妊娠・出産

妊娠中に摂るビタミンAの量は?過剰・不足による妊婦と胎児の影響

投稿日:2018年12月24日 更新日:

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貧血なので鉄分を補おうと思ったら…

妊婦は、とくに妊娠初期と妊娠後期によく貧血になります。

妊娠初期は、胎児や胎盤を形成するために血液が増加します。そのため、赤血球よりも血漿が増え、赤血球内のヘモグロビン濃度が低下することで、貧血になります。また、妊娠後期も胎児の成長が著しいため、同様の理由で貧血になります。

わたしも妊娠初期の検査で「鉄欠乏性貧血」と診断されたため、自分なりの食事療法としてよくレバニラ炒めを食べていました。同じように、鉄分不足を補うため、レバーを食べる妊婦は多いでしょう。

ところが、よく調べてみるとレバーには鉄分の他にビタミンAも多く含まれており、ビタミンAを過剰摂取すると身体に良くない影響があるということがわかりました。一方、ビタミンAは過剰摂取だけでなく、不足しても健康被害の恐れがあると知り……いろいろ心配です。

では、妊婦にとってビタミンAの不足や過剰摂取は、どう判断すれば良いのでしょうか。また、普段の食事に含まれるビタミンAの目安は、どれくらいなのでしょうか。

今回は、妊娠中に摂るビタミンAの最適な量と、ビタミンAの過剰・不足で起こる妊婦や胎児への影響についてお話したいと思います。

妊娠中に必要なビタミンAとは

ビタミンは、水に溶けやすい「水溶性ビタミン」、油に溶けやすい「脂溶性ビタミン」に分類されます。

ビタミンの分類
水溶性ビタミン|ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンCなど
脂溶性ビタミン|ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなど

ビタミンAは脂溶性ビタミンの一つですが、果物や野菜などの植物由来のものは「プロビタミンA(β-カロテン)」、食肉や魚、乳製品などの動物由来のものは「ビタミンA(レチノールなど)」として存在します。

プロビタミンAはほとんどがβカロテンで、体内でビタミンAに変換されます。ただし、βカロテンは、すべてがビタミンAに変換されるわけではなく、吸収効率はビタミンA換算で1/6ほどとなっています。

胎児にとってビタミンAは、細胞の成長に関係するため、非常に重要な栄養素です。たとえば、胎児発育中の臓器形成、目の機能、肌の健康維持や粘膜の保護などに使われます。

ビタミンA-「総合医療」情報発信サイト

1日に必要なビタミンA摂取量

厚生労働省によると、1日に必要なビタミンAの摂取量(推奨量)は、18-29歳の女性で650μgRAE※、30-49歳の女性で700μgRAEです。

レチノール活性当量(μgRAE)の計算方式
=レチノール(μg)+1/12×β-カロテン(μg)+1/24×α-カロテン(μg)+1/24×β-クリプトキサンチン(μg)+1/24×その他のプロビタミンAカロテノイド(μg)

日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要-厚生労働省

注釈μgRAE(レチノール活性当量)とは、ビタミンAの食事摂取基準の数値を考えるために作られた単位。

妊婦に必要な1日のビタミンA摂取量

妊婦に必要な1日のビタミンA摂取量は、妊娠初期、妊娠中期は未妊婦の推奨量と変わりません。ただし、妊娠後期になると、1日の推奨量にプラス80μgRAEが望ましいとされています。

子供に必要な1日のビタミンA摂取量

子供に必要なビタミンAの摂取量は、年齢によって細かく分かれています。以下の厚生労働省の表を見てください。

1歳未満の子供にはビタミンAの推奨量はありませんが、目安量は300-400μgRAE、耐用上限量は600μgRAEと決められています。

生後6か月以降は離乳食が始まっているので、レバーペーストを使った離乳中期以降の離乳食は、なるべく耐用上限量を超えないように注意が必要です。ちなみに、レバーペースト100gあたりのビタミンA含有量は4300μgRAEです。

ビタミンAの食事摂取基準

日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要-厚生労働省

ビタミンA不足(ビタミンA欠乏症)による影響

わたしたちが普通に生活していれば、普段の食事で充分にビタミンAを摂取できるため、ビタミンA不足で身体に影響が出ることはまれです。ただし、以下の場合はビタミンAを十分摂取できない可能性があります。

・早産児(1歳になるまではビタミンAの値が低い場合が多い)
・発展途上国の乳幼児、小児、妊婦および授乳中の女性
・嚢胞性線維症の患者

ビタミンA-「総合医療」情報発信サイト

このようにビタミンAが著しく不足した妊婦や子供は、「ビタミンA欠乏症」と診断される場合があります。

ビタミンA欠乏症になると、目が霞む、光を感じにくい、色の見極めが難しいなどの症状がある「夜盲症(やもうしょう)」、乾燥感、眼痛、視力障害などの症状がある「眼球乾燥症」になる恐れがあり、重症化すると失明の危険性もあります。

ビタミンAの過剰摂取による影響

ビタミンAは、前述した厚生労働省の表を見て分かる通り、耐用上限量が設定されているため摂取しすぎてもいけません。

ビタミンA過剰摂取による妊婦の健康被害の多くは、大量のレバー摂取によるもの、またはサプリメントからの摂取によるものが原因です。

ビタミンA過剰摂取による影響は、短期的には頭痛、吐き気、めまい、目のかすみ、筋肉強調運動障害などがみられ、長期的には肝臓の異常や骨・皮膚の変化などがみられます。

また、妊婦がビタミンAを過剰摂取すると、水頭症や口蓋裂など胎児の催奇形性リスクが高まるため、妊婦に限らず妊娠を予定している女性もビタミンAの過剰摂取には気を付けなくてはいけません。

ビタミンA-「総合医療」情報発信サイト

ちなみに、連日7500μgRAE以上のビタミンAを摂取すると「ビタミンA過剰症」になるとされますが、体質によって急性症状が出る人もいるため、1日の耐用上限量は守るようにしましょう。

ビタミンAが多く含まれる食べ物

ビタミンAは、さまざまな食べ物に含まれています。たとえば、レバーなどの肉類、うなぎなどの魚類、ほうれん草などの緑黄色野菜、メロンなどの果物類です。また、ビタミン強化された牛乳やシリアルからも多く摂取できます。

そのため、ビタミンAは必要な量と過剰な量を把握して、極端な食生活にしないように心がけなければいけません。

日本食品標準成分表-文部科学省

ビタミンAが多く含まれる肉類

牛レバー|1100μgRAE/100g
豚レバー|13000μgRAE/100g
レバーソーセージ|2800μgRAE/100g
レバーペースト|4300μgRAE/100g
スモークレバー|17000μgRAE/100g
フォアグラ|1000μgRAE/100g
鶏レバー|14000μgRAE/100g

このように、動物の肝臓(レバーやフォアグラ)にはビタミンAが多いため、レバー料理を食べる場合は0.5人前に減らしたり、野菜を多めに食べるなどして、レバーそのものの摂取量を減らす工夫が必要です。

ビタミンAが多く含まれる魚類

あんこう(きも)|8300μgRAE/100g
うなぎ(白焼き)|1500μgRAE/100g
うなぎ(かば焼き)|1500μgRAE/100g
ぎんだら(水煮)|1800μgRAE/100g
すじこ|670μgRAE/100g
マゼランあいなめ(おおくち)|1800μgRAE/100g
やつめうなぎ|8200μgRAE/100g
ほたるいか(生)|1500μgRAE/100g

うなぎはビタミンAが非常に多い食材ですが、頻繁に食べるものではないため、とくに過敏になる必要はありません。

もちろん、急性ビタミンA過剰症の可能性もあるため、一度に何人前も食べて良いわけではありませんが、満足感を得られる程度に食べることは問題ないでしょう。心配であれば、医師に相談してください。

ビタミンAが多く含まれる野菜類

にんじん(ゆで)|730μgRAE/100g
ほうれんそう(油いため)|630μgRAE/100g
モロヘイヤ(ゆで)|550μgRAE/100g

上記はビタミンAとしていますが、野菜類なので正確にはβカロテンのレチノール換算量です。βカロテンは、必要に応じて体内でビタミンAに変換されます。つまり、野菜類を多く食べても、ビタミンAの過剰摂取にはなりません。

野菜はその他のビタミンも豊富に含まれるため、妊婦は積極的にとりたい食材です。

ビタミンAが多く含まれる果物類

あんず(乾)|410μgRAE/100g
メロン(赤肉)|300μgRAE/100g

メロン(赤肉)も野菜類と同じで、βカロテンのレチノール換算量です。ただし、果物類は果糖など糖類が多く含まれます。糖類の過剰摂取は高血圧につながるため、たくさん食べて良いとは言えませんが、1日に1回程度とりたい食材です。

ビタミンAは過剰摂取に気をつける

ビタミンAは、過剰に摂取しても不足しても、妊婦と胎児に影響を与える可能性があります。もちろん、食事の面で制限が多い赤ちゃんにも影響がでる可能性があります。

ただし、普段の食生活でビタミンAが不足することはほぼないため、極端な食生活で過剰に摂取しなければ問題ありません。

極端な食生活とは、毎日レバーやうなぎを食べたり、サプリメントで必要以上にビタミンAを補うなどです。

今市場に出ている大手のサプリメントには、ビタミンAのみを扱ったものはそれほどありませんし、マルチビタミンを補給するサプリメントでも、ビタミンAが入ったものは多くありません。そのあたりさえ気をつければ、ビタミンAを摂取しすぎることはないと思います。

もちろん、あまり神経質になりすぎるとストレスが溜まり、そちらの方が妊娠中の身体に悪い影響を及ぼしかねません。

そのため、まずは栄養バランスが良い食事、時間通りの食事ができるように心がけましょう。


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