予定帝王切開と緊急帝王切開とは?手術の理由・原因や割合は?

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帝王切開の割合は5人に1人で20%

わたしは、2人の子どもを帝王切開で産みました。当時のわたしは、自分が帝王切開で子どもを産むとは思っておらず、医師から帝王切開を告げられたときはショックでした。

なぜなら、「帝王切開=母子の生命の危険」というイメージがあったからです。きっと、同じ様に思っている人も少なくないはずです。

妊娠中の妊婦や子どもが欲しい人にとって、帝王切開は身近に感じないかもしれません。ところが、帝王切開の割合は年々高まっており、現在産まれてくる赤ちゃんの約20%が帝王切開で出産されています。

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引用|平成26年(2014)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況|厚生労働省

厚生労働省の平成26年の統計情報によると、一般病院の分娩46,451件中11,543件(24.8%)、一般診療所の分娩38,765件中5,254件(13.6%)となり、合わせて85,216件中16,797件(19.7%)が帝王切開での分娩になります。つまり、5人に1人……帝王切開は珍しい出産方法ではありません。

「えっ?帝王切開が頻繁に行なわれるほど出産って危険なの?」という話しではありません。近年行なわれる帝王切開は、一般的なイメージよりもずっとポピュラーで、母子のリスク軽減のために行なわれる出産方法です。

そこで今回は、帝王切開をする理由・しなければいけない理由についてお話したいと思います。

帝王切開とは

帝王切開とは、通常の経膣分娩を行うと母体や胎児に出産リスクがあると医師が判断した場合に、母体の腹部を切開して子宮から直接赤ちゃんを取り出す出産方法を言います。

帝王切開には、予め経膣分娩が難しい判断した場合に計画的に行う「予定帝王切開」、早産の時期(妊娠22週-36週)や経膣分娩中に母体や胎児にリスクが生じた場合に緊急で行う「緊急帝王切開」に分かれます。

予定帝王切開とは

予定帝王切開とは、逆子や胎児発育不全など、妊娠中の母子の状態によって経膣分娩が難しいと医師が判断した場合に、なるべく妊娠36週以降で元々の出産予定日よりも前に手術の日取りを決めて、切開手術による分娩を行うことです。

緊急帝王切開とは

緊急帝王切開とは、胎児ジストレスや臍帯異常、回旋異常、胎盤早期剥離など、妊娠中や分娩中の母子の状態が危険な場合に、緊急で切開手術を行い胎児を取り出す分娩方法のことです。

予定帝王切開を行う理由・基準

予定帝王切開は、妊婦が妊娠期間中に以下の理由や基準が見られるため、徐々に帝王切開を行うことが確定していきます。

理由・基準1.胎児が逆子

胎児は、一般的に子宮の中で頭が下になった状態(正常胎位)で産まれてきますが、足が下になっている逆子(骨盤位)などの場合、経膣分娩が難しくなり、母子のリスクが増す可能性があります。

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理由・基準2.胎児発育不全(FGR)

胎児発育不全(FGR)とは、何らかの原因で胎児の発育が遅れていることを言います。胎児発育不全と診断された胎児は身体が小さく、経膣分娩では体力が保たない可能性があります。

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目安は、胎児発育曲線(上図)において、36週目の下線(2000g)を下回っている場合、妊娠38週以降に予定帝王切開を行う可能性があります。

理由・基準3.胎児が巨大児

胎児が4000gを超える巨大児の場合、児頭骨盤不均衡(じとうこつばんふきんこう)などによって難産になる可能性があるため、医師の判断により予定帝王切開を行う可能性があります。

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理由・基準4.多胎妊娠

多胎妊娠の場合も胎児が産道を通りにくく、難産になる可能性が高いため、予定帝王切開を選択することが多くなります。

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理由・基準5.前置胎盤(ぜんちたいばん)

前置胎盤とは、胎盤が通常の位置よりも子宮の低い位置で形成された状態を言い、胎盤の位置によっては分娩の邪魔になることがあります。

前置胎盤がわかっているまま経膣分娩を行うと、胎盤損傷による胎児のリスクや難産による母体のリスクが高まるため、ほぼ予定帝王切開をすることになります。

理由・基準6.以前に帝王切開を行っている

経産婦で以前に帝王切開を行っている場合は、経膣分娩を行うことで子宮破裂のリスクがあるため、予定帝王切開を行うことが多くなります。

理由・基準7.以前に子宮を手術している

帝王切開と同様、子宮筋腫など他の病気で子宮の手術を行っている場合は、経膣分娩を行うと子宮破裂のリスクがあるため、予定帝王切開を行うことが多くなります。

理由・基準8.母体に合併症・感染症リスクがある

母体が重度の妊娠糖尿病を患っていたり、心臓、腎臓などに病気がある場合は、母体を守るために予定帝王切開を選択する場合があります。

また、母体が感染症を起こしている場合も、産道を通る胎児への感染リスクが発生するため、予定帝王切開をすることが増えます。

理由・基準9.臍帯下垂

妊娠30週を過ぎて臍帯下垂が見つかった場合、または臍帯下垂の恐れがある場合は、母体の臍帯脱出を防ぐために予定帝王切開を行う場合があります。

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緊急帝王切開を行う理由・基準

妊娠中、または経膣分娩の最中に以下の理由・基準によって、迅速に胎児を取り出す必要があると医師が判断した場合は、緊急帝王切開を行います。

理由・基準1.胎児機能不全(胎児ジストレス)

何らかの理由により胎児の心拍数低下、低酸素状態、アシドーシス(酸性血症)だと認められる場合は、医師の判断によって緊急帝王切開を行うことが多くなります。

理由・基準2.臍帯異常(さいたいいじょう)

臍帯異常とは、主にへその緒が圧迫されることで胎盤から胎児に酸素(や栄養)が送られなくなることです。

臍帯異常は事前に発見することが困難で、分娩時に臍帯異常が見つかった場合、胎児機能不全(胎児ジストレス)や新生児仮死の恐れがあるため、症状に応じて緊急帝王切開を行うことがあります。

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理由・基準3.遷延分娩など長時間分娩

一般的な分娩の所要時間は初産婦で11-15間程度、経産婦で6-8時間程度ですが、初産婦で30時間以上、経産婦で15時間以上分娩に要することを「遷延分娩(せんえんぶんべん)」と言います。

遷延分娩は、母体の微弱陣痛や胎児の回旋異常、また児頭骨盤不均衡など様々な原因で起こります。

・初産婦の場合
分娩第1期にかかる時間:10-12時間
分娩第2期にかかる時間:1-2時間
分娩第3期にかかる時間:15-30分

・経産婦の場合
分娩第1期にかかる時間:5-6時間
分娩第2期にかかる時間:30-1時間
分娩第3期にかかる時間:10-20分

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その中でも、分娩第2期に入っても分娩が進まない場合は、緊急帝王切開を行うことが多くなります。

理由・基準4.常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)

常位胎盤早期剥離とは、妊娠30週ごろから起こりやすい胎盤の病気のことで、胎児の娩出20-30分後に子宮から剥がれて体外に出る胎盤が、出産前に剥がれてしまうことで死産や、母体に失血死のリスクを伴います。

分娩中に常位胎盤早期剥離が起きた場合は、高い確率で緊急帝王切開を行うことになります。

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予定帝王切開と緊急帝王切開の割合と問題

帝王切開の割合は、前述した通り約20%ですが、予定帝王切開と緊急帝王切開それぞれの割合はどれくらいでしょうか。

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出典|クォリティ・インディケータのデータ公表の意義と課題|公益財団法人日本医療機能評価機構※リンク切れ
※データ元は厚生労働省の社会医療診療行為別統計

この資料を見る限り、2011年の予定帝王切開の割合は60.0%、緊急帝王切開の割合は40.0%だということがわかります。

予定帝王切開・緊急帝王切開にかかわらず、帝王切開の割合が増えている背景には母子のリスク軽減がありますが、代わりに開腹手術によるリスクや感染症・合併症などの問題もはらんいます。

産科医の赤岩明医師はブログの中で以下のように述べています。

実は、リスクのある妊娠や、危険とされる兆候が出た時に、このままで大丈夫なのかの判断がつかないため、予防的に帝王切開が行われているということです。妊婦とその家族も「危険性があるなら無理をせず帝王切開でお願いします」となりがちです。不確実に不都合な事実が示されると安全策を選びたい、不確実な状況を早く終わらせたい、となるのは自然の流れです。

引用|帝王切開が増える本当の理由 日本の産科医療2020年問題 – 現役産科医の視点

つまり、様々な状況・環境の中で経腟分娩を行う経験や知識が欠如した医師が増え、安易に帝王切開を行う医師が増えつつあるということです。

帝王切開の心構え

テレビドラマなどでよく見る「まずいっ!すぐに手術に切り替えるぞ!」というのは、緊急帝王切開のことです。

もちろん、緊急帝王切開でも母子の状態に差はありますが、医師が判断するならおそらく緊急を要するのでしょう。そして、緊急帝王切開の多くは分娩中に行なわれるため、妊婦の心構えは難しいでしょう。

反対に、わたしのように逆子などで予定帝王切開を行なった人はどうでしょうか。

妊婦の大半は、自分が帝王切開で出産するとは思っていないため、恐らくショックを受けると思います。

お腹の中の赤ちゃんに申し訳ない気持ち、自分を責める気持ち、手術を怖いと思う気持ちなどが湧き、最終的には諦めに似た気持ちになるのではないでしょうか。

ただ、前述した通り、帝王切開での出産割合は20%前後に達しています。これだけ帝王切開が増えた背景は、医療技術が進歩して「この状態なら帝王切開の方が安全に出産できる。」と判断する医師が増えたためです。

たしかに、適正と言えない帝王切開もあるでしょうし、手術のリスク・合併症のリスクも考えられますが、母子の緊急リスク軽減を考えるならば、ある程度は仕方がないのではないでしょうか。

そのため、手術を怖いと思う気持ちはあっても、お腹の中の赤ちゃんに申し訳ない気持ちや、自分自身を責める気持ちは必要ありません。

世の中には、「自然分娩で赤ちゃんを産むことが尊い」と思っている人もいますが、最終的に母子が無事に出産できれば良いのだと思います。

経膣分娩を行っても、帝王切開を行っても、産みの苦しみ(帝王切開は産後の苦しみ?)は味わいます。たとえ帝王切開でも、気を落とさずに健康な赤ちゃんを産むことに意識を集中しましょう。

その他の出産方法の種類やその割合などは、以下を参考にしてください。

自然分娩・経膣分娩とは?様々な出産方法の種類と割合


参考|選択(予定)帝王切開が行われる主なケース│帝王切開とは?│帝王切開ナビ
参考|緊急帝王切開が行われる主なケース│帝王切開とは?│帝王切開ナビ

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