野良妊婦、未受診妊婦、産み捨て、産み逃げ、飛び込み出産とは

投稿日:2019年3月9日 更新日:

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妊娠・出産における社会問題

もしあなたが、「あれ?もしかして妊娠……?」と感じたら、まず病院で妊娠検査をし、妊娠が確定した段階で妊婦生活に入ります。それから、9-10か月ほどの妊娠期間に妊婦健診に通い、正産期に入院を経て出産に至ります。

日本における妊娠から出産までの過程は、この流れがもっとも多いものだと思います。

ところが、妊娠検査、妊婦健診の流れを飛ばして、臨月に入ってから病院に行き、分娩依頼をする人もいます。もしくは、陣痛などで動けなくなり、救急車で最寄りの病院に運び込まれる人もいます。

さらには、自分が産んだ赤ちゃんを病院に残していなくなってしまう人、病院以外の場所で一人で出産して赤ちゃんを放置してしまう人もいます。

このような妊婦を「野良妊婦」「未受診妊婦」、このような行動を「飛び込み出産」「産み逃げ」「産み捨て」と言い、妊娠・出産に関する社会問題の1つになっています。

なぜ、妊婦健診を受けない妊婦が存在し、このような信じられない行動をとるのでしょうか。

今回は、野良妊婦、未受診妊婦、産み捨て、産み逃げ、飛び込み出産についてお話したいと思います。

野良妊婦、未受診妊婦、産み捨て、産み逃げ、飛び込み出産とは

野良妊婦(のらにんぷ)とは

野良妊婦とは、妊娠しているにもかかわらず産院の分娩予約をしないで、妊婦健診にも行かずに臨月をむかえ、出産に臨む妊婦の俗称です。

もともと健康な人でも妊娠中は体調の変化が激しく、病気にかかったり体調不良になることがあります。そのため、妊婦健診を受けて母体と胎児の健康状態を把握して、できるだけリスクを排除した分娩を行わなければいけません。

妊婦健診(にんぷけんしん)とは
・母体と胎児の健康状態の把握
・母体と胎児の検査計測
・妊娠生活や出産に向けた保健指導

野良妊婦は、母子手帳を持っているケースも少ないため、何かが起きて救急搬送をされても、健康状態や現在の妊娠週数がわかりません。そのため、もし受け入れる産院があったとしても、リスクが高い出産をしなければいけません。

未受診妊婦(みじゅしんにんぷ)とは

未受診妊婦とは、妊婦健診を受けずに出産に臨む妊婦の総称で、野良妊婦と同じ意味です。

大阪府では、「3か月以上妊婦健診を受けていない」「3回以下の妊婦健診しか受けていない」妊婦を未受診妊婦の定義としています。※

注意または産婦人科医師の判断によるものとしています。

未受診妊婦は、「特定妊婦(出産後の養育など出産前からの支援が必要とされる妊婦)」であることも多いため、早期発見・早期支援(児童福祉法第6条の3第5項)の必要があります。

産み捨て(うみすて)とは

産み捨てとは、周囲に妊娠していることを知らせずに産気付き、産院以外の場所で1人で出産して、その場に赤ちゃんを放置したり、赤ちゃんを殺してしまうことです。

産み捨ての多くは、人工中絶手術が可能な妊娠満22週未満を過ぎてしまうことで、産むしか手段がなくなってしまった未受診妊婦が多くを占めます。

産み捨てを防ぐために、熊本県の慈恵病院が設置した赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」も話題になりました。

産み逃げ(うみにげ)とは

産み逃げとは、産院で出産した妊婦が、分娩費用などを支払わずに逃げてしまったり、居直ってお金を踏み倒してしまう行為のことです。また、産んだ赤ちゃんを病院に残したまま逃げてしまうこともあります。

産み逃げをする妊婦は未受診妊婦で、経済的困難を抱えている場合が多いようです。

飛び込み出産(駆け込み出産)とは

飛び込み出産とは、未受診妊婦が産気付いてから初めて産院を受診したり、陣痛などによって産院に緊急搬送をされて出産することです。駆け込み出産とも呼ばれます。

大阪産婦人科医会が2016年に行った調査によると、大阪府内で1年間に行われたおよそ7万件の分娩のうち228件が飛び込み出産だということがわかっています。

2016年大阪府の未受診妊婦数

大阪府子ども総合計画の概要(素案)|平成28年調査結果について

産み捨て・飛び込み出産が起きる理由

大阪産婦人科医会が2016年に行った調査によると、飛び込み出産が起きる理由は「経済的問題」が約27%でもっとも多く、次いで「知識の欠如」が約21%、「妊娠事実の需要困難」が約15%となっています。

お金がないなどの経済的問題

出産にかかる費用は、高額だというイメージがあります。入院費用も含めた出産費用は、病院でおよそ51万円、診療所でおよそ50万円、助産院でおよそ46万円です。

さらに、妊婦健診は12-16回前後通って、合計15万円以上の費用がかかります。つまり合わせて60万円以上です……。

ただし、出産費用は、社会保険や国民健康保険に加入していれば、出産育児一時金で概ねまかなえます。

また、妊婦健診も受診券や補助券などの助成制度があり、こちらは社会保険や国民健康保険は関係なくもらえます。それらを考慮してもお金がない場合、また出産後の生活が心配な場合は、自治体に相談窓口があります。

妊婦健診が必要などの知識の欠如

前述した出産育児一時金や妊婦健診の助成制度だけでなく、そもそも妊婦健診の存在や大切さを知らない人がいます。

また、日本には産婦人科医は数が少なく、早めに準備を始めて分娩予約をしなければ受けれてもらいづらいこと、ハイリスク妊娠の場合は自ら高次医療機関を見つけなければいけないことなども知っておくべき知識です。

出産は人任せではいけないため、孤立した状態だと飛び込み出産せざるを得ない環境になってしまうかもしれません。

妊娠を認めたくない・周囲に言えない

たとえば未成年の妊娠や不貞行為による妊娠は、なかなか周囲に言えませんし、妊娠をしていたとしても事実として認めたくないと考える人もいるでしょう。

現実から目を背けているうちに中絶手術が可能な時期を過ぎてしまうと、出産をするしかなく、それでも周囲に打ち明けることができなければ、飛び込み出産をするしかない状況に追い込まれてしまいます。

妊娠・出産の社会問題を解決するためには

未受診妊婦(野良妊婦)、飛び込み出産、産み逃げ、産み捨てはすべて違う意味ですが、一連の妊娠・出産に関する社会問題として扱わなければいけません。

妊婦が飛び込み出産をする理由はいくつもあり、1つの策ですべての問題が解決するわけではありません。

それでも最低限、女性は妊娠をすると病気や体調不良を起こしやすいこと、妊婦の病気が母子の生命に影響すること、妊娠・出産費用は国や地方自治体である程度補助されることなどを知っていれば、今よりも確実に未受診妊婦(野良妊婦)、飛び込み出産、産み逃げ、産み捨ては減ります。

全貌はわかりませんが、全国の飛び込み出産件数予測は4000-5000件ほどと予想されます。

国がしなければいけないことはたくさんありますが、まずは妊娠・出産にこのような問題があることを知り、それらを解決する策もいくつかあることを知っておきましょう。

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まーさ

保育士資格、幼稚園教諭免許(一種)を取得後、保育園・幼稚園・支援センターを複数回経験して、もうすぐ業界歴20年です。 仕事と2人の子育てをこなしつつ、勉強をしつつ、ゆっくり情報を発信しています。

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