NICU(新生児集中治療室)の役割と赤ちゃんの入院基準・費用

NICU

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治療や生命活動補助に必要な隔離

テレビドラマなどで、産まれたばかりの赤ちゃんが人工呼吸器をつけ、身体に点滴などの管をつけて、心拍数や血圧などを管理されているシーンを見たことがある人は多いでしょう。

また、保育器の中に入った小さな赤ちゃんを部屋のガラス越しに心配そうに親が見ているシーンもイメージできると思います。これは産まれたばかりの赤ちゃんが、様々な原因で生命活動の補助や治療を必要とし、隔離されているからです。

このように赤ちゃんを隔離して治療するための部屋を「NICU(新生児集中治療室)」と言います。

もし、出産したばかりの赤ちゃんがNICUに入ることになるとママはとても心配になりますが、NICUに入院する赤ちゃんは意外と多いそうです。2008年時点で年間36,000人ほど、つまり、30人1人はNICUに入院していることになります。

参考|30人に1人に必要赤ちゃんのNICU|ロハスメディカル

では、NICUで行なわれる治療とはどのようなものなのでしょうか、またNICUに入る基準やかかる費用はいくらぐらいなのでしょうか。

そこで今回は、よくわからないNICUの役割や、赤ちゃんがNICUに入院する基準・費用などについてお話したいと思います。

NICU(新生児特定集中治療室)とは

NICU(Neonatal Intensive Care Unit)とは、治療や生命活動の補助が必要な新生児が治療を行うための施設で、新生児に特化した集中治療室のことです。正式名称は、新生児特定集中治療室と言います。

NICUには施設基準があり、常勤医師や必要な設備を整えているため、設置はある程度大きな病院に限られています。そのため、他の病院からも多くの新生児が搬送されて治療を受けられるようになっています。

NICUの特徴1.バイオクリーンルーム

室内は気圧を上げてゴミなどの進入を防いでいるだけでなく、室内に入る場合は滅菌、消毒が必要になります。

NICUの特徴2.各種設備

人工呼吸器、呼吸数・心拍数・血圧・体温変動値・血液循環・尿量・心電図などの各種モニター、薬や水分を供給する手足の動静脈ラインなどが常備されています。

NICUの特徴3.自家発電装置

突然の停電など非常時でも、自家発電装置によって各種検査が行えるようになっています。

NICU対象の新生児の基準と医師の判断

新生児がNICUに入るケースは様々ですが、一律の基準があるわけではなく、最終的には出産した病院の基準、または医師の判断によってNICUへの搬送・治療が行なわれます。

NICU対象の新生児1.身体機能が未熟

新生児が呼吸障害や心疾患、栄養摂取ができないなど、身体の機能や臓器が未発達だとみなされた場合は、NICUで赤ちゃんの成長補助が必要になります。

NICU対象の新生児2.病気やその恐れ

新生児が母子感染症を起こしていたり、先天性の病気にかかっている場合、また、身体機能が未熟で何らかの合併症を起こしている場合は、NICUでの治療が必要になります。

NICU対象の新生児3.早産児、低体重児

早産児や低出生体重児は、身体機能が未熟であったり、病気の恐れがある場合が多く、一般的に出生体重が2000g未満の低出生体重児はNICUでの成長補助や治療が必要になります。

病院の環境と医師の判断

NICUが設置されている病院で出産した場合は、2500g未満の低出生体重児であればNICUで成長補助を行なったり、何らかの気になる個所があれば経過観察を行うこともあります。

反対に、NICUが設置されていない一般的な病院の場合は、より簡易な保育器での成長補助を行い、病気が懸念される場合はNICU設置病院に搬送する措置を取ります。

NICU入院中の赤ちゃんとのかかわり

NICUに入院している赤ちゃんと家族は全く会えないわけでも、全くかかわりを持てないわけでもありません。

赤ちゃんとのかかわり1.面会

NICUでの面会基準は、両親のみ、家族までなど病院ごとに異なりますが、感染症予防の観点から入室時の手洗い・消毒・医療用着衣(手袋、マスク、ガウン)などの着用が必須な場合が多いでしょう。

また、面会者の体調が悪いときや風邪の疑いがある場合は、赤ちゃんにウイルスや細菌が感染する可能性があるため直接会うことはできません。

赤ちゃんとのかかわり2.母乳の持ち込み

ママには、NICUに入っている赤ちゃんに対して大切な役割があります。それは、赤ちゃんの免疫力を高めるための母乳を飲ませることです。

そのため、できる限り毎日NICUに通い、赤ちゃんに母乳を提供する必要があります。もし、直接授乳ができなければ搾乳してNICUに持っていきます。

赤ちゃんとのかかわり3.カンガルーケア

カンガルーケアとは、ママと赤ちゃんが肌の触れ合いによって感触や匂いなどをお互いに直接感じる行為のことで、愛着形成のために推奨されています。

そのため、もし赤ちゃんの健康状態が安定していれば、直接抱っこをしてスキンシップを行うことを勧められます。

赤ちゃんとのかかわり4.母子入院

赤ちゃんの退院が近づいてきた際、退院後の育児をスムーズに行うために、事前に授乳や沐浴などの指導をしたうえで、数日間ママが新生児病棟でいっしょに入院できる病院もあります。

NICU退院後の家族とのかかわり

赤ちゃんは治療や生命活動の補助としてNICUに入院していたため、家族も色々と不安に思うことがあります。そのため、NICUでは赤ちゃん退院後も、家族に対していくつかのかかわりを持ってフォローしてくれます。

退院後のかかわり1.電話相談

もし、ママが新生児育児での悩み事があった場合、電話相談に応じてもらえます。

退院後のかかわり2.新生児フォローアップ外来

NICUにおける新生児フォローアップ外来とは、NICUで治療を受けた新生児に対して外来で定期検診などをするアフターフォローのことです。

NICUで治療を受けた新生児は、治療を受けていない新生児に比べて一定の年齢まで成長が遅い場合があるため、その特徴を理解したうえでの評価をしてもらえます。

フォローアップ外来では主に、身長、体重、頭囲などの身体発育測定、首すわり、お座り(ひとり座り)、つかまり立ちなどの運動機能の評価、予防接種、五感や言葉の発達の検査などがあります。

退院後のかかわり3.育児サークルなどの主催

赤ちゃんがNICUに入院をしていた親には、その親同士でしか分かり合えない悩みや感情があります。そのため、NICUが主催する育児サークルなどで情報交換を行い、育児に前向きな気持ちを作る取り組みが行なわれています。

NICUに入る期間と費用

新生児がNICUに入る期間は、その新生児の状態によります。そのため、1週間で退院する赤ちゃんもいれば、1年以上入院している赤ちゃんもいます。

もちろん、親としては赤ちゃんがなるべく元気に、生活に支障がない状態で退院してくれることが望ましいため、長期間の入院であっても仕方がないと思えます。ただ、そうは言ってもその間にかかる治療費は気になるところです。

NICUの費用1.未熟児養育医療制度による全額負担

NICUでの入院・治療は、未熟児養育医療制度などを利用すれば費用負担を減らせます。未熟児養育医療制度を受ける基本的な基準は以下の点です。

1.出生体重が2,000g以下の乳児
2.痙攣、運動異常がある
3.体温が摂氏34度以下
4.呼吸器、循環器系の異常がある
5.消化器系の異常がある
6.黄疸が強い

未熟児養育医療給付制度の対象と条件は?必要な申請書など

赤ちゃんが2000g以上あっても、医師が必要な医療行為を受けるためにNICUへの入院が必要だと認めた場合は、未熟児養育医療制度が適用されることがあるため、医師と地域の保健所に確認をしてください。

未熟児養育医療制度が適用されれば、実際に負担する費用は赤ちゃんのおむつ代とミルク代程度ですが、世帯の所得額など地方自治体の取り決めによっては一部負担の場合もあるため、自治体や病院で確認してください。

NICUの費用2.未熟児養育医療制度による一分負担+高額療養費制度

一部自己負担とは、「世帯の所得税額に応じて決められた徴収基準月額(1か月あたり保護者が負担する上限額)」と「実際にかかった医療費・食事療養費の負担額」を比べて、少ない方の金額を負担することです。

ただ、一部自己負担金には、乳幼児医療費助成制度を適用できるため、実際に長期の入院が必要な場合でも光熱費やおむつ代などの他には、ほぼ治療費がかからない場合が多いはずです。

このあたりの取り決めは、地方自治体によって異なるため、以下を参考のうえ地域の市区町村役所に尋ねてください。

子どもの医療費はいくら?乳幼児医療費助成の手続きと年齢・所得制限

NICUに対する考え方

出産したばかりの赤ちゃんがNICUに入院することは、出産したばかりのママにとっても、赤ちゃんを待ち望んでいた家族にとっても辛いことです。

もちろん、赤ちゃんは出産するまでは状態がわかりにくく、いざ出産後にNICUのことを医師から聞くと大きなショックを受けるかもしれません。

ただ前述した通り、NICUへの入院率は新生児の30人に1人と少なくはなく、その子たちがみな重篤な病気を抱えているわけではありません。

もし、医師から赤ちゃんにNICU入院が必要だということを聞いた場合は、冷静にその理由を尋ねてみてください。

楽観的に全ての赤ちゃんの状況が良いとは言えませんが、その状況を受け入れた上で、改めてNICUで行われる治療やケアも合わせて把握し、NICUに入院する赤ちゃんのために何ができるかを考えましょう。

NICUが赤ちゃんのための集中治療室であることに対して、妊娠から出産後までの妊婦のための集中治療室もあり、そちらはMFICUと呼ばれています。MFICUの詳細は以下を参考にしてください。

MFICU(母体胎児集中治療室)の役割と妊婦の入院基準・費用


参考|NICUスタッフのための母乳育児支援|日本新生児看護学会/日本助産学会
参考|赤ちゃんがNICUに入院したときの親の心得 [isily]|OKWAVE Guide[OKWAVE ガイド]
参考|長期入院児のいるNICUに関する実態調査について|日本産婦人科医会

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