男性の育休は取りにくい?育休で会社が得る助成金などのメリット

指を握る赤ちゃん

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男性の育休取得率が伸びない

以前お伝えした通り、男性の育休取得率は20年前に比べて20倍以上に伸びています。ただし、平成27年度で2.65%、平成8年は0.12%という状況です。

育児休業取得率の推移_男性

出典|「平成 27 年度雇用均等基本調査」の結果概要 – 厚生労働省

国は平成32年度(2020年)に男性の育休取得率13%を目標にしていますが、このままでは達成することは難しく、制度の抜本的な見直しや民間企業の協力が不可欠です。

男性が育休を取りにくい現状は、やはり古くからある企業文化・仕事文化が根強く残っているからです。育休を取りたくても、「会社に迷惑かも……。」と思ってしまうと、どうしても遠慮してしまいます。

ただ、育休を遠慮してしまう男性は、育休の取得が実は会社にもメリットがあることを知っているでしょうか。

今回は、男性が育休を取得することで会社が得られるメリットについてお話したいと思います。

育休取得が会社に与えるデメリット

男性が育休を取得することで会社に与えるデメリット、また、デメリット云々以外で育休を阻む原因とはどのようなものでしょうか。

デメリット1.働く意欲が高い層が抜ける

会社にとって利益をもたらさない研修生・若手の類であればまだ良いのかもしれませんが、育休を取る男性社員の年齢はおよそ32歳(女性の第1子出産年齢に合わせた年齢)、つまり仕事で伸び盛りの年齢です。

会社としては、伸び盛りで働く意欲が高い男性社員が数か月~1年も仕事から抜けてしまい、社内の雰囲気が変わることを危惧するでしょう。

デメリット2.仕事に穴を開ける

日本の仕事の多くは、組織によって運営され、その多くが属人的です。そのため、1人が抜けると仕事が回らなくなり、それを埋めるためには、会社自体が何らかの策を講じなければいけません。

デメリット3.採用・教育・残業コストがかかる

人が抜けて空いてしまった穴を埋めるためには、新しい人を採用するか、若手を教育するか、既存社員で補わなければいけません。

ちなみに、若手の教育コストや業務補完のための残業コストはわかりませんが、採用コストの参考値は1人あたり平均46.1万円となっています(新卒の入社予定者1人あたりの採用費平均)。

参考|2017年卒マイナビ企業新卒内定状況調査

デメリット4.職場復帰後の組織編成が面倒

男性が育休で長期間抜けた場合、たとえ会社が抜けた穴を埋めたとしても、育休を取得した男性が職場復帰をしたときに、また組織編成が必要になります。

もちろん、育休を取得した男性も以前と同じ仕事ができるとは限らないため、双方にとってデメリットがあると言えます。

育休取得が会社に与えるメリット

では、男性の育休取得が本当に会社にとってデメリットしかないのかを考えてみましょう。

メリット1.企業イメージが良くなる

大手の企業戦略は企業イメージを良くし、ブランディングに活かすことです。そのため、男性の育休取得者が多いことをアピールし、CSRなどに盛り込む会社が増えています。

東洋経済では「育児休業取得者数トップ100」を発表していますが、このような特集が組まれるのは、育休に対する世間の関心が高いためです。男性の育休取得をアピールする企業は、家族をターゲットにした生命保険・銀行が多く、企業イメージをうまく高めています。

参考|「子育て社員」に優しい100社ランキング | CSR企業総覧 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

メリット2.優秀な人材確保につながる

ライフネット生命が行なった「育児休業に関する意識調査」によると、家庭優先の男性だけでなく、仕事優先の男性も、高い割合で育休の取得を希望していることがわかります。

育児休業を取得したいと思う人

出典|育児休業に関する意識調査 | 生命保険・医療保険のライフネット生命

つまり、育休を取得できる企業だとアピールできれば、家庭優先の男性だけでなく、仕事優先の優秀な人材確保につながる可能性があります。

メリット3.優秀な人材流出を防げる

もし男性が育休を取得できないことが退職を検討する引き金になってしまったら、会社は大切な人材を流出してしまいます。

優秀な人はどこに行っても仕事ができますし、常に「うちに来ない?」とお誘いを受けているはずです。

優秀な人材の確保は、優秀な人材の維持よりも大きな労力がかかるため、人材を流出したときの企業のマイナスは大きなものになります。

メリット4.人余りの場合は人件費カット

育休中は会社が給与を出さない代わりに(会社規定による)、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。給付金の計算は以下の通りで、月給の約6割を受け取れます。

もし、会社が人余り状況でタイミングが合う場合は、育休中の人件費は単純にコストカットになります。

メリット5.育休中の社会保険が免除される

育休申請者は、育休中の社会保険支払いが免除されます。同時に会社側も社会保険料の支払いが免除されます。こちらも会社のコストカットになります。

社会保険料免除の申請方法と社会保険料免除の期間の考え方は、以下を参考にしてください。

メリット6.出生時両立支援助成金の受給

平成28年度から、過去3年内に男性の育休取得者がいなかった企業を対象に、「出生時両立支援助成金」という助成金制度があります。

出生時両立支援助成金とは、以下の条件で社員が子供の出生後8週間以内に14日以上(中小企業は5日以上)の育休を取得した場合に、会社が助成金を受けられる制度のことです。

出生時両立支援助成金の概要
・1人目の育休取得者が出た場合60万円を会社に支給(大企業は30万円)
・2人目以降の育休取得者が出た場合15万円を会社に支給(大企業も15万円)
・1年度につき、1人の助成額を限度に支給される
・助成金は平成28年度から5年間の限定措置

参考|事業主の方への給付金のご案内 |厚生労働省

2016年7月時点の情報です。

メリット7.仕事・組織のルール化を徹底できる

男性の育休取得による会社の一番のデメリットは、人材が一定期間抜けて仕事に支障がでることです。

もちろん、その人でなければこなせない仕事もありますが、ルールの徹底化や効率化によって、多くの仕事はカバーできるはずです。

会社が育休に難色を示すのは、人に頼った仕事の仕方だからで、もし仕事や組織のルール化、効率化で穴が埋まるならば、人に依存した体質を脱却するチャンスだとも言えます。

どちらにしても、昔より雇用の流動化が進んでいるため、人の出入りは会社が考えるべき課題です。早く取り組むきっかけと考えれば、出生時両立支援助成金がある今しかないでしょう。

育休取得は望まなければ取れない

こうして育休を取得したときの会社側のデメリットを並べると、会社が育休に難色を示す言い分もわかりますが、子供との関わりを増やし、将来の出生率を増やすためには、長期的なメリットを見ていかなければいけないのでしょう。

そのため、真剣に男性の育休取得率を伸ばそうと思ったら、日本人の仕事観から変える必要があるのかもしれません。

とくに、年配の経営層の中には、「俺は子供が生まれたから、家族のために仕事を倍に増やしたぞ。」という人もたくさんいて、あからさまではないものの、育休をチクチク批判する傾向も残っているはずです。

上司がこんな「パタニティハラスメント」を部下にしていたら、いつまでたっても男性の育休取得率は伸びません。

ただ、短期的に見ても、男性の育休取得は会社にとってメリットがあるため、まずは男性が強く育休の取得を希望しなければいけません。

もし、育休申請を迷っている男性がいたら、会社側のメリットも踏まえた上で、一度話し合いをしてみてはいかがでしょう。男性の育休取得の草の根活動の一環として。