子供の睡眠時無呼吸症候群は何歳から?原因、症状と対処、治療法

気持ちよさそうに裸で寝る赤ちゃん

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子供も赤ちゃんは何歳からいびきをかく?

以前、娘の豪快ないびきの原因についてお話をしました。

いびきは単純にガーガーうるさいだけなら良いのですが(女の子は可哀想ですが……)、それだけではなく「睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん)」が起きていると、子供の発育障害や睡眠障害など健康被害に及ぶ可能性もあります。

米国小児科学会(AAP)によると、習慣としていびきをかく子供は2-8歳で3-12%、1歳でも6-7%ほどいるそうです。

ここで0歳の赤ちゃんを持つママは「そっか、いびきが危険なら子供が成長したら気を付けなきゃ!」と思うかもしれませんが、0歳の赤ちゃんがいびきをかく割合も10%前後という説もあります。

そのため、ママは乳幼児のいびきとお付き合いし、睡眠時無呼吸症候群が起きていないか注意し続ける必要があります。

今回は、いびきによって乳幼児に起こる小児の睡眠時無呼吸症候群の症状や原因、また、対処・治し方などについてお話したいと思います。

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome=SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まってしまう病気のことで、医学的な定義としては10秒以上の無呼吸が一晩に30回以上、または1時間あたり5回以上の無呼吸および徐脈がある症状を言います。

睡眠時無呼吸症候群で窒息死することはありませんが、無呼吸状態が続くことで睡眠障害が起こり、以下のように身体に負担がかかります。

無呼吸状態が続く

血中酸素濃度が低下してしまう

酸素不足を補うために呼吸回数を多くする

心拍数が上がる

心臓に強い負担がかかってしまう

この流れにより、呼吸をコントロールする脳や身体が断続的に覚醒してしまい、深い睡眠による休息が取れなくなります。その結果、昼間の強い眠気や集中力低下などが起こり、さまざまな病気につながる可能性もあります。

一般的に、睡眠時無呼吸症候群と聞くと、肥満気味で40代以上の男性というイメージがあるかもしれませんが、赤ちゃんや子供にも起こる可能性があり、これを「小児の睡眠時無呼吸症候群」と言います。

参考|睡眠時無呼吸症候群とは|睡眠時無呼吸なおそう.com – 睡眠時無呼吸症候群のポータルサイト

小児の睡眠時無呼吸症候群の症状と影響

もし、赤ちゃんや子供が睡眠時に頻繁に大きないびきをかいている場合は、小児の睡眠時無呼吸症候群を発症している可能性があります。

子供と大人の睡眠時無呼吸症候群の違いは、成長過程の子供の脳や身体が十分な休息を取れない状況が続くことで、発育障害が起こることです。

たとえば、幼児期の集団生活において注意力・集中力が低下したり、落ち着きが無い行動を取ったり、イライラすることで、精神的な成長や学習能力にも悪影響を与える場合があります。

1.無呼吸による睡眠時の症状

・大きないびき
・長い無呼吸
・眠りが浅い
・夜泣き
・夜驚症
・抗利尿ホルモン分泌障害(夜尿症の原因)
など

2.無呼吸による起床時の症状

・寝起きが悪い
・口の渇き
・頭痛
など

3.無呼吸による日常生活の症状

・鼻づまり
・いつも口呼吸をしている
・食欲の低下
・昼間の強い眠気
・注意力・集中力の低下
・落ち着きが無い・多動
・いらいらしている・キレやすい
・呼吸が早い・荒い
など

4.無呼吸による子供の心身への影響

・生活習慣の乱れ
・身体の成長の遅れ(低身長・低体重など)
・ホルモンバランスの乱れによる肥満
・胸腔陰圧増大による肺性心
・胸郭変形(漏斗胸・鳩胸)
・心身の発達遅延・障害
・乳幼児突然死症候群(SIDS)
など

小児の睡眠時無呼吸症候群の原因

睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に何度も無呼吸状態に陥り、頻繁に大きないびきをかくことが特徴です。頻繁に大きないびきをかくということは、呼吸の通り道である気道が常に狭い状態だということです。

以前、子供のいびきの原因は主にアレルギー性鼻炎、扁桃腺肥大、アデノイド肥大、喉頭軟化症、肥満、寝方、疲れ、遺伝だとお話をしましたが、これらのいびきの原因の中で、睡眠時無呼吸症候群を起こす可能性が高い症状・状態は以下の5つです。

1.アレルギー性鼻炎
2.扁桃腺肥大
3.アデノイド肥大
4.喉頭軟化症
5.肥満によるのどの圧迫

上記の原因によって慢性的に気道が狭く、赤ちゃんや子供に無呼吸が起こりやすくなることを「閉塞性無呼吸(へいそくせいむこきゅう)」と言います。

寝方によるのどの圧迫や疲れによる気道の狭まりは、一時的ないびきの原因にはなりますが、慢性的にいびきをかくような気道の状態でなければ、小児の睡眠時無呼吸症候群の心配はありません。

小児の睡眠時無呼吸症候群の治療法

小児の睡眠時無呼吸症候群には、明確な原因があります。そのため原因がわかれば、睡眠時無呼吸症候群の治療を行えるのですが、その治療方法は手術療法と保存療法を使い分ける必要があります。

治療法1.手術療法

睡眠時無呼吸症候群の原因がアデノイド肥大、扁桃腺肥大、喉頭軟化症などの場合は、切開による手術療法を行います。

ただし、どの手術も全身麻酔及び1週間程度の入院が必要なため、アデノイド肥大は3-6歳、扁桃腺肥大は5-7歳、喉頭軟化症などの呼吸器の病気は2歳前後まで様子を見た上で手術を行うことが多いようです。

ちなみに、アデノイド肥大が起きやすい子は、発熱・鼻づまり症状だけでなく、呼吸しづらい、食べ物を飲み込みにくいなどのため、睡眠時無呼吸症候群に関係なく切除した方が良いという意見もあるようです。

治療法2.保存療法・対処療法

アレルギー性鼻炎、またはアデノイド肥大、扁桃腺肥大などがそれぞれ手術が可能な年齢になるまでは、投薬による保存療法とCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)による対処療法が行われます。

投薬は症状に応じて、抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻などを用いて3か月ほど様子を見ます。さらに、睡眠時にCPAPを鼻に装着してマスクから空気を送りこむことで、アデノイドや扁桃腺などが気道を塞がないように対処をします。

治療法3.食事療法・運動療法

睡眠時無呼吸症候群の原因が肥満の場合は、家庭でできる一般的な食事療法、運動療法などによって改善を図ることになります。

また、適度な運動や適切な食事習慣によって呼吸器の改善を試みることで、閉塞性無呼吸の症状が和らぐ場合があります。

小児の睡眠時無呼吸症候群の見極め

睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に起こっていることなので、親でもなかなか気付きづらいことがあります。

一般的な見極め方は、睡眠中に「大きないびきを頻繁にかいているか」「20秒以上無呼吸および徐脈があるか」などを確認することですが、他にも日常生活の子供の態度や状況などから気づいてあげなければいけません。

無呼吸症候群の見極め1.睡眠時

・寝息が荒い時間が多い
・ずっと鼻が詰まっている
・「ふがー」「うーん」など空気を取り込む呼吸をする
・眠りが浅くすぐに起きてしまう
・とにかく寝相が悪い
・口を開けて寝ている

常に睡眠が浅い状態のため、ちょっとしたことで起きてしまったり、息が苦しいため寝返りを繰り返したり、仰向けで眠ると圧迫されるため、横向きやうつ伏せ寝が多い傾向もあります。

無呼吸症候群の見極め2.起床時

・寝起きが悪い
・何度も起こさないと起きない
・起こすと不機嫌
・起きても長時間ぼーっとしている
・朝常にのどが乾いている

無呼吸状態が多いとよく眠れないため、朝起きることができなかったり、口を開けて眠るため口の渇きが強い傾向があります。

無呼吸症候群の見極め3.昼間

・月齢・年齢の平均睡眠よりも昼寝が多い
・落ち着きがない
・食欲がない
・食事に時間がかかる
・読み書きの遅れが顕著
・言葉の遅れがある

昼間の見極めは難しいのですが、身体的な機能や学習機能の遅れが顕著に表れている場合は、しっかり眠ることができているかを確認した方が良いでしょう。

無呼吸症候群の見極め4.その他成長

・ガリガリに痩せている
・平均身長よりも背が低い
・あきらかな肥満
・陥没呼吸

成長による見極めも昼間の見極め同様難しいのですが、明らかに身体の発育が年齢を下回っていたり、反対に肥満体型の場合も睡眠時無呼吸症候群を疑います。

また、息を吸う際に胸部と腹部が同時に膨らまず、胸部が陥没してしまう「陥没呼吸(かんぼつこきゅう)」も睡眠時無呼吸症候群によって起こっている可能性があります。

赤ちゃん・子供の睡眠状況をよく観察!

赤ちゃんに起こる無呼吸発作の中には、呼吸中枢が成長する過程で起こる「周期性呼吸(しゅうきせいこきゅう)」があります。

周期性呼吸とは、呼吸中枢が未発達な生後2-3か月までの赤ちゃんの呼吸が早くなったり、遅くなったり、無呼吸状態になることを言います。

無呼吸の場合、5-10秒程度呼吸が止まることがありますが、酸素不足を感じると呼吸中枢が命令を出して呼吸を開始するため、過剰に心配する必要はありません。

ただし、睡眠時無呼吸症候群は医療関係者でもさまざまな見解があるようで、千葉県立衛生短大の工藤典代教授は、以下のようにちょっとした無呼吸でも何らかの影響がある可能性に触れています。

小児は呼吸数や呼吸で出入りする空気の量が年齢などで異なるため、基準を設けるのは難しいとされるが、この病気に詳しい工藤典代・千葉県立衛生短大教授は「十秒にならなくても、二呼吸分が停止すれば無呼吸と考えるのが妥当ではないか」と話す。

引用|医療新世紀(2009年1月27日)|共同通信社※リンク切れ

睡眠時無呼吸症候群は、子供が乳児に近いほど乳幼児突然死症候群(SIDS)の可能性が高まるため、心配で夜も眠れないというママもいるでしょう。

もちろん、過剰な心配はいりませんが、もし頻繁にいびきをかいて無呼吸が確認できる場合は、子供の成長や情緒に影響を与える可能性もあるため、医師に相談してください。

また、病院に連れて行く場合は、子供の睡眠中の呼吸状況を動画撮影しておくと、スムーズな診察を受けられるはずです。ママは子供の健やかな成長のために、たまに睡眠状況をチェックしてあげましょう。


参考|小児の睡眠時無呼吸症候群|名嘉村クリニック
参考|こどものいびき – 荻窪中尾耳鼻咽喉科