躾と虐待の意味の違い、境界線は?子供を虐待する親の気持ちとは

泣いている男の子

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子供の虐待を躾(しつけ)という親

あまり触れたくないお話しですが、親が子供を躾と称して虐待したり、ときには小さな命を奪ってしまう事件をニュースで見かけます。

テレビの報道によると、警察で取り調べを受けた親はこう言います。「自分は躾をしていただけ。少しやり過ぎたのかもしれない。」

子供がいる親にとって、児童虐待は信じられない、考えられない行為だと思います。悲しさを通り越して怒りが湧いてくるはずです。

子供は3歳を過ぎると、現時点の性格がある程度見えてきます。やんちゃな子もいれば、聞き分けの悪い子もいます。感受性が豊かな子や、自分よりも人を優先して考える子もいます。三つ子の魂百までということわざもありますね。

それでもまだ、みんなちょっとだけの違いに過ぎません。人間の性格は、広く他人に影響を与えるようになってから判断されるものです。

それまでは親が子供の行動を判断し、良い悪いを教え、時には叱って、育てていかなければいけません。つまり、子供が社会の中で成長するためには、正しい教育や躾が必要です。

では、虐待をする親が言う教育や躾とは何でしょうか。わたしたち普通の親とどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、躾と虐待の違いについてお話したいと思います。

躾(しつけ)とは

躾と虐待の違いはよく話題になりますが、明確な境目は決まっていませんし、定義も難しいものだと思います。

わたしが思う躾とは、「一般的な経験と環境に基づいて決められたルールを守って教育する過程で、そのルールを逸脱した者を、個人の感情に左右されずに、ルールを守るように導くこと」だと考えています(先輩保育士さんの受け売り)。

もしかしたら、ルールを守るように導く際に、大きな声を出してしまうかもしれません。おしりなどを叩いてしまうかもしれません。ただ、子供を導く過程に、個人的なイライラなどの感情があってはいけません。

躾という漢字は、身を美しくすると書きます。身を美しくすることが躾です。親が感情で殴ったり、蹴ったり、食事を抜いたり、怒鳴ったり……などの行為を受けた子供の身は美しくなりません。ボロボロになります。

どれだけ子供が悪いことをして、それを強制するために「躾をした」と主張しても、子供の身がボロボロになる行為は躾とは言いません。

さらに、虐待で子供が受ける傷は身体だけではありません。心に強いストレスを受けて、成長まで阻害してしまいます。

躾と虐待の違い

家庭環境によって多少の違いはあるものの、躾と虐待を混同してはいけません。躾と虐待にはどのような違いがあるんでしょうか。

違い1.行動の起こし方

躾と虐待は、その行動の起こし方に違いがあります。

躾はルールに沿って行動を起こしますが、虐待は個人的な感情によって行動を起こします。以前に「怒る」と「叱る」の違いを話しましたが、この違いと同じですね。

怒ると叱るの違い

「怒る」は感情がスイッチで、「ママが怒る」「パパが怒る」という風に自ら腹を立てることを言う。対象の相手がいなくても成り立つ。
「叱る」は誰かがある基準に反したことがスイッチで、「ママが子供を叱る」という風に他人の良くない行動を指摘してとがめることを言う。対象の相手がいなければ成り立たない。

違い2.時間のかけ方

躾と虐待は、その行動にかける時間に違いがあります。

子供が悪いことをした場合、何が悪いことかを理解させ、どういう行動をとった方が良いかを教える必要がありますが、子供はそれがなぜ悪いことなのかすぐには理解できません。

「なぜ悪いのか。その行動をしたら、誰にどんな影響があるのか。」を”学ぶ”ため時間がかかります。

ところが、虐待は「今言ってもわからないなら、身体にわからせる。」という、子供のレベルを考えない理不尽な行動です。虐待をする親は、子供が学ぶ過程はどうでもよく、今すぐに自分の思い通りにならなければ腹を立ててしまいます。

違い3.行動に対する一貫性

躾と虐待は、その行動に対する一貫性があるかないかの違いがあります。

仮に躾の際に大きな声を出したり、仮におしりを叩いたとしても、その行動にはルールに沿った一貫性があります。そのため、良し悪しは別として、不用意に行為がエスカレートすることはありません。

ところが、虐待は感情による行為のため、自分の感情が高ぶれば行為がエスカレートする場合があります。

違い4.行動に対する理由

躾と虐待は、その行動に対する理由に違いがあります。

躾は、子供の将来のため、どのような行動をとってもらいたいかを考えて繰り返し行います。そのため、子供を叱る明確な理由があり、子供が理解できるように何度も説明して、導こうとします。

虐待は、子供の将来のためなどは関係なく、今の言動が気に入らないために行われる行為です。

そのため、明確な理由があるとすれば親の感情です。どれだけ「お前のためだ!」などのそれっぽい理由をつけても、最終的には「気に入らないことをするな!親の言うことを聞け!」という感情に集約されます。

ママが叱るのは子供の社会性のため

子育てをしていて、子供に一度もイラッとしたことがない人はいません。つい感情的になり、大きな声を出してしまうこともあるでしょう。

それでも、その感情のまま突っ走ってしまうと、子供に「自分がした悪いことは、ママやパパを怒らせてしまったことだ。」と間違った認識を与えてしまうかもしれません。

子供がそう思うことは、親の本意ではありません。「子供は親の顔色を伺って、命令に従ってさえいれば良いんだ。」とは考えないはずです。

子供が感情を素直に表現できなくなることはとても悲しいことです。子供が自分の感情を持って、叱られた内容に向き合う成長ができなければ、ただのロボットです。

冒頭でお話した「自分は躾をしていただけ。少しやり過ぎたのかもしれない。」と話す虐待者は、この時点でも躾と虐待を履き違えています。何も省みず、自分を守りたいための言い訳にしか聞こえませんね。

子供を持つ親として、このようにならないよう、今一度、子供に感情的な叱り方(怒り方)をしていないか確認しましょう。

ちなみに、児童虐待には、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト(育児放棄)、心理的虐待という種類があります。これらの内容も踏まえたうえで、躾と虐待の違いを明確に持つようにしましょう。