死産と流産の明確な違い・定義は?死産届の手続きと必要書類

投稿日:2016年6月27日 更新日:

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死産と流産の違い

日本の法律では妊娠が中絶した際に、胎児が「死産」であれば「死産届(しざんとどけ)」を市区町村役所などの地方自治体に提出しなければいけません。

これは「戸籍法」で定められており、死産届を提出しなければ「火葬許可証」が発行されないため、死産した子の遺体を火葬で弔うことができません。

通常、人が亡くなった場合も同じで、医師から「死亡診断書」を受け取り、「死亡届」に必要事項を記入して、死亡届と死亡診断書を地方自治体に提出することで「火葬許可証」が発行されます。

では、ここで言う死産とはどの状態を言うのでしょうか。死産と流産の違いは何でしょうか。実は、厚生労働省と日本産科婦人科学会(JSOG)では「死産」と「流産」の定義が異なります。

今回は、死産と流産の違い、死産届提出に必要な書類、死産後の火葬の手続きなどについてお話したいと思います。

中絶とは意図的に子供を堕ろすことではなく以下の意味です。

中絶とは
中絶|妊娠が出産に至らずに「胎児の死」で終わること
人工妊娠中絶|妊娠22週未満の胎児を、手術によって母体外に排出すること
自然妊娠中絶|胎児が胎内で自然死して流産、または死産に至ること

日本産科婦人科学会の死産と流産の定義と違い

日本産科婦人科学会では、妊娠22週未満(妊娠21週6日以内)の胎児が娩出(べんしゅつ)されることを「流産」と定義しています。

さらに、流産の中でも妊娠12週未満の流産を「初期流産」と呼び、妊娠12週-妊娠22週未満の流産を「後期流産」と呼びます。

また、妊娠22週以降の死児の出産を「死産(子宮内胎児死亡|IUFD)」と定義しています。死児とは、出産後においても心臓拍動、随意筋の運動および呼吸のいずれも認められないものを言います(厚生労働省の定義)。

日本産科婦人科学会が妊娠22週未満までを流産、それ以降を死産と区別する理由は、妊娠22週以降の胎児であれば、何らかの理由によって胎児が母体から出されても、未熟児医療で生存できる可能性があるためです。

つまり、死産は人として死を迎えたという意味で、妊娠22週が1つの区切りに設定されています。

厚生労働省の死産と流産の定義と違い

厚生労働省では、人口動態調査において「流産」という項目がありません。そのため、厚生労働省は流産の定義をしていないことになります。

一方、「死産」の項目はあり、妊娠12週以降(妊娠12週0日から)の死児の出産を「死産」と定義しています。冒頭でお話した死産届は戸籍法の死産に伴うため、妊娠12週以降の死児の出産時に提出しなければいけない書類です。

わたしたちは厚生労働省がまとめた統計を目にすることが多いのですが、その統計を見てもやはり流産の具体的な数値は出てきません。

ただし、以下の様な数値が調査されている中、周産期死亡において妊娠22週以降の死産の数は取得されており、これが流産と死産の違いを複雑にする要素の1つだとも考えられます。

出産後の死亡の種類
新生児死亡|生後28日未満の死亡
早期新生児死亡|生後7日未満の死亡
周産期死亡|妊娠満22週以後の死産+早期新生児死亡
乳児死亡|生後1年未満の乳児の死亡

上記死亡の意味と数の推移は以下を参考にしてください。

死産届の提出期限と提出先

妊娠12週以降の死児の出産(流産、人工中絶含む)を行った場合は戸籍法上で言う死産となり、その日から7日以内に以下の場所へ「死産届」を提出しなければいけません。

1.届出人(親・同居人、医師・助産師など)の住民票がある地方自治体の窓口(戸籍課など)
2.死産をした病院などがある地方自治体の窓口(戸籍課など)

もし7日目が地方自治体の休日にあたる場合は、休日の次の日が提出期限になります。また、提出期限を過ぎると「理由書」が必要になり、5万円以下の罰金(過料)が科される場合があります。

日数は違いますが、提出期限の遅延に対する考え方は出生届と同様です。

すでに胎児認知をしている場合は、上記の他に出生届義務者(父親または母親)が認知の届出先(認知によって住所が変わる場所)にも14日以内に死産届を出さなければいけません。

ちなみに、死産の場合、出生届は提出できないため、戸籍には何も記載されず記録は残りません。

死産届の手続きと必要書類

地方自治体に死産届を提出する際は、以下の書類などが必要です。忘れずに確認してください。

死産届に必要な物
・死産届(死産証書と一体の用紙)
・死胎火葬許可申請書
・届出人の印鑑
・身分証明書

死産届に記載する世帯主がわからなければ、住民票を取得して確認してください。印鑑は認め印であれば良く、シャチハタはNGです。

死胎火葬許可申請書には火葬場の記入欄がありますが、これは申請前に火葬場に連絡をして決めなければいけません。地方自治体に死産届を提出すると火葬許可証をもらえますが、火葬場がよくわからなければ、地方自治体に問い合わせてください。

必要書類一式を揃えて死産届を提出すると、その場で内容確認があり埋葬(火葬)の許可審査が行われます。そのため、夜間や休日に提出した場合はもう一度地方自治体に出向く必要があります。

届出人は死産届記入者ではなく代理人でも構いませんが、届出人以外は書類訂正ができません。死産届の書き方は以下を参考にしてください。

火葬場の手配と火葬の費用

前述した通り、死胎火葬許可申請書には火葬場の記入欄があるため、事前に火葬場の手配をしなければいけません。

火葬場の手配は、民営との火葬場を葬儀代行会社に任せるか、地方自治体経由で公営の火葬場に問い合わせてもらうか、民営または公営の火葬場に自分で問い合わせるかを選択します。

火葬費用は民営の火葬場、公営の火葬場で異なりますし、葬儀代行会社を通すかどうかでも変わります。公営の火葬場の火葬費用は2000-3000円ほど、棺や骨壷などで2-3万円、後は供養を依頼するかどうかで変わります。

ただし、公営の火葬場は利用に際して地方自治体独自のルールがあるため、順番が遅くなったり、少しだけ料金が高くなることもあるようです。詳細は問い合わせてみるしかありません。

また、葬儀代行会社を使うと、上記に加えて役所の手続き、火葬の手配などをお任せして4-10万円ほどかかります(会社によって異なります)。

死産届の提出が出産育児一時金対象になる

死産届を提出しなければいけない人は、妊娠週数が12週(12週0日)以降のため出産育児一時金の対象になります。

出産育児一時金とは、赤ちゃんを出産する際に1人につき42万円(40.4万円)が健保・国保などから支給される制度のことです。出産育児一時金は以下の条件に合致していれば受給できます。

・妊婦が社会保険、または国民健康保険などに加入していること
・妊娠12週0日(85日)を過ぎて出産していること

もちろん妊娠の結果が死産でも、条件を満たしていれば出産育児一時金を受け取ることは正当な権利だと思います。

ところが、ごく一部の心ない人の中には、出産育児一時金目当てで妊娠12週0日以降に人工中絶を行おうとするようです。出産育児一時金の受給目的でそのようなことをする人は心情的に許せません。

出産後すぐに赤ちゃんが死亡した場合

では、出産したにもかかわらず、すぐに赤ちゃんが死亡した場合はどうなるでしょうか。

一度産まれた赤ちゃんは、たとえ出産が原因で直後に死亡しても死産にはなりません。「産まれた赤ちゃんが死亡した」ため、出生届の提出が必要です。

そのため、死産届ではなく「出生届」と「死亡届」を一緒に地方自治体の窓口に提出します。もちろん、この場合は赤ちゃんは戸籍に記載され、もし今後同姓の2人目の子を出産した場合は次男(次女)が誕生したことになります。

死産と流産の定義の違いは、赤ちゃんの身体上、または法律による便宜的な処理の必要性上、区別の必要があります。では、親の心情にも、死産と流産の区別はあるのでしょうか。

わたしは死産は経験していないためわかりませんが、死産を経験した女性の中には「流産よりも死産の方が悲しい。」と考える人がいるかもしれません。ただ、悲しい感情は人それぞれのため、死産と流産の悲しさに順番を付けることは難しいことですね。

流産した胎児が人間的な機能が揃っていない場合でも、順調に成長して産まれていれば、今ごろいっしょにご飯を食べたり、いっしょにお散歩していたかもしれない……と考えるとやっぱり流産も同じように悲しいことだと思います。

最後に、死産と流産の定義をまとめます。

死産と流産の定義
流産|妊娠22週未満の胎児が娩出されること
初期流産|妊娠12週未満の流産
後期流産|妊娠12週-妊娠22週未満の流産
死産|妊娠22週以降の死児の出産
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まーさ

保育士資格、幼稚園教諭免許(一種)を取得後、保育園・幼稚園・支援センターを複数回経験して、もうすぐ業界歴20年です。 仕事と2人の子育てをこなしつつ、勉強をしつつ、ゆっくり情報を発信しています。

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