育児・教育 トイレ・おむつ

赤ちゃんの便秘予防と解消法は?便秘症診療ガイドラインの推奨度

投稿日:2018年12月8日 更新日:

この記事を読むのに必要な時間は約 15 分です。

赤ちゃんの便秘の症状

「うちの子、おならだけ多くてうんちがあんまり出ないんだけど、これって便秘かな?」

赤ちゃんの便秘傾向には個人差があるため、決まった時期に便秘になり、決まった症状が現れるわけではありません。

日本小児栄養消化器肝臓学会では、主に以下の症状を4歳未満の慢性的な便秘の診断基準としています(国際的な診断基準「RomeⅢ」)。

4 歳未満の小児では,以下の項目の少なくとも 2 つが 1 か月以上あること
1.1 週間に 2 回以下の排便
2.トイレでの排便を習得した後,少なくとも週に 1 回の便失禁
3.過度の便の貯留の既往
4.痛みを伴う,あるいは硬い便通の既往
5.直腸に大きな便塊の存在
6.トイレが詰まるくらい大きな便の既往

随伴症状として,易刺激性,食欲低下,早期満腹感などがある.大きな便の排便後,随伴症状はすぐ に消失する.
乳児では,排便が週 2 回以下,あるいは硬くて痛みを伴う排便で,かつ診断基準の少なくとも 1 つ がある場合,便秘だとみなされる.

小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン|日本小児栄養消化器肝臓学会

ただし、赤ちゃんや小さな子供はコミュニケーションを取って判断することが難しいため、以下の症状も合わせて便秘を判断する必要があります。

赤ちゃんの便秘の判断基準
・便が2-3日に1回
・便が硬くてコロコロしている
・1回の排便量が少ない
・お腹が張っている
・食欲が無い
・排便時に泣く、痛がる
・長い時間いきんでいる
・肛門が切れて血が出る
・普段と比べて便・おならの臭いが強い
・食後や授乳後に吐く

では、赤ちゃんの便秘はどのように解消したり、予防に努めればよいのでしょうか。

今回は、赤ちゃんの便秘解消法と便秘予防についてお話したいと思います。

小児慢性機能性便秘症診療ガイドラインの推奨度

便秘解消には、「溜まっている便を出す」「生活習慣を見直す」「内服薬で治療をする」の3つの方法があります。

もちろん、赤ちゃんなど小さな子供の便秘を解消するために内服薬を使う場合は、医師の指導が必要になります。

そのため、以下の方法で赤ちゃんの便秘が解消しない場合は、小児科医に相談して、緩下剤の内服を併用しながら、改めて赤ちゃんに合った便秘解消を目指すようにしてください。

なお、上記「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン」にはそれぞれの便秘対策に推奨度があり、以下のように評価されています。

推奨度 
A行うよう強く勧められる
強い科学的根拠があり,臨床上明らかに有効である
B行うよう勧められる
中等度の根拠があり,臨床上有効性が期待できる
C1行ってもよい
科学的根拠に乏しいが,臨床上有効である可能性がある
C2明確推奨ができない
科学的根拠に乏しく,有効性を判断できない
D行わないよう勧められる
有効性を否定する,または害を示す根拠がある

赤ちゃんの便秘対策・解消法

便秘解消マッサージ|推奨度C1

マッサージで腸を刺激すると、腸の筋肉の収縮運動(蠕動運動)の促進が期待できる場合があります。たとえば、「の」の字マッサージは、赤ちゃんのおへそを中心に、大腸の走行に沿ってお腹に「の」の字を描くようにマッサージします。

ただし、うんちを押し出そうとして、強い力でお腹を押しても意味はありません。少しお腹がへこむ程度の優しい力でマッサージすることを心がけながら行ってください。

授乳量・水分摂取量を増やす|推奨度B

母乳が不足すると、うんちの水分量も不足して硬くなり、便秘になることがあります。ただし、ガイドラインでは、脱水状態でない限り水分摂取が便秘解消につながるかは明らかではないとしています。

母乳不足の赤ちゃんは、以下のサインで見分けます。

母乳不足のサイン・見分け方
1.赤ちゃんの体重増加
2.おしっこやうんちの回数
3.授乳後の機嫌

母乳不足を解消しようとしても、赤ちゃんの母乳の飲みが悪い場合は、母乳の代わりにミルクを足すことも1つの方法です。

混合育児でミルクを足す場合、生後1か月なら1日30-40mlまでが目安です。ミルクを与えた分だけ飲む子もいますが、必要以上にお腹が膨れると授乳間隔が開いてしまい、より母乳不足の原因になるため注意が必要です。

石井第一産科婦人科クリニック 母乳育児

綿棒で肛門を刺激|推奨度C1

赤ちゃんの便秘のケアには、「綿棒浣腸」という方法もあります。腸に溜まったうんちを物理的に排泄することは、慢性便秘の解消のために大切なことです。

繊細な赤ちゃんの肛門に直接刺激を与えるのは、抵抗があるかもしれませんが、綿棒を深く入れすぎたり、強く擦りすぎなければ問題ありません。

綿棒浣腸は、赤ちゃん用の綿棒だと小さすぎるため、大人用綿棒を使います。お尻に入れるのは1-2㎝程で、綿棒の綿球部分より少し上くらいを目安にしましょう。

赤ちゃんの便秘|GOO.N(グ~ン)

赤ちゃんの便秘で困ったら綿棒浣腸はいかが?【ママ女医と娘の○○な日常 vol.26】

オリゴ糖や砂糖水|推奨度なし

オリゴ糖、砂糖水、麦芽糖などの糖分の摂取が、赤ちゃんの慢性便秘の解消につながる場合があります。ただし、作用は緩やかなため、短期間での効果は感じにくいかもしれません。

オリゴ糖や麦芽糖は、腸の運動を促す善玉菌の餌として作用し、砂糖水は溜まったうんちを浸透圧で柔らかくする効果があります。

北米小児栄養消化器肝臓学会(NASPGHAN)のガイドラインでは、プルーン、ナシ、リンゴに含まれる果糖などが排便を促進すると記載されていますが、明確なエビデンスにはならないとされています。

食物繊維|推奨度C1

食物繊維の多い食材を離乳食に取り入れて、便秘の解消を目指す方法があります。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の特徴を押さえてください。

水溶性食物繊維
水分を含み、うんちを軟らかくする働き|
果物(リンゴ、キウイなど)、にんじん、トマト、ほうれん草、ジャガイモ、里芋など

不溶性食物繊維
うんちの量を増し、腸を刺激する働き|
キノコ、豆類、サツマイモ、なす、トウモロコシなど

不溶性食物繊維ばかり摂取すると、うんちが硬く重たくなり、便秘傾向が強くなることもあるため、バランス良く取り入れましょう。

発酵食品|推奨度B

ヨーグルトや納豆などの発酵食品で乳酸菌やビフィズス菌などを摂ると、悪玉菌の増殖が抑えられ腸内環境が整います(プロバイオティクス)。腸内環境が整うことで自然な排便が促されるため、継続して摂取することが大切です。

赤ちゃんの腸内細菌はビフィズス菌が多いのですが、離乳食が始まると少しずつ減っていくため、アレルギーに注意しながら、継続して摂取させてみましょう。

離乳食期から意識しておきたい!子どもの腸内環境を整えよう | 赤ちゃんとママのおなか相談室 | 乳酸菌とおなかのこと | ビオフェルミン製薬

【森永乳業】約7割の人が対策していない!腸内の「悪玉菌」対策は「ビフィズス菌」がカギ!? - まいにち乳life - まいにち乳life

大腸の動きを促進するツボ|推奨度なし

大腸の動きを促進するツボはいくつかあります。ツボを刺激すると、腸の動きが活発になり、蠕動運動を助ける効果があると言われます。

「の」の字マッサージと合わせて、優しく撫でる程度にツボを刺激する行為は、赤ちゃんとのコミュニケーションにもなりますね。便秘に効果があると言われるツボの一例には以下のものがあります。

便秘に効果があるツボ
・天枢(てんすう)|お臍から指幅3本分の位置、左右両方にある
・大巨(だいこ)|天枢から指幅3本分下の位置、左右両方にある
・便秘点|ろっ骨の1番下から指幅2本分下、背骨から指幅4本分外側の位置、 左右両方にある
・大腸兪|腰骨の高さで背骨から指幅2本分外側、左右両方にある

便秘に効くツボ&体操いろいろ 簡単!お手軽!気持ちイイ! | ロート製薬: 商品情報サイト

健康のツボ~疲労回復や健康維持に役立つ方法~

浣腸薬を使う|推奨度B

浣腸薬は、グリセリンの作用でうんちを出しやすくする効果がありますが、投薬に当たるため、赤ちゃんには刺激が強いものです。そのため、水分摂取や生活習慣の見直し、お腹のマッサージ、綿棒浣腸などを試しても効果がない場合に行いましょう。

また、赤ちゃんの便秘の原因には病気が隠れていることもありますし、浣腸薬が原因で病気が悪化する場合もあります。

とくに生後6か月以内の赤ちゃん(イチジク製薬では3か月以内としている)で便秘がなかなか解消しないときは、浣腸薬を使う前にまず小児科を受診して医師に相談しましょう。

赤ちゃんにやさしいイチジク浣腸の使い方 | 赤ちゃん便秘コム - イチジク製薬

浣腸を使う前の注意 | イチジク製薬株式会社

赤ちゃんの便秘予防法

赤ちゃんの便秘には、いろいろな原因がかかわっています。前述した通り、直接便秘に作用する方法だけでなく、普段の生活習慣を見直すことで、そもそも便秘になりにくくする予防を心がけましょう。

食生活を改善する

赤ちゃんにとってもっとも大切なことは、必要十分な食生活を送ることです。

離乳食前であれば、十分な母乳やミルクを与え、離乳食が始まってからも水分不足を防ぐために、母乳やミルクの摂取に気を使う必要があります。

赤ちゃんの健康で怖いのは、脱水症状を起こすことです。たとえ冬場でも、発汗量の個人差によって水分が不足することもあります。母乳は飲ませ過ぎの心配はないため、赤ちゃんが欲しがったら授乳してください。

また、離乳食が始まると、哺乳量の減少に伴って水分摂取量が減るため、赤ちゃんは便秘になりやすくなります。たとえ現在便秘ではなくても、食物繊維や腸内細菌を意識した離乳食を心がけましょう。

排便習慣を改善する

排便習慣の改善とは、ママが排便回数を日誌などに記録することなどにより、規則的な排便習慣を意識することです。

また、子供が排便行為を理解する前に、トイレトレーニングを始めてはいけません。トイレトレーニングは、子供の発達段階に合わせて余裕を持って取り組むようにします。

このような排便習慣の改善は、小児慢性機能性便秘症診療ガイドラインにも便秘治療として推奨度C1が付けられています。ちなみに、無理なトイレトレーニングをやめることは推奨度Bになります。

赤ちゃんの便秘傾向を改善するためには

息子は生後8か月ごろに便秘になりました。そのため、水分を多めに与えたり、水分の飲みが悪い場合は、温度を変えたり、スプーンで1口ずつあげるなどの工夫をしていました。

また、離乳食にも食物繊維の多い野菜を意識して与えていましたが、なかなか便秘は改善しませんでした。

そこで、試しにベビーヨーグルトを食べさせたところ、翌日から少しずつうんちが出るようになり、徐々に便秘傾向が改善していきました。

それ以外にも便秘解消の要因はあったのかもしれませんが、ヨーグルトは息子の体質にも合っていたようで、今でも意識して食べさせています。

食事だけでなく、適度な運動や睡眠時間など、赤ちゃんの健康な排便には普段の生活習慣が関わっています。これは大人も子供も同じですね。

赤ちゃんによって便秘の原因はさまざまで、赤ちゃんに合う便秘対策・便秘予防もさまざまなので、普段の生活を少しずつ見直して、根気よく続けていくことが便秘傾向を改善することにつながります。

もちろん、授乳後の嘔吐が続く場合は慢性的な便秘が継続していたり、何度も繰り返す場合は疾患が原因の器質性便秘ということもあるため、心配なら早めに小児科を受診してください。


Copyright© 育児ログ , 2019 All Rights Reserved.