産湯が減っている理由は?赤ちゃんの胎脂は洗い流さない方が良い?

産湯が減ってドライテクニックが増えた理由と新生児の胎脂の役割

投稿日:2019年4月10日 更新日:

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最近は出産直後に産湯で沐浴をしない

「ほら!あんたは急いでお湯を沸かして!」

時代劇など昔のドラマを見ると、産婆さんが妊婦から赤ちゃんを取り上げるときに、妊婦の旦那さんにこんなセリフを言うシーンがあったりします。

出産のときに用意するお湯のことを「産湯(うぶゆ)」と言いますが、なぜ出産時に産湯を用意するのか知っていますか。

それは、出産直後の赤ちゃんに付いた羊水、血液、胎脂などの汚れや産道で付着した細菌を洗ってきれいにするためです。また、出産後に沐浴をすることで、赤ちゃんの低体温を防ぐ目的もあります。

ところが最近の出産では、赤ちゃんの身体をお湯で洗ったり、沐浴をすることは少なくなっており、代わりにドライタオルで赤ちゃんを軽く拭く「ドライテクニック」を行い、数日経ってから初めて沐浴を行うように変化しています。

産湯を使わなくなった理由は、赤ちゃんの身体の機能について以前よりも理解が進んだこと、赤ちゃんの胎脂の存在が大きいことが関係しています。

そこで今回は、赤ちゃんに産湯を使う産院が減っている理由と赤ちゃんの胎脂についてお話したいと思います。

出産直後にドライテクニックを行う産院の割合

出産直後に沐浴をせずに、ドライテクニックを行う産院の割合はどれくらいなのでしょうか。

大分県立看護科学大学の調査によると、出産直後にドライテクニックを行う産院の割合は、78.6%にも上ります(893施設のうち、341施設から回答=有効回答率38.2%)。

早期新生児期の保清方法は、表2に示すように86パターンに分類され、洗浄剤や使用物品も、施設によってさまざまでした。しかし、出生直後はドライテクニックが268施設(78.6%)、生後1日目は沐浴が266施設(78.0%)と最も多く、出生直後から連日沐浴を行っているのは4施設(1.8%)のみでした。保清後にスキンケアを行っている施設は26施設(7.6%)であり、スキンケアはあまり行われていませんでした。

日本における早期新生児期の保清ケア・スキンケアの実態とその決定要因 | 新着情報 | 大分県立看護科学大学

出産直後にドライテクニックを行う産院の割合が65.3%という調査結果のデータもあります。

新生児清潔ケアの実態とケア選択の探索|日本助産学会誌 J. Jpn. Acad. Midwif., Vol. 29, No. 2, 240-250, 2015

ドライテクニックとは

ドライテクニック(Dry technique)とは、出産直後の赤ちゃんの皮膚を覆っている胎脂(たいし)をできるだけ拭き取らないよう、乾いた清潔なタオルで余分な羊水や血液などの汚れだけを拭いて、なるべく自然な状態のままにする方法のことです。ドライケアとも言います。

ドライテクニックが増えた理由

もともと産湯で赤ちゃんの沐浴を行っていたのは、赤ちゃんの汚れを落とし、温かいお湯で低体温を防ぐ目的でした。ところが、近年は以下の理由でドライテクニックが増えています。

余計に体力を消耗するため

赤ちゃんにとって、沐浴は体力を使います。そのため、出生直後に沐浴を行うと、赤ちゃんの体力が消耗し、体調が不安定になる可能性があります。

低体温になる可能性があるため

出生後すぐに沐浴をすると、全身を濡らすことになります。いくら温かい産湯に入れても、一度身体が濡れてしまうと体温を低下させる原因になります。

皮膚が傷付く恐れがあるため

産まれたばかりの赤ちゃんにとって、沐浴はとても刺激がある行為です。そのため、赤ちゃんの弱い皮膚を傷つけてしまう可能性があります。

胎脂が流れ落ちてしまうため

赤ちゃんの皮膚に付いた胎脂には、とても重要な役割・効果があることがわかっています。そのため、沐浴で胎脂を流してしまうより、ドライテクニックでなるべく胎脂を落とさない方が赤ちゃんにとってメリットがあります。

胎脂(たいし)とは

胎脂とは、産まれたばかりの赤ちゃんの全身を覆っているクリーム状の脂分のことで、ラードのような白い色をしています。胎脂の成分は、主に水(80.5%)、脂質(10.3%)、タンパク質(9.1%)で構成されています。

赤ちゃんに付いた胎脂

JazlynRoseVernixByPhilKonstantin - 胎脂 - Wikipedia

胎児は、妊娠17-20週ごろから胎脂に覆われますが、成熟期に近づくほど羊水で剥がれ落ちます。そのため、早産で生まれてきた赤ちゃんほど、胎脂が多く付いていることがわかっています。

産婦人科医の視点から新生児を治療する | 福井大学

胎脂の役割

赤ちゃんの胎脂をなるべく落とさないようにドライテクニックをする理由は、胎脂に以下の重要な役割があるためです。

分娩時の潤滑油になる役割

胎脂は水分と脂質が多く含まれているため、分娩時に産道をスムーズに通るための潤滑油になります。

水分の蒸発と細菌から守る役割

胎脂の脂質には皮膚バリア機能があるセラミドが多く含まれているため、赤ちゃんの肌の水分の蒸発を防ぎ、細菌から守る効果があります。また、胎脂のタンパク質には、プロテアーゼ阻害、寄生虫の不活性化、オプソニン作用、抗真菌などの効果があります。

Vernix caseosa as a multi-component defence system based on polypeptides, lipids, and their interactions

低体温を防ぐ役割

出産後の赤ちゃんは低体温になりがちですが、胎脂の脂質によって肌の水分の蒸発を防ぐだけでなく、水分を弾いて、体温が下がることを防ぐ役割があります。

アトピー性皮膚炎を防ぐ役割

新生児期に皮膚の水分量が低下すると、アトピー性皮膚炎の発症確率が上がります(後述)。セラミドには、肌の水分蒸発を防ぎ、皮膚のバリア機能を高める役割があります。

胎脂の機能が持続する期間

赤ちゃんにとって大きなメリットがある胎脂の機能は、胎脂が付着している期間持続します。一般的には、48時間以内だと言われていますが、出産時の胎脂の付着量によっても変わります。

「たった48時間ならそれほど意味がない。」と思う人もいるかもしれませんが、国立成育医療研究センターによると、生後1週間以内から新生児に保湿剤を塗布することで、アトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上低下することがわかっています。

また、乳児期にアトピー性皮膚炎を発症した子供は、食物アレルギーなどのアレルギー疾患を発症するリスクが高いこともわかっています。

世界初・アレルギー疾患の発症予防法を発見 | 国立成育医療研究センター

つまり、出産直後の赤ちゃんの肌を守ることは大きな意味があり、胎脂の効果が早く消えてしまうのはとてももったいないことなんです。

これらのことから、胎脂を落とさないドライテクニックが重要だと理解できるでしょう。

ドライテクニックから沐浴へ

出産後にドライテクニックをした赤ちゃんは、1-4日ほど間を空けて沐浴を行います。

その間の赤ちゃんの身体の汚れによる乳児湿疹を心配する人もいると思いますが、この時期の赤ちゃんはほとんど発汗をしないため、沐浴をしなくても問題はありません※。

注意なるべく早く母親の血液を洗い流すことが母子感染を防ぐことにつながるという考え方もあります。

沐浴はしないほうがいいって本当!?新生児の体を守る「ドライケア」って?| たまひよ

もちろん、退院するころには日々の沐浴をする必要性が出てくるため、沐浴の重要性もしっかり理解しておいてください。

子育ては科学的に学ぶ時代

子育ては日々変化しています。今日OKな子育てが、明日はNGになるかもしれません。

「なんで泣き止んでくれないの?」「わたしの言うこと聞いてよ!」「もっとしっかり食べてほしいのに……。」こんな悩みを解決する子育てはできてますか?

今もっとも正しい方法は、脳科学や心理学的を使った子育てです。赤ちゃんや子供の心を理解できれば、子育てがもっと楽しくなります。

まーさ
わたしも保育士として、年10回は発達心理学、栄養学、衛生管理学などの研修を受けます。

保育士が心理学を学ぶのは当たり前。幼児教育に力を入れる園ほど研修は多いです。子供の気持ちを知りたいママは、以下から資料を取り寄せてみてください。

子供の気持ちを理解できるようになって、乳幼児教育アドバイザーという第二の人生を始めてもいいですね。

昔からの子育てには正しい方法もありますが、ママが辛いだけの方法もあります。「うちの子かわいい!」がずっと続くよう、楽しい子育てをしてください。

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まーさ

保育士資格、幼稚園教諭免許(一種)を取得後、保育園・幼稚園・支援センターを複数回経験して、もうすぐ業界歴20年です。 仕事と2人の子育てをこなしつつ、勉強をしつつ、ゆっくり情報を発信しています。

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