妊娠糖尿病で妊婦や胎児への影響は?治療法や予防について

血糖値は正しく測りましょう

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妊婦の高血圧や高血糖とは

流産しやすい妊娠初期を過ぎて妊娠中期に入ってから気を付けたいのは、妊婦の高血圧や高血糖です。

高血圧や高血糖と聞くとお年寄りの病気のように思うかもしれませんが、妊婦の高血圧は妊娠高血圧症候群、高血糖は妊娠糖尿病として、どちらも母子に重大な影響を与える可能性があります。

妊娠糖尿病は、妊娠中に起こる糖代謝異常のことで、妊婦に起こる糖尿病のような病気だと思えば良いでしょう。詳しくは以下を参考にしてください。

では、この妊娠糖尿病は、妊婦や胎児にどのような影響を与えるのでしょうか。

今回は、妊娠糖尿病が妊婦・胎児に与える怖い影響、妊娠糖尿病の治療や予防についてお話したいと思います。

妊娠糖尿病による妊婦の症状・影響

妊娠糖尿病にかかると、妊婦にどのような症状や影響が出るのでしょうか。

参考|早産・切迫早産:病気を知ろう:日本産科婦人科学会
参考|妊娠糖尿病とはどんな病気か|症状や原因・治療 – gooヘルスケア
参考|1)内科疾患合併妊娠 糖尿病合併妊娠|日本産科婦人科学会※リンク切れ

妊婦の症状1.のどが渇く

血糖値が上がると、浸透圧によって血液中の水分が不足するため、妊婦はのどが渇きます。

妊婦の症状2.頻尿

のどの渇きを癒すために水分を補給しても、血糖値が高いままだと細胞に水分が行き渡らずに余分な水分として尿で排出されます。そのため、頻尿になります。

妊婦の症状3.疲労感

細胞に水分が行き渡らないため、栄養素も供給されません。そのため、栄養不足ですぐに身体が疲れてしまいます。

妊婦の症状4.羊水過多症

羊水過多症とは、妊娠後期において通常500mlほどの羊水の量が、800mlを超えてしまう状態を言います。原因はさまざまですが、妊婦が妊娠糖尿病だと胎児も高血糖になり、胎児が頻尿になることで羊水が増えてしまいます。

羊水過多症は前期破水、常位胎盤早期剥離などの原因になり、胎児の早産や臍帯異常、奇形、浮腫、逆子などを引き起こす可能性もあります。

妊婦の症状5.妊娠高血圧症候群

妊婦は、妊娠糖尿病によって血糖値が上がることで、妊娠高血圧症候群を発症する可能性があります。

妊婦の症状6.尿路感染症

糖尿病患者は尿中に細菌が繁殖する可能性が高く、非糖尿病患者に比べて腎盂腎炎(じんうじんえん)を合併する確率が4倍になります。

参考|糖尿病における細菌尿頻度について|名古屋大学医学部分院内科

同じように、妊娠糖尿病の妊婦も尿中に細菌が繁殖しやすいため、尿路感染症にかかる可能性があります。尿路感染症の詳細は以下を参考にしてください。

妊婦の症状7.2型糖尿病への移行

妊娠糖尿病を発症した妊婦の半分は、出産後も血糖値が高いままになり、2型糖尿病に移行する可能性があります。痩せていても、高齢ではなくても、あの糖尿病です……。

妊娠糖尿病による胎児の症状・影響

妊娠糖尿病が胎児に与える影響は大きく、ときには障害や胎児ジストレス、死産など生命のリスクに発展する恐れもあります。

参考|早産・切迫早産:病気を知ろう:日本産科婦人科学会
参考|妊娠糖尿病とはどんな病気か|症状や原因・治療 – gooヘルスケア
参考|1)内科疾患合併妊娠 糖尿病合併妊娠|日本産科婦人科学会※リンク切れ

胎児の症状1.早産・流産の確率が上がる

妊娠糖尿病の妊婦は、妊娠22週までに起こる流産確率が25-30%あると言われています。厚生労働省発表によると、一般的な流産の確率は13-15%程なので流産の確率が2倍になるということです。

もちろん、高齢妊娠ほど妊娠糖尿病を患いやすく、流産確率も上がります。

・24歳以下の流産率は16.7%
・25-29歳の流産率は11.0%
・30-34歳の流産率は10.0%
・35-39歳の流産率は20.7%
・40歳以上の流産率は41.3%
・全体の平均流産率は13.9%

となっており、やはり40歳以上の高齢妊娠における流産の確率は41.3%とかなり高い数字だということがわかります。また全体を均しても13.9%と7-8人に1人が流産を経験する計算です。

胎児の症状2.胎児発育不全が起きる

妊娠糖尿病によって妊婦の血糖値が上がると、胎盤の機能が低下します。すると、胎児に栄養が十分に供給されず発育が遅れる「胎児発育不全(FGR)」になる可能性があります。

胎児の症状3.胎児奇形の確率が上がる

上記同様、胎児発育不全(FGR)によって胎児の身体や機能が上手く形成されないため、先天性の胎児奇形の可能性が高まります。

胎児の症状4.栄養過多で巨大児になる

妊娠糖尿病によって胎児にブドウ糖の供給が増えると、胎児は必要以上に大きく育ってしまい、4000g以上の巨大児になる可能性があります。

巨大児は「児頭骨盤不均衡(じとうこつばんふきんこう)」などが起きやすく、難産になったり、頭血腫、頭蓋内出血など脳の損傷につながる可能性があります。

胎児の症状5.胎児の多血症(たけつしょう)

胎児は、元々酸素を効率良く体内に運ぶために赤血球が多めに存在する多血な状態で、これを多血症と言います。

さらに、胎児の頻尿で体内の水分が少なくなると、血液中の赤血球の割合が増えてより多血な状態になり、血液に粘り気が出て血流が悪化します。

その結果、痙攣や脳梗塞、チアノーゼ、無呼吸、哺乳不良、嘔吐、壊死性腸炎、腎静脈血栓、腎不全などの症状につながる可能性があります。

胎児の症状6.高ビリルビン血症(新生児黄疸)

胎児が病的な多血症になると、通常は肝臓に運ばれて便や尿とともに排泄される血液中の「ビリルビン」の量が増えすぎてしまいます。

ビリルビンは黄色い色素を持っているため、高ビリルビン血症になると肌や粘膜が黄色くなる「新生児黄疸」が見られます。

胎児の症状7.新生児低血糖症

妊娠糖尿病によって胎児にブドウ糖の供給が増えると、胎児は胎児インスリンを多く分泌してバランスを取ろうとします。

ところが、出産後にブドウ糖の供給がストップしても、産まれたばかりの赤ちゃんはしばらく胎児インスリンを分泌し続けるため、インスリン過剰症を起こし、結果として血糖値が下がり過ぎて「低血糖症」を起こす場合があります。

胎児の低血糖が過剰になると、低体温、痙攣、無呼吸、意識低下などを引き起こし、後遺症が残る原因にもなります。

胎児の症状8.低カルシウム血症

低カルシウム血症とは、血液内にある8.5-10.4mg/dlという一般的なカルシウム量を下回っている状態を言います。

胎児の頻尿により、尿から過剰にカルシウムが排泄されることで起こり、手足のしびれ、痙攣、嘔吐、悪心、皮膚の乾燥、湿疹、筋緊張低下、無呼吸、哺乳不良、神経過敏などがみられます。

妊娠糖尿病の治療方法

もし、妊娠糖尿病だと診断された場合は、栄養過多による血糖値の上昇を防ぐために、入院による経過観察と適切な管理下での食事療法が必要になります。また、妊婦の血糖値に合わせた分食などを行います。

一回の食事で食後の血糖値が高くなってしまう場合は、一日三食を分割して、朝食、10時(おやつ)、昼食、15時(おやつ)、夕食、夜食にするなど、総カロリー数は多くなりすぎないようにしながら、少量ずつ食べる工夫(分食)をします。
間食はヨーグルトやフルーツなど、軽食でも大丈夫です。

引用|妊娠と糖尿病 | 糖尿病情報センター

また、食事療法の他に、適宜インスリン投与による治療が行われる場合があります。インスリンには妊娠中に使用できるものとできないものがあります。詳しくは以下を参考にしてください。

参考|妊娠と糖尿病 | 糖尿病情報センター

妊娠糖尿病は予防が大切

糖尿病が怖いと聞いても、おじさん・おばさんや太っている人の病気というイメージを持つ若者も多いため、あまりピンとこないと思います。

ただ、妊娠糖尿病は妊婦なら若い人・痩せている人でも罹患する可能性があり、その影響は母体だけでなく胎児に及ぶため十分に注意しなければいけません。

妊娠糖尿病も妊娠高血圧症候群も、どちらも気付かないうちに悪化し、妊娠中だけでなく出産後の母子の健康にも影響を与えます。

そのため、妊娠糖尿病は予防が大切です。これらの病気の確率を減らすためには、本来は妊娠前から栄養バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレスのない生活を心がけることがもっとも重要です。

たとえば、栄養バランスが良いとされる野菜スープは具材を大きく多めにすれば、腹持ちが良い1食になります。妊娠中は家事も少しずつ制限していくため、レンジでチンするだけなど簡単な食事の方が良いですね。

また、妊娠時に肥満気味な妊婦やスクリーニング検査で引っかかった妊婦は、普段の生活習慣の見直しとともに、妊婦健診での医師との対話を重視して、血糖コントロールを怠らないようにしましょう。

妊娠中の血糖コントロール

出典|妊娠と糖尿病 | 糖尿病情報センター

妊娠高血圧症候群の症状や予防に関しては、以下を参考にしてください。


参考|糖尿病ってどんな病気?│糖尿病サポートネット
参考|Q1. 妊娠糖尿病とは? | 糖尿病と妊娠に関するQ&A | 一般社団法人 日本糖尿病・妊娠学会
参考|糖尿病だと流産しやすいの?糖尿病と流産の関係 | 近江八幡市の整体なら地域NO.1産後の骨盤矯正専門治療院のひろた整体院へ/滋賀県