子ども・こども・子供の書き方と意味の違いは?供は差別用語?

花と笑顔の女の子

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子どもを子供に変えました

「子ども」「こども」「子供」など、みなさんは小さな子を表現する場合、どの書き方をするでしょうか。

わたしは、少し前まで「子ども」表記をしていましたし、「子ども」という書き方にこだわりがありましたが、現在は「子供」という書き方に変更しています。

「書き方なんて気にしたことないよ。」という人もいると思いますが、「子ども」という書き方は、とくにわたしが働く保育や教育の現場でよく使われる表現です。

そのため、保護者にも浸透しやすく、「え?”子ども”が現在の正しい書き方でしょ?」と思う人も少なくありません。たしかに、「子ども」「こども」「子供」、どの表記を使っても小さな子を表す言葉に違いありません。

ところが行政でも、「子ども手当て」「子ども・子育て支援新制度」など「子ども」を使った政策はありますし、「こどもの日」のように国民の休日に平仮名が使われている例もあります。

なぜ「子」の表記にこれだけの違いがあり、正しい・正しくないという感覚を持ってしまうのでしょうか。

今回は、「子ども」「こども」「子供」の表記の違い、意味の違いについてお話したいと思います。

子ども・こども・子供の違い

最初に言及をすると、子ども・こども・子供という表記の違いによって、言葉の意味が変わることはありません。

どの表記でも、小さな子、幼い子、自分の子を指す言葉として使われますし、一般的には20歳未満の未成年という解釈をすれば問題ないと思います。

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ここで気になるのは、「こども」は「子供」を平仮名表記しただけですが、なぜ「子ども」は、「供」という漢字をわざわざ平仮名にして使われているのかということです。

供の意味

「供」には、「御供(おとも)」など主人に仕え従う人を表したり、「供物(くもつ)」「供養(くよう)」などの神へのお供え物を表す意味があります。

つまり、「供」の意味だけを考えると、大人にとって子供が従属する存在であることや神へのお供え物(いけにえ)などの差別的な印象を与えるといった主張が一部にあるのです。

子供は差別用語?

どの辞書を見ても、「子供」は正式な日本語として掲載されており、「子ども」が主体で説明されている辞書は見つけられません。では、実際に「子供」を使うと差別的な意味があるのでしょうか。

元々、「子」に「ども」をつけたのは「私共」「手前共」などと同じように複数形の接尾語でしたが、言葉自体がいつの間にか定着し「わたしには、1人だけこどもがいます。」のように、複数を意味しない「子」そのものを表すようになりました。

その際に、複数を表す「共」では意味がおかしくなるため、「供」を当てたと言われています。

その後、さまざまな表記がされますが、文化庁の「言葉に関する問答集」には、昭和25年時点の文部省の見解において「子ども」「子供」でも構わないが「こども」という仮名書きが望ましいと記載されています。

「こども」という語は、本来、「こ(子)」に、複数を表す接尾語「ども」がついたものである。「宇利波米婆 胡藤母意保由‥(瓜食めば、子ども思ほゆ‥)」(万葉集巻5・802)と山上憶良の歌にもあるほど、古い語であるが、のち、「しにをくれじとたどれ共、子どものあしにあめのあし、おとなのあしにをひぬひて」(浄瑠璃、賀古信教)のように単数複数に関係なく用いられるようになった。
 その表記としては、「子等、児等、子供、児供、小供、子供、こども」などいろいろな形が見られたが、明治以後の国語辞典類では、ほとんど「子供」の形を採り、「小供」は誤りと注記しているものもある。その後、「子ども」の表記も生まれたが、これは、「供」に当て字の色彩が濃いからであろう。
 昭和25年の「文部省刊行物の基準」では、「こども」と仮名書きを示し、「子供・子ども」を( )に入れて、漢字を使っても差し支えないが、仮名書きが望ましいものとしている。

引用|文化庁|言葉に関する問答集 9 (ことばシリーズ 19) 単行本 – 1983/3

さらに現在は、「子ども」の交ぜ書き表記を問題として、2013年6月より文部科学省の公用文書では「子供」を正式表示とする旨、「子供」は差別的な表現ではない旨を正式に発表しています(平成23年1月4日行行庶第615号)。

文部科学省の発表を受けて、地域の教育委員会でも「子供」表記統一の動きがあります。ただし、文部科学省はあくまで省内の公用文書に限って「子供」の表記を統一しており、各教育委員会に「子供」を使う呼び掛けはしていません。

参考|「子ども」は「子供」で統一します 文科省「差別表現でない」と公文書で使用 : J-CASTニュース

保育や教育現場での使われ方

文部科学省や教育委員会が「子供」表記に統一した(実際は徐々に)ことで、「子供」には差別的な意味合いはなく、一般的に使っても問題ない言葉としてもっと広まっても良いはずです。

ところが、現在でも多くの保育園や幼稚園のサイトでは「子ども」と書かれており、わたしたち保育士が書く園だよりも「子ども」表記が多い気がします。

園だよりの申し送りで表記を注意された保育士もいれば、自分で忖度して「子ども」と書いている保育士もいるはずです。

ちなみに、東京都教育委員会のサイトで検索してみたところ、「子供」は1050件、「子ども」は1770件、「こども」は380件の検索結果が出てくるため、まだ統一されていないことがわかります。

このような現状では、「子供」表記がなかなか浸透しないことも理解できますね。

さらに、毎日新聞の「新編集講座ウェブ版」コラムにおいても、「子ども」「こども」「子供」の表記ゆれについて記載されており、新聞などの大手メディアでさえも、言葉の統一はされていません。

参考|「こども」と「子ども」と「子供」|新編集講座ウェブ版第52号2016/5/15

子ども・こどもは子供に統一されるか

「子ども」「こども」「子供」の表記が多くなる保育・教育現場や新聞などメディアでの表記ゆれがある限り、これらの言葉の使い方が直近で統一されることはないでしょう。

ただやはり、1度認識された言葉の表現が人に与える印象は大きく、公式に差別用語ではないと発表されてからも「子供は差別用語」と勘違いする人は多いですし、言葉の用法に注文がつけられることもあります。

国立国語研究所では「ども」には複数の意味もなければ、従属的な意味もないとしつつ、TPOに合わせた言葉の使い分けを推奨しているようです。

表記は,書き手の思想や考え方を主張する表現とされる場合もありますが,日常の言語生活では,いちいち,そんなに大上段に構えて文字種を選んで書いてはいられないでしょう。周囲が文字情報として適確に内容を理解でき,しかも穏やかに受け入れられる,といった方法を,時と場に合わせて考えてみてください。

引用|よくある「ことば」の質問 – 「こども」の表記

わたし個人は日常生活において、これまでの「子ども」表記から「子供」表記に変えていきますが、園だよりで指摘されたら(もしくは指摘をされそうなら)、「子ども」「こども」にするしかないのかなと思っています……。

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