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赤ちゃんの扱いが怖いのは首がすわってないから
男性にとって、産まれたばかりの赤ちゃんはとても気を使う存在です。パパやじいじは、赤ちゃんに触ることが怖い感覚があり、「抱っこ」にも慎重です。
産まれたばかりの赤ちゃんを初めて抱っこするときはママでも緊張しますが、それよりも喜びの方が大きいですね。さらに、ママは赤ちゃんの抱っこをいつまでも怖がっていられません。
ママは産後すぐに授乳やおむつ替え、沐浴などが始まり、毎日抱っこしなければいけません。忙しい中で、時には赤ちゃんをテキパキと素早く扱わなければ、時間が足りません。
赤ちゃんのお世話に慣れない男性陣は、慣れと覚悟がないため、このテキパキができません。パパが赤ちゃんの扱いを怖がる理由はわかりますね。赤ちゃんの首がすわっていないから不安なんです。
ママは、日々のお世話で赤ちゃんの扱いに慣れながら、身体のあちこちがしっかりしてきたことに気が付きます。「あっ、今ちょっと首に力入れたかな?」とか、縦抱きのときに「自分で首動かしてる!」などですね。
もちろん、パパには赤ちゃんの首がすわっていなくても抱っこぐらいはして欲しいのですが、首さえすわれば怖がらずにお世話してくれるように促すことができます。
そこで今回は、赤ちゃんの「首がすわる」とはどのような状態なのか、パパやじいじも確認ができる首すわり時期のお話しをしたいと思います。
赤ちゃんの首すわりとは
よく赤ちゃんの首がすわっている、首がすわっていないと表現しますが、すわるの漢字は「座る」ではなく「据わる」です。
首がすわっていないとは、身体の中で一番重い頭を支えるために必要な首の筋肉、神経が十分に発達していないため、自分で頭を持ち上げることができない状態のことです。
赤ちゃんの「首すわり」を軽く考えている人もいますが、たとえば大人がスノボで後ろ向きに転倒しても頭をぶつけることは稀ですよね。それは、転倒した際に、首の筋肉・骨格が頭を支えて頭をぶつけないように守るためです。
ところが、首がすわっていない赤ちゃんをしっかり支えずに縦抱きすると首はふらふら……。そんな赤ちゃんの身体を少しでも後ろに傾けると、赤ちゃんは自分で首を支えられずに、首だけがガクッと倒れてしまいます。これはとても危険です。
成人の頭の重さはおよそ5-6kgで、体重比で6-13%ほどです。対して赤ちゃんの頭の重さはおよそ1kgで、体重比にすると30%以上もあります。
そのため、ちょっとした動きでも頭が重りになり、グキッと頚椎を損傷してしまうかもしれません。
もちろん、首がすわっていなければ赤ちゃんは体を動かすこともできませんし、首を左右に振ることさえできません。
赤ちゃんの首すわり時期はいつごろ?
では、赤ちゃんの首がすわる平均的な時期はいつごろでしょうか。
赤ちゃんが首を支えることができるのは、一般的に生後3か月を過ぎたころです。このころ首周りの筋肉が発達し始め、ようやく重い頭を支えられるようになっていきます。
首すわりは、赤ちゃんの身体機能が発達していくための最も基本的で最も重要な運動機能です。首すわりは、生後3-4か月ごろに6割を超え、生後4-5か月ごろには9割を超えます。
生後02-03か月未満:11.7%
生後03-04か月未満:63.0%
生後04-05か月未満:93.8%
生後05-06か月未満:98.7%
生後06-07か月未満:99.5%
なお、厚生労働省の「乳幼児身体発育調査」によると、首すわりの定義は以下の通りです。
乳幼児を仰向けに寝かせ、両手を持って引き起こしたとき、首が遅れないでついてくるとき「できる」とした。遅れた場合は引き起こし加減を少しもどして、再検した。再検してなお遅れる場合は「できない」とした。
ただし、首すわりは徐々にしっかりしていくため、早い子は生後2か月前後から首がすわり始めますが、首がすわって安定していると言えるのは生後5-6か月ごろです。
生後3か月で何となく首がしっかりしてきたなと思っても、安定するまでは気をつけて抱っこするようにしましょう。
赤ちゃんの首すわり確認方法
赤ちゃんとコミュニケーションを取るには抱っこが必須です。「早く抱っこしたいけど、ちょっと怖い……。」という男性陣は、生後2-3か月を過ぎてから、首がすわったかどうかを確認してください。
確認方法1.おもちゃを追って首が横に向くか
音が鳴るおもちゃが好きな赤ちゃんには、おもちゃを見せながら左右に動かしたときに、頭を動かして追えるかを確認します。
おもちゃを追ってゆっくりと首を左、右に振ることができると(得意な方向がある)、首周りの筋肉がついてきている証拠です。
確認方法2.うつぶせ寝で頭が持ち上がるか
お風呂あがりなど身体が温まっているときに、赤ちゃんをうつぶせに寝かせましょう。そこで赤ちゃんが自分で頭を持ち上げられるかを確認します
首が発達してきていれば、早く動きたい赤ちゃんは頭を持ち上げようとします。赤ちゃんが数秒でも正面を見られれば、だいぶ首がすわってきた証拠です。
生後間もない赤ちゃんの頭の重さは体重の30%もあるため、うつぶせで赤ちゃんが自分で頭を持ち上げられるかどうかは、首すわりの重要な判断基準になります。
確認方法3.縦抱きで首に力が入っているか
赤ちゃんがうつぶせ寝で頭を持ち上げられたら、次は後ろに倒れないように支えられるかどうかを確認しましょう。
赤ちゃんを縦抱きにします。首がピンとしていれば首がしっかりしてきている証拠です。前後左右にゆっくりと少しだけ傾け、赤ちゃんが頭を支えられるかも確認してみましょう。
確認の際は必ず首のすぐ後ろに手を添えて、すぐに赤ちゃんの頭を支えられるようにしてください。
確認方法4.仰向けから起こして頭がついてくるか
最後に、赤ちゃんが仰向けの状態から身体を引っ張って起こすことで、赤ちゃんの頭が遅れずにちゃんとついてくるかを確認します。これを「引き起こし反射」と言います。
わきの下に手を入れて起こすよりも、両腕をゆっくりと引いて起こす方が首すわりを確認できます。腕をゆっくり引っ張った時に、赤ちゃんの頭が遅れずについてくれば、ひとまず首がすわっていると言えます。
首すわり確認後の注意点
もし、首すわり確認で赤ちゃんの首がすわっていると判断できたとしても、この時点ではやっと自分の力で首を支えられるようになっただけです。
頭や身体に外部の力が加わったり、強く揺れると頭がガクッとなるため、しばらくは注意が必要です。首がすわったと判断してから、2-3か月ほどは首を支えながら慎重に扱ってください。
とくに、「首がすわったから安心♪」と過剰にあやしたり、揺さぶったりすると、「揺さぶられっ子症候群」を起こすリスクもあります。
揺さぶられっ子症候群とは、赤ちゃんの身体を揺さぶることで脳が揺れ、脳内出血など脳の損傷に至る症状を言います。詳細は以下を参考にしてください。
赤ちゃんの首すわり練習法
「生後3か月、4か月を過ぎたけど、まだ首がすわらないの。」というママは、まず赤ちゃんが首を動かしたがっているかを確認してから、遅いかどうかを判断してください。
赤ちゃんが今後色々な動作をするには首すわりが大前提ですが、赤ちゃんに首を動かそうという気がないのに無理をさせてはいけません。
練習の流れ1.うつぶせに寝かせる
赤ちゃんの首すわりの助けになる運動は、時間を決めてうつぶせに寝かせることです。
たとえば、お風呂上がりに赤ちゃんをうつぶせに寝かせて様子をみましょう。その際、脇の下に薄く硬めのクッションなどを敷くと、赤ちゃんが頭を持ち上げる助けになります。
練習の流れ2.赤ちゃんの興味をひく
好奇心が強い赤ちゃんは何とか首を動かそうとしますが、そうではない赤ちゃんは、床にベターーっと寝そべったままです。
ママがすることは、赤ちゃんががんばって首を持ち上げるように、気を引く声をかけをしたり、おもちゃで釣ったりすることです。
練習の流れ3.嫌がったら別の日にトライ
もし、赤ちゃんがうつぶせを嫌がったり、首を持ち上げようとしなければ、2-3分でやめて明日またトライしましょう。
また、首がしっかりすわっていない赤ちゃんがうつぶせを気に入った様子だとしても、うつぶせのまま放置しないでください。
赤ちゃんをうつぶせで放置すると、何かの拍子に窒息につながったり、そのまま眠ってしまい乳幼児突然死症候群(SIDS)などが起こる可能性があります。うつぶせ寝の注意点は、以下を参考にしてください。
首がすわる前に縦抱きしても良い?
パパによくある勘違いですが、「首がすわらなければ縦抱きしちゃダメ!」ということはありません。
縦抱きをしたときに、必ず首とおしりをしっかり支えていれば、新生児でも縦抱きをした方が授乳も楽ですし、コミュニケーションも取りやすいでしょう。
また、縦抱きをすることで首が鍛えられますし(諸説あり)、赤ちゃんが少しずつ自分で首を支えられるようになる成長も早く感じられます。
縦抱きよりも横抱きが安全なわけではありません。首をしっかり支えずに横抱きをするなら、首とおしりしっかりを支えた縦抱きの方がよっぽど安全です。
ただし、人間の重い頭は脊柱のS字カーブによって、支える負担が軽減されています。脊柱のS字カーブが完成していない赤ちゃんにとって、あまり長い時間の縦抱きは負担になることも覚えておきましょう。
パパもこれから哺乳瓶を使った授乳をすることはあるはずなので、縦抱きの授乳方法も押さえておいてください。
首がすわるとパパが寄ってくる…
ママは赤ちゃんと単純に遊んでいるのではなく、授乳やおむつ替えなどの必要な行為をするために、抱っこなどして毎日触れ合っています。そこが、普段のパパのコミュニケーションとは違うところですね。
赤ちゃんの首がすわって、赤ちゃんが安全だとわかると、それまで怖がっていた男性陣がワラワラ寄ってくるようになります(^_^;)
眠ったばかりの赤ちゃんにちょっかいを出してきます……。
ほっぺをツンツンして起きてるか確認してきます……。
そして、すきあらば抱っこをしようと考えています……。
眠ったばかりの赤ちゃんを抱っこするのはやめて欲しいのですが、赤ちゃんの首がすわっていれば、「起こしたら寝かしつけてよ。」とパパに任せることもできますね。
赤ちゃんは、首がすわっていない時期でも、首を支えながら気をつけてコミュニケーションをとれば全く問題ありません。
パパは、首すわり前でも怖がらずに赤ちゃんを抱っこして、授乳したり、あやしたりなど触れ合ってください。すると、赤ちゃんが成長したときに、スムーズにコミュニケーションが取れるようになるはずです。