滲出性中耳炎とは?原因や症状は?自然治癒で治る?プールは?

滲出性中耳炎

この記事の読了時間は約 7 分です。

熱も痛みもない厄介な滲出性中耳炎…

一般的に子供が中耳炎になると、高熱が出て耳やその周辺が痛くなるため、ママは比較的すぐに異変に気付くことができるはずです。

会話ができない赤ちゃんでも、急に泣き出したり、耳を気にする行動が見られるため、中耳炎とは気づかなくても病院に行くきっかけにはなるはずです。

子供が耳の痛みを訴えたり、高熱を出すとママは慌てますが、病気に気付くことができるため悪いことではありません。ただし、これは「急性中耳炎」の場合です。

急性中耳炎とは違い「滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)」という中耳炎の一種は、発熱や耳の痛みなどの症状を伴うことが少ない厄介な病気です。

しかも、滲出性中耳炎が慢性化すると、聴力が低下して軽度の難聴が継続する可能性もあります。

そこで今回は、滲出性中耳炎の原因や特徴、滲出性中耳炎を見抜くためのチェック方法などをお話したいと思います。

滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)とは

滲出性中耳炎とは、耳管の排出機能が正常に働かず、鼓膜の奥にある骨で囲まれた「中耳(ちゅうじ)」に、「滲出液(しんしゅつえき)」が溜まる病気のことを言います。

滲出液とは、中耳の炎症によって中耳の細胞内から滲み出てくる液体です。

通常、滲出液は耳から「耳管(じかん)」を通り、のどから鼻に抜けて鼻水や痰といっしょに排出されますが、排出されずに中耳内に留まることで、耳が聞こえにくくなります。

また、滲出性中耳炎を放置すると、鼓膜の陥没や萎縮・癒着などにつながる可能性もあり、場合によっては鼓膜の切開手術の必要になる場合もあります。

滲出性中耳炎は年齢や性別に関係なく発症しますが、とくに3歳ごろから10歳ごろまでに多くみられ、滲出性中耳炎にかかる子供の多くが両耳を患うため注意が必要です。

滲出性中耳炎と急性中耳炎の違い

滲出性中耳炎と急性中耳炎、この2つはどのように区別されるのでしょうか。

一般的に、滲出性中耳炎は、急性中耳炎が治る過程でかかる病気、または急性中耳炎を繰り返した際にかかる病気だと認識して良いでしょう。

急性中耳炎は、発熱、中耳・鼓膜の炎症、耳の痛み、中耳腔内の膿溜まりなどの症状があります。

滲出性中耳炎も中耳の炎症と滲出液溜まりはありますが、発熱や耳の痛みが(それほど)ありません。つまり、滲出性中耳炎は中耳腔に滲出液が溜まっているだけの状態を言います。

そのため、滲出性中耳炎は急性中耳炎に比べて発見しづらく、気がついたときには中耳炎症状が悪化している場合もあります。

参考|滲出性中耳炎|お母さんのための滲出性中耳炎教室リターンズ

滲出性中耳炎の原因

滲出性中耳炎にかかる原因は、中耳腔にたまった滲出液が抜ける機構が正常に働かないことです。そのため、根本原因を解決しなければ滲出性中耳炎を反復する可能性が高くなります。

原因1.急性中耳炎の未完治

滲出性中耳炎は突然発症するのではなく、多くが急性中耳炎が完治しなかったことが原因で発症します。

原因2.鼻咽腔の病気

子供に特徴的なアデノイド肥大が起きていると、耳管が圧迫され耳管の通りが悪くなります。そのため、耳管に侵入した細菌やウイルスを排出しにくくなり、抽出性中耳炎の原因になります。

また、蓄膿症(ちくのうしょう)やアレルギー性鼻炎でも耳管が圧迫され、同様に滲出性中耳炎の原因になる可能性があります。

原因3.耳管が未成熟

耳管の機能は10歳ごろまでに完成するため、それ以前は、適切に耳管を開放する筋肉が働かないことで滲出性中耳炎にかかりやすくなります。

また、耳管の機能が未成熟なだけではなく、口唇口蓋裂やダウン症などで耳管を開放する機能に異常がある場合も滲出性中耳炎にかかりやすくなります。

滲出性中耳炎の早期発見方法

滲出性中耳炎は、ほぼ痛みや発熱を伴わないため、コミュニケーションが取りづらい小さな子供ほど発見が遅れてしまいます。効果的な発見方法は、滲出性中耳炎の特徴である難聴(滲出液が溜まって耳が聞こえにくい)の症状を見抜くことです。

発見方法1.普段より大きな音で生活している

滲出性中耳炎になると、耳の中に滲出液が溜まって耳が聞こえにくくなります。そのため、子供が見ているテレビの音が普段より大きかったり、子供の声が大きいと感じた場合は注意してください。

発見方法2.呼びかけに返事をしない

滲出液が溜まると耳が聞こえにくいため、ママの呼びかけに対して返事をしないことがあります。

子供はテレビなどに夢中になって返事をしないこともあるため、呼びかけに応じたら改めてママの声が聞こえにくいかどうかを確かめてください。

赤ちゃんの場合は、生後3-4か月を過ぎていれば、左右片側ずつママが呼びかけをして反応するかを確認してください。

発見方法3.耳を気にしている素振りがある

滲出性中耳炎の子供は耳が聞こえにくく違和感を感じることがあるため、耳を気にする素振りを見せたり、しきりに耳を触ることがあるかもしれません。

発見方法4.慢性鼻炎持ちや風邪が長引いている

多くの滲出性中耳炎は、鼻炎や風邪などの一般的な病気の後に起こります。そのため、子供が風邪を引いたり、鼻炎持ちの場合は注意してください。

とくに赤ちゃんの滲出性中耳炎はわかりにくいため、鼻炎や風邪が長引いていて、違和感を感じたらすぐ小児科に相談してください。

発見方法5.異変があるかどうかを確認する

滲出液がどの程度溜まっているかは、見ただけではわかりません。そのため、子供に違和感を感じたら以下を確認してください。

「耳が聞こえにくくないか。」
「いつもと違う感じがしないか。」
「耳の中がガサガサ音がしないか。」

小さな子の場合、異変を感じてもうまく言葉で伝えられないため「なんでもない。」「わからない。」と濁すことがあります。ママはちょっとした異変をうまく聞き出せるようにしましょう。

滲出性中耳炎の治療方法

滲出性中耳炎は蓄膿症、風邪、アレルギー性鼻炎、アデノイド肥大などの原因があるため、耳だけではなく、鼻、のどなど全体的に治療が必要な場合もあります。

治療方法1.鼻とのどの薬剤治療

鼻やのどに詰まっている鼻水、痰などを吸引したり、鼻への薬剤や内服薬を使うことで病気による炎症を抑える治療をします。

治療方法2.耳管通気治療(じかんつうきちりょう)

耳管通気治療とは、鼻咽腔(びいんくう)の耳管開口部から空気を入れて、滲出液の排出と耳管の詰まりを解消し、耳の機能改善をはかる方法です。

治療方法3.鼓膜の切開治療

鼓膜の陥没や萎縮・癒着などが起こっている場合は、鼓膜の切開治療を行って滲出液を吸引します。

治療方法4.鼓膜チューブ留置

滲出性中耳炎が慢性化している場合は、鼓膜の切開部に小さなチューブを入れて、滲出液が溜まらないようにチューブ留置治療を行う場合があります。

ただし、チューブ留置によって、急性中耳炎の発症率が高まる可能性もあるそうです。また、5-6歳以下の子供は全身麻酔の手術になり、入院の必要もあります。

滲出性中耳炎治療の問題点など

滲出性中耳炎の治療方法は、医師や病院の医療方針によって異なります。そのため、滲出性中耳炎の程度によって、経過観察をするのか、その他の治療をするのかは変わります。

また、前述した滲出性中耳炎の治療方法は、医師によっては意味がないと判断される場合もあるため、素人のわたしたちには何を信じて良いか難しいところです。

たとえば、耳鼻咽喉科の老木医院では、滲出性中耳炎の治療方法や治療方針に対して、以下のような考え方を持っています。

滲出性中耳炎は自然治癒することが多い。
我が国で行われている耳管通気は、諸外国では、治療法として行われていない。
鼓膜切開にはほとんど効果がない。
飲み薬はごく弱い効果で、1カ月以上飲んでも変わらない。
チューブ留置術とアデノイド切除術は一定の効果はみられる。
滲出性中耳炎が言語発達などの発育をどの程度遅らせるのか、いまだ不明な点も多い。

引用|小児滲出性中耳炎アドバンスト|滲出性中耳炎

日本耳科学会が発行している「小児滲出性中耳炎診療ガイドライン 2015年版」には、滲出性中耳炎の治療法の条件や推奨度が記載されているため、気になる人はそちらも参考にしてください。

滲出性中耳炎の治療は長い目で

滲出性中耳炎は9割が自然治癒すると言いますが、それ以外は薬だけで治療が済むことはあまりなく、慢性化すると耳管通気治療や鼓膜切開治療を勧められることもあります。

※放置するのではなく、悪化しないように耳鼻科などに通って経過観察が必要です。

自然治癒も含めて、完治までに数か月ほどの時間がかかるため、ある程度の通院を覚悟した方が良いでしょう。

ちなみに、滲出性中耳炎でもお風呂やプールには問題なく入れます。ただし、鼻からプールの水が入ると鼻粘膜を痛めるため、鼻の症状・中耳炎の重度によって入ることはできません。詳細は医師に確認してください。

また、滲出性中耳炎にかかりやすい3歳過ぎは、子供の言葉の発達時期に重なるため、親としては難聴による言葉の遅れを心配しますね。

まずは、風邪などの後の急性中耳炎、その後の滲出性中耳炎に注意して、滲出性中耳炎を早期発見できるように、普段から子供とコミュニケーションを取るようにしてください。

子供の軽度の難聴原因で最も多いのが滲出性中耳炎と言いますが、その他にも子供の難聴には原因があります。けっして他人事ではないので、しっかり原因をチェックしておきましょう。


参考|【耳と聞こえのQ&A】<滲出性中耳炎>:社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
参考|滲出性中耳炎|横田耳鼻咽喉科医院