赤ちゃんがはちみつを食べてはいけない理由は?加熱してもダメ?

赤ちゃんがはちみつNGの理由は?メープルシロップや黒糖はOK?

投稿日:2019年3月10日 更新日:

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はちみつを使った離乳食による事故

はちみつは美容や健康に良い効能があり、テレビや雑誌でもよく取り上げられます。砂糖の代わりにはちみつを使った料理も多く、はちみつは健康食品というイメージを持つ人もたくさんいます。

それだけ健康に良いなら、赤ちゃんの離乳食にもはちみつを使いたいと考える人がいてもおかしくないですね。

実際に2017年4月までは、クックパッドにはちみつを使った離乳食レシピが多数掲載されてましたが、現在は1つもありません。というのも、2017年3月にはちみつを摂取した赤ちゃんの死亡事故が起きたからです。

離乳食にはちみつで男児死亡 「クックパッド」のレシピをめぐり物議(BuzzFeed Japan) - Yahoo!ニュース

実は赤ちゃんにはちみつは禁忌なんです。今回は、赤ちゃんがはちみつを食べてはいけない理由、メープルシロップなど似た食品もダメなのかについてお話します。

はちみつによる赤ちゃんの死亡事故のあらまし

2017年3月に生後5か月の男の子が、はちみつが原因で死亡する痛ましい事故が起こりました。

食中毒の発生について|東京都

男の子は発症の約1か月前から市販のジュースにはちみつを混ぜたものを飲んでおり、2月16日からせきや鼻水の症状が出ていたそうです。せきや鼻水程度であれば、「風邪かな?」程度に考えてもおかしくありません。

ところが、2月20日に痙攣や呼吸不全の症状が出たため救急搬送され、その後3月30日に亡くなっています。

検査の結果、男の子の便や開封したはちみつからボツリヌス菌が検出されたため、足立区の保健所は死亡原因はボツリヌス菌によるものと断定しています。

赤ちゃんは、はちみつに含まれるボツリヌス菌に感染して、「乳児ボツリヌス症」を起こしてしまったのです。

乳児ボツリヌス症とは

乳児ボツリヌス症とは、はちみつに付着したボツリヌス菌の芽胞が赤ちゃんの腸内に感染し、腸管内で発芽・増殖して毒素を発生することでさまざまな症状を起こす病気のことです。

ボツリヌス菌の特徴

ボツリヌス菌は土壌や海、湖、川などの泥砂中に存在する身近な菌で、低酸素状態になると発芽・増殖(嫌気性菌)して毒素を発生します。しかもこの毒素は、自然界の毒素の中では最強だそうです。

ボツリヌス菌は熱や乾燥に強く、120℃で4分以上、あるいは100℃で6時間以上の加熱をしなければ完全に死滅しません。

ボツリヌス菌|「食品衛生の窓」東京都福祉保健局

乳児ボツリヌス症の症状

ボツリヌス菌の潜伏期間は3日-30日ほどで、症状が発現するまでに個人差があります。乳児ボツリヌス症の症状は神経麻痺で、全身の筋力低下が現れます。

まずボツリヌス菌が腸管内で発芽して毒素が産生されると初期症状は便秘、哺乳力の低下など腸や消化器官の症状、活気の低下、泣き声が弱いなども見られます。

乳児ボツリヌス症が進行すると、筋力低下で首のすわりが悪くなる、よだれが多い、眼球運動の麻痺、呼吸が弱くなるなども現れ、重症になると呼吸筋の麻痺で自発的な呼吸が阻害されて死亡するケースがあります。

乳児ボツリヌス症 妹尾小児科

ボツリヌス食中毒とは

また、ボツリヌス菌は「ボツリヌス食中毒」を発症する可能性もあります。これは乳児から大人もかかる食中毒の1種で、腸管内での芽胞ではなくボツリヌス菌の毒素を取り込むことで発症します。

潜伏期間は8-36時間で、吐き気や嘔吐、視力障害、言語障害、嚥下障害などの神経症状が現れます。

ボツリヌス菌の予防

東京福祉保健局では、乳児ボツリヌス症・ボツリヌス食中毒の予防として以下の注意を呼びかけています。

  1. 容器包装詰加圧加熱殺菌食品(レトルトパウチ食品)や大部分の缶詰は、 120℃4分間以上の加熱が行われているので、常温保存可能ですが、これとまぎらわしい形態の食品も流通しています。「食品を気密性のある容器に入れ、 密封した後、加圧加熱殺菌」という表示の無い食品、あるいは「要冷蔵」「10℃以下で保存してください」などの表示のある場合は、必ず冷蔵保存して 期限内に消費してください。
  2. 真空パックや缶詰が膨張していたり、食品に異臭(酪酸臭)があるときには絶対に食べないでください。
  3. ボツリヌス菌は熱に強い芽胞を作るため、120℃で4分間(あるいは100℃6時間)以上の加熱をしなければ完全に死滅しません。そのため、 家庭で缶詰、真空パック、びん詰、「いずし」などをつくる場合には、原材料を十分に洗浄し、加熱殺菌の温度や保存の方法に十分注意しないと危険です。 保存は、3℃未満で冷蔵又はマイナス18℃以下で冷凍しましょう。
  4. 食中毒症状の直接の原因であるボツリヌス毒素は、80℃30分間(100℃なら数分以上)の加熱で失活するので、食べる直前に十分に加熱すると効果的です。
  5. 乳児ボツリヌス症の予防のため、1歳未満の乳児には、ボツリヌス菌の芽胞に汚染される可能性のある食品(蜂蜜等)を食べさせるのは避けてください。

ボツリヌス菌|「食品衛生の窓」東京都福祉保健局

はちみつ入りのおかし・飲料もNG

市販のはちみつには十分な加熱処理がされておらず、芽胞に汚染されている可能性があります。もちろん、はちみつが含まれるお菓子や飲料、保存食品も同様で、1歳までは与えない方が良いです。

自家製の缶詰・瓶詰、保存食品も注意

ボツリヌス菌は嫌気性菌なので、自家製の缶詰・瓶詰食品やパックの保存食品で繁殖しやすいそうです。ボツリヌス菌以外の菌も増殖して食中毒の原因になりかねないため、保存方法や調理方法のルールを守るなど注意が必要です。

ボツリヌス菌|「食品衛生の窓」東京都福祉保健局

はちみつは何歳から? いつから食べられるか :ボツリヌス菌 | 母子栄養協会|離乳食と幼児食の資格取得

メープルシロップのボツリヌス菌のリスクは?

ここまでボツリヌス菌のリスクを話すと、はちみつ以外の甘味も心配になる人がいると思います。まずはよく似たものとしてメープルシロップがあります。

メープルシロップ(maple syrup)はサトウカエデの樹液を煮詰めて作る甘味料で、カナダのケベック州が市場の約8割を生産しています。

メープルシロップは「ショ糖」、はちみつは「ショ糖」と「果糖」から成ります。果糖はショ糖の1.3倍甘く感じるため、メープルシロップよりもはちみつの方が甘味を強く感じます。

また、メープルシロップはカルシウム・マグネシウム・カリウムなどのミネラル類を多く含み、はちみつはビタミンB1・B2・B6・ビタミンC・葉酸などのビタミン類を多く含みます。

1-0203 砂糖類(正誤表12反映1227)|第2章 日本食品標準成分表 PDF(日本語版) 文部科学省

メープルシロップとは メープルシロップの栄養価 メープルシロップ

ボツリヌス菌の有無

メープルシロップはサトウカエデの樹液を10時間以上煮詰めて採取するため、十分な加熱殺菌処理をしています(煮詰めて作るため40リットルの樹液から1リットルしか採取できない)。そのため、ボツリヌス菌の心配はありません。

注釈ボツリヌス菌は120℃で4分以上、あるいは100℃で6時間以上の加熱で完全に死滅します。

メープルシロップは離乳食に使える!

というわけで、メープルシロップは離乳食に使えます。たとえば、はちみつの代用品としてメープルシロップをヨーグルトに混ぜたり、離乳食のレシピに加えても良いですね。

与える時期はいつごろ?

メープルシロップを赤ちゃんに与える目安は、離乳食後期(生後10か月過ぎ)ですが、稀に食物アレルギーが起こる子もいるため、最初はごく少量から与えてください。

与える量はどれくらい?

1日の上限摂取量の目安は、離乳初期で1g未満(小さじ1/3程度)、離乳中期で2g(小さじ2/3杯)、離乳後期で3g(小さじ1杯)、離乳完了期で4g(小さじ1と1/3杯)、1歳で10g(大さじ1杯)、2-4歳で15g(大さじ1と2/3杯)ほどです。

1日の糖類の摂取目安量

赤ちゃんと子供にメープル メープルシロップ|ケベック・メープルシロップ生産者協会

上記はあくまで上限摂取量の目安なので、なるべく少ない量に抑えましょう。

使えるメープルシロップは?

メープルシロップが採取できるサトウカエデは希少で、カナダ南東部を中心とした一部の地域のみに原生しています。しかも、夏は暑く、冬は-30℃という寒暖差のある気候でなければ、甘い樹液を作り出せません。

そのため、メープルシロップと呼べる商品はサトウカエデの樹液100%のもののみです。

メープルシロップの香りや味を手軽に味わえるよう、メープルシロップ風味など加工された商品も販売されていますが、それは、別の甘味料や香料が含まれるため、赤ちゃんには与えないでください。

メープルシロップのデメリットは?

【医師監修】赤ちゃんにメープルシロップをあげるのはNG?(2017年11月25日)|ウーマンエキサイト(1/3)

赤ちゃんにメープルシロップを与えるデメリットは2つあります。

  • 甘味が強いため味覚形成に影響を与える
  • ショ糖類のため虫歯になりやすい
  • 水分量が多いため早く傷みやすい

メープルシロップは自然で安全性も高い甘味料ですが、甘味が強いため赤ちゃんの味覚形成に影響を与える可能性があります。

主成分がショ糖のため、虫歯の心配もあります。赤ちゃんは生後10か月ごろからメープルシロップは食べられますが、使うのは少量にして、食べた後はお口のケアをすることが大切です。

また、メープルシロップは水分量が多いため、カビが生えたり傷みやすい特徴があります。開封前は常温保存できますが、開封後は蓋を閉めて冷蔵庫で保存してください。使い切るまで1か月以上かかる場合は、冷凍庫で保存しましょう。

FAQ メープルシロップ|ケベック・メープルシロップ生産者協会

その他の糖類・甘味料のボツリヌス菌リスクは

メープルシロップにボツリヌス菌が含まれないことはわかりましたが、それ以外の糖類・甘味料にボツリヌス菌の心配はないのでしょうか。

黒糖、きび砂糖、コーンシロップ

残念ながら、はちみつだけでなく黒糖、きび砂糖、コーンシロップにもボツリヌス菌が潜んでいる可能性があります。

正しい方法で加熱殺菌されていれば安全に食べられますが、食品やパッケージを見ただけでは分かりません。そのためよく分からないときは、乳児に食べさせない方が安全です。

知って予防しよう!乳児ボツリヌス症 | あおい小児科院内勉強会 | 当院のこだわり | あおい小児科

ちなみに、日新製糖のきび砂糖はサイト上で以下のように安全性の説明をしています。

ボツリヌス菌は、土壌、河川あるいは海洋に広く存在していますが、低酸素状態に置かれると菌が増殖することにより、毒素が発生すると言われています。ただし、このボツリヌス菌は、一定以上の高温で一定時間以上加熱(例えば“120℃4分以上”加熱)されると死滅します。きび砂糖とプレミアムきび砂糖の製造工程には、加熱処理工程(“120℃4分以上”に相当する加熱)がありますので、万一、ボツリヌス菌が原料に潜んでいたとしても、確実に菌は死滅し、ボツリヌス毒素についても完全に無毒化されます。また、これら製品の検査を定期的に行っておりますが、これまでボツリヌス菌を検出したことはありません。

よくあるご質問(お砂糖)|お問い合わせ|お砂糖はカップ印 日新製糖

水あめ

一方、水あめはじゃがいもやとうもろこしに含まれるデンプンから作られた甘味料です。そのため、メープルシロップのように離乳食後期から赤ちゃんに与えることができます。

水あめもなるべく少量を使うようにし、赤ちゃんの離乳食に使った場合は虫歯のケアを怠らないようにしてください。

はちみつの危険性の指摘は30年以上前から

赤ちゃんがはちみつを摂取する危険性は、最近になって叫ばれるようになったことではありません。

内閣府は、1987年10月に各都道府県に対して、1歳未満の乳児にはちみつを与えないように指導した「乳児ボツリヌス症の予防対策について」という通知を出しています。

<通知>乳児ボツリヌス症の予防対策について

個人的には「赤ちゃんにはちみつはダメ!」は割と常識の部類に入ると思っていましたが、今回の事故が起こったことで、そう認識していない人が多いことを知りました。

乳児(とくに生後3週間-6か月ごろ)は消化器官が未熟なため、乳児ボツリヌス症を発症する恐れがあることを認識しておきましょう。

ちなみに、これは赤ちゃんによる直接摂取の話で、授乳中のママがはちみつを摂取して、乳児ボツリヌス症が発症した実例は出ていません。

乳児ボツリヌス症はハチミツだけが原因ではない?|はちみつマイスター / Honey Meister

まーさ
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まーさ

保育士資格、幼稚園教諭免許(一種)を取得後、保育園・幼稚園・支援センターを複数回経験して、もうすぐ業界歴20年です。 仕事と2人の子育てをこなしつつ、勉強をしつつ、ゆっくり情報を発信しています。

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