臍帯下垂・臍帯脱出が起こる原因は?出産時の確率、治し方は

出産直後の赤ちゃん

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分娩時に臍帯が先に出てくる症状

胎児にとってへその緒(臍帯)はとても重要な管です。赤ちゃんのへそから出た臍帯は胎盤につながり、胎盤から臍帯内の血管を通して必要な栄養や酸素を得ることで、胎内で成長しています。

そのため、臍帯を通る血管が圧迫されるなどが原因で胎児の血流が悪くなってしまうと、最悪の場合死産に至ることもあります。

このようなへその緒に起こる異状を「臍帯異常(さいたいいじょう)」と言います。臍帯異常にはさまざまな種類がありますが、最も有名な臍帯異常は、へその緒が首や身体に巻きつく「臍帯巻絡(さいたいけんらく)」です。

今回は、分娩の前や分娩中に臍帯が赤ちゃんよりも先に子宮から出てしまう臍帯下垂、臍帯脱出という臍帯異常についてお話したいと思います。

臍帯下垂と臍帯脱出

参考|臍帯下垂 | 看護用語辞典 ナースpedia※リンク切れ
参考|臍帯脱出 | 看護用語辞典 ナースpedia※リンク切れ

臍帯下垂(さいたいかすい)とは

臍帯下垂とは、出産を控えた母体が破水を起こす前に、臍帯が胎児よりも先に子宮口の入り口に下りてしまうことを言います。

陣痛によって子宮底が下降すると、胎児は子宮の収縮に合わせて骨盤内に下降していきます。その際、胎児の身体の中で一番大きな頭は、骨盤にピッタリはまる様に下降しなければ通れません。

胎児の頭が骨盤内に下降した頭位の体勢までを「第1回旋」と言います。つまり、臍帯下降が起こると、臍帯が第1回旋の邪魔になってしまうということです。臍帯下垂は、全分娩の0.5-1%の確率で発生します。

臍帯脱出(さいたいだっしゅつ)とは

臍帯脱出とは、臍帯下垂の状態で卵膜が破れて破水が起こり、実際に臍帯が胎児より先に子宮から出てしまった状態を言います。

もし臍帯脱出が起こると、分娩の際は常に臍帯が圧迫される可能性があり、新生児仮死などの原因になってしまいます。

臍帯脱出は、全分娩の0.5-0.8%の確率で発生します。臍帯脱出の説明を見てわかる通り、臍帯下垂が起こると臍帯脱出が起こる確率も高くなります。

臍帯下垂と臍帯脱出が起こる原因

臍帯下垂と臍帯脱出が起こる原因はいくつか考えられます。

原因1.過長臍帯(かちょうさいたい)

臍帯下垂・臍帯脱出が起こる1番の原因は、過長臍帯(かちょうさいたい)です。通常50-60cmの臍帯が、75cm以上ある状態を過長臍帯と言います。

過長臍帯の胎児は、臍帯が垂れ下がった状態になり、もし出産予定日直前に臍帯下垂が起こると、高い確率で臍帯脱出につながる恐れがあります。

原因2.羊水過多症(ようすいかたしょう)

臍帯脱出が起こる原因は、臍帯下垂のまま破水が起きたり、破水が起きたときにたまたま臍帯が赤ちゃんよりも子宮口に近い場合です。

もし、子宮内が羊水過多の場合、陣痛が起きても胎児の身体が下降しにくいたため、胎児が浮いている状態で卵膜が破れてしまうと臍帯脱出が起こる確率が上がります。

原因3.前期破水(ぜんきはすい)

前期破水とは、本陣痛(陣痛発来)前に破水を起こし、子宮内の羊水が体外に排出されることをいいます。

前期破水が起こったとき、胎児はまだ子宮口に下りてきていない状態です。そのため、臍帯脱出が起こる恐れがあります。

原因4.児頭骨盤不均衡(じとうこつばんふきんこう)

胎児の頭の大小、母体の骨盤の大小によって、本来はぴったり子宮口に収まる胎児の頭と骨盤の間に隙間ができることがあります。

この隙間に臍帯が入り込むと臍帯脱出を起こす可能性があります。児頭骨盤不均衡は、低出生体重児や骨盤狭窄症(こつばんきょうさくしょう)、また多胎妊娠が原因で起こります。

原因5.骨盤位(こつばんい)など

陣痛が始まると胎児は下降し、頭が子宮口に収まります。これを正常胎位(頭位)と言います。ところが、頭が上を向いた骨盤位(いわゆる逆子)、横に寝転がった横位などになると、自然分娩が難しくなります。

また、退治が逆子や横向きであるため、臍帯下垂や臍帯脱出が起こりやすくなります。

臍帯下垂と臍帯脱出の予防と治し方

臍帯下垂の予防と治し方

臍帯下垂は、妊娠30週前後からエコーで確認できる場合があります。

もしこの時期に臍帯下垂が見つかれば、出産予定日まで時間があるため、妊婦は臍帯下垂が改善する生活習慣を指導されます。

大切なことは前期破水が起こらないように安静にすること、また、安静にする際は骨盤の下の方にクッションなどを置いて骨盤の位置を高くし、臍帯が自然に上がるようにすることです。

臍帯脱出の予防と治し方

臍帯下垂が治らなければ、そのまま臍帯脱出になる可能性が高まり、帝王切開による分娩の可能性が高まります。

また、分娩の最中に臍帯脱出が起こった場合は、子宮口が全開大であれば鉗子分娩や吸引分娩で娩出を行い、経腟分娩が難しい場合は、緊急帝王切開を行います。

臍帯下垂・臍帯脱出がわかった場合

臍帯脱出は、多くが分娩時に起こることが多いため分娩開始まではわかりませんが、臍帯下垂は定期健診時に判明することがあります。

臍帯下垂は、外部からの治療を行うことはできません。そのため、もし臍帯下垂が判明した場合は、医師の説明をよく聞いた上で、まずは臍帯下垂を治すための生活習慣に取り組んでください。

臍帯下垂がわかっている状態で、陣痛よりも先に破水をしてしまった場合は、自然分娩を予定していても、緊急帝王切開に変わる可能性が高まります。

すぐに担当医師に連絡を取り、なるべく早く安全に病院に向かうようにしましょう。