子供が無戸籍者になる理由やデメリットは?戸籍を作る方法は

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子供が無戸籍者になる理由やデメリットは?戸籍を作る方法は

投稿日:2019年4月16日 更新日:

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出生届を提出しなかったらどうなる?

日本では当たり前のようにある戸籍制度ですが、実は日本のように家族単位で戸籍が存在する制度は世界的に見るとかなり珍しいものです。

そんな戸籍の存在は、出産をしたときにもっとも強く意識するのかもしれません。

赤ちゃんを出産をすると、役所に出生届を提出しなければいけません。これは、赤ちゃんが産まれたことを国に報告するためです。その報告の手段として、戸籍の作成が行われるわけです。

もし、出生届を提出しなかったら、戸籍が作られません。つまり、戸籍を持たない国民になってしまいます。このような戸籍を持たない人のことを「無戸籍者」と言います。

では、無戸籍になると何かデメリットがあるのでしょうか。また、なぜ出生届を提出しない親がいるのでしょうか。

今回は、子供が無戸籍者になる理由や無戸籍者のデメリットについてお話したいと思います。

無戸籍者・無戸籍児とは

無戸籍者(むこせきしゃ)とは、出生時に出生の届出をしていないため、戸籍がつくられていない人のことを言います。無戸籍者がまだ子供の場合、無戸籍児と呼ぶことがあります。

日本では戸籍法第49条及び第52条において、出生後14日以内に必ず出生届を役所に提出することで戸籍を作成しなければいけません。

無戸籍者の人数

法務省によると、平成29年11月10日時点の全国の無戸籍者の人数は719人です(把握した無戸籍者の総数1522人、解消された数803人)。

把握した無戸籍者の累計人数及び解消した無戸籍者の累計人数

法務省説明資料

もちろん、無戸籍者を把握することは難しいため、把握しきれない無戸籍者が他にも存在する可能性はあります。

戸籍がない原因

無戸籍者に戸籍がないそもそもの原因は、出生届を役所に提出していないためですが、出生届を提出しない・できないことにはさまざまな理由があります。

嫡出推定制度のため

出生届を役所に出さずに無戸籍になった原因の75%を占めるのが、「嫡出推定(ちゃくしゅつすいてい)」という制度のためです。

嫡出推定とは、妻が婚姻中に妊娠した子は夫婦の子供だとみなすことを言います。

嫡出推定のルールの中で、「離婚届後300日以内に生まれた子は遺伝的関係とは関係なく前夫の子と推定されること」があり、そのまま出生届を出すと前夫の子とみなされるため、戸籍上の手続きができないわけです。

前夫の子でないことを証明するには、前夫が嫡出否認裁判を起こすか、母子から父子関係の不存在確認裁判を起こすか、母子側から遺伝上の父に対して認知を求める訴えを起こす必要があります。

ところが、もし仮に前夫との離婚理由がDVなどの場合、またはDVなどが理由で婚姻関係を残したままの場合、前夫の協力を得ることが困難なことは十分に考えられます。

出生届の存在や重要性を知らないため

無戸籍者の母親の中には、出生届の提出義務を知らない人がいます。また、そもそも出生届の存在を知らない人もいます。

産院で出産し、産み逃げしたため

産み逃げとは、産院で出産した妊婦が、分娩費用などを支払わずに逃げてしまうことを言います。そのため、産院からの出生証明書がもらえず、出生届を提出しない・できないことになります。

産院以外で出産したため

未受診妊婦などが、産院以外の場所で自力で出産を行ったため出生証明書が無いことが考えられます。

無戸籍者のデメリット

無戸籍者はどのようなデメリットがあるのでしょうか。

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公的医療保険・年金制度に入れない

無戸籍者は、国民健康保険などの公的医療保険に加入することができません。もちろん、保険証ももらえないため、病院を受診すると3割負担ではなく10割負担になります。

また、国民年金に加入することができないため、年金を受給することができません。

運転免許証・パスポートを取得できない

運転免許証を取得するためには、本籍地が記載された住民票を提出しなければいけません。また、パスポートも戸籍謄本を提出しなければいけません。

銀行口座を作成できない

銀行口座を作成するためには、本籍地が記載された住民票を提出しなければいけません。

選挙権を取得できない

選挙の投票用紙は、戸籍をもとに市区町村から送られてきます。公職選挙法附則第2項及び地方自治法第20条には、「戸籍法の適用を受けない者の選挙権及び被選挙権は当分の間停止されている」と規定されているため、選挙権を取得できません。

日本国民であることを証明できない

日本では、たとえ無戸籍であっても、両親が日本人であること、または戸籍筆頭者が日本人であれば自動的に日本国籍を保有できます。

ただし、日本国籍を公に証明するためには、戸籍が必要です。無戸籍者は日本国籍であってもそれを証明することができません。

無戸籍者への対応・救済方法

無戸籍者の多くは、親の出生届の未提出によるもののため、本人の責とは何ら関係ありません。そのため、無戸籍者には戸籍を得るための救済措置が必要です。

出生届を提出すれば無戸籍が解消できる

無戸籍を解消するためには、父母または出生届を出すべき者(戸籍筆頭となる養育者など)があらためて出生届を出すことで、無戸籍を解消できます。

第四十六条 届出期間が経過した後の届出であつても、市町村長は、これを受理しなければならない。

戸籍法

自治体の首長判断で戸籍を作成できる

もし、父母など出生届を出すべき者がいない場合は、自治体の首長の判断で無戸籍者の戸籍を作ることができます。その場合、自由に氏を選定して新戸籍が編製されます。

無戸籍者の今後

近年、無戸籍者が社会問題になっていることもあり、無戸籍者の権利を向上させるため、法務省は無戸籍でも婚姻届の提出や義務教育を受けられるよう、法律の改正を行っています。

ただ、法務省説明資料を見る限り、無戸籍解消人数は年々増えていますが、それに比例して無戸籍者も増え続けています(あらたに発見されている)。

把握した無戸籍者の累計人数及び解消した無戸籍者の累計人数

法務省説明資料

しかも、潜在無戸籍者は1万人以上いると言われています。

【私は戸籍が32年間ありません】~無戸籍者、国内少なくとも1万人の可能性~

無戸籍児は、なりてくて無戸籍になっているわけではありません。大人の都合で子供の権利を侵害しない対策が望まれます。


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