妊娠中の腰痛で歩けないことも…妊婦のひどい腰痛の原因と対策

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妊娠中の腰痛が辛い…

以下の調査によると、妊娠期に腰痛を感じる妊婦の割合は70%ほど、程度には差がありますが、多くの妊婦が腰痛を経験しています。

妊娠期の体重増加と腰痛発症時期との関連及び対処法 日本助産学会誌 J. Jpn. Acad. Midwif., Vol. 31, No. 1, 44-53, 2017

わたしの場合は妊娠後期に腰痛がひどく、歩行中やトイレに座るときも激痛が走り、日常生活がままならない状態でした。

妊娠中はつわりや便秘など、さまざまな身体の不調があります。さらに、腰痛で日常生活に支障が出ると、本当に毎日疲れてしまします。これは体験した人にしか分からない辛さですね。

そこで今回は、妊娠中の腰痛の原因と痛みへの対策、腰痛の予防方法についてまとめました。

妊婦の腰痛の割合と姿勢性・骨盤性

妊婦の約7割が経験する腰痛ですが、程度が重い場合は出産後3年経過しても17%は痛みが持続するという報告があります。そんな妊娠中の腰痛は大きく2つに分けられます。

骨盤性腰痛(妊娠初期-中期)

妊娠初期から中期にかけては、骨盤製腰痛が起こります。

妊娠中から産後数か月において、分泌量が増加するホルモン (エストロゲン, プロゲステロン, リラキシン) の作用によって仙腸骨靭帯や恥骨結合が弛緩し、骨盤輪の可動性が増大することで腰痛を発症しやすくなります。

姿勢性腰痛(妊娠中期-後期)

妊娠中期から後期にかけては、姿勢性腰痛が起こります。

姿勢性腰痛とは、胎児の発育に伴う子宮の増大により、腰椎に負荷がかかることで起こる腰痛です。

妊婦の腰痛の原因

妊婦の腰痛の原因について、もう少し詳しく見てみましょう。

女性ホルモンの分泌

腰痛を悪化させる原因の1つに、エストロゲン、プロゲステロン、リラキシンなどのホルモンによる影響があります。

特にリラキシンは、骨盤周辺の関節を弛緩させる働きがあり、妊娠中は骨盤周辺関節の可動域が非妊娠時の32-68%大きくなるという報告があります。この、関節のゆるみにより腰痛を発症させる可能性があるということです。

ただ、最近の研究では、妊娠時の骨盤周辺の痛みや腰痛はリラキシンの分泌濃度に関連が無いという報告もあり、詳しいことはまだはっきりと分かっていません。

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体重増加による姿勢の変化

姿勢性腰痛の原因は、妊娠後期頃大きくなったお腹を支えるため、骨盤に対して背骨を後方に反った姿勢をとり、腰椎や胸椎などに負担がかかることで起こります。

妊娠後期の胎児は2キロ近く、羊水や胎盤などを合わせれば約3キロの重りがお腹にぶら下がっている状態です。お腹が前に張り出し、そこに重りが加わることで腰が反るような姿勢になり、腰椎に負荷がかかって腰痛につながってしまうのです。

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妊婦に特徴的な姿勢

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目や頭、体の疲れ

その他の原因として考えられるのが、目や頭、身体の疲れによるものです。

妊娠中は、つわりや腰痛などのマイナートラブルによって家で安静にしていたり、産休で家にいる時間が増えます。その際、家で長時間同じ姿勢でスマートフォンやテレビを見ていると、腰痛や肩こりなど全身症状を感じることがあります。

詳しいメカニズムは解明されていませんが、目が疲れると、首や肩の筋肉が緊張し血行が悪くなり、ストレスを感じることが原因だといわれています。

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姿勢に気を使うから

妊婦がお腹の胎児を気遣いすぎて、無理な姿勢をとることで腰痛が起こることもあります。

お腹が大きくなってくると、眠るときもうつぶせになれず、寝返りも一苦労です。また、かがんだり振り返るときは「赤ちゃんが苦しくないか」と、身体を大きく動かすことはなるべく避けようとします。

このように姿勢が固定されて筋肉が緊張したり、運動不足などの原因で血行が悪くなることで、腰痛を引き起こすリスクがあります。

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ストレスによる筋肉の萎縮

妊娠中の心理的なストレスによって腰痛が起こる可能性もあります。

ストレスを感じると、睡眠障害や頭痛、下痢、便秘、吐き気、肩こり、腰痛などの症状が現れることがあり、これを身体化といいます。

同じように、腰痛も心理的なストレスによる脳機能の不具合で、筋肉の血流量が不足して起こっているのではないかといわれています。

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産婦人科医がすすめる腰痛対策

骨盤ベルトなど

骨盤ベルトは、リラキシンなどの作用によって緩んだ関節によって引き起こされる骨盤周囲の痛み(お尻に近い部位の痛み、恥骨や股関節周辺の痛み)に対して効果が期待できます。

使用する際は、妊娠中から着用できる製品か確認し、効果的に使用するために正しい着用方法を確認してください。切迫早産などの恐れがある場合は医師に相談してから使用してください。

骨盤ベルトは、恥骨や大転子(足の付け根部分の関節)の上で巻きます。助産院や病院で骨盤ベルトの着用方法を指導してくれるところもあるので、妊婦健診の際に相談してください。

お腹が重くなって腰が反ってしまう姿勢性腰痛に対しては、妊婦帯の使用で効果が現れる場合もあります。妊婦帯は、妊娠中の腰回りの負担軽減や保温などを目的に着用するもので、さらしタイプ、腹巻きタイプ、パンツタイプ、ベルトタイプなどがあります。

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非妊娠時であれば、腰痛に対してコルセットを使用すると腰部の負担が軽減されますが、妊娠中は腹部を圧迫するためコルセットが巻けません。一方、妊婦帯は腹部に負担がかからない付け心地で、腰部の負担軽減になります。

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運動によるエクササイズ

妊娠後期は特に、増大する子宮によって腹筋が引き伸ばされて収縮力が弱まったり、骨盤底筋が子宮の重みによって伸展されやすくなります。

身体を支える筋力が低下すると腰背部痛を生じることがあるため、筋力を維持・向上させるエクササイズをすることで予防や解消につながります。

妊産婦に対するウィメンズヘルス理学療法   平元奈津子

妊娠中の運動は出血や早産などを誘発させるリスクがあるため、担当医に相談し過度な運動は避けましょう。

「妊婦スポーツの安全管理基準」では、妊婦の運動は1回60分以内の運動を週2-3回、10-14時に実施することが望ましいとしています。具体的には、速歩や軽度のサイクリング、軽度の水中歩行など「やや楽」と感じる程度の強度の運動が推奨されています。

体重コントロール

妊娠中は食べつわりになったり、食欲が増す人もいて食事管理が難しい場合もありますが、腰痛だけでなく妊娠中、出産時のリスクを考えると適正体重の範囲内でコントロールしていくことがベストです。

妊娠後期は、胎児の成長や羊水量の増加、循環血液量の増加などで腰痛を生じやすい状態です。体重増加が妊娠期の早い段階で始まると、腰痛を感じる時期も早まります。

厚生労働省は、妊娠中の体重増加量の程度について以下の目安を設けています

・BMI18.5未満(痩せ気味体型) 10-12kgの体重増加
・BMI18.5-25未満(標準体型) 7-10kg程度の体重増加
・BMI25以上(太り気味体型)5-7kgの体重増加

ただし、自己判断による過剰な食事制限や運動は胎児の成長や妊婦自身の健康に影響を与えるリスクもあるため、医師に相談しながら行いましょう。

姿勢に気をつける

前述した通り、妊娠中期から後期は、妊婦独特の姿勢によって腰痛が起こります。

腰椎に負担をかけない正しい姿勢は、壁を背にして立ったときの姿勢です。座るときは椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばして、骨盤は立位のときのようにまっすぐに座りましょう。膝と足首は床に対して90度になるよう高さを調整すると楽にまります。

腰痛の原因 症状・疾患ナビ | タケダ健康サイト

妊娠前からの癖で、腰痛がさらに悪化してしまう場合もあります。脚を組む、中腰姿勢、鞄を片方の肩にかけるなどの動作は、知らないうちに腰椎に負担がかかり、腰痛を悪化させる原因になります。

鞄はリュックサックがおすすめですが、ショルダーバッグやハンドバッグの場合は、時々持ちかえるなど、気づいたときに姿勢を意識してください。

【医師監修】妊婦の腰痛の原因と対処法、効果的なストレッチ・体操 | マイナビウーマン子育て

重いものを持たない

妊娠中に重いものを持つのは良くないことだと知っていますよね。重いものを持つと腹圧がかかり、早産のリスクが高まるためです。

もちろん、腰痛予防の点でも、重いものを持ち上げると腰部に負担がかかるため良くありません。

重いものを持たなければならないときは、しゃがんで持ち上げ、なるべく身体に近づけて持つことが大切です。上の子がいて抱きあげる場合も、中腰にならないように注意しましょう。

また、重いものを持っているとき、子供を抱っこしているときに方向転換する場合は、腰をひねらず、身体ごと向きを変えるようにしてください。

腰を温める

腰を温めることで、血行が良くなり、腰痛が緩和されます。腰を冷やさないように衣服や寝具で調整したり、お風呂で湯船につかるなどで腰痛を和らげたり、悪化を防ぐ効果が期待できます。

なるほど健康 腰痛 - トヨタ記念病院

食生活を改善する

妊娠中に食欲旺盛になる人は、1日の摂取エネルギーを超えてしまう場合があります。肥満は腰痛悪化の原因になります。

食事は主食、副菜、主菜をバランス良く食べるのが理想です。摂取エネルギーは、妊娠初期で+50kcal、妊娠中期で+250kcal、妊娠後期では+500kcalが目安とされています。

厚生労働省:「妊産婦のための食生活指針」の策定について:妊産婦のための食生活指針 ―「健やか親子21」推進検討会報告書―

揚げ物や菓子パン、スナック菓子の回数を減らし、ジュースや炭酸飲料をお茶やハーブティーなどにかえるなどの工夫をしてください。

甘いものや炭水化物の量をセーブし、代わりに野菜や魚などをたくさん摂ると満足感が得られます。また、温野菜やスープなど副菜をたくさん摂ると、ビタミンやミネラルが摂取でき、カロリーも抑えられます。

出産までずっと痛い場合も

出産するとお腹は軽くなりますが、すぐに腰痛が治らない場合もあります。

残念ながら、妊娠中に腰痛を発症した妊婦のうち、45%が出産後の産褥期にも痛みを訴え、17%は産後3年経過しても痛みが持続するという報告があります。

NorenLOstgaardSJohanssonG(2002):Lumberbackandposteriorpelvicpainduringpregnancy:3-yearfollow-upEuropianSpineJournal11267-27

産後の腰痛は、分娩による身体的なダメージに加えて、妊娠中の体重増加量や授乳やおむつ交換など、育児中の姿勢が原因になることもあります。

骨盤ベルトの利用、適度なストレッチ、正しい姿勢を意識するなどで改善しない場合は、早めに受診して鎮痛剤を使用するのも1つの手段です。

産褥期の腰痛の経日的変化と関連要因 日本助産学会誌 J. Jpn. Acad. Midwif., Vol. 21, No. 2, 36-45, 2007

鎮痛剤や湿布などは、妊娠中や授乳中でも種類・用量を守れば使用できるものがあります。辛い腰痛は、日常生活も困難になり精神的にも辛いものです。

産婦人科の担当医に相談しつつ、自分でもできることに取り組み、産後にストレスが少ない育児ができるようにしましょう。

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まーさ

保育士資格、幼稚園教諭免許(一種)を取得後、保育園・幼稚園・支援センターを複数回経験して、もうすぐ業界歴20年です。 仕事と2人の子育てをこなしつつ、勉強をしつつ、ゆっくり情報を発信しています。

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