妊娠検査薬が陽性なのに…化学流産とは?症状・原因や予防法は?

超音波検査機

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妊娠から妊娠確定まで

流産とは、妊娠22週未満で胎児の死亡や体外への排出によって、妊娠がそれ以上継続できなくなることを言います。

では、いつから妊娠22週未満までを流産というか……答えは妊娠からです。つまり、妊娠に至る前は流産とは言いません。

一般的に妊娠とは、卵子と精子が受精した受精卵が子宮内膜に着床することを言います。ただし、着床で妊娠の継続が確定したわけではなく、エコーを受けたうえで、医師から「胎嚢」「胎芽」「心拍」の確認を持って妊娠と言われることが多いでしょう。

つまり、妊娠検査薬が陽性反応でも、妊娠確定までの間に妊娠が中断する恐れがあるということです。これを「化学流産」と言います。

今回は、化学流産の症状と原因、また化学流産が予防できるかについてお話したいと思います。

化学流産とは

化学流産とは、受精卵が子宮内膜に着床したにもかかわらず、受精卵の細胞分裂が進まず、胎嚢が形成される前に妊娠を続けられなくなった状態を言います。

胎嚢が形成される前のため、化学流産が起こる時期は妊娠6週未満です。また、化学流産が起こると、受精卵や他の卵子などは血液といっしょに体外に排出されます。つまり、生理と同じような出血が起こります。

そのため、妊娠を自覚するきっかけがなければ、「少し遅れたけど、普段通り生理が来たな……。」と勘違いして見過ごすことも多いようです。

一方、受精卵が子宮内膜に着床するため、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は分泌されます。「妊娠検査薬で陽性は出たけど、病院に行ったら妊娠してなかった……。」という場合の多くは、化学流産、または子宮外妊娠(異所性妊娠)になります。

このように化学流産は、胎嚢が形成される前に妊娠が終わってしまうため、ほとんどの場合その後の処置の必要がありません。

また、名称に”流産”と付きますが、化学流産は本当の意味での流産には分類されないため、過去の流産歴として残ることもありません。

化学流産が起こる原因と確率

化学流産が起こる原因の多くは、初期流産の原因と同様、卵子・精子の染色体異常や受精卵の異常(病的卵)だと言われています。

「日本医師会雑誌undefined第139巻・第10号」によると、もともと卵子には約25%、精子には約15%の染色体異常があり、さらに受精卵ができる際に約8%の異常が生じるとしており、重複分を省くと受精卵の45%が染色体異常を有します。

染色体異常のある受精卵は着床障害を起こしやすく、着床に至るのは約25%の受精卵です。ただし、着床した受精卵も染色体異常を持っているため、受精卵の細胞分裂が止まり、25%の受精卵のうち10%が化学流産を起こしてしまいます。

ちなみに、残りの15%が初期流産を起こし、出産に至る割合は0.6%ほどしかありません。

流産と染色体異常

出典|化学的流産・ケミカルアボーションの原因や症状とは? [流産の基礎知識] All About

これらの卵子と精子の染色体異常は若く健康な人でも一定の確率で持っているため、初期流産の原因と同様、化学流産を防ぐことも難しいということです。

化学流産の予防法

前述した通り、染色体異常がある受精卵は、着床障害を起こすため化学流産を防ぐことは難しいのですが、母体の環境を整えることで、染色体異常以外の流産要因の確率を下げることは不可能ではありません。

たとえば、普段から飲酒・喫煙をしている人や運動不足の人、冷え性の傾向が強い人、ストレスを感じている人は血流が悪いため、受精卵が着床しやすい子宮内の環境が形成されていないことが考えられます。

そのため、少しでも流産の確率を下げたい場合は、妊娠前から禁酒・禁煙を心がけ、適度な運動を行い、冷えやストレス解消の食生活や十分な睡眠を心がけることで少しでも流産の予防につなげるようにしましょう。

化学流産の症状と見分け方

化学流産には、特有の症状はありません。妊娠初期症状のように腹痛、吐き気、眠気などを感じる人もいれば、とくに感じない人もいます。

このような妊娠初期症状に似た症状は、一度子宮内膜に受精卵が着床してhCGの分泌が行われること、生理前症状(PMS)のようにプロゲステロン(黄体ホルモン)、エストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌されることで起こります。

妊娠初期症状と生理前症状を見分けるために最も信憑性が高い症状は、高体温が続いているかどうかを確認することです。

これは、妊娠初期症状と生理前症状(PMS)では、高体温を維持するプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌時期が異なるためです。

妊娠時と非妊娠時の体温の違い

ところが、化学流産は一度子宮内膜に受精卵が着床しており、妊娠時と同じように女性ホルモンが分泌されるため、高体温も同じ時期に訪れます。

そのため、やはり化学流産の見極めは難しいと言えるでしょう。

化学流産が起こった場合

一般的に化学流産が起こったとしても、ほとんどの人が気付かないでしょう。

ただ、妊娠を待ち望んでいる人は妊娠初期症状に敏感で、妊娠検査薬の陽性反応(擬陽性)にも敏感です。そのため、陽性反応後の妊娠検査の不妊結果で化学流産の存在を推測し、より辛い体験をしてしまいます。

今の妊娠検査薬の精度は非常に高いのですが、化学流産が原因で陽性が出る場合もあるため、妊娠検査薬の陽性はあくまでも病院に行くきっかけだと考えてください。

また、整理予定日前に早期妊娠検査薬を使ったフライング検査を行うと、化学流産を知る確率が上がってしまいます。知る必要がない余計なショックを受けたくない人は、フライング検査を行わない方が良いと思います。

可能であれば、妊娠検査薬でくっきり陽性が出た後でも、「胎嚢」「胎芽」「心拍」の確認を医師がしっかり教えてくれるまでは気持ちを抑えて、なるべく冷静に過ごしましょう。

化学流産以外の流産の状態の種類・状態に関しては、以下を参考にしてください。

流産の種類・状態
1.切迫流産(せっぱくりゅうざん)
2.進行流産(しんこうりゅうざん)
3.不全流産(ふぜんりゅうざん)
4.完全流産(かんぜんりゅうざん)
5.稽留流産(けいりゅうりゅうざん)
6.化学流産(かがくりゅうざん)