妊娠・出産

陣痛が起こる仕組みは?痛みや時間など本陣痛と前駆陣痛の違い

投稿日:2018年12月20日 更新日:

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もうすぐ陣痛が起こるとしたら…

一度出産を経験した女性、または現在出産準備に入った女性であれば、陣痛に「前駆陣痛(ぜんくじんつう)」と「本陣痛(ほんじんつう)」があることは知っていますね。

一般的に、「おしるし」「破水」「陣痛」が出産の兆候と言われますが、中でも陣痛は前駆陣痛を含めると分娩の3-5週間前から始まるため、心の準備がしやすい出産の兆候だと言えるかもしれません。

臨月に入って出産準備が整った妊婦の子宮は、お腹の中の赤ちゃんを押し出すために収縮運動を始めます。ドラマなどでもお腹を押さえながらうずくまって、「うっ!じ……陣痛来た……か……も……。」というシーンでよく見る通り、子宮が収縮しだすと痛いことが多いんです。

ただ、これは陣痛の中でも本陣痛と呼ばれる方で、本陣痛が始まると本格的な分娩に突入します。そして、本陣痛が始まる目安として、「子宮収縮の間隔が10分以内になったら」という基準があります。これも出産を経験している人なら知っているお話ですね。

では、前駆陣痛と本陣痛にはどのような違いがあり、どう見分ければ良いのでしょうか。また、なぜ陣痛は起こるのでしょうか。

そこで今回は、痛みや時間の間隔など本陣痛と前駆陣痛の違い、陣痛が起こる仕組みについてお話したいと思います。

前駆陣痛(ぜんくじんつう)とは

前駆陣痛とは、一般的に妊娠36-40週ごろに起こる不規則な子宮収縮のこと、または子宮収縮に伴う痛みのことで、分娩には繋がらない陣痛のため「偽陣痛(ぎじんつう)」とも呼ばれます。

前駆陣痛の時間の間隔

前駆陣痛が起きる時期は個人差がありますが、初めはギュッと締め付けられるお腹の痛みで気付く人が多いようです。この前駆陣痛の痛みや違和感は、しばらくすると治まります。

前駆陣痛が起こる間隔は1時間に1-2回が目安ですが、間隔が不規則なため、何度か繰り返し起きなければ前駆陣痛が始まったことに気付かない人もいるでしょう。

通常は、痛みの間隔が短くならない、痛みが強くならないようであれば前駆陣痛だと推測できます。ただし、前駆陣痛でも痛みの間隔が10分以内で起こることもあるため、勘違いしないよう注意が必要です。

前駆陣痛の痛み

前駆陣痛の痛みの感じ方も人それぞれです。よく「生理痛のような鈍痛」と言いますが、前駆陣痛で強い痛みを感じる人もいれば、少しお腹が張るくらいで痛みをあまり感じない人もいます。また、お腹よりも腰に痛みを感じる人もいます。

前駆陣痛の痛みも強くなったり弱くなったり不規則なため、初めての出産に臨む妊婦だと区別が難しいかもしれません。

本陣痛(ほんじんつう)とは

本陣痛とは、一般的に妊娠37-41週ごろに起こる規則的な子宮収縮のこと、または子宮収縮に伴う痛みのことで、経腟分娩を促す陣痛のため「分娩陣痛」とも呼ばれます。

本陣痛の時間の間隔

本陣痛はある程度規則正しい間隔で起こり、徐々にその間隔が短くなっていきます。多くの産院では、陣痛の間隔が10分以内、または1時間で6回以上起こったら病院に来るように指示をします。

そのため、病院に行くタイミングを逃さないよう、規則正しい陣痛の間隔が30分ほどになったら陣痛カウントを始めましょう。陣痛カウントの計測のやり方は、胎動カウントと同じです。

本陣痛は一度始まると、分娩を終えるまで継続します。そして、分娩の間は徐々に陣痛の間隔が短くなり、継続時間も長くなります。胎児が娩出される分娩第二期には、2分前後の周期で陣痛が起こり、1分以上痛みが続く状態になります。

本陣痛の痛み

本陣痛が痛いと聞くと、どれくらい痛いのか気になりますね。たしかに、3kgもある赤ちゃんを子宮の収縮運動だけで押し出そうとするため、痛いに決まっている…………とは一概に言えません。

こちらも前駆陣痛と同じく、痛みの強さには個人差があります。一般的には前駆陣痛よりも本陣痛の方が痛みは強いのですが、まれに前駆陣痛の方が痛かったり、前駆陣痛も本陣痛もあまり痛みを感じないという人もいるようです。

ちなみに、お腹を締め付けるような本陣痛の痛みと胎児の頭部で骨盤がグリグリ押される痛みは別物です。痛みの表現は様々なので、検索してみるといろいろ見つかります(怖い人にはおすすめはしませんが)。

また、初産婦、経産婦で陣痛の痛みの強さに違いはありません。ただし、初産婦は経産婦に比べて分娩時間が長い傾向があるだけでなく、初めての出産の緊張感で身体がこわばるため、痛みを強く感じる傾向があります。

陣痛が起こる仕組み

陣痛が起こる仕組みは動物の種類による差が大きく、人についてはまだ明確にはなっていません。ただ、以下のホルモンが複合的に絡むことで起こるとされています。

2)子宮収縮の生理と病理|日産婦誌63巻12号

ペリネイタルケア8|分娩誘発陣痛促進のタイミングとリスク管理|メディカ出版

早産と黄体ホルモン|内分泌に関する最新情報|山口内分泌疾患研究振興財団

プロゲステロン消退

妊娠中に大量に分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)は、免疫抑制やサイトカイン産生抑制によって子宮収縮を制御する効果があり、早産予防に役立っています。

出産が近づくとプロゲステロンの濃度は変わらないものの、プロゲステロン受容体の機能が低下してプロゲステロンの作用が弱まることで、陣痛が起こります。

妊娠中に分泌されるホルモン

4.4.3.12: 妊娠の継続|一歩一歩学ぶ生命科学|日本生理学会

オキシトシン

臨月に入ると副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)の分泌が増えます。CRHが脳の視床下部を刺激すると、下垂体後葉から大量のオキシトシン分泌されます。

オキシトシンは子宮を収縮させる作用があるため、陣痛発来の要因になります。このときオキシトシンは胎盤や卵膜脱落膜からも直接産生され、子宮収縮をより促します。

プロスタグランジン

プロスタグランジンは、生理痛の原因にもなる物質のことで、強い子宮収縮を促し、子宮の痛覚を過敏にする作用があります。

帝王切開の症例よりも経腟分娩の症例の方がプロスタグランジンが検出されるため、陣痛発来の原因の1つ、まはた陣痛発来後に陣痛を強くする原因だと言われています。

胎児下垂体一副腎皮質賦活

副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)は胎児の脳下垂体も刺激し、副腎皮質ホルモンを大量に分泌させます。

副腎皮質ホルモンは胎盤でエストロゲン(卵胞ホルモン)に変わり、母体内のエストロゲン濃度が上がると、プロゲステロン濃度が相対的に低下して陣痛が起こります。

前駆陣痛と本陣痛の見分け方

前駆陣痛と本陣痛は、前述した通り「陣痛の間隔」と「痛みの強」さによって見分けます。ただし、個人差があるため、複合的な要素で判断するしかありません。

見分け方1.陣痛の間隔と痛みの強さ

前駆陣痛は陣痛の間隔が不規則ですが、本陣痛は陣痛の間隔が規則的です。また、前駆陣痛に比べて分娩第一期の本陣痛の1回の継続時間は長く、目安は60-90秒ほどです。

陣痛の痛みの感じ方も個人差がありますが、前駆陣痛は我慢して行動ができる程度の痛みに対して、本陣痛の痛みは前駆陣痛に比べて強く、時間が経つにつれて立って歩けないほどの痛みになる場合があります。

見分け方2.出産の兆候

前駆陣痛は出産の兆候の1つですが、本陣痛が起きる前後にはさらにはっきりとした出産の兆候が身体に現れます。

1.おしるし

おしるし(産徴)とは、おりものに血が混じった粘液性の分泌物を言います。おりものに交じる血は卵膜がはがれた際の出血で、出血量には個人差があるため、黄土色、ピンク掛かった色、赤褐色、鮮血まで様々な色をしています。

2.破水

破水とは、胎児を包んでいる卵膜(羊膜)の一部が破れて、子宮内の羊水が流れ出ることを言います。

通常は、本陣痛が始まってから子宮口が全開大になる過程で破水をする(適時破水)ため、破水が出産の兆候とは言えません。ところが、陣痛が始まる前に破水する(前期破水)こともあり、その場合は出産の兆候と捉えられます。

3.その他

本陣痛の前後にはおしるしや破水が見られますが、それ以外にも臨月以降に見られる症状はたくさんあります。それらを複合的に見て、現在起きている陣痛が前駆陣痛と本陣痛のどちになるか予測してください。

臨月に見られる妊婦の症状
・お腹の張りが強くなる
・食欲が増す
・恥骨痛・腰痛が辛い
・おりものが増える
・頻尿
など

本陣痛が来たらどうする?

では、もし実際に「あれ?これって本陣痛?」と思うような陣痛が来た場合、または前駆陣痛と本陣痛の区別がつかない痛みが続く場合は、どのような対応をすれば良いのでしょうか。

無理のない範囲で食事・水分補給

分娩にかかる時間は、初産婦で14-15時間程度、経産婦だと6-7時間程度です。長い場合は30時間以上かかることもあります。

初産婦の分娩にかかる時間
分娩第1期|10-12時間
分娩第2期|1-2時間
分娩第3期|15-30分

経産婦の分娩にかかる時間
分娩第1期|5-6時間
分娩第2期|30分-1時間
分娩第3期|10-20分

出産は長丁場で体力を消耗するため、早めに食べられる物を食べておきましょう。本陣痛が始まると、頭痛・腹痛・腰痛・吐き気を感じる人もいます。分娩中の嘔吐が心配な人は、消化の良いものを少量ずつ食べましょう。もちろん、水分補給もしてください。

シャワーを浴びる

病院によって対応は異なりますが、産後はすぐに身体が洗えるわけではなく、2-3日我慢しなければいけない場合もあります。

そのため、本陣痛が始まっても動ける場合は、サッと汗を流しておくと良いでしょう。そのように指導する病院もあります。ただし、陣痛よりも先に破水(前期破水)した場合は、感染の可能性があるため、シャワーは控えた方が良いでしょう。

家族への連絡

正産期(妊娠37週以降)に入ったらいつ陣痛が起きてもおかしくありません。車で病院への送迎を頼んだり、子供の面倒を見てもらうなど、いざ陣痛が来た場合の対応は、事前に家族で共有しておかなければいけません。

家族に付き添いをお願いできない場合、陣痛タクシーを使う場合でも、家族への連絡は忘れないようにしましょう。

病院への連絡の目安

子宮頸管の状態にもよりますが、初産婦は陣痛の間隔が10分を目安に、病院に連絡してから向かいます。経産婦は陣痛の間隔が15分になったら向かいます。心配な場合は健診時などに病院に行くタイミングを確認してください。

もし前期破水した場合は、その時点ですぐに病院に連絡する必要があります。まだ陣痛が来る気配が無くても、病院に行き診察を受けましょう。

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