育児・教育

赤ちゃんはいつから笑う?生理的微笑・外発的微笑・社会的微笑の違い

投稿日:2017年2月5日 更新日:

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新生児の赤ちゃんが笑った!?

出産後、退院した赤ちゃんをお家に迎え入れ、寝ている赤ちゃんの様子を見ていたパパが興奮しています。

「あぁー、笑った!寝ながら笑ってるよ!可愛いなぁぁぁ。」

赤ちゃんが見せる笑顔は、天使のほほえみなんて言いますね。でもよく考えてください。人が笑うのは、面白いと思う感情からです。または、安心や嬉しさの感情を誰かに伝えるためです。

さらに子供は、イタズラや失敗をごまかすためにごまかし笑いをしたり、大人になれば、目があった人に愛想笑いをすることもあります。

では、新生児期の赤ちゃんが口角を上げて、ニヤーっとするのは感情を表現したり、愛想を振りまいているからでしょうか。「やべっ!おしっこいっぱいしちゃった。」とごまかし笑いをしているためでしょうか。

常識的に考えて、まだ感情が未熟な赤ちゃんが笑うことは難しいですよね。このように、生まれたばかりの赤ちゃんが作る笑顔を「生理的微笑(せいりてきびしょう)」や「新生児微笑(しんせいじびしょう)」と言います。

今回は、赤ちゃんの生理的微笑(新生児微笑)が起こる理由、また、赤ちゃんがいつから感情をもって笑うのかについてお話したいと思います。

生理的微笑(新生児微笑、自発的微笑)とは

生理的微笑とは、新生児期の赤ちゃんが、口角を上げて笑った(ように見える)表情を作ることです。生理的微笑は、「新生児微笑(しんせいじびしょう)」「自発的微笑(じはつてきびしょう)」とも言われます。

新生児期の赤ちゃんが見せる笑顔は、何かを面白がっているわけでも、誰かに愛想を振りまいているわけでもありません。

新生児期以降で赤ちゃんが笑う行為は、大人の真似をすることで徐々に身についていきますが、新生児期に赤ちゃんが笑う生理的微笑は、そのような学習の前に反射的に行うものです。

生理的微笑が起きる理由

生理的微笑が起きる理由は明確ではありませんが、主に以下の理由で赤ちゃんが笑っているように見えると考えられています。

生理的微笑|新生児微笑が起きる理由
・神経反射によって顔の筋肉が緊張している
・表情を作る筋肉を動かす発達の過程である

また、このような赤ちゃんの生理的微笑は、「ベビースキーマ」と同じように養育者(大人)に赤ちゃんを可愛いと思わせ、保護の対象だと強く認識させる効果があります。

外発的微笑(がいはつてきびしょう)とは

外発的微笑とは、授乳や抱っこ、声掛けなど外部からの刺激に対して、赤ちゃんの口角が上がって笑顔に見える表情を作ることです。

外発的微笑が起きる理由

生理的微笑と外発的微笑の違いは、生理的微笑は外部刺激など関係なく反射として笑顔を作ることに対して、外発的微笑は外部刺激を受けたことによって笑顔を作ります。

以下は、生後10日後から生後4か月までの間、授乳後の赤ちゃんに「笑顔を見せる(笑顔条件)」「抱っこする(触覚条件)」「声を掛ける(声かけ条件)」「3つすべてを行う(全条件)」という行為をしたときに、微笑の反応がどのように変化するかを観察した実験の結果です。

外発的微笑を起こす外部刺激の研究

乳児の社会的微笑を引き起こす外部刺激に関する縦断的研究

赤ちゃんは「笑顔を見せる」「抱っこする」「声を掛ける」という行為に刺激を得て、徐々に笑顔を作る回数が増えています。中でも、「笑顔を見せる」ことへの反応がもっとも多いことがわかります。

これは、赤ちゃんが感情で笑っているわけではなく、行為者の笑顔を見て真似をしていると考えられます。ただし、どちらにしても赤ちゃんは刺激に対して、意識的に笑顔を見せるように変化しているということです。

社会的微笑(しゃかいてきびしょう)とは

社会的微笑とは、赤ちゃんが授乳や抱っこ、声掛けなどの行為に対して、対象者に笑顔を作ることを言います。

前述したとおり、赤ちゃんは新生児から生後4か月までの間に、「笑顔を見せる」「抱っこする」「声を掛ける」という行為に対して、笑顔を見せるようになっています。これは外発的微笑から、社会的微笑に移行していることを意味します。

社会的微笑が起きる理由

赤ちゃんは、パパやママが赤ちゃんを抱っこしたり、声を掛けることと、自分が笑顔を作ることに関係性があることを学習します。つまり、笑顔を作ることで抱っこや声かけが増えることを理解できるようになるわけです。

赤ちゃんは、パパやママの抱っこや声かけによって安心感を得られるため、より安心感を得るために笑顔を模倣する回数が増えていきます。

外発的微笑と社会的微笑の違いは明確ではありません。

生理的微笑・外発的微笑・社会的微笑の時期

生理的微笑はいつからいつまで

わたしたちが確認できる赤ちゃんの生理的微笑は、生後すぐから始まります。とくに、赤ちゃんが眠っているとき、授乳後やスキンシップの最中に口角が上がって、笑っているように見えます。

生理的微笑は、妊娠30週以前の早産の赤ちゃんも、生後すぐに見られるそうです。つまり、生理的微笑は、出産後ではなく胎児のころから起こっているものだということです。

ヒトの胎児は在胎20週前後から笑顔のような表情を見せはじめ,出生後しばらくは睡眠中に光や音などの刺激なしに起きる「自発的微笑」が多く見られる。

岩波書店「科学」2015年6月号 Vol.85 No.6 連載ちびっこチンパンジー第162回『チンパンジーに学ぶヒトの笑顔の意味』

生理的微笑は神経反射によって起こるため、原始反射と同じように徐々に消失していきます。以前は、生後2-3か月ごろに赤ちゃんの生理的微笑は消失し、社会的微笑に移行するとされていましたが、現在は1歳過ぎまで生理的微笑が残ることが確認されています。

生後2~3カ月からは,覚醒中に他者に対して見せる「社会的微笑」が増えてくる。これまで,自発的微笑は社会的微笑に取って替わられ2~3カ月で消えるものとされてきたが,減少はするものの1歳を過ぎても消えないこともわかってきた。

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外発的微笑はいつからいつまで

前述した研究から、外発的微笑は生後3日目でも見られることが確認されています。ただし、安定的に微笑反応が見られるようになったのは生後1か月半ごろからだそうです。

ただし、外発的微笑と社会的微笑の違いは明確ではないため、外発的微笑がいつまで続くのかはわかりません。

社会的微笑はいつからいつまで

社会的微笑が始まる時期は明確ではありません。

赤ちゃんは、認知機能が発達して、笑うという行為と快刺激が結びつくようになると、感情によって笑うようになります。それが生後6か月前後のため、社会的微笑は生後5-6か月ごろまで続きます。

生理的微笑と社会的微笑の見分け方

「感情の概念がなく、感情表現ができない赤ちゃんが笑うのは、何か理由があるはずだ……。」などと難しく考える必要はありません。

赤ちゃんが笑えば家族は笑いますし、幸せを感じます。それが、たとえ楽しさや安心感から来る笑顔ではなくても、冒頭の夫のように「あぁー、笑った!寝ながら笑ってるよ!可愛いなぁぁ。」と素直に言える親の方が幸せです。

ちなみに、生理的微笑から社会的微笑に移行する時期に、これらの違いを見極めることは難しいと思います。

生理的微笑と社会的微笑の違いは、赤ちゃんが無意識ではなく行為に反応することなので、笑顔を見せたときや声掛けしたときに、ママやパパの方を見て笑顔を作れば、「社会的微笑かな?」程度に考えれば良いでしょう。

また、社会的微笑には個人差があります。生後2か月で笑顔が赤ちゃんもいれば、生後5か月を過ぎてもたまにしか笑顔を見せない赤ちゃんもいます。

この時期の笑顔の作り方で、将来的に愛想が良い・愛想が悪いという性格が決まるわけではないので、この時点であまり笑顔が見られない赤ちゃんでも心配の必要はありません。

ただし、赤ちゃんの笑顔が極端に乏しい場合は、表情筋などの発達障害の可能性もあるため、健診時に医師に相談をしてください。

どちらにしても、まずはパパやママが積極的に赤ちゃんに笑いかけたり、話しかけることが大切です。赤ちゃんに対する語りかけは、さまざまな効果があるため、積極的に行って赤ちゃんに良い刺激をたくさん与えてあげましょう。


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