白目が黄色…新生児黄疸の原因と症状は?生理的黄疸と病気の見分け方

大きな声で泣く赤ちゃん

この記事の読了時間は約 9 分です。

赤ちゃんの白目が黄色い…

出産後の赤ちゃんは、勢いよく産声をあげて一生懸命肺呼吸をするため、全身に血液がめぐります。赤ちゃんは皮膚が薄いため、全身をめぐる血液が透けて肌が赤っぽい色になります。

普段テレビなどで見ているにもかかわらず、初めて赤ちゃんを見たときは「ほんとに赤いな……。」と驚くはずです。

ところが、そんな赤っぽい赤ちゃんも、生後2日目から赤味が引いて、「ようやく肌色になってきたかな?」と思っていたら、今度は黄色っぽく変わっていきます。

しかも、赤ちゃんの中には、白目が濁って黄色っぽく変化する子もいます。以下はもちろん赤ちゃんではありませんが、このように結膜炎が黄色っぽくなったイメージです。

黄疸が目に出る症状

赤ちゃんが黄色っぽくなる変化は、生後2日から2週間程度の新生児によく起こる「新生児黄疸(しんせいじおうだん)」という症状で、徐々に色も落ち着いていくため、多くの場合は心配する必要はありません。

ただし、時期を外れた新生児黄疸や新生児黄疸の症状が強い場合は、注意しなくてはいけません。

今回は、新生児黄疸の症状と新生児黄疸が悪化する原因、治療法などについてお話したいと思います。

新生児黄疸(しんせいじおうだん)とは

新生児黄疸とは、新生児の全身が黄色味を帯びる症状のことで、この症状は産後間もない新生児の8割以上に見られます。

赤ちゃんに新生児黄疸の症状が見られると、肌だけでなく白目なども薄黄色っぽくなる場合がありますが、多くが一時的な症状であり、生後10日前後には通常の色に戻ります。

このような赤ちゃんの肌や白目が黄色くなる新生児黄疸の症状は、血液中に黄色い色素の「ビリルビン」が過剰に増えることで起こります。

ただし、肌が黄色味を帯びると言っても、そこまではっきり黄色になるわけではありません。とくに、はじめから肌に黄色みがかった黄色人種の黄疸は、白目が黄色くならない限り、パッと見で明確にわかるものではありません。

新生児黄疸は、肝臓などの臓器が未熟な新生児特有の生理現象なのですが、新生児黄疸の一部は病気が原因で黄疸の症状が出ている場合もあるため注意が必要です。

赤ちゃんに新生児黄疸が起こる原因

赤ちゃんに新生児黄疸症状が見られるのは、血液中にビリルビン色素が過剰に増えるためですが、ビリルビン色素が増える原因は以下の通りです。

原因1.肝臓の機能が未熟なため

通常、古くなった赤血球が破壊されると、脂溶性の「間接型ビリルビン」が生成されます。間接型ビリルビンは、肝臓でグルクロン酸と結合して水溶性の「直接型ビリルビン」になることで無毒化しやすくなり、その後胆道を通って胆汁に混ざって腸管に流れ、尿などで排泄されます。

胆道

出典|日本消化器外科学会 – 胆道の病気

ところが、新生児の肝臓は機能が未熟で間接型ビリルビンを処理しきれないため、血液中に間接型ビリルビンの量が増えてしまい、肌が黄色くなる黄疸の症状が出てしまいます。

原因2.赤血球が多いため

新生児は、胎児のころから酸素を効率良く取り入れるために血液が多く流れている多血な状態です。

赤血球の割合も多く、赤血球が血液中に占める血球の体積の割合を示す数値(ヘマトクリット値)は成人で40-45%ほどに対して、新生児の平均値は55-60%ほどとなっています。

このように赤血球の割合が多いと間接型ビリルビンも多く生成され、処理できない間接型ビリルビンの割合が増えることで、黄疸の症状が出てしまいます。

原因3.赤血球の寿命が短いため

大人の赤血球の寿命は約120日ですが、新生児の赤血球の寿命は90日しかありません。

新生児は作られる赤血球が多いうえに、赤血球のライフサイクルが早いため、日々破壊される赤血球の数が多くなります。そのため、間接型ビリルビンの割合が増えて、黄疸の症状が出てしまいます。

新生児黄疸の症状

新生児黄疸の主な症状には、以下のものがあります。

症状1.肌や白目が黄色味を帯びる

赤味を帯びていた赤ちゃんが、生後2-3日で黄色味を帯びていきます。新生児黄疸は顔や身体中心に症状が出ますが、手足の先まで黄色っぽいと全身の黄疸が強いということです。

そのため、顔や身体だけの黄疸症状の場合は大きな心配をする必要はなく、まずは新生児の経過観察を行い、10日前後で消えていくのを観察することになります。

症状2.白っぽい(ベージュ)うんちが出る

ビリルビンが増加し、新生児黄疸の症状が強く出ている赤ちゃんは、白っぽい(ベージュっぽい)うんちをすることがあります。

これはビリルビンをうまく体外に排出できていない「先天性胆道閉鎖症(せんてんせいたんどうへいさしょう)」の恐れがあります。

症状3.発熱

血液中のビリルビンが脳の神経細胞に影響を与えると、赤ちゃんが発熱をする場合があります。

もし新生児黄疸の症状が強く、発熱を伴っている場合は「核黄疸(かくおうだん)」の恐れがあるため注意が必要です。

生理的黄疸と病的黄疸の診断

新生児に見られる黄疸には、いくつかの種類があります。生理的に起こる新生児黄疸(生理的黄疸)であれば心配しなくても良いのですが、一部の新生児黄疸(病的黄疸)は治療が必要になります。

新生児黄疸は、症状が見られる時期、症状の強さ、数値などによって、病的黄疸と生理的黄疸を見分けます。新生児黄疸の診断は以下の流れが一般的です。

診断1.黄疸が現れる時期

新生児黄疸の発症時期によって、生理的黄疸か病的黄疸かを見極めます。新生児黄疸は、発症時期によって以下の3つに分類されます。

発症時期による新生児黄疸の種類
・早発黄疸(生後24時間以内に発症する黄疸)
・生理的黄疸(生後2日以降に発症する黄疸)
・遷延性黄疸(生後2週間以降に発症する黄疸)

診断2.黄疸症状の見た目

新生児黄疸の症状は、一般的に顔から出始め、身体、手足へと広がっていきますが、白目に黄疸が強く出ている場合、また、手足の先や足の裏にまで黄疸が出ている場合はビリルビン値が高いと予測できます。

そのため、ビリルビン値の正確な把握が必要です。

診断3.出生体重によるビリルビン値

ビリルビン値の計測方法はいくつかありますが、計測後に新生児黄疸の治療が必要かどうかは、ビリルビン値によって判断されます。

基準として、成熟児(出生体重が2500g以上)の場合はビリルビン値が12mg/dl以上、未熟児の場合はビリルビン値が15mg/dl以上であれば、病的黄疸や新生児黄疸による後遺症などの影響を疑います。

ビリルビンの基準値は以下を参考にしてください。

時期による新生児黄疸の種類と原因になる病気

前述した通り、新生児黄疸は発症時期で種類が分かれ、その時期の違いによってさまざまな病気を疑うことができます。

黄疸の種類1.早発黄疸(そうはつおうだん)

出産時、または生後24時間以内に見られる早発黄疸の場合、母児間血液型不適合、敗血症などによって「新生児溶血性黄疸(しんせいじようけつせいおうだん)」が起こっている可能性があります。

母児間血液型不適合とは、妊娠中に母体と胎児の血液に不適合が起こることで、母体が胎児の赤血球に対して抗体を作って赤血球を壊すことで、大量のビリルビンが発生してしまいます。

黄疸の種類2.生理的黄疸(せいりてきおうだん)

生理的黄疸とは、生後2日から生後10日前後に見られる新生児の生理的な身体の特徴による一般的な新生児黄疸のことです。ほとんどの黄疸が生理的黄疸のため、この時期のビリルビン値が高くなければ心配する必要はありません。

黄疸の種類3.遷延性黄疸(せんえんせいおうだん)

遷延性黄疸とは、生後2週間以降に見られる黄疸症状のことで、「母乳性黄疸(ぼにゅうせいおうだん)」や「閉塞性黄疸(へいそくせいおうだん)」の可能性があります。

母乳性黄疸は2種類あり、1つは母乳量の不足で排便回数が少なくなり、ビリルビンの排泄が充分でないため起こります。この黄疸は生後数日から見られ、新生児の哺乳量が増えれば黄疸は自然に消えます。

もう1つの母乳性黄疸は、母乳に含まれる脂肪酸がビリルビンを水溶性に変える酵素の働きを弱めるため起こります。こちらの母乳性黄疸は、生後2週間-生後1か月以上が続くこともありますが、肝臓の機能が成熟してくると黄疸はなくなります。

母乳栄養児と人工栄養児の黄疸の自然経過

出典|新生児黄疸への対応|日本産科婦人科学会

閉塞性黄疸の原因は、「先天性胆道閉鎖症」が考えられます。先天性胆道閉鎖症とは、先天的な胆道の閉塞によって直接型ビリルビンが血液中に逆流することで起こります。

とくに、白っぽい(ベージュ)うんちが出る場合、白目の黄染が強い場合は、胆汁が排泄されていないことが考えられ、先天性胆道閉鎖症を疑う必要があります。

胆道閉鎖症は、肝硬変や肝不全などを起こして、死亡する可能性もある怖い病気のため、すぐに閉塞を解消する手術が必要です。胆道閉鎖症の詳細は以下を参考にしてください。

参考|難病情報センター | 胆道閉鎖症(指定難病296)

新生児黄疸による核黄疸と脳性麻痺の後遺症

新生児黄疸でもっとも怖いのは、「核黄疸(かくおうだん)」が起こり、その後に後遺症が残ってしまうことです。

核黄疸とは、肝臓で処理ができない間接型ビリルビンが大量に発生して、間接型ビリルビンが脳の大脳基底核(とくに視床下核、淡蒼球、アンモン角)を中心に蓄積されて起こる病気のことです。

このときのビリルビン値は25mg/dl以上あると言われています。

核黄疸は、間接型ビリルビンが脳の神経細胞を破壊することで脳性麻痺や死亡の原因になり、出生体重が少ない赤ちゃん、在胎週数が短い赤ちゃんほどその傾向が高くなります。

核黄疸は仮死、未熟児と並んで脳性麻痺が起こる3大原因の1つとして挙げられているため、ビリルビン値が高いとわかった場合は早急な治療を必要とします。

ビリルビン値を下げる治療方法

ほとんどの新生児黄疸は、徐々に肝臓の働きによってビリルビン値が減少する生理的黄疸のため、経過観察をすることが多いでしょう。

もし、ビリルビン値が高い場合は病的黄疸を疑い、それぞれの治療をするとともにビリルビン値の上昇を防ぐことで、核黄疸の発生を防止しなければいけません。

治療法1.光線療法

光線療法とは、ビリルビン値が高い赤ちゃんを保育器の中に入れ、身体に光線をあてることでビリルビンを水溶性に変えて、体外に排出しやすくする治療法のことです。

光線療法後にビリルビン値を計測し、その結果によっては再度の光線療法を行いますが、それでもビリルビン値が下がらない場合は、交換輸血療法などが行われます。

治療法2.交換輸血療法

赤ちゃんのビリルビン値が高い場合や、光線療法によってビリルビン値が下がらない場合は、血液を交換してビリルビン値を下げる交換輸血療法が行われます。

交換輸血療法は、とくに病的黄疸の症状が重い場合に、核黄疸を防ぐ目的でも行われる処置です。

治療法3.閉塞部切除または肝臓移植

赤ちゃんが閉塞性黄疸の場合は、先天性胆道閉鎖症など閉塞の治療を行わなければいけません。

先天性胆道閉鎖症は、生後60日以内に手術をしないと黄疸は消えず、肝硬変に発展する可能性があります。そのため、すぐに手術を行い閉塞部分の切除術を行います。

もし、閉塞切除手術を行っても胆汁が排出されない場合は、肝臓移植手術が必要になる場合もあります。

退院後に新生児黄疸が出た場合

新生児黄疸は黄疸症状の強弱があり、症状が強い場合は病的黄疸の可能性を考慮したり、核黄疸に発展することを懸念しなければいけません。

新生児黄疸を起こすビリルビン値の計測は、新生児にとって脳性麻痺を予防するための重要なファクターであるため、母子の退院までは医師によって経過観察・管理がされています。

ただし、退院後に黄疸症状が出たり、黄疸症状が生後1か月でも治まらない場合は、必ず医師に相談するようにしてください。

また、新生児期に行う外気浴の際に、日光を浴びることで光線療法と同じ効果を期待することもできます。日光浴をする場合は足下を中心に行い、赤ちゃんに強い直射日光を当てないように注意してください。

もし黄疸が心配であれば、入院中にビリルビンの減少状況や赤ちゃんの経過観察方法などのアドバイスを医師から受け、自宅でも黄疸の状態を観察するようにしましょう。


参考|総ビリルビン – 血液検査の意味 l 肝機能の数値・肝臓の数値を調べる肝機能ナビ
参考|胆道閉鎖症 — 日本小児外科学会
参考|黄疸について | 医教コミュニティ つぼみクラブ
参考|新生児黄疸 – 23. 小児の健康上の問題 – MSDマニュアル家庭版
参考|在胎35週以上で生まれた母乳で育っている乳児における黄疸管理についてのガイドライン2010年|ABM臨床指針第22号