おなら…お腹の張り…ゲップが出ない…胃軸捻転の症状と治療方法

裸の赤ちゃん

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赤ちゃんのおならが多い理由

「なんだか、うちの子やたらおなら多いんだけど……。」

産まれたばかりの赤ちゃんは、母乳を上手に飲むことができません。母乳を飲むときにたくさんの空気も一緒に飲み込むため、ママは授乳後に赤ちゃんの背中をポンポン叩いてゲップを出します。

ところが、赤ちゃんは色々な理由でゲップがうまく出せないことがあります。そうするとお腹に空気が溜まり、やがておならがたくさん出ます。

「赤ちゃんだからおならも臭くないよね?可愛いし、笑えるから大歓迎!」というママがいたら少し考え直しましょう。もしかしたら、赤ちゃんは、ママが思っているよりも苦しんでいるかもしれません。

一般的に、授乳後の赤ちゃんのゲップや吐き戻しは珍しいことではありません。その場合は、吐き戻しの症状を確認しながら、それぞれの対策を行ってください。

ところが、赤ちゃんが授乳後もなかなか眠らず、吐き戻した後もぐずったり、泣きやまなかったり、おならが大量に出てしまうのは「胃軸捻転症(いじくねんてんしょう)」という病気が原因かもしれません。

そこで今回は、胃軸捻転症が起こる原因や症状、治療法についてお話したいと思います。

胃軸捻転症(いじくねんてんしょう)とは

胃軸捻転症とは、胃の一部または全部が180度以上の捻転を起こしてしまう病気のことです。

大人は内臓間にあまり隙間がなく、靭帯(じんたい)・腹膜(ふくまく)・腸間膜(ちょうかんまく)などで胃が固定されていますが、赤ちゃんや子供は臓器が未成長のため内臓間に隙間があり、胃も固定されていないため、動作によって胃が捻れてしまうことがあります。

胃軸捻転症は、赤ちゃん、または成長が遅い子供に多い病気ですが、乳幼児以外では、横隔膜弛緩症(横隔膜が弛緩する病気)などと併発する可能性があります。

胃は縦軸方向(短軸捻転)、または横軸方向(長軸捻転)に捻れるため、仰向けにすると胃が圧迫され、ゲップが出にくくなり、余計に空気が溜まってしまいます。

通常の胃の配置 胃軸捻転症の胃の配置

出典|胃軸捻転 — 日本小児外科学会

胃軸捻転症の赤ちゃんは、授乳後もゲップが出せないため、おならで溜まった空気を出さなければいけません。

ただ、おならで空気を出すとしても、一度お腹の中にガスが溜まるため、お腹の張りで苦しくなってぐずったり、気持ち悪くなってミルクを吐き戻すことが増えます。

バリウムを飲んだことがある人なら、ゲップが出せない苦しさがわかるでしょう。

胃軸捻転症の症状

赤ちゃんの胃軸捻転症は、お腹の張り、母乳の吐き戻し(胃食道逆流現象)、頻繁におならが出るだけではなく、場合によってはねじれによる腹痛、慢性的な吐き気や臓器障害、その他の合併症などが現れる場合もあります。

これらの症状は、発症の経過による急性胃軸捻転、慢性胃軸捻転、反復性胃軸捻転の分類によって異なります。

参考|胃軸捻転 — 日本小児外科学会

1.急性胃軸捻転の症状

急性胃軸捻転の症状は、突然の腹痛があり、強い吐き気を催します。胃が捻転して嘔吐できないため、鼻などから管を挿入して空気や吐物の吸引除去が必要になる場合もあります。

また、捻転が強い場合は、胃の血流が止まって胃の壊死や穿孔(せんこう)を起こす可能性もあり、早急な手術が必要です。ただし、ほとんどの赤ちゃんは急性胃軸捻転を起こすことはないそうです。

2.慢性胃軸捻転・反復性胃軸捻転の症状

慢性胃軸捻転や反復性胃軸捻転は、胃軸捻転を起こすことで腹痛や吐き気を催す症状が主です。

こちらは新生児に多く見られる胃軸捻転症ですが、内蔵の成長で徐々に改善され、1歳前後には多くが自然治癒します。もし1歳を過ぎても症状が改善されない場合は、手術が必要になる場合もあります。

胃軸捻転症の治療

1.自然治癒

前述した通り、赤ちゃんのころに起こる胃軸捻転症の多くは、慢性胃軸捻転(乳幼児胃軸捻転)です。そのため、まずは保存的療法がとられ、身体が大きくなる成長の過程で、自然治癒していきます。

2.手術による外科的治療

急性胃軸捻転症が起こった場合、または胃軸捻転症が反復する場合は、手術による治療が必要になることもあります。

行われる手術は胃軸捻転症の状態によって異なりますが、胃の固定手術(腹腔鏡下胃前壁前方腹壁3点固定術など)や胃ろう造設手術を行ったり、逆流防止を目的としたBoerema-Filler法などが行われます。

参考|小児胃軸捻転症に対する腹腔鏡下胃前方固定術についての検討|日小外会誌第51巻4号2015年6月P787-792
参考|小児胃軸捻転症の検討|日臨外医会誌52(9),1962-1966,1991

保存的療法時の赤ちゃんへの対処

前述した通り、赤ちゃんの胃軸捻転症の多くは慢性であり、成長とともに徐々に改善していくものです。胃軸捻転の症状が軽い場合は、多くの子が生後2-3か月までに内臓が成長して、正しい位置に固定されます。

ただ、それまでの間も胃軸捻転症で赤ちゃんが苦しいことに変わりはないため、以下の対処をしてあげましょう。

対処法1.肩に抱えてゲップ

胃軸捻転は胃が圧迫されて、胃の中に空気が溜まる病気です。そのため、ママが赤ちゃんのゲップを出す際は、肩に抱えるように縦抱きをして背中を叩き、なんとかゲップを出してあげましょう。

その際に、あまりお腹を圧迫しないように気を付けてください。もちろん、首すわりがまだの赤ちゃんは首の支えに注意してください。

対処法2.うつ伏せ体勢でゲップ

長時間でなければ赤ちゃんをうつ伏せにして、自然にゲップが出やすい体勢を作って、背中をトントンしましょう。ただし、吐き戻す可能性が高いのでタオルなどを敷いてください。

もし赤ちゃんの首がすわっていれば自分で頭を持ち上げられるため、うつ伏せ体勢は長めにキープできます。

対処法3.授乳量を少なくこまめに

赤ちゃんが大量に空気を取り込むのは、慣れていない長時間の授乳も原因の1つです。

そのため授乳回数を増やし、1回(一息)の授乳量を減らして、取込む空気を少なくしましょう。また、授乳の後に何度も休憩を取りつつ、こまめにゲップを出してあげましょう。

対処法4.浣腸を使っておならを出す

赤ちゃんがどうしてもゲップを出せなかったり、空気が胃に溜まったままなら、小児科に行き浣腸でおならを出すように相談しましょう。

空気がお腹に溜まっている状態で寝かせると、夜中に苦しくて起きてしまい、何度も夜中に起きる原因になります。

赤ちゃんがかかる多くの胃軸捻転症が成長とともに改善していくと言っても、その過程でゲップが出にくくなったり、おならが多くなったりするだけでなく、授乳を嫌がるようになる可能性もあります。

ママは、赤ちゃんが授乳を嫌がることで、母乳量・ミルク量が減ってしまう可能性も考えなければいけません。

また、胃軸捻転症の赤ちゃんはうつ伏せにすると、苦しさが和らいでおとなしくなりますが、うつ伏せ寝は乳幼児突然死症候群(SIDS)が起こる可能性もあるため、そのまま目を離したり、夜間にうつ伏せ寝をさせない方が良いでしょう。

胃軸捻転症の苦しさを解消するために、なるべくこまめにゲップを出して、お腹に空気が溜まらないように注意してあげましょう。

また、赤ちゃんがおならをして泣いてしまうのは、胃軸捻転症以外にも以下の原因がありますが、赤ちゃんが授乳後苦しそうにしていたり、ゲップが少なくおならが多い場合は、1度小児科で診てもらうようにしましょう。