輸送反応とは?ゆらゆら抱っこで赤ちゃんが泣きやむ理由とは

投稿日:2019年4月19日 更新日:

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ゆらゆら抱っこで赤ちゃんが寝る理由は?

赤ちゃんが泣いたとき、夜中に突然目が覚めたとき、ママが赤ちゃんをあやして寝かしつける手段はいろいろありますが、最終的には抱っこをして、ゆらゆら揺らしながら、部屋を歩き回ることが多いと思います。

これを「ゆらゆら抱っこ」なんて言いますね(抱っこゆらゆら、という人もいる)。

これまで育児をしたことがない人でも、ゆらゆら抱っこをすることで赤ちゃんが泣きやみ、落ち着きやすいことを何となく知っている人は多いでしょう。

ところで、赤ちゃんをあやすために普段から行うゆらゆら抱っこの効果には、科学的な根拠があることを知っているでしょうか。

赤ちゃんをゆらゆら抱っこしたときに、赤ちゃんに起こる反応を「輸送反応」と言います。

今回は、ゆらゆら抱っこで赤ちゃんが泣きやむ理由と輸送反応についてお話したいと思います。

輸送反応(ゆそうはんのう)とは

輸送反応とは、ライオンや猫、リスなどの哺乳類の親が子供を口にくわえて運ぶときに、子供の反応が急におとなしくなり、身体を丸めて運ばれやすい姿勢を取ることを言います。

いろいろな哺乳動物における、母親の仔運び行動とその時の仔の輸送反応

抱っこして歩くと赤ちゃんがリラックスする仕組みの一端を解明 | 理化学研究所

哺乳類の親が子供を口にくわえて運ぶのは、餌場を移動するとき、危険が迫っているときなど、どちらかというと急を要する場合です。

そんなときはとくに、子供が暴れていると運びにくいですし、身体を丸めずに伸ばしたままでも運びにくいですね。そのため、哺乳類の子供に起こる輸送反応は、まるで運びやすいように親に協力しているかのように感じます。

実は、人間の赤ちゃんも動物の赤ちゃんと同じように、輸送反応が起こっています。そのため、ゆらゆら抱っこをされた赤ちゃんは、おとなしくなることが増えます。

輸送反応の科学的な効果

理化学研究所は、哺乳類の子供が親に運ばれる際に起こる「輸送反応」の仕組みについて実験を行いました。

実験内容は、赤ちゃんを抱っこした母親が、30秒ごとに「座る→立って歩く」という動作を繰り返したときの赤ちゃんの反応を調べたものです。

赤ちゃんの泣く量が約10分の1に!

実験の結果、母親が座っているときに比べて、歩いているときの方が赤ちゃんの泣く量が約10分の1になり、赤ちゃんの自発的な動きが約5分の1になり、母親が歩き始めて約3秒で赤ちゃんの心拍数が低下することがわかりました。

母親が「座って抱っこ(Holding)」から「抱っこして歩く(Carrying)」の前後における、赤ちゃんの行動と心拍の変化

人間の赤ちゃんの輸送反応
・赤ちゃんを抱っこして歩くと泣く量は10分の1になった
・抱っこされている赤ちゃんの自発的な動きが5分の1になった
・母親が歩き始めると3秒で赤ちゃんの心拍数が低下した

つまり、人間の赤ちゃんにも他の動物に見られる輸送反応があり、赤ちゃんを抱っこして歩くことで、赤ちゃんがおとなしくなったり、泣きやんだりする効果があるということです。

なお、予備実験において、父親やそのほかの保護者が赤ちゃんを抱っこしても、同じように輸送反応があることがわかっています。

輸送反応を意識したゆらゆら抱っこのやり方

では、輸送反応を意識したゆらゆら抱っこはどのように行えば良いでしょうか。

赤ちゃんを抱っこする

まずは泣いている赤ちゃんを抱っこしてください。縦抱き・横抱きのどちらでも構いません。また、抱っこ紐の有無もどちらでも構いません。

ゆっくりではなく、少し早めに歩く

ゆらゆら抱っこというと、「ゆ~ら~ゆ~ら~」というゆっくりのリズムで赤ちゃんを揺らしながら、リズムに合わせてゆっくり歩くことを想像する人が多いと思います。

ただ、より明確な輸送反応を期待する場合は、想像よりも少し早く歩いた方が良いでしょう。

赤ちゃんがおとなしくなっても止まらない

輸送反応の効果を期待する人は、泣いている赤ちゃんを泣きやませたい、起きてしまった赤ちゃんを寝かしつけたいと思っているはずです。

とくに寝かしつけたい場合は、赤ちゃんがおとなしくなってもしばらく歩き続けた方が良いでしょう。輸送反応が止まってしまうと、赤ちゃんの心拍数が上がり、すぐに覚醒してしまいます。

ゆらゆら抱っこの注意点

輸送反応を意識したゆらゆら抱っこには、いくつかの注意点があります。

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決めた時間以上に長くやりすぎない

たとえば、5分、10分歩いても効果がない場合は一度休憩しましょう。あまりに長く揺らしすぎると赤ちゃんが疲れてしまいますし、ママもうまくいかないことでイライラしてしまいます。

赤ちゃんと身体を密着させる

抱っこしている人の身体に赤ちゃんをくっつけて、なるべく離れないようにしましょう。縦抱きの場合はお腹をくっつけることを意識しましょう。赤ちゃんは、お腹で温度変化や環境変化の違和感を感じます。

赤ちゃんの心身の特徴に合わせて行う

まだ小さい赤ちゃんの場合は、首のすわり具合に注意して行いましょう。また、ゆらゆら抱っこの好き嫌いの個人差もあるため、何度も試して赤ちゃんに合った方法を実践しましょう。

安全に注意して部屋の中を片付ける

部屋の中で行う場合は、ものにつまずかないよう部屋の中を片づけて、安全確保をしてください。

輸送反応は生体反応であり、愛着行動

赤ちゃんが泣くのは、ママに意地悪をしたいからではありません。我慢が足りないからでもありません。

赤ちゃんは自分では身体も心もコントロールできません。どうしようもない肉体的・精神的な不快感を何とかして欲しいと訴えて泣くのは、とても自然なことなんです。

ときには泣いている理由がわからず、ママは理不尽に感じるかもしれません。しかし、泣いている赤ちゃんに何度も優しく接することで、赤ちゃんはママを信頼し、愛着を抱くようになっていきます。

ただ、赤ちゃんも何もしていないわけではありません。わたしたちが気付かないだけで、ママが育児をしやすいよう、赤ちゃんなりに協力的な反応をしてくれています。

その一つが輸送反応です。もちろん、輸送反応はあくまでも親が子供を運びやすくするための生体反応であり、泣きやませや寝かしつけのための手段ではありません。

それでも、赤ちゃんの協力によって、ママが赤ちゃんを泣きやませやすくなることは間違いありません。

赤ちゃんにできることはとても限られていますが、それでも一生懸命生きようとしていること、何らかの反応を返そうとしていることは、赤ちゃんの愛着行動だと認識しましょう。そう考えると、育児ストレスも少しは軽減するはずです。

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まーさ

保育士資格、幼稚園教諭免許(一種)を取得後、保育園・幼稚園・支援センターを複数回経験して、もうすぐ業界歴20年です。 仕事と2人の子育てをこなしつつ、勉強をしつつ、ゆっくり情報を発信しています。

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