妊娠中の虫歯や歯周病の原因と予防方法は?早産リスクは本当?

妊娠・出産

妊娠中の虫歯や歯周病の原因と予防方法は?早産リスクは本当?

投稿日:2019年2月19日 更新日:

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妊娠中は虫歯や歯周病になりやすい

母子手帳と一緒にもらえる妊婦健診の受診券(補助券・受診票)は、自治体によって補助額や受けられる検査内容が違います。

妊婦健康診査受診票として14枚、その他の検査用受診票として2-3枚が一般的ですが、検査用受診票に超音波検査の受診票、子宮頸がん検診の受診票ともう1つ歯科健康診査の受診票が含まれる地域は少なくないはずです。

「歯科健診?妊娠とは関係なさそうなのになんで?」と思う人もいるでしょう。

実は、妊婦は虫歯や歯周病になりやすく、妊娠中の虫歯や歯周病を放置することで、出産自体に悪い影響を与える可能性があるためです。

では、妊娠中の虫歯や歯周病による悪い影響とはどのようなもなのでしょうか。

今回は、妊婦が虫歯や歯周病になりやすい原因、虫歯や歯周病による出産への悪い影響とその対策についてお話したいと思います。

妊婦が虫歯や歯周病になりやすい原因

唾液の減少、粘り気

唾液には口内の食べ物のかすを洗い流す、虫歯菌によって酸性になった口内を中性に戻す、口内の病原微生物が体内に入り込まないよう殺菌する、食事のたびに溶け出す歯のミネラル成分を補う(再石灰化)などさまざまな働きがあります。

そのため、歯や歯茎の健康を守るために、適量の唾液が分泌されることはとても重要なのです。

ところが、妊娠中は唾液量が減少したり、唾液が酸性に傾くなどの変化が生じます。唾液が減少すると、口内の食べかすを洗い流すことができません。そうすると、プラーク(歯垢)が溜まって、口の中が酸化し、再石灰化もされないなど、口内環境がどんどん悪化してしまいます。

Mouth&Body PLAZA|SUNSTAR

唾液の8つの働き/唾液が減ると起こる歯や口への影響|おかざき歯科クリニック

吐きつわり

つわりと聞くとまずイメージするのは、常に気持ち悪く、嘔吐を繰り返す症状ですね。つわりの種類は他にも色々ありますが、このような一般的なつわりの症状を「吐きつわり」と言います。

日に何度も吐くと、口の中が酸化して口内環境は悪化し、虫歯や歯周病が発生しやすくなります。そのような中で口内を清潔に保つためには、歯磨きが一番良いのですが、吐きつわりがあると歯磨きさえできないことがあり、さらなる口内環境の悪化につながります。

食べづわり

口内環境を良くするためには、食べる時間を決めて、食事ごとの歯磨き習慣を徹底することが大切です。ところが、「食べつわり」になると、空腹で胃痛や胸やけなどが起こるため、少量のこまめな食事や間食が増えてしまいます。

1日中ずっと食べていると、口内には絶えず食べかすが付着して汚れた状態になります。また、唾液によって口内を中性に戻す間もなく、酸性の状態が続いてしまうため、虫歯や歯周病にかかりやすくなります

逆流性食道炎

胃酸が逆流することで食道が炎症を起こす病気を「逆流性食道炎」と言います。妊娠中期以降は、この逆流性食道炎が起こりやすい時期です。

妊娠してお腹の中で赤ちゃんが大きく育ってくると、お腹の赤ちゃんによって胃が圧迫され、消化物の逆流が起きやすくなります。

前述した通り、胃酸が逆流することで口の中は酸性に傾いてしまい、その結果虫歯や歯周病のリスクが高まってしまいます。

【医師監修】逆流性食道炎とは?妊娠中のつわりとの違いや症状・対策など|マイナビウーマン

歯周病や虫歯による出産への影響

歯科検診によって虫歯や歯周病が見つかった場合、できるだけ早く治療をしてください。虫歯や歯周病の処置をおろそかにすると、そのリスクは自分だけでなく、出産や赤ちゃんに影響が出る可能性もあります。

早産になる可能性がある

American Journal of Obstetrics and Gynecology(196:135,2007)によると、7151人の妊婦を対象とした歯周状態と早産・低出生体重児の関係性の研究において、歯周病がある妊婦は歯周病がない妊婦と比較して、早産・低体重児出産の割合が2.83倍、早産児の割合が2.27倍、低体重児出産の割合が4.03倍多いことがわかっています。

早産・低体重児出産に対する歯周病の危険率

歯周病と妊娠|NPO法人日本臨床歯周病学会

また、1996年出版のJournal of Periodontology(67:1103-1113, 1996)には、アルコールや感染症よりも歯周病の方が早産や低体重児出産をする可能性が圧倒的に高いことが記されています。

妊婦における早期低体重児出産の危険率

歯周病と妊娠|NPO法人日本臨床歯周病学会

歯周病によって早産を引き起こす理由は、子宮の収縮を促したり、炎症を抑える作用のある「プロスタグランジン」という物質が関係しています。

プロスタグランジンは出産が近くなると分泌され、子宮収縮と子宮頸管の熟化を促します。ところが、歯周病になり口内に炎症が広がると、その炎症を抑えるために同じくプロスタグランジンが分泌されてしまいます。

つまり、歯周病を持っていると、まだ正産期に入っていなくても分娩時と同じように子宮の収縮が起こりやすく、結果として早産を引き起こしてしまう可能性があるのです。

妊娠中はなぜ歯周病になりやすいの?|Straumann PARTNERS

赤ちゃんに虫歯がうつる

赤ちゃんの口内にはもともと虫歯菌は存在しません。虫歯のできるきっかけは家族との食器の共有やつばが飛ぶなどの接触感染のためです。

口内に定着する菌はある程度決まっており、1歳7か月-2歳7か月までに虫歯菌の感染が多いと、虫歯になりやすい口内環境ができあがってしまいます。もちろん、赤ちゃんを虫歯菌から隔離することは不可能ですが、感染の機会を少なくしたり、感染時期を遅らせることが重要です。

親子のスキンシップはとても大切ですが、虫歯菌の感染リスクを高めることにもつながります。赤ちゃんに虫歯菌が感染するリスクを抑えるため、なるべく妊娠前・妊娠中に虫歯を治療しておく必要があります。

赤ちゃんの歯が生える時期に母親が注意すべき3つのこと|おかざき歯科クリニック

妊婦が歯科検診に行く時期、治療の注意点

普段から歯の健康に自身がある人も、虫歯や歯周病による出産への影響を軽減するために、つわりの時期を過ぎたらまずは歯科検診に行って、現在の口内環境を把握しましょう。

歯科検診の時期が遅くなると、お腹が大きくなって仰向けの姿勢がつらくなりますし、治療に時間がかかると早産のリスクが増すため、妊娠4か月ごろの受診が良いですね。

もし、歯科検診で虫歯や歯周病が見つかって治療が必要にな場合は、安定期に入った妊娠5か月以降に治療を行います。レントゲンや麻酔などが胎児に影響を与えないか心配になりますが、現在の方法ではどちらも胎児にはほとんど影響がないようです。

妊娠中のレントゲン撮影は、腹部に防護エプロンを着けて行うことから、胎児が被爆する心配はほとんどないとされています。
さらにデジタルレントゲンの場合、フィルムを使うレントゲンに比べ放射線量が約10分の1程度なので、より危険性が低くなります。

(中略)

また歯科用の麻酔は局部麻酔であり、非常に低濃度ですので、通常の使用量で胎児に影響が出ることはないことがほとんどです。

妊婦さんのための歯科検診!実は赤ちゃんの為でもあります。|EPARK歯科

妊娠中の虫歯・歯周病予防

自分でできる虫歯・歯周病予防は、やはりこまめに歯を磨くことです。ただし、つわりがひどいときはあまり無理をせず、体調の良いときにこまめに歯を磨くようにしましょう。

また、口内の乾燥は細菌が繁殖しやすくなるため水分で潤したり、キシリトールガムを噛んで唾液の分泌を促して乾燥対策をしましょう。キシリトールは、虫歯の原因となるプラークや酸を発生させないだけでなく、歯の再石灰化を促進して、虫歯の進行を防ぐ働きがあります。

キシリトールの基礎知識|日本フィンランドむし歯予防研究会

キシリトールガムは、普段スーパーで見かけるものではなく、高濃度キシリトール配合の歯科用ガムを選びましょう。以下は見た目がおなじみのキシリトールガムですが、歯科用で100%のキシリトールが配合されています。

妊娠中は、体重やむくみなどさまざまなことに気を使わなければいけないため、歯の健康にまで気が回らない人もいるかもしれません。

しかし、虫歯や歯周病を放っておくと、大切な赤ちゃんを危険に晒す可能性があります。あなた自身のためにも、赤ちゃんのためにも、まずは歯科検診に行ってお口の状態をチェックしください。


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