人工中絶率の推移と経験割合は?中絶手術の後遺症リスクは?

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中絶件数は増えている?

厚生労働省が発表した「平成26年度衛生行政報告例の概況」によると、平成26年度の人工中絶の件数は181,905件です。つまり、1年間でのべ18万人が中絶手術を受けていることになります。

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出典|平成26年度衛生行政報告例の概況|厚生労働省

わたしの偏った感覚ですが、中絶手術は10代から20歳前後までが多いイメージでした。ところが、実際は各年代にバラけていますし、40代以上と10代の中絶件数があまり変わりません。

また、平成22年度と比べて平成26年度の中絶件数が減っていますが、むしろ増えているイメージがありました。これは、社会的に何か改善が見られるのか、それとも……。

では、以前と比べて中絶件数はどう推移しているのでしょうか。人工中絶を経験している女性はどれくらいの割合でいるのでしょうか。

また、これだけ中絶手術が行われている背景に、中絶手術による後遺症などのリスクが潜んでいないのかも気になります。

そこで今回は、中絶件数の推移と人工中絶経験者の割合、中絶手術による後遺症のリスクについてお話したいと思います。

人工中絶件数・割合は減少している

人工中絶手術が年間18万件も行われている事実を知ると、やはり非常に多いと感じます。

もちろん、毎日多くの人工中絶が行われ、多くの命が失われていることは事実ですが、実際は人工中絶の件数や実施割合は年々減少しています。

国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集2015」を見ると、出生に対する人工中絶の割合は、1950年代をピークとして近年までほぼ右肩下がりで推移していることがわかります。

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人口統計資料集2015|国立社会保障・人口問題研究所

人工中絶のピークは1954年で、妊娠に対して50.2%もの中絶手術が行われていました。それに対して、2013年は妊娠に対してに対して7.0%まで割合が減少しています。

人工中絶の経験割合は15%!

次に、日本家族計画協会が無作為に選定した16-49歳の男女1,540人(男性671名、女性869名)を対象にして行った、「第5回男女の生活と意識に関する調査(平成22年度)」によると、中絶手術の経験者の割合は以下の様になっています。

これまでに人工妊娠中絶の手術を受けたことが「ある」という女性は15.5%。女性だけに絞り込むと、本調査からは16~19歳では人工妊娠中絶の手術の経験者はなく、20~24歳で7.0%、25~29歳で14.4%、30~34歳(14.3%)、35~39歳(16.0%)、40~44歳(21.2%)、15歳以上(22.8%)と回答しています。さらに、中絶のリピーターは女性の35.6%と高率となっています。

引用|第5回男女の生活と意識に関する調査(平成22年度)

中絶手術経験者の年齢別割合
16-19歳|0%
20-24歳|7.0%
25-29歳|14.4%
30-34歳|14.3%
35-39歳|16.0%
40-44歳|21.2%
45歳以上|22.8%

中絶手術経験者は全年代平均で15.5%、そして一生の間に22.8%の女性が中絶手術を経験するということがわかりました。つまり、40代までに4-5人に1人は中絶手術を受けているということです……。

これは、余計に中絶手術の後遺症リスクが気になります。

人工妊娠中絶手術の痛みや後遺症リスク

どのような手術にも身体の痛みや術後のリスクはありますが、エリオット研究所創設者のデビッド・C.リアドン博士は、中絶に伴う身体と心のリスクを以下のように述べています。

国の統計によると、人工中絶した女性の10%は手術後すぐに合併症にかかり、その内の1⁄5(2%)は重い症状である。

中絶してから最初の数週間の間では、質問を受けた女性の40∼60%はネガティブな反応を表している。中絶後8週間では55%が罪の意識を表し、44%が精神異常を訴え、36%が不眠症にかかっており、31%が中絶した事を後悔しており、11%が主治医から向精神薬を処方されている。

リアドン博士はアメリカ人のため、以下の内容は全てアメリカにおける統計だと思われます。

つまり、中絶手術は感染症など身体のリスクがあるだけではなく、堕胎したことによる後悔や罪の意識などの負の感情を抱えたり、精神的なストレスを受けることがわかっています。

参考|David Reardon – Wikipedia
参考|japan.lifeissues.net | 中絶後遺症

中絶手術の身体のリスク

人工中絶手術には、以下の身体へのリスクが懸念されます。中でも、前述した通り術後の感染症などの合併症リスクがあるようです。

中絶手術の身体的リスク
麻酔によるアレルギー|麻酔の成分にアレルギー反応が出てしまう
胎盤遺残(たいばんいざん)|子宮内に胎盤やその他子宮内容物が残ってしまう
子宮内感染|子宮内に細菌が感染してしまう
子宮穿孔(しきゅうせんこう)|子宮の壁に穴が空いてしまう
子宮頚管裂傷(しきゅうけいかんれっしょう)|子宮頸管が裂けるなど傷ついてしまう
子宮破裂|陣痛が強すぎた場合に子宮が破裂してしまう
子宮内出血|子宮内部の傷によって出血が起こる
子宮内感染|子宮頚管を拡げて手術をするため、細菌による子宮内感染を起こす
子宮内腔癒着|無月経などの原因になる子宮頚管や子宮腔の癒着が起こる

中絶手術の心のリスク(中絶後遺症候群)

中絶後遺症候群(PAS)とは、中絶手術を経験したストレスによってPTSD(心的外傷後ストレス)の症状が出ることを言います。

中絶手術を経験者の約20%が中絶後遺症候群を経験すると言われており、精神不安定、フラッシュバック、うつ症状、自傷行為、アルコール依存症などを経験する場合があります。

中絶手術の不妊リスク

中絶手術には不妊リスクがあると言いますが、中絶手術自体が直接不妊につながるわけではありません。

ただし、中絶手術によって子宮破裂、子宮頚管裂傷、子宮内感染などの二次被害が起こる可能性はありますし、中絶後遺症候群によって妊娠にトラウマを抱えてしまうと、将来的な不妊につながる恐れは十分にあります。

人工中絶を減らすために

人工中絶は、事件などに巻き込まれなければ、妊娠しないように注意することである程度は避けられるものです。

金銭的な負担、人工妊娠中絶に伴う痛みやリスク、精神的な負担、また将来の不妊リスクを負うことは軽くははなく、安易な性交や性交の際の気の緩み・不注意が、割に合わない事態を招いてしまいます。

そのため、女性であれば普段からピルを服用したり、お互いが納得をして避妊具を使って避妊を心掛け、様々な負担やリスクを避けなければいけません。

ちなみに、このような考え方が一般的に浸透したのは、コンドームが普及し始めた1980年代中頃で、きっかけは避妊ではなくAIDS予防でした。当時、小学校低学年のわたしでも「AIDS」という言葉を知っているくらい広まっていました。

ご紹介した通り、人工中絶の割合が年々減少しているとは言え、まだ20%以上の女性が痛みや後遺症リスクを伴う中絶手術を経験しています。

たとえ、やむを得ず中絶手術をしなければいけない場合でも、女性は身体に負担を感じたり、お腹の中にいた子どもに対して後悔を感じるはずです。

もし、1度でも中絶手術をすることになってしまったら、将来の中絶件数を減らすためにも、今後はあなたが中心になって同じことを繰り返さないようにパートナーと避妊方法について考えるようにしましょう。

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