産休と育休の違いや取得条件・日数は?休暇中の給料はどうなる?

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2018年7月に加筆修正しています。

わたしが取るのは産休?育休?

待望の妊娠が発覚して、流産リスクが減る安定期(妊娠14-16週を過ぎるころ)に入ると、ようやく少しホッとできます。

働く女性にとっては身体も心も少し落ち着いたので、出産や出産後に備えて色々と準備を整えなければいけませんし、家庭環境を踏まえて今後の仕事や身の振り方も考えなければいけません。

もし働く女性が「出産後も働きたい!」と思ったら、会社にその意志を伝えて出産に備えた休暇申請もしなければいけません。

その際に、「えーっと、産休だっけ?育休だっけ?ま、どっちでも良いか。」という認識ではいけません。

産休と育休は全く違うものです。子育てと仕事を両立したい女性であれば、産休も育休も上手に取得して、今後の人生のためにしっかりと活用しましょう。

今回は、産休と育休の条件などの違い、休暇中の給料や手当はどうなるかについてお話したいと思います。

産休(産前産後休業)とは

産休とは、働く女性が出産のために取得できる労働基準法で定められた休暇制度のことで、出産前と出産後で合計14週間(98日間)会社を休むことができます。

産休の正式名称は「産前産後休業」と言い、出産前の休暇を「産前休業」、出産後の休暇を「産後休業」と言います。

産前休業(さんぜんきゅうぎょう)とは

産前休業とは、妊婦が出産の準備のために、出産予定日(出産当日含む)の6週間(42日)取得できる休暇のことです。もし、多胎妊娠(双子以上)の場合、産前休業は14週間(98日間)取得できます。

産後休業(さんごきゅうぎょう)とは

産後休業とは、出産後の妊婦の体調を回復をするために、出産予定日ではなく出産日の翌日から8週間(56日)取得できる休暇のことです。

ちなみに、産前産後休業の申請にかかわらず、出産した女性は出産後8週間は労働をしてはいけませんし、会社側も女性が望んでも働かせてはいけません(労働基準法第65条)。つまり、産後休業の取得は労働者・雇用者の義務です。

出産後の体調が良く、出産した女性自身が早期に働くことを希望する場合、医師の承諾を得られれば産後休業を6週間に短縮することも可能です。

産休の取得条件

産休を取得する条件は特にありません。産休は、正社員、パート、アルバイトなどの働き方は関係なく、すべての働く女性に与えられた権利です。

そのため、働く女性から産休取得申請があった場合は、会社が断ったり、希望通りの日数を取れなかったり、産休を取得したために不利益な扱いがあった場合は法律違反になります。

産休切り・育休切りとは?解雇や退職の強要の対応と相談方法

産休の取得日数に関して

産休は、出産前に出産予定日を基に休暇期間を申請しますが、出産日がズレることはよくあることです。というよりも、出産予定日通りに赤ちゃんが産まれる確率は5-6%程度しかありません。

平均何日ずれる?赤ちゃんが出産予定日通り生まれる・遅れる確率

場合によっては出産日が数週間ズレることもありますが、その場合、産前休業と産後休業の日数はどう考えれば良いのでしょうか。

出産予定日より出産日が遅れた場合

出産日が出産予定日よりも遅れてしまった場合

たとえば上図の様に、出産日が出産予定日より3日間遅れた場合は、遅れた3日間が産前休業の42日に加算されます。その結果、産前休業は45日になります。

産前休業日数が増えても、産後休業の日数が減ることはありません。この場合の産休日数は、最大で「産前休業45日+産後休業56日=101日」になります。

出産予定日より出産日が早まった場合

出産日が出産予定日より早まった場合

逆に、出産日が出産予定日より3日間早まった場合は、早まった3日間が産前休業の42日から減産されます。その結果、産前休業が39日になります。

産前休業日数が減っても、産後休業の日数が増えることはありません。この場合の産休日数は、最大で「産前休業39日+産後休業56日=95日」になります。

育休(育児休業)とは

育休とは、働く女性または男性が、出産後の子供を養育するために取得できる育児・介護休業法で定められた休暇制度のことです。育休を取得できる期間は、基本的に子供が1歳の誕生日の前日までです。よく、育児休暇と言い間違えますが、正しくは育児休業です。

育休の期間

育休の取得イメージは上図の通りで、一般的には、8週間(または6週間)の産後休業が終わった翌日から育児休業に移行します。ただし、男性の育休を絡めることで、女性の産休と育休が連続しない育休取得パターンを作ることも可能です。

育休取得の条件

育休を取得する第一条件は、正社員として雇用されていることです。ただし、期間の定めのある雇用形態(契約社員・パートなど)でも、下記の条件に該当すれば育休を取得できます。

育休取得の条件
・雇用保険料を支払っていること
・同一の事業主に継続して1年以上の雇用があること
・子が1歳6か月を迎える日以降も継続して雇用が見込まれること(契約更新されないことが明らかでないこと)

「1年以上の雇用」は、勤務実態に即して雇用が継続していれば問題ありません。「子が1歳6か月を迎える日以降も~~」とは、期間中に明確に契約を更新しない旨の書類がある場合は該当しません。

また、会社側は労使協定を結んでいる場合に限り、以下の条件に合致する人を雇用形態関係なく育児休業の対象外にできます。

育児休業の対象外
・入社1年未満の人
・育児休業申出から1年以内に雇用関係が終了する人
・1週間の所定労働日数が2日以下の人

育休の取得日数に関して

育休は、子供を養育するために取得できる休暇のため、女性だけでなく男性も取得できます。ただし、男性と女性では休暇日数の条件が異なります。

女性の育休取得期間

育休は、産後休業終了日の翌日から子供の1歳の誕生日の前日まで取得できます。つまり、「365日-1日-56日=308日」で最大308日になります。

ただし、次のいずれかの事情がある場合は、事業主に申し出ることで、子供が1歳から1歳6か月になる前日まで育休を延長できます。

子供が1歳から1歳6か月までの育休延長条件
・子供が1歳になる前日に労働者本人、または配偶者が育休を取得している場合
・子供の保育所の入所申込みをしているが入所できない場合
・子供の養育者(配偶者など)が、やむを得ない事情で養育が困難となった場合

子供が1歳6か月を迎えるに際して、さらに育休を延長したい場合は、以下の条件に該当することで、子供が1歳6か月から2歳になる前日まで育休を延長できます。

子供が1歳6か月から2歳までの育休延長条件
・子供が1歳6か月になる前日に労働者本人、または配偶者が育休を取得している場合
・子供の保育所の入所申込みをしているが入所できない場合
・子供の養育者(配偶者など)が、やむを得ない事情で養育が困難となった場合
・子供が2歳になる日以降も継続して雇用が見込まれる場合(契約更新されないことが明らかでない場合)

子供が1歳6か月から2歳になる前日まで育休の延長を希望する場合、期間の定めのある雇用形態(契約社員・パートなど)の人は、子供が2歳以降も雇用見込みがなければいけません。育休の延長の詳細は以下を参考にしてください。

育休延長の3つの手続きとは?給付金の延長条件・申請方法は?

男性の育休取得期間

育休は子供の養育を目的とするため男性も取得できますが、男性の育休は女性とは期間や条件が少し異なります。

女性が「産後休業終了日の翌日から子供が1歳になる前日まで」が基本的な育休期間であることに対して、男性は「出産予定日翌日から1年間(子供が1歳になる前日)まで」が基本的な育休期間になります。

出産予定日より出産日が早まった場合

もし赤ちゃんが出産予定日より早く生まれた場合は、育休開始日の繰り上げ申請を行います。ただし、会社は育休申請日から1週間以内に育休開始の許可を出す決まりがあるため、育休開始日が出産の1週間後になる可能性があります。

出産予定日より出産日が遅れた場合

赤ちゃんが出産予定日より遅く生まれた場合、育休開始日の繰り下げ申請の必要はないため、就業規則に定めがない限り、出産予定日から育休に入ります。

参考|育児休暇と有給使用について – 『日本の人事部』

夫婦の育休取得期間

夫婦両方が育休を取得する場合は、1歳までの育休が1歳2か月まで延長される「パパママ育休プラス」という制度を利用できます。詳細は以下を参考にしてください。

パパママ育休プラスとは?条件や給付金は?延長・再取得の具体例

パパママ育休プラスを使うことで、「子供が1歳になる前日までママが育休を取り、パパが子供の1歳-1歳2か月まで育休を取る」、「夫婦が同時に育休を取る」、「パパが期間内で2回に分けて育休を取る」など、夫婦でさまざまなパターンの育休取得が可能になります。

産休と育休で支給される手当

前述した通り、産休は産前産後でおよそ98日間(14週間≒3か月ちょい)、育休は最大で309日間(10か月ちょい)、さらに育休延長(2歳まで)によって、出産・育児に関する休業は最大770日以上になります。

「それだけ長く会社を休むなら、相当蓄えが必要……。産休・育休期間は出費を押さえて、耐えるしかないかな……。」というわけではなく、ありがたいことに、産休・育休も取得日数に応じて一定の手当が支給されます。

産休取得日数に応じた手当のことを「出産手当金」と言い、育休取得日数に応じた手当のことを「育児休業給付金」と言います。

出産手当金と育児休業給付金の支給額の目安は、どちらも普段もらっている給料の50-67%ほど(最終手取りは80%ほど)です。それぞれの支給条件や金額については、以下を参考にしてください。

産休でもらえる出産手当の金額は?計算方法や支給日、申請方法

これで完璧!育児休業給付金の申請手続方法・支給日と金額計算例

産休・育休を取得したいけど…

産休と育休は、労働者に与えられた権利です。条件に当てはまる労働者が権利を行使するのは、どんな会社でも認められるべきです。条件が合えば「わたしパート(アルバイト)だし……。」という女性も取得できます。

いまだに産休・育休を渋る会社もありますが、法律で決められていることなので、初めから女性の出産を考慮した経営をすべきですし、そのバックアップは国が行うべきものだと思います。

とくに育休は、仕事環境によって取得しづらかったり、会社が推奨していても人間関係でデメリットを被る場合もあります。そのため、自分の環境とメリット・デメリットを比較して、休暇期間は真剣に考えましょう。

女性の育休取得メリット
1.妊娠・出産で疲れた身体が休まる
2.赤ちゃん優先の育児ができる
3.体型を戻す猶予ができる
4.職場復帰が約束されている

女性の育休取得デメリット
1.育休中の収入が減る
2.仕事上の立場が悪くなる
3.昇進や目標に影響が出る

女性の育児休業取得率と推移は?育休のメリットデメリット

男性が育休取得するハードルは?

さて、問題は男性の育休です。男性も最長1年間育休が取得できるわけですが、このご時世なら目一杯取得しても問題ない…………わけがないです(^_^;)

男性の育休取得率は平成27年度で2.65%しかなうえに、育休取得日数は5日未満が56.9%と半数以上を占めています。パパママ育休プラスの活用も難しい状況です。

男性の育休取得率や平均日数は?育休メリットと取得すべき理由

もちろん、男性の育休も労働者の権利のため、会社に申請すれば取得はできます。ところが、実際には「パタニティハラスメント」を経験した男性は、10%以上も存在します。

パタニティハラスメントとは?男性の育休・時短勤務が妨げられた割合

もしかしたら、会社が男性の育休に積極的で、同僚にも理解され、過去に育休実績もあり、育休を取得しても仕事に影響が出にくく、復帰後の環境も整っている……という狭き門をくぐり抜けなければ、男性が長期の育休を取得するのは抵抗があるのかもしれません。

もちろん、そんな恵まれた環境の男性は一握りだけです。「権利を行使したため仕事に穴を開けて、会社が傾きました。」では元も子もないので、現時点で男性が長期の育休を申請できるかは、職場環境によるかもしれません……。

個人的には、2か月ほどパパと育児ができれば、子育ての方針など気持ちが合わせられますし、パパも基本的な育児を覚えられるため、なんとか2か月を目標に育休を取得してもらえると良いかなと思います。

なかなか難しいですけどね……。


参考|Ⅱ 育児休業制度 Ⅱ-1 育児休業の対象となる労働者|厚生労働省
参考|あなたも取れる!産休&育休|厚生労働省