夫婦喧嘩が子供の脳萎縮や成長阻害に…将来に与える影響とは

子供の脳萎縮や成長に影響…正しい夫婦喧嘩の仕方とケアの方法

投稿日:2019年3月30日 更新日:

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子供は夫婦喧嘩でストレスを受ける

近年、子供に対する虐待のニュースを頻繁に見かけますよね。胸を痛めている人も多いでしょう。同じ親として憤りを感じ、ときにはよりわが子の可愛さを実感しているはずです。

「うちは子供に愛情を持ってるし、子供を怒鳴ったり、叩いたりもしてない。」

自信を持ってそう言える家庭は多いと思いますが、子供は直接受ける虐待以外でも強い衝撃を受ける行為があるって知ってますか。

人の陰口を聞いたり、いじめの現場を見て嫌な気分になったことはあると思います。それが自分にとって大切な人だと、なおさらストレスになります。

つまり、子供にとって夫婦喧嘩は大きなストレスになるんです。自分にとって大切な人が、怒鳴り合ったり、無視し合ったり、ときには暴力を受ける様子を見るのは辛いことです。

では、夫婦喧嘩によって子供は具体的にどのような影響を受けるんでしょうか。今回は、夫婦喧嘩が子供に与える影響についてお話したいと思います。

夫婦喧嘩をする割合とその頻度

まれに夫婦仲が良く、喧嘩したことがない夫婦もいますね。ゲンナイ製薬株式会社は、10代-50代の既婚女性2,172名と既婚男性85名を対象に「夫婦げんかに関するアンケート調査」を行いました。

どのくらいの頻度で夫婦げんかをしますか

いい夫婦の日<夫婦げんかに関するアンケート>けんかはするけど「夫婦でよかった」夫・妻ともに約95% 夫婦げんかの原因1位「家事」、仲直りは「夫から」4割 夫のけんか法は「直接対決」、妻は手法多数?|ゲンナイ製薬株式会社のプレスリリース

……まれではなかったですね。夫婦喧嘩をしない夫婦は20.3%もいます。続いて数年に1回が4.7%、年1回が18.2%です。ここまでで合計4割を超えていて、夫婦喧嘩は意外と少ないようです。

一方、毎日喧嘩をする夫婦は1.0%、週1回が7.8%、週2-3回が5.8%、このあたりまでが夫婦喧嘩の頻度が高いイメージです。

注意回答者は妻の方が多いため、妻の数値で解説しています。

夫婦喧嘩を見た子供の心理状態は?

夫婦喧嘩の頻度が高いと、子供も頻繁にストレスを受けているということ。夫婦喧嘩を見た子供はどのように感じているんでしょうか。

普段とは違う両親の姿に恐怖を感じる

親と愛着関係を築いている子供にとって、親は安心感を得られる存在です。その親が怒鳴り合ったり、お互い無視をしている状況を見せつけられると、子供は普段と違うパパ・ママに恐怖を感じます。

幼児的万能感によって自責の念を感じる

夫婦喧嘩のきっかけ

いい夫婦の日<夫婦げんかに関するアンケート>けんかはするけど「夫婦でよかった」夫・妻ともに約95% 夫婦げんかの原因1位「家事」、仲直りは「夫から」4割 夫のけんか法は「直接対決」、妻は手法多数?|ゲンナイ製薬株式会社のプレスリリース

夫婦喧嘩のきっかけは「家事の分担・やり方」「伝えてある内容を忘れる」「連絡がない、遅い」「予定を決めるときに人任せ」など、子供が原因になることはほぼありません。

ところが、子供はパパとママが喧嘩をする様子を見て自分のせいだと感じたり、自分ならなんとかできるのではないかと考えます。これを「幼児的万能感」と言います。

仲直りして欲しい、仲を取り持ちたいと感じる

子供は幼児的万能感で、自分が努力をすればパパとママは仲良くしてくれると考えます。

そのため子供はパパ・ママどちらの顔色も伺って話をするようになりますが、少しずつ主張ができなくなり、次第に夫婦喧嘩の現場を避けるようになっていきます。

夫婦喧嘩のストレスが子供に与える影響

夫婦喧嘩が多い家庭では、子供がその場にいられなくなって隠れている……そんなイメージがありますね。では、その場を避けるほどストレスを受けている子供にはどんな影響があるでしょうか。

感情をコントロールできなくなる

夫婦げんかによって子供が強いストレスを受けると、感情コントロールがうまくできなくなる恐れがあります。

感情コントロールは、脳の「前頭前皮質」で行います。前頭前皮質の発達には脳下垂体から分泌されるオキシトシンが欠かせません。オキシトシンの分泌には、触れ合いなどの愛情を感じる必要があります。

つまり毎日夫婦喧嘩を見せられて愛情よりも恐怖やストレスを感じる度合いが多い子供は、前頭前皮質がうまく発達しないためすぐにキレたり、怒りやイライラをコントロールできないんです。

「脳が怒りを生み出すメカニズム」脳科学者・中野信子さん | cafeglobe

眠れない・眠りが浅くなる

心理的なストレスは交感神経の働きを活発にして、副交感神経の働きを抑制します。交感神経が活発になると、以下のイラストのように睡眠を阻害します。

交感神経と副交感神経の役割

自律神経の基礎知識 【交感神経と副交感神経】|花王ヘルスケアナビ

子供にとって睡眠はとても大切です。十分な睡眠をとれなければ脳の成長を阻害し、心身のに影響を与える恐れがあります。

常に不安な精神状態になる

脳が正常に機能している場合、情報の流れは感情や衝動を抑制している前頭前野に送られて、正しい判断をしようとします。

ところが、ストレスを受けると前頭前野の支配力が弱まり、感情的な判断を必要としない視床下部などに情報が送られるため、常に不安を感じるようになります。

ストレスと脳 | 生物学科 | 東邦大学

学力が低下する

子供が過剰なストレスを受けると、副腎皮質ホルモンの「コルチゾール」が大量に分泌されます。そして、コルチゾールは、脳の海馬を萎縮させることがわかっています。

脳の形成に貧困やストレスが影響、記憶力を阻害|WIRED.jp

Childhood poverty, chronic stress, and adult working memory | PNAS

海馬は大脳辺縁系の一部で、脳の記憶や空間学習能力に関わる器官のため、海馬の発達が阻害されたり、萎縮してしまうと、記憶力の低下を招きます。

自己肯定できない・自信がなくなる

ストレスを受けると前頭前野の支配力が弱まって、常に不安を感じるようになります。心が常に不安定な状態になるため、自分の行動に自信が持てなくなります。

自信が持てなければ、自己肯定もできません。自己肯定ができなければ、ストレスを解消することもできません。

他者の感情が理解できなくなる

他者の感情が理解できないというのは、想像力が欠如するためです。想像力を司る前頭前野は生後6-8か月ごろから活動を始め、成人まで成長を続けます。

つまり、その間に前頭前野の成長が阻害されると想像力が欠如する恐れがあり、他者の感情が理解できなくなる可能性があります。

ひどい夫婦喧嘩は子供の虐待と同じ

たとえ子供に暴力を振るったり、暴言を浴びせなくても、身近な人同士が相手の人格を否定する暴言を浴びせる様子を子供に見せ続けることは、児童虐待の「心理的虐待」にあたります。

加害者による言葉の暴力を受けたり、身近な人に対する暴力を見ることで、 側頭葉の上側頭回、横側頭回にある聴覚野が萎縮してしまいます。

聴覚野は、音などの聴覚情報、言語情報の処理を担う領域のため、聴覚野が萎縮した子供は聴覚や言語の発達に障害が起こる可能性があります。

児童虐待が原因で起こる脳萎縮の症状と子供の成長への影響

つまり、子供の存在を無視した夫婦喧嘩は子供の脳にストレスを与えて脳を萎縮させ、子供の将来にも影響を及ぼす可能性があるんです。

夫婦喧嘩は全部ダメ!ではない

夫婦喧嘩が子供の脳や成長に影響を与えることはわかりましたが、子供に夫婦喧嘩をまったく見せないことは可能でしょうか。

お互い不満があっても「子供のため……」と何も言わないことも不健全です。夫婦はただ我慢すれば良いわけじゃなく、ある程度不満をぶつけ合ってお互いに修正することで、より絆が強くなるものです。

また、脳は適度なストレスを受けると耐性が付きますが、このストレス耐性もこれから他者と関わる子供の将来には必要なものです。そのため、単純に夫婦喧嘩すべてがマイナスとは言えません。

ただ、相手の人格を否定したり、暴力を振るったり、無視し合う夫婦喧嘩をすると子供は居場所をなくしますし、家庭内で恐怖を感じて過ごすのは脳に必要以上のストレスがかかります。

そのため、夫婦がお互いに相手に不満をぶつけても、最終的に納得して仲直りをした姿を子供に見せることができれば良いわけです。

夫婦喧嘩でしてはいけないこと

では、夫婦喧嘩を避けることができない場合、どのように夫婦喧嘩をすれば良いのでしょうか。

暴力を振るわない

1番大切なことは暴力を振るわないことです。暴言を浴びせなくても、身近な人が暴力を振るわれている様子を見せることは、児童虐待の「心理的虐待」です。

子供が心理的虐待を受けると、脳の側頭葉の上側頭回、横側頭回にある聴覚野が萎縮します。聴覚野は、聴覚情報、言語情報の処理を担う領域のため、聴覚や言語の発達に影響が出る可能性があります。

大声で怒鳴らない

初めは夫婦で冷静に話していても、ヒートアップしてつい大声を出すこともります。子供の前で相手を恫喝したり、大声で萎縮させることも「心理的虐待」です。もちろん、子供の心にダメージを与えます。

相手の人格を否定しない

夫婦喧嘩をしていると見た目や性格、過去の出来事で相手を汚く罵る人もいます。ただ、子供は誰が何を言われたか記憶していて、相手にダメージを与える言葉だと理解できます。

そして、その言葉を将来使う可能性があります。たとえ相手に対する悪口がその通りだとしても、子供が聞いている前では言わないでください。

子供を喧嘩に巻き込まない

夫婦喧嘩で相手を無視する冷戦状態に入ると、子供に積極的に話しかけるようになり、子供に対して相手の愚痴を言うようになる人もいます。

夫婦喧嘩に子供を巻き込むのは、子供を味方につけて相手に完全勝利したい親のエゴです。パパとママに仲良くなってほしい子供の願いとは逆のことをすることになります。

我慢できなければ切り上げる

夫婦喧嘩は仕方がないことですが、ヒートアップすると上記の状態に陥ってしまいます。そのため、収まりがつかずヒートアップしそうな場合は、言いたいことを言わずに飲み込んでください。

「こういう問題はとことん話し合った方が良い!」気持ちはわかりますが、子供を巻き込んじゃダメなんです。

夫婦喧嘩中でも挨拶だけはする

もし夫婦喧嘩中で冷戦状態だとしても、「おはよう」「いってきます」など夫婦間の挨拶だけはしてください。なかなか難しいことですが、子供の将来のために意識してください。

うちも夫婦喧嘩中でも無理やり挨拶をしています。もちろん苦痛ですが、そういうルールを決めているので仕方ありません。

夫婦喧嘩中の子供のケア

たとえ夫婦喧嘩中でも、子供は関係ありません。そのため、ちゃんと心のケアをしてください。

喧嘩中でも子供には優しく接する

たとえ夫婦喧嘩直後でイライラしていても、子供には優しく接しましょう。子供はパパとママが怒っている姿を見て怖がっています。

喧嘩していないと嘘をつく必要はありませんが、せめて子供を安心させる態度をとりましょう。もちろん、その際に子供を取り込んだり、巻き込む行為はNGです。

子供に夫婦喧嘩の原因を説明する

夫婦喧嘩の本当の原因を詳しく説明する必要はありません。子供を安心させ、自分のせいじゃないと思わせるために、「パパとママの喧嘩だから、あなたのせいじゃないのよ。」とだけ伝えればOKです。

また、子供が夫婦喧嘩を心配している場合は、「言い合いになっただけだから、心配しなくても大丈夫よ。」と伝えてください。

喧嘩が収まったら仲直りの姿を見せる

また、夫婦喧嘩が収まってお互い感情を抑えられるようになったら、子供にも「もう仲良くなったよ。」と伝えてください。

そして、"子供に見せるために"お互いに「ごめんなさい。」を言い合って、子供にも「喧嘩してごめんなさい。」と謝ってください。

仲良くなった姿を子供に見せること、喧嘩をした後に謝る姿を見せることで、ストレスを感じていた子供は強い安心感を覚え、ストレスから立ち直るストレス耐性が身につきます。


適度な夫婦喧嘩はお互い不満の解消につながりますし、その後も長く家庭を続ける1つのコツです。

夫婦喧嘩の多くは、ある程度時間が経ってお互いの怒りが収まるまで終わりません。世の中には、夫婦喧嘩を終わらせる方法がたくさんありますが、ほとんど役に立ちませんよね。

それでも、事前に夫婦喧嘩にルールを設けておくだけで、新しい火種が生まれる可能性は下がりますし、子供への影響も少なくなります。決して子供を巻き込んだり、悪い影響を与えないように賢く喧嘩したいものです。

夫婦げんかで子どもの脳が危ない!? - NHK クローズアップ現代+

まーさ
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まーさ

保育士資格、幼稚園教諭免許(一種)を取得後、保育園・幼稚園・支援センターを複数回経験して、もうすぐ業界歴20年です。 仕事と2人の子育てをこなしつつ、勉強をしつつ、ゆっくり情報を発信しています。

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