切迫流産の確率は?妊娠継続の可能性は?原因・症状と対処

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切迫流産になる確率は

以前、流産には6つの状態(種類)があることをご紹介しました。

流産の種類1.切迫流産(せっぱくりゅうざん)
流産の種類2.進行流産(しんこうりゅうざん)
流産の種類3.不全流産(ふぜんりゅうざん)
流産の種類4.完全流産(かんぜんりゅうざん)
流産の種類5.稽留流産(けいりゅうりゅうざん)
流産の種類6.化学流産(かがくりゅうざん)

前期流産・後期流産の原因や時期は?状態による流産の6つの種類

その中でも、およそ15%の妊婦が体験する(診断される)「切迫流産」という流産の状態があります。

わたしたちは流産という言葉を聞いただけで、とてもネガティブで特別な出来事のような感覚を受けますが、切迫流産は妊婦6-7人に1人が経験するよくある状態です。

そのため、妊娠を控えた人は、いざというときのために予め切迫流産がどのようなもので、何に気を付けるべきかを学んでおいた方が良いでしょう。

今回は、切迫流産の意味や原因、また、切迫流産を予防・対処するためにできることについてお話したいと思います。

切迫流産(せっぱくりゅうざん)とは

切迫流産とは、妊婦に子宮出血や下腹部痛などがあることを踏まえて、まだ流産には至っていないものの、妊娠22週未満での流産の可能性があると診断される状態を言います。

つまり、切迫流産は流産が確定しているわけではなく、流産の危険性がある状態です。そのため、切迫流産が進行して流産に至ることもあれば、流産に至らずに妊娠が継続できることもあります。

切迫流産は妊娠全体の15%ほどに見られるため、珍しい状態ではありません。そして、切迫流産から出産に至る確率は切迫流産のおよそ半数、つまり、全体の7.5%ほどが流産に至ることになります。

参考|山本産婦人科(三重県津市) 切迫流産・流産・習慣流産について

では、妊婦が切迫流産と診断されてしまう原因は何でしょうか。

切迫流産の原因

切迫流産は、流産の可能性がある状態のため、流産が起こる原因自体が切迫流産と診断される原因と言って良いでしょう。

流産は、妊娠12週未満の「前期流産」と、妊娠12週から妊娠22週未満の「後期流産」に分かれており、流産件数全体の90%近くを前期流産が占めています。

前期流産の原因は、胎児の染色体異常がほとんどです(流産の70%以上が胎児の染色体異常)。もし、胎児に生命を維持できない染色体異常が見られた場合は、母体が自然に流産を起こす仕組みになっています。

そのため、流産が起こることは、妊娠に至った時点で決まっていたことだと考えた方が良いでしょう。

また、後期流産には、染色体異常の他に以下の原因が考えられます。

・胎盤、臍帯、卵膜の異常があった
・梅毒、ヘルペス、風疹、マイコプラズマ、サイトメガロウイルス、パルボウイルス、クラミジア感染症などの感染症があった
・心疾患、腎疾患、自己免疫疾患(膠原病)、内分泌疾患(甲状腺機能低下症、糖尿病)、悪性腫瘍などの偶発合併症があった
・薬物使用、被爆、外傷、喫煙、禁酒、ストレスなど生活環境がよくなかった
など

仕事や家事の疲れで子宮収縮が起こりやすくなったり、不安などのストレスによって切迫流産と診断される可能性もあるため、とにかく妊婦は身体と心を休めるように心掛けなければいけません。

切迫流産の診断方法

医師が切迫流産と診断する方法は、時期によって異なります。

前期流産時期(妊娠12週未満)の場合

一般的には、妊娠が確定している状態で、妊婦に出血や下腹部痛があり、エコーによって胎児の心拍による生存が確認できれば切迫流産と診断され、心拍が確認できない場合は「進行流産」と診断されます。

次に、尿中hCGの値が順調に増えているかを検査します。尿中hCGは、妊娠8-12週がピークになるため、この時点で尿中hCGの分泌が順調であれば、出血や下腹部痛原因を検査し、原因が特定できなければ切迫流産となります。また、尿中hCGの値が減少している場合は、流産の確率が高くなります。

妊娠3週の尿中hCG量|0-50 mIU/ml
妊娠4週の尿中hCG量|20-500 mIU/ml
妊娠5週の尿中hCG量|500-5,000 mIU/ml
妊娠6週の尿中hCG量|3,000-19,000 mIU/ml
妊娠8週の尿中hCG量|14,000-169,000 mIU/ml
妊娠12週の尿中hCG量|16,000-160,000 mIU/ml
妊娠24週の尿中hCG量|2,500-82,000 mIU/ml
妊娠36週の尿中hCG量|2,400-50,000 mIU/ml

参考|ヒト絨毛性ゴナドトロピン(定性)|シスメックス プライマリケア

後期流産時期(妊娠12週-22週未満)の場合

妊娠12週を過ぎると、エコーによって胎児の動きがわかるようになります。そのため、子宮出血や下腹部痛がある状態で胎児の動きが確認できる場合、また、子宮口の開きや子宮頸管の短縮が確認できる場合は、切迫流産と診断される可能性が高くなります。

また、胎児の心拍が確認できない場合や子宮口の開大具合によっては、進行流産と診断される可能性が高くなります。

切迫流産の兆候・症状

切迫流産の症状や兆候は、前述した通り子宮出血や下腹部痛、お腹に強い張りがあることです。妊娠確定後にどれか1つでも症状がある場合は、すぐに医師に相談してください。

妊娠が始まるとは?期間や確率は?医師が妊娠確定する3つの条件

切迫流産の症状1.赤茶色のおりものが出る

血が混じった赤茶色のおりものが排出されるものの、特にお腹の張りや腹痛がない場合はまだ切迫流産の判断がつかない状態です。

切迫流産の症状2.お腹の張り・腹痛や出血がある

お腹に張りや下腹部痛を感じたり、少量でも出血があった場合は切迫流産の可能性を医師から告げられる場合があります。

切迫流産の症状3.子宮収縮が強い

一定間隔で腹痛が続く場合は、子宮収縮が起き、胎児や子宮内容物を排出する準備を行っている場合があります。子宮収縮は、エコーによっても判断することができます。

切迫流産の治療・対処法

切迫流産の治療1.自宅安静・管理入院

症状によって医師から自宅安静を告げられる場合があります。ただし、妊婦は下腹部痛や出血症状を自覚した時点で、医師に言われなくても身体をいたわって安静にするよう心がけましょう。

もし、継続した出血がある場合は、検査などを含めて管理入院を告げられる場合もあります。

切迫流産の治療2.薬物療法

出血が多い場合は、切迫流産とは関係なく止血剤の投与などの処置を行います。

また、妊娠16週以降で子宮収縮が強い場合は、子宮収縮抑制剤(塩酸リトドリン)を投与し、もしそのまま妊娠22週に入るようであれば、切迫早産になる可能性があります。

切迫流産の治療3.感染等の診断・治療

細菌感染によって腟炎や頸管炎、絨毛羊膜炎を発症すると、子宮収縮が強く起こるため、早期に感染の診断と治療が必要になります。

また、頸管無力症が見られた場合は手術によって頸管を縛ることもありますし、子宮筋腫の場合は摘出手術を行うこともあります。ただし、これらの処置によって切迫流産の進行を回避できるとは限りません。

切迫流産の予防法

前述した通り、流産の原因の70%以上は胎児の染色体異常です。そのため、切迫流産を予防することは難しいでしょう。

ただし、基本的には疲労やストレスを避け、安定した生活習慣と栄養バランスが取れた食事、十分な睡眠を摂ることは妊婦が健康な妊娠・出産を行うための基本です。

たとえ、切迫流産と診断されても、安静に過ごしていれば妊娠を続けられる確率は五分五分のため、診断結果にできるだけ焦らずに、心を落ち着けて日々過ごすように心がけましょう。

もちろん、出血量が少なく、下腹部痛が激しくなかったとしても、医師の診断があるまではなるべく自宅で横になって安静にする必要があります。

そして、もし万が一流産をしてしまったとしても、それは妊婦の責任でも、胎児の責任でもありません。流産は必ず一定の確率で起こるものと認識をして、次の機会のために時間をかけて気持ちを落ち着かせましょう。


参考|流産・切迫流産:病気を知ろう:日本産科婦人科学会
参考|日産婦誌59巻11号|日本産科婦人科学会

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