夫婦喧嘩が子供の脳萎縮や成長阻害に…将来に与える影響とは

投稿日:2019年3月30日 更新日:

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子供は夫婦喧嘩でストレスを受ける

近年、子供に対する虐待のニュースを頻繁に見かけます。そのニュースを見て、胸を痛めている人は多いでしょう。同じ親の立場として憤りを感じ、ときにはよりわが子の可愛さを実感しているかもしれません。

「うちは子供に愛情を持って接しているし、子供を怒鳴りつけたり、叩いて言うことを聞かせることもしていない。」

このように自信を持って言える家庭は多いと思いますが、子供は自分が直接的に受ける虐待以外でも強い影響を受けることを知っていますか。

人が陰口を叩いているのを聞いたり、いじめを受けている現場を見て嫌な気分になったことはあると思います。それが、自分にとって大切な人、好きな人だとなおさら大きなストレスになります。

同じように、家庭内で起こる夫婦喧嘩を見る子供は大きなストレスを受けています。自分にとって大切な人たちが、怒鳴り合ったり、無視し合ったり、ときには暴力を受けている現場を見せられることはとても辛いものです。

では、夫婦喧嘩によって子供はどのような影響を受けるのでしょうか。

今回は、夫婦喧嘩が子供に与える影響についてお話したいと思います。

夫婦喧嘩が子供に与える影響

感情をコントロールできない

子供がストレスにさらされると、すぐにキレてしまうなど感情コントロールがうまくできなくなる恐れがあります。

感情をコントロールするのは、脳の「前頭前皮質」です。そして、前頭前皮質の発達には脳下垂体から分泌されるオキシトシンが欠かせません。そして、オキシトシンが分泌されるためには、触れ合いなどの愛情を感じる必要があります。

つまり、毎日夫婦喧嘩をする様子を見せられて、愛情よりも恐怖を感じる度合いが多い子供は、怒りやイライラの感情をコントロールができずに育つかもしれません。

「脳が怒りを生み出すメカニズム」脳科学者・中野信子さん | cafeglobe

眠れない・眠りが浅い

心理的なストレスは、交感神経の働きを活発にして、副交感神経の働きを抑制します。交感神経が活発になると、以下のイラストのように睡眠を妨害します。

交感神経と副交感神経の役割

自律神経の基礎知識 【交感神経と副交感神経】|花王ヘルスケアナビ

子供にとって睡眠はとても大切なものです。十分な睡眠をとることができなければ、脳の成長を阻害し、子供の将来に影響を与える恐れがあります。

常に不安な状態になる

脳が正常に機能している場合、情報の流れは感情や衝動を抑制している前頭前野に送られて、正しい判断をしようとします。

ところが、ストレスを受けると前頭前野の支配力が弱まり、感情的な判断を必要としない視床下部などに情報が送られるため、常に不安を感じるようになります。

ストレスと脳 | 生物学科 | 東邦大学

学力が低下する

子供が過剰なストレスを受けると、副腎皮質ホルモンの「コルチゾール」が大量に分泌されます。そして、コルチゾールは、脳の海馬を萎縮させることがわかっています。

脳の形成に貧困やストレスが影響、記憶力を阻害|WIRED.jp

Childhood poverty, chronic stress, and adult working memory | PNAS

海馬は大脳辺縁系の一部で、脳の記憶や空間学習能力に関わる器官のため、海馬の発達が阻害されたり、萎縮してしまうと、記憶力の低下を招きます。

自己肯定できない・自信がない

ストレスを受けると前頭前野の支配力が弱まって、常に不安を感じるようになります。常に不安定な状態になるため、自信が持てない精神状態になってしまいます。

自信が持てなければ、自己肯定もできません。自己肯定ができなければ、ストレスを解消することもできません。

他者の感情が理解できない

他者の感情が理解できないというのは、想像力が欠如しているためです。想像力を司る前頭前野は、生後6-8か月ごろから活動を始め、成人まで成長を続けます。

つまり、その間に前頭前野の成長が阻害されると、想像力が欠如する恐れがあり、他者の感情が理解できなくなる可能性があります。

ひどい夫婦喧嘩は子供の虐待と同じ

たとえ子供に暴力を振るったり、暴言を浴びせなくても、身近な人同士が相手の人格まで否定するような暴言を浴びせている様子を子供に見せ続けることは、児童虐待の「心理的虐待」にあたります。

加害者による言葉の暴力を受けたり、身近な人に対する暴力を見ることで、 側頭葉の上側頭回、横側頭回にある聴覚野が萎縮してしまいます。

聴覚野は、音などの聴覚情報、言語情報の処理を担う領域のため、聴覚野が萎縮した子供は聴覚や言語の発達に障害が起こる可能性があります。

児童虐待が原因で起こる脳萎縮の症状と子供の成長への影響

つまり、子供に夫婦喧嘩を見せることは、子供の脳にストレスを与えて脳を萎縮させ、子供の成長や将来にまで影響を及ぼす可能性があるということです。

夫婦喧嘩が絶対にダメなわけではない

夫婦喧嘩が子供の脳や成長に大きな影響を与えることはわかりましたが、子供に夫婦喧嘩をまったく見せないことは可能なのでしょうか。

夫婦喧嘩は、ただ我慢だけすれば良いわけではありません。ある程度不満をぶつけ合って、お互いに修正することで、より絆を強くしていかなければいけません。

また、脳は適度なストレスを受けることで耐性が付きますが、このストレス耐性もこれから他者と関わることが増える子供の将来にとっては必要なものです。

そのため、単純に子供の目の前で夫婦喧嘩をすることがいけないとは言えません。

ただ、相手の人格を否定したり、暴力を振るったり、無視し合う夫婦喧嘩をすると、子供は居場所をなくしてしまいますし、家庭内で恐怖を感じて過ごすことになり、脳に必要以上のストレスを受けることになります。

そのため、夫婦がお互いに相手に不満をぶつけても、最終的に納得して仲直りをした姿を子供に見せることができれば良いわけです。

次回は、子供の目の前で行う正しい夫婦喧嘩とその後の子供のケアについてお話します。

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まーさ

保育士資格、幼稚園教諭免許(一種)を取得後、保育園・幼稚園・支援センターを複数回経験して、もうすぐ業界歴20年です。 仕事と2人の子育てをこなしつつ、勉強をしつつ、ゆっくり情報を発信しています。

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