り、中絶手術は保険適用外ですが、以下は別費用として保険が適用される可能性があります。

・胎児が子宮の中で死亡し、掻把(そうは)手術が必要だと判断された場合
・妊娠の継続が母体の生命をおびやかすと判断された場合

引用|人工妊娠中絶手術の費用金額の目安・保険は使える? [流産の基礎知識] All About

これらはどちらも緊急手術になるケースが多いのですが、中絶手術自体が保険適用になる方法はありません。また、手術後に感染症などの合併症を起こし、それを治療する際の治療費には医療保険が適用されます。

中絶手術のリスクは?

さて、このような中絶手術は年間何件行われているのでしょうか。厚生労働省の調査によると、平成26年度で約18万件、つまり述べ18万人の妊婦が人工中絶を行っているということです。中絶手術を受ける理由は以下の通りです。

最初の人工妊娠中絶手術を受けることを決めた理由

出典|第5回男女の生活と意識に関する調査(平成22年度)

気になったのは、「相手と結婚していないので産めない」の割合が30代・40代で異常に高いことです。回答対象が女性なので、どうしても不倫相手の赤ちゃんを妊娠したことを予想してしまいます……。

「中絶手術=若者」というイメージを持つ人は、ちょっと考えを改めた方が良いかもしれませんね。

……さまざまな理由があるとは思いますが、中絶手術を受ける18万人の妊婦は手術のリスクを伴っています。

中絶手術のリスクは、身体のリスク、心のリスク、不妊リスクの3つが存在します。そのため、「こんなに中絶手術が多いなら、気にしなくても良いかな……。」とは絶対に思わないでください。

中絶手術によるそれぞれのリスクの詳細は、以下を参考にしてください。