新生児黄疸のビリルビン基準値とは?病的黄疸の光線療法と副作用

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新生児黄疸は心配ない?

赤ちゃんの肌が黄色くなる黄疸の症状が出ている場合、ほとんどは「あー、これは新生児黄疸だから特に心配ないよ。」となることが多いでしょう。

新生児黄疸の原因を簡単に言うと、赤血球が破壊されたときに生成されるビリルビンという物質が、まだ赤ちゃんの未成熟な肝臓では処理しきれず、血液中に増えてしまうためです。

このような新生児黄疸は生理的黄疸と言われ、生後2-3日から生後10日前後の期間にしか黄疸の症状が見らません。

ところが、出生から24時間以内に見られる黄疸症状(早発黄疸)、または生後2週間以降に見られる黄疸症状(遷延性黄疸)、また早発黄疸、遷延性黄疸ではなくてもビリルビンの量が多く黄疸症状が強い場合は、何らかの病気の可能性があります。

では、もし赤ちゃんが早発黄疸や遷延性黄疸、またビリルビンの量が多いと診断された場合、わたしたちはこれをどのように理解すれば良いのでしょうか。

今回は、新生児黄疸の症状を見極めるビリルビンの基準値と治療に使われる光線療法・交換輸血治療についてお話したいと思います。

新生児黄疸と高ビリルビン血症

新生児黄疸と高ビリルビン血症は同じ意味ではありません。

高ビリルビン血症とは、血中ビリルビン値が1.2mg/dl以上あることを言い(正常値は1.0mg/dl以下)、一般的に血中ビリルビン値が2.0mg/dl以上となると、少しずつ新生児黄疸の症状が見られるようになります。

つまり、血中ビリルビン値が高い状態を高ビリルビン血症と言い、その結果として、新生児の身体に黄染が見られることを新生児黄疸と言います。

個人差はありますが、新生児期にはほとんどの赤ちゃんにある程度の黄疸症状が見られます。その際、血中ビリルビン値が12mg/dlを超えないものを生理的黄疸と呼び、それ以上を病的黄疸と呼んで、病気による黄疸症状の出現を疑います。

また、母乳育児の赤ちゃんの一部には、1か月以上黄疸症状が継続する母乳性黄疸が見られる場合がありますが、こちらも一般的には特に心配の必要がありませんし、母乳育児を中断する必要もありません。

生理的黄疸の条件とは

もし新生児黄疸が生理的黄疸と認められた場合は、「黄疸の原因が病気ではない」「血中ビリルビン値が安全な数値である」と判断されたということです。

そのため、その時点での新生児黄疸の治療は必要ありません。では生理的黄疸だと判断されるために必要な条件とは何でしょうか。

生理的黄疸の条件1.早発黄疸・遷延性黄疸ではない

早発黄疸とは生後24時間以内に起こる新生児黄疸のことで、遷延性黄疸とは生後2週間以降に起こす新生児黄疸のことです。

つまり、新生児がビリルビンを処理するメカニズムを考えると、生後2日から生後2週間以前に起こる黄疸症状には病気が関係している場合があるということです。

生理的黄疸の条件2.血中ビリルビン値が12mg/dl(15mg/dl)を超えない

生理的黄疸の血中ビリルビン値のピークは、生後4-5日ごろです。その時期に、成熟児(出生体重2500g以上)のビリルビン値が12mg/dlを超えないこと、未熟児(出生体重2500g以上)ではビリルビン値が15mg/dlを超えないことが生理的黄疸の条件になります。

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引用|新生児黄疸への対応|日本産科婦人科学会

生理的黄疸の条件3.血中ビリルビン値が1日5mg/dl以上上昇しない

血中ビリルビン値は、1日で急激に増えるものではありません。そのため、血中ビリルビン値が1日5mg/dl以上増えている場合は、病的黄疸を疑うことになります。

生理的黄疸の条件3.直接型ビリルビン値が2mg/dlを超えない

直接型ビリルビン値が血液中に多く存在しているということは、先天性胆道閉鎖症などによってビリルビンが血管内に逆流している可能性があるということです。

そのため、たとえある程度のビリルビンが肝臓で処理をされていても、しっかりと排泄ができていないことになります。

光線療法・交換輸血療法に必要なビリルビン濃度

以前にもお伝えした通り、新生児黄疸で1番気を付けなければいけないことは、ビリルビンが基準値を超えて核黄疸が発症し、脳性麻痺につながってしまうことです。

ビリルビン値が増加していくと、脳の神経細胞を破壊することで脳性麻痺や死亡の原因になる場合があります。

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そのため、新生児の血中ビリルビン値が高いと判断された場合は、光線療法や交換輸血療法による治療を行う必要があります。

新生児黄疸の治療を行う基準は、出生体重によって以下の様に変わります(病院によって基準値は変わる場合がある)。

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引用|新生児黄疸への対応|日本産科婦人科学会

日本産科婦人科学会によると、成熟児の場合は、ビリルビン値が24時間以内に10mg/dlを超えたときは光線療法を行い、12mg/dlを超えたときは交換輸血治療を行うことが妥当だと提唱されています。

また、低出生体重児(1500g以上2500g未満)の場合は、ビリルビン値が24時間以内に8mg/dlを超えたときは光線療法を行い、10mg/dlを超えたときは交換輸血治療を行うことが妥当だと提唱されています。

では、光線療法や交換輸血とはどのような治療のことを言うのでしょうか。

新生児黄疸の光線療法とは

光線療法とは、間接型ビリルビンを直接型ビリルビンに変容させるために、高照度の光(紫外線)を新生児に当てる方法のことです。

保育器の中の新生児にアイマスクをして、高照度の光を皮膚に照射することで、皮膚下のビリルビンを水溶性(直接型ビリルビン)に変えて、排泄できるようにします。

光線療法は血中ビリルビン値が生理的黄疸の基準値になるまで24時間行い、基準値以下にならなければ、さらに12時間、24時間と治療を続けます。

ビリルビン値は一旦下がっても、リバウンドすることもあるため、経過観察を行うことが大切です。

光線療法の副作用

光線療法の副作用は、発熱、発疹、下痢、不感蒸泄(汗や皮膚水分の蒸発)の増加、また、皮膚・血清・尿が灰褐色になり貧血気味になるブロンズ・ベビー症候群などの症状が現れることがあります。

新生児黄疸の交換輸血療法とは

新生児に光線療法を行なっても血中ビリルビン値が生理的黄疸の基準値以下にならない場合、または高ビリルビン血症の原因が母子間血液型不適合など、血液の異常によって新生児溶血性黄疸が起こっている場合は、交換輸血療法が行なわれます。

交換輸血療法とは、ビリルビンの除去、新生児溶血性黄疸の原因である感作赤血球と抗体の除去、非感作赤血球の補充などのために、全身の血液を交換する方法のことです。

※感作赤血球とは不適合を起こしている赤血球、非感作赤血球とは通常の赤血球

交換輸血療法は1-2時間かけて行なわれますが、臍帯静脈を使用した交換輸血を行った場合は30分-1時間ほどで完了します。

交換輸血療法の副作用

交換輸血療法の副作用は、血液の輸血によるアレルギー反応(呼吸困難、発熱、吐き気など)、また極稀に肺損傷が起こることが考えられます。

肺損傷は、通常は輸血開始から6時間以内に起こり、ほとんどが肺損傷から回復しますが、生命に関わる可能性もあるため注意が必要です。

ビリルビン値は日々変化する

新生児のビリルビン値は、毎日変化します。そのため、2日目のビリルビン値が基準値内でも3日目に基準値を超えてしまい、治療が必要になる場合もあります。また、前述した通りビリルビンの基準値は、出生体重や出生時期によっても異なります。

生理的体重減少が激しい子、胎内感染を起こしている子、敗血症や新生児肝炎を起こしている子、その他の臓器閉塞を起こしている子も黄疸症状が出やすく、治療の対象になる場合があります。

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もちろん、退院後も母乳が原因になる母乳性黄疸が残る場合もあるため、病的黄疸との見極めは難しいのですが、心配であれば医師からビリルビンの基準値の説明を受けたうえで、生後1か月の前に検査を受けても良いと思います。

赤ちゃんの出産直後は、嬉しさとともに様々な心配事も重なってしまい、マタニティブルーになりやすい時期です。心配事は1人で抱えずに、まずは専門家に相談してみてください。


参考|新生児高ビリルビン血症とはどんな病気か|症状や原因・治療と関連Q&A – gooヘルスケア
参考|ビリルビンって何? 調べると何が分かるの?
参考|新生児黄疸の原因と対策!母乳性黄疸は心配なし [新生児育児] All About
参考|高ビリルビン血症: 新生児における代謝,電解質,および中毒性障害: メルクマニュアル18版 日本語版
参考|新生児の黄疸の原因と治療 [子供の病気] All About

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