子供の突然死の原因は?病理解剖・行政解剖・司法解剖の違い

眠っている赤ちゃん

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我が子の死亡原因を知るべきか…

「もし自分の子供が死んでしまったら……。」

ママになると、乳幼児の虐待事件や自動車事故などのニュースを見て、子供が突然死んでしまうことに対する悲しみや怒りを感じることが増えたように思います。

多くのママが育児にストレスを抱えていますが、手がかかるから可愛いというか……生意気だから可愛いというか……とにかく自分の分身のような存在の子供を失う想像をしただけで、悲しくてやり場のない気持ちになります。

では、もし何らかの原因で自分の子供が突然死んでしまった場合、みなさんはその死亡原因を知りたいと思うでしょうか?

「正式な理由で弔ってあげたいから……。」という想いで死亡原因を知りたい人はいるでしょう。反対に、原因がわかっても悲しみは変わらないという理由で、知りたいと思わない人もいるでしょう。

今回はもしも、大切な子供が死んでしまった場合に、その死亡原因を知る方法についてお話したいと思います。

死後の遺体解剖(いたいかいぼう)とは

欧米では人が死亡した際に遺体解剖を行い、死因を特定する文化があります。

ところが、日本では人の死に対して遺族の意志が尊重され、かつ遺族が望まないため、死後の遺体解剖をされることが少ないと言います。

死後の遺体解剖には、「病理解剖(びょうりかいぼう)」「行政解剖(ぎょうせいかいぼう)」「司法解剖(しほうかいぼう)」という種類があり、それぞれ以下の意味を持っています。

種類1.病理解剖(びょうりかいぼう)

病理解剖とは、病気などの死亡の際に、臨床診断の妥当性、治療効果の判定、直接死因の解明などを目的として、臨床医の依頼に基づいて行う解剖のことで、解剖するためには遺族の承認が必要になります

参考|病理解剖 – Wikipedia

種類2.行政解剖(ぎょうせいかいぼう)

行政解剖とは、伝染病や災害など死因が明らかでない死亡の場合に、行政指導によって監察医が行う以下の解剖のことで、遺族の承認は不必要です

1.狭義の行政解剖
2.食品衛生法59条2項の規定による解剖
3.検疫法13条2項後段の規定に該当する解剖

ただし、監察医が置かれているのは東京23区、大阪市、横浜市、名古屋市及び神戸市のみです。その他の地域では、大学の法医学教室が中心で解剖を行いますが、この場合の解剖には遺族の承認が必要です

参考|行政解剖 – Wikipedia

種類3.司法解剖(しほうかいぼう)

司法解剖とは、死因に犯罪の疑いがある場合に刑事事件の処理を目的として、裁判所の指導によって(検察官や警察署長などの嘱託)、法医学者などが行う解剖のことで、遺族の承認は必要ありません

子供の死亡原因がわからないことがある

厚生労働省の発表によると、平成26年(2014年)の日本の乳児の死亡数は2080人で、出生に対する乳児死亡率は1000人中2.1人となっています。

また、その死亡原因の割合は、「先天性の奇形(染色体異常)」「呼吸障害」「乳幼児突然死症候群(SIDS)」「不慮の事故」「出血性障害等」の5つで、全体の63%を締めています。

0歳時の死亡原因は、奇形や染色体異常が1位、呼吸障害が2位、3位が乳幼児突然死症候群です。

1.先天奇形、染色体異常|35.1%
2.呼吸障害等|14.1%
3.乳幼児突然死症候群(SIDS)|5.7%
4.不慮の事故|4.9%
5.出血性障害等|3.9%

参考|厚生労働省:死因順位(第5位まで)別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合

ところが、これは明確な死亡原因にならない可能性があります。

前述した通り、欧米に比べて日本には、死後の遺体解剖で死亡原因を究明をする文化が根づいていません。つまり、原因究明をせずに死亡原因を推測しているだけの可能性があるということです。

とくに、死亡原因が明確ではない「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の場合、実際解剖をしてみると呼吸障害だったり、ひどい時は虐待によるショック死ということもあるそうです。

もちろん、乳幼児突然死症候群(SIDS)は解剖をしても、病歴、健康状態、死亡時の状況など、死亡の原因を特定することは難しいのですが、上記のように原因が明らかなものや、事件性のある死因まで見逃すのは良いこととは言えません。

また、日本においては6,000-7,000人中1人が乳幼児突然死症候群(SIDS)と診断されていますが、日本は他国に比べて乳幼児突然死症候群(SIDS)の発生率が高く、その原因の1つが病理解剖を行わないためだとも言われています。

参考|乳幼児突然死症候群(SIDS)について|厚生労働省

子供の病気や突然死の予防のために

もし、子供を何らかの原因で亡くしてしまった場合、我が子の遺体を解剖して死亡原因を究明する行為が心情的に抵抗があることは想像できます。

ただ、心情の良し悪しは別として、もしも子供の死亡原因の正確な状況や対策がわかれば、未来のママたちに何らかの安心材料が増える可能性はあります。

病気や乳幼児突然死症候群(SIDS)などの突然死の原因や詳細がわかれば、今よりも正確な予防対策を取ることができるようになるかもしれません。

さらに、虐待によるショック死などが病死になる許せない診断結果もある程度防ぐことになり、結果として虐待の抑止力につながる可能性もあります。

そのため、本来は死後の遺体解剖は、あって当然の行為なのかもしれません。

当事者ではない今のわたしには、決してすべての想像はできませんが、もし自分の子供が突然死んでしまったら、わたしもその原因を知りたいと思うでしょう。でも、心情的に解剖はして欲しくない……。

なかなか難しい問題だと思います。