切迫流産の原因や症状は?入院や自宅安静で妊娠継続できる確率は

疲労が溜まっている妊婦

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切迫流産(せっぱくりゅうざん)とは

切迫流産とは、以下の流産の6つの状態(種類)のうちの1つで、妊婦に子宮出血や下腹部痛などの症状があり、妊娠22週未満の流産の可能性があると診断される状態を言います。

流産の種類・状態
1.切迫流産(せっぱくりゅうざん)
2.進行流産(しんこうりゅうざん)
3.不全流産(ふぜんりゅうざん)
4.完全流産(かんぜんりゅうざん)
5.稽留流産(けいりゅうりゅうざん)
6.化学流産(かがくりゅうざん)

切迫流産は流産が確定しているわけではなく、あくまでも流産の危険性がある状態です。そのため、切迫流産が進行して流産に至ることもあれば、妊娠が継続して無事出産に至ることもあります。

切迫流産と診断される確率

わたしたちは、流産という言葉を聞くとネガティブで特別な出来事に感じますが、切迫流産は珍しいものではありません。

切迫流産の診断は妊娠全体の15%ほど、つまり妊婦の7人に1人が経験します。さらに、切迫流産の診断から流産に至る割合はおよそ半数、つまり全体の7.5%が流産に至ります。

参考|山本産婦人科(三重県津市) 切迫流産・流産・習慣流産について

妊娠全体の85%は切迫流産と診断されないとは言え、いざ切迫流産の診断を受けると半数が流産になるため、妊娠を控えた人は、予め切迫流産の症状や何に注意すべきか知っておいた方が良いでしょう。

今回は、切迫流産の原因や症状、切迫流産を予防・対処するためにできることについてお話したいと思います。

切迫流産の原因

妊婦が切迫流産に至る原因は明らかになっていません。ただ、切迫流産から流産に至る原因は、他の流産と同様です。

流産は、妊娠12週未満の「初期流産」と、妊娠12週から妊娠22週未満の「後期流産」に分かれており、流産件数全体の90%近くを初期流産が占めています。

初期流産の原因は、70%以上が卵子・精子・受精卵の染色体異常です。もし、染色体異常がある場合、人間の身体は自然に流産を起こす仕組みになっています。そのため、流産の多くは妊娠前にほぼ決まっています。

また、後期流産には、染色体異常の他に以下の原因が考えられます。

・胎盤、臍帯、卵膜などの異常
・梅毒、ヘルペス、風疹、マイコプラズマ、サイトメガロウイルス、パルボウイルス、クラミジア感染症などの感染症
・心疾患、腎疾患、自己免疫疾患(膠原病)、内分泌疾患(甲状腺機能低下症、糖尿病)、悪性腫瘍などの偶発合併症
・薬物使用、被爆、外傷、喫煙、禁酒、ストレスなど生活環境
など

仕事や家事の疲れで子宮収縮が起こりやすくなったり、不安などストレスによって妊娠機能の形成不全がが起こり、結果として切迫流産と診断される可能性もあるため、とにかく妊婦は身体と心を休めるように心掛けなければいけません。

切迫流産の診断方法・基準

医師が切迫流産と診断する方法・基準は、時期によって異なります。

初期流産時期(妊娠12週未満)の場合

一般的には、妊娠が確定している状態で、妊婦に出血や下腹部痛があり、エコーによって胎児の心拍による生存が確認できれば切迫流産と診断され、心拍が確認できない場合は「進行流産」と診断されます。

次に、尿中hCGの値が順調に増えているかを検査します。hCGの分泌量は妊娠8-12週がピークのため、この時点で尿中hCG値が順調であれば、出血や下腹部痛の原因を検査し、原因が特定できなければ切迫流産となります。また、尿中hCG値が減少している場合は、流産の確率が高くなります。

妊娠3週の尿中hCG量|0-50 mIU/ml
妊娠4週の尿中hCG量|20-500 mIU/ml
妊娠5週の尿中hCG量|500-5,000 mIU/ml
妊娠6週の尿中hCG量|3,000-19,000 mIU/ml
妊娠8週の尿中hCG量|14,000-169,000 mIU/ml
妊娠12週の尿中hCG量|16,000-160,000 mIU/ml
妊娠24週の尿中hCG量|2,500-82,000 mIU/ml
妊娠36週の尿中hCG量|2,400-50,000 mIU/ml

参考|ヒト絨毛性ゴナドトロピン(定性)|シスメックス プライマリケア

後期流産時期(妊娠12週-22週未満)の場合

妊娠12週を過ぎると、エコーによって胎児の動きがわかるようになります。そのため、子宮出血や下腹部痛がある状態で胎児の動きが確認できる場合、子宮口の開きや子宮頸管の短縮が確認できる場合は、切迫流産と診断される可能性が高くなります。

また、胎児の心拍が確認できない場合や子宮口の開大具合によっては、進行流産と診断される場合があります。

切迫流産の兆候・症状

切迫流産の症状や兆候は、前述した通り子宮出血や下腹部痛、お腹に強い張りがあることです。以下の症状がどれか1つでもある場合は、すぐに医師に相談してください。

兆候・症状1.赤茶色のおりものが出る

血が混じった赤茶色のおりものが排出されるものの、とくにお腹の張りや腹痛がない場合は、まだ切迫流産の判断がつかない状態です。

兆候・症状2.お腹の張り・腹痛や出血がある

お腹に張りや下腹部痛を感じたり、少量でも出血があった場合は、切迫流産の可能性を医師から告げられます。

兆候・症状3.子宮収縮が強い

一定間隔で腹痛が続く場合は、子宮収縮によって胎児や子宮内容物を排出する準備をしている可能性があります。子宮収縮は、エコーでも確認することができます。

切迫流産の治療・対処法

では、実際に切迫流産だと診断された場合、治療法や対処法はあるのでしょうか。

治療・対処法1.自宅安静・管理入院

切迫流産だと診断された場合、一般的には医師から自宅安静を告げられます。ただし、妊婦は下腹部痛や出血を自覚した時点で、医師に言われなくても安静にするよう心がけましょう。

もし、継続した出血がある場合は、検査などを含めた管理入院を告げられる場合もあります。

治療・対処法2.薬物療法

出血が多い場合は、切迫流産とは関係なく止血剤の投与などの処置を行います。

また、妊娠16週以降で子宮収縮が強い場合は、子宮収縮抑制剤(塩酸リトドリン)を投与し、もしそのまま妊娠22週に入るようであれば、切迫早産になる可能性があります。

治療・対処法3.感染症などの治療

細菌の感染によって腟炎や頸管炎、絨毛羊膜炎などを発症すると、子宮収縮が強く起こるため、早期の治療が必要になります。

また、頸管無力症が見られた場合は手術によって頸管を縛ることもありますし、子宮筋腫の場合は摘出手術を行うこともあります。ただし、これらの処置によって切迫流産の進行を回避できるとは限りません。

切迫流産の予防など

前述した通り、流産の70%以上は胎児になる前の染色体異常が原因です。そのため、ほとんどの切迫流産を予防することは難しいでしょう。

ただし、基本的には疲労やストレスを避け、安定した生活習慣と栄養バランスが取れた食事、十分な睡眠を摂ることは妊婦が健康な妊娠・出産を行うための基本です。

たとえ切迫流産と診断されても、安静に過ごしていれば妊娠を続けられる確率は五分五分のため、心を落ち着けて日々過ごすなど、妊娠が継続できた後のことを考えましょう。

もちろん、出血量が少なく下腹部痛が激しくなかったとしても、妊婦は安定期に入るまでは無理をしてはいけません。

そして、もし万が一流産になってしまったとしても、それは妊婦の責任でも、胎児の責任でもありません。流産は必ず一定の確率で起こるものと認識をして、次の機会のために時間をかけて気持ちを落ち着かせましょう。


参考|流産・切迫流産:病気を知ろう:日本産科婦人科学会
参考|2)切迫流産,流産|日産婦誌59巻11号|日本産科婦人科学会