前期流産・後期流産の原因や時期は?状態による流産の6つの種類

ec53fe15ef6c14f6b0b5589e2a7938f8

この記事の読了時間は約 8 分です。

妊娠すると一定割合で流産は起こる

もし、元気な子を出産したいと思っても100%確実にそれが叶うわけではなく、一定の割合で流産をする可能性があります。

厚生労働省のサンプル調査によると、妊娠全体に対する平均流産率は13.9%もあり、妊婦は7-8人に1人(厳密に言うと7-8回に1回)の割合で流産を経験する計算になります。

サンプル調査における年代別の流産率の内訳を見ると以下のようになります。

サンプル調査の流産率内訳
・24歳以下の流産率は16.7%
・25-29歳の流産率は11.0%
・30-34歳の流産率は10.0%
・35-39歳の流産率は20.7%
・40歳以上の流産率は41.3%
・全体の平均流産率は13.9%

やはり40歳以上の高齢妊娠における流産の確率は、41.3%とかなり高い数字だということがわかります。

年齢別・妊娠週数別の流産確率は?妊娠初期流産の予防法はある?

では、流産とは一体どういう状態を指すのでしょう。また、流産はどのような仕組みで、何が原因で起こってしまうんでしょう。

今回は、流産の原因と流産の種類についてまとめてみました。

流産(りゅうざん)とは

日本産科婦人科学会で定義されている「流産」とは、妊娠22週未満(妊娠21週6日以内)の胎児が娩出(べんしゅつ)されることを言います。流産は妊娠時期によって、前期流産と後期流産に分かれています。

妊娠22週未満を流産と定義する理由は、妊娠22週以降の胎児は何らかの原因で母体から出されても未熟児医療で生存できる可能性があるため「人の死」と考えることに対して、妊娠22週未満の胎児は生存できないため「人になる前の死」と捉えるためです。

そのため、日本産科婦人科学会では妊娠22週未満の死児の出産を「流産」、妊娠22週以降の死児の出産を「死産」と定義しています。

前期流産とは

前期流産とは、流産の中でも妊娠初期から妊娠12週未満の間で起こる流産を言います。前期流産は、流産全体の90%を占めるほど高い割合で起こります。

後期流産とは

後期流産とは、流産の中でも妊娠12週(12週0日)から妊娠22週未満(21週6日)の間で起こる流産を言います。

厚生労働省の流産の定義

厚生労働省は戸籍法の中で、妊娠12週以降の死児の出産を「死産」と定義しています。戸籍法に基づく死産をした場合、住民票がある市区町村役所、または死産があった病院住所の市区町村役所に「死産届」を提出しなければいけません。

死産と流産の明確な違い・定義は?死産届の手続きと必要書類

ちなみに厚生労働省では、日本産科婦人科学会のように流産を明確に定義していません。

流産が起こる原因

流産が起こる原因は全てが明確にわかっているわけではありませんが、原因の多くは胎児になる前の染色体異常によるものです。

また、妊婦が違法な薬物を使用したり、喫煙や飲酒をするなど妊娠に不適切な生活習慣をしていたり、元々病気を持っていたり、妊娠中に病気にかかっても流産は起きやすくなります。

染色体異常や機能不全による原因

妊娠12週未満の前期流産が起こる原因は、多くが胎児になる前の受精卵の段階で染色体に異常があったり、受精卵が子宮に着床してからの成長過程で異常があるためです。

・受精卵が病的卵だった
・異常発育卵(奇形)だった
・染色体異常があった
・絨毛の2/3に染色体異常があった
など

流産が起こる原因の7-8割が染色体異常や受精卵の成長異常、または胎盤や卵膜の異常であり、これらは一定の確率で起こるため、全ての流産を防ぐことはできません。

また、妊娠の準備過程において子宮奇形、子宮発育不全、子宮筋腫、頸管無力症など、子宮や膣の異常によって流産が起こる場合があります。

病気や生活習慣による原因

妊娠12週以降の後期流産が起こる原因は、多くが以下のような感染症などの合併症や良くない生活習慣によって、胎児の発育が阻害されてしまうためです。

・胎盤、臍帯、卵膜の異常があった
・梅毒、ヘルペス、風疹、マイコプラズマ、サイトメガロウイルス、パルボウイルス、クラミジア感染症などの感染症があった
・心疾患、腎疾患、自己免疫疾患(膠原病)、内分泌疾患(甲状腺機能低下症、糖尿病)、悪性腫瘍などの偶発合併症があった
・薬物使用、被爆、外傷、喫煙、禁酒、ストレスなど生活環境がよくなかった
など

流産の状態の6つの種類

流産は置かれている状態によって、切迫流産、進行流産、不全流産、完全流産、稽留流産、化学流産の6つの種類に分類されます。

流産の種類1.切迫流産(せっぱくりゅうざん)

切迫流産とは、妊娠21週6日までの間で、流産の可能性があると判断される状態を言います。

症状は主に子宮の痛みと少量の出血が継続することで、妊娠全体の15%ほどが切迫流産と診断されます。切迫流産のうち半分が流産にいたり、半分が妊娠の継続に至ります。

切迫流産の確率は?妊娠継続の可能性は?原因・症状と対処

流産の種類2.進行流産(しんこうりゅうざん)

進行流産とは、子宮頸管が開いてしまい、流産が始まっている状態を言います。

進行流産と診断されると流産を防ぐことはできません。下腹部に激しい痛みと大量の出血があり、しばらくすると胎児が体外に出てしまい、「不全流産」か「完全流産」のどちらかに移行します。

進行流産とは?症状や対処法は?妊娠継続の可能性はある?

流産の種類3.不全流産(ふぜんりゅうざん)

不全流産とは、すでに流産が確定しており、出血があった際に子宮内容物(胎児、胎盤、卵膜、暖帯、羊水など)が排出された際に、子宮内容物の一部が体内に残ってしまう状態を言います。

子宮内容物が残っているため、母体には出血や痛みが継続します。そのため不全流産後は、子宮内をきれいにする「子宮内容除去術」が必要になります。

ただし、子宮内容物が少ない場合は抗生物質と子宮収縮剤を投与し、自然流産が行なわれるか経過観察をする場合もあります。

完全流産と不全流産の治療・処置の違いと子宮内容除去術のリスク

流産の種類4.完全流産(かんぜんりゅうざん)

完全流産とは、すでに流産が確定しており、出血があった際に子宮内容物(胎児、胎盤、卵膜、暖帯、羊水など)すべてが排出された状態を言います。

子宮内容物が完全に流れ出ているため、母体には出血や痛みが少なく、その後安静状態での経過観察が行われます。

流産の種類5.稽留流産(けいりゅうりゅうざん)

稽留流産とは、胎内ですでに胎児が死亡してしまっている状態を言います。

ただし、妊婦がすぐに稽留流産であることに気がつくことは難しく、多くが妊婦検診時のエコーによって稽留流産を知ることになります。稽留流産が確定した後は、すぐに子宮内容除去術を行う必要があります。

稽留流産の時期や症状は?掻爬手術と術後の生理・妊娠について

流産の種類6.化学流産(かがくりゅうざん)

化学流産とは、尿中hCGの検出など妊娠の状態が見られたものの受精卵の着床が安定せず、妊娠が継続しなかった状態を言います。

妊娠検査薬が陽性なのに…化学流産とは?症状・原因や予防法は?

受精卵が胎児にまで成長できなかったため、子宮内などの妊娠機能は妊娠をしなかった状態とあまり変わりません。

そのため、化学流産は流産とは呼びますが、特に流産としての処置の必要はありません。「妊娠検査薬で陽性は出たけど、ちゃんと検査したら妊娠してなかった……。」と言う擬陽性の多くは化学流産になります。

陰性で妊娠?陽性で生理?薄い線は蒸発線?妊娠検査薬の判定方法

もし流産を経験してしまったら…

わたしも30代前半で流産を経験しています。お腹の痛みと数日間の出血が続いていた時点で何となく嫌な予感はしていました。

妊娠10週ごろのある日の深夜2時ごろ、急にお腹が痛くなり若干吐き気も感じたためトイレに行くと、15分後……大量の出血とともに、お腹の中にいた赤ちゃんが出てしまいました……。

もちろん、確定ではありませんが元々予感はありましたし、ドバっと血の塊が出てしまったので間違いないと感じました。

妊娠10週にもなると赤ちゃんの大きさは3-5cmほどあり、頭、身体、手足もあってちゃんと人の形をしています。そのため、トイレの中を見ることができません……。

いくら小さく命がない状態でも、妊婦のわたしにとってはすでに赤ちゃんなので、トイレに流してしまうことには……かなり抵抗がありました。

確率的には30代前半では10人に1人が流産を経験しますし、前期流産のため原因は染色体異常なのでしょう。運が悪かったとしか言えませんが、今でもあのときの気持ちは思い出します。

流産の多くは、赤ちゃんの染色体異常を察知しておこる母体の生命維持機能の1つです。受精時に異常があることがわかったら、不完全な状態の赤ちゃんのためにも、母体のためにも、身体が自然妊娠中絶の処理をします。

これは妊娠・出産において大切で必要な機能です。そのため、もし流産をしてしまっても誰のせいでもありません。産まれてくることができなかった胎児のためにも、ママは前に向かって進んであげてください。


参考|日本医科大学多摩永山病院女性診療科・産科医局-情報-流産

記事のURLとタイトルをコピー