産褥期はいつまで?妊娠機能が回復する期間や産後の過ごし方

出産後のママと赤ちゃん

この記事の読了時間は約 8 分です。

床上げと産褥期

一般的に、産後の床上げと言えば、出産で疲れきった心身の回復に努めながら、徐々に育児や家事をこなせる身体に戻していき、3週間(1か月)ほどの養生期間を過ごした後に寝床を上げる行為を指します。

産後の床上げ3週間or1か月とは?家事や外出できるのはいつから?

この床上げとは別に、「産褥期(さんじょくき)」という言葉があります。産褥期は、産後の養生をしなければいけない期間として知られていますが、期間は6-8週間を指し、床上げまでの時期よりも少し長く設定されています。

床上げまでの期間も、産褥期もどちらも同じ産後の養生をしなければいけない期間にもかかわらず、なぜ別の言葉、別の期間があるんでしょうか。

今回は、産褥期がどのような期間なのか、また産後の床上げとは何が違うのかというお話をしたいと思います。

産褥期(さんじょくき)とは

産褥期とは、妊娠と出産(分娩)によって生じた膣や子宮などの出産に必要な身体の機能変化が、妊娠前の状態に回復するまでの6-8週間の期間を言います。

これは表面的な体調や見た目だけの話ではなく、医学的見地においても臓器などの機能回復に必要な期間として設定されているため、出産後の女性は、この時期に無理に身体を動かしてはいけません。

出産した女性のための産後休業も産後の身体機能の回復を目的として、8週間の休みを取ることが育児・介護休業法で義務付けられていますね(医師の許可があれば6週間でもOK)。

産休と育休の取得条件の違いは?休暇中の給料・手当はどうなる?

この産褥期の6-8週間を養生して過ごすことで、子宮などの形状や機能が妊娠前の状態に回復(子宮復古)したり、分娩のときに産道や膣にできた傷などが治っていきます。

また、妊娠によって赤ちゃんを産むために変化した身体が、再び赤ちゃんを妊娠できる身体に戻ります。そのため、産褥期の過ごし方はとても大切なんです。

産褥期に起こる身体の変化と機能回復

産褥期には、母体に以下のような身体の変化、妊娠前の状態への機能回復が起こります。

参考|産褥期の注意すべき症状と対策(さんじょくきのちゅういすべきしょうじょうとたいさく)とは – コトバンク
※出典元|小学館-家庭医学館

産褥期の変化と回復1.汗

通常、女性は男性よりも汗をかきませんが、産後1週間ほどは発汗量が増えます。それは、妊娠中に大量に分泌されていたプロゲステロン(黄体ホルモン)やエストロゲン(卵胞ホルモン)などの女性ホルモンが減少し、自律神経が失調気味になることが原因です。

これを「産褥期多汗(産褥性多汗)」と言い、女性ホルモンのバランスが整うまでは多汗状態が続きます。

産褥期の変化と回復1.体温

出産当日から翌日にかけて、分娩時にできる産道・膣などの傷に細菌が感染することで発熱し、37度台まで体温が上昇することがあります。

通常は発熱の翌日に平熱に下がりますが、発熱が続いたり、38度以上の高熱に至った場合は「産褥熱(さんじょくねつ)」という感染症の可能性があります。

産褥感染症とは?産後の産褥熱・合併症の原因・症状と治療法

産褥期の変化と回復3.体重

一般的に、出産直前は妊娠前に比べて7-10kgほど体重が増えますが、出産によって赤ちゃん、羊水、胎盤などを娩出するため、5-6kgほど体重が減ります。さらに、4-6か月の日常生活の中で3-4kgほど体重が減ります。

妊娠で理想の体重増加は何キロ?増えすぎで妊婦と胎児に悪影響が

ただし、妊娠中に脂肪を蓄積し過ぎたり、生活習慣が変わることで、妊娠前より体重が3-4kg増加した状態で落ちにくくなることもあります……。

産褥期の変化と回復4.血圧や血流

血圧は分娩時に急激に上昇し、脈拍や心拍出量(心臓から運ばる血液量)も増加しますが、ほとんどの人が出産後24時間以内に元に戻ります。

また、出産前は体内を循環する血液量も増加しますが、出産後は発汗、悪露などによって徐々に循環血液量が減少し、産後3週間ほどで妊娠前の状態に戻ります。

産褥期の変化と回復5.尿

出産直後は膀胱や尿道などに圧力がかかるため、泌尿器が一時的に麻痺して排尿しにくいことがありますが、6週間ほどで妊娠前の状態に戻ります。

また、出産中から少量の蛋白尿が出る場合がありますが、多くは産後1-2日で出なくなります。

蛋白尿とは、血尿と同様に腎臓のろ過機能に異常があり、血液中のタンパクが尿中に漏れたもので、おしっこに白濁色が混じっていたり、おしっこが泡立っていることを言います。

産褥期の変化と回復6.排便

出産後は、一時的に便秘傾向が強くなる場合があります。通常は産後2-3日で排便できますが、便秘が続く人には水分不足、寝不足、切開傷の痛みなどの理由があります。

出産後の便秘の7つの原因は?硬い便や腹痛を解消する方法は?

産褥期の変化と回復7.月経・内分泌

妊娠中は、排卵を促す卵巣刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)の分泌が抑制されています。卵巣刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)の分泌は産後6-8週間ごろに始まり、それによって再び月経が始まります。

ちなみに、授乳をしていると「赤ちゃんはまだ小さい」と身体が認識して、卵巣刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)の分泌が遅れ、月経の再開も遅れます。場合によっては、年単位で月経が始まらないこともあるそうです。

産褥期の変化と回復8.子宮

産後の子宮は「後産(あとざん)」を経て縮小し、出産後2時間でへそ下まで収縮しますが、その後12時間でへそあたりまで一旦拡大してから徐々に縮小していきます。この流れの中で後陣痛(こうじんつう)も起こります。

後陣痛を和らげる方法は?経産婦・帝王切開後の痛みはいつまで?

子宮は6-8週間かけて妊娠前の大きさに戻りながら、新しい粘膜が再生し始め、妊娠前の状態に回復していきます。この子宮の修復を「子宮復古(しきゅうふっこ)」と言います。子宮復古の際は、廃棄物や分泌物として「悪露(おろ)」が排出されます。

産褥期の変化と回復9.悪露(おろ)

産後すぐに、血液と子宮残留物、産道分泌物などが混じった「悪露(おろ)」が排出され始め、およそ4週間ほど続きます。悪露は期間によって色や量が変化するため、子宮の回復状態を知る指標になります。

悪露が続く期間やその際に変化する色・量・匂いなどは、以下を参考にしてください。

産後の悪露はいつまで?出血量・色・匂いの変化と帝王切開後の症状

産褥期の変化と回復10.子宮頚部(しきゅうけいぶ)

子宮頸部は妊娠中は閉鎖していますが、分娩時には10cmほどに開大します。出産を終えると子宮頸部は、またすぐに閉鎖しはじめ、約4-6週間で妊娠前の状態に戻ります。

分娩の前兆から分娩開始までの子宮頸部の変化は、以下を参考にしてください。

正常分娩と異常分娩の違いは?症状や出産割合・出産の流れなど

産褥期の変化と回復11.膣

膣は出産時に緩み、伸展し、傷ついた状態ですが、出産を終えるとすぐに縮小しはじめ、3-4週間ほどで妊娠前の状態に回復します。

産褥期の変化と回復12.会陰切開(えいんせっかい)

もし、出産時に会陰切開を行なったり、会陰裂傷が起こったとしても、退院までにはある程度傷口は閉じます。会陰切開の痛みは1週間ほど、違和感は1か月ほどで治まりますが、会陰裂傷は痛みや違和感が数か月残る場合もあります。

会陰切開とは?産後の痛みはいつまで?手術方法や麻酔・抜糸は

産褥期の変化と回復13.呼吸器

妊娠に伴って子宮が拡大すると、横隔膜が上昇するため、呼吸に圧迫感があり、機能的残気量(呼吸のときに呼気の後に残っている量)が20%ほど減少します。

出産後は、子宮収縮に伴って横隔膜が下降するため、呼吸の圧迫感も薄れ、産後1週間ほどで機能的残気量も元に戻ります。

産褥期の変化と回復14.乳汁(にゅうじゅう・ちしる)・乳房

産後2-3日目から乳房が膨らんで固くなり、乳房内に「乳汁(にゅうじゅう・ちしる)」が分泌されます。経産婦の場合は1-2日で乳汁が分泌されます。

産後すぐの時期に出る初乳(しょにゅう)には、赤ちゃんが吸収しやすく免疫機能を高めるホエイ(タンパク質)が多く含まれているためとても重要です。

タンパク質が重要!赤ちゃんに必要な母乳の7つの栄養素・成分

初乳と成乳の違いとは?期間・栄養成分・色・味・カロリーなど

産褥期の過ごし方

産褥期の過ごし方として最も大切なことは、なるべく安静にすることです。

妊娠・出産という急激な身体の変化を体験した女性は、身体に感じる違和感や体調の変化に対して麻痺しているかもしれませんが、産後は大きな仕事を終えた時期なので、まずは体力の回復に努めてください。

基本的には、床上げまでは気分転換以外の家事などで無理に身体を動かすことをせず、赤ちゃんと触れ合うことを重視します。その後体力が回復したら、1か月から2か月かけて少しずつ本格的な家事などを開始しましょう。

産後の運動としては、負荷が軽い「産褥体操」が効果的です。運動と言っても軽いストレッチなので、無理をしなければ産後3週ごろから行っても問題ないでしょう。

また、栄養バランスが良い食事を摂ることも大切です。早く体力を回復しようとして、たくさん食べる必要はありません。体調次第で少量でも良いので、なるべく3食決まった時間に食べるようにしましょう。

料理は「栄養面に気を付けなきゃ……。」と悩むよりは、宅配サービスや家事代行サービスを活用して、身体に負担をかけないようにしましょう。

家事代行サービスとは?市場規模・利用割合とメリットデメリット

注意点として、産後の1か月検診で医師からお風呂や車の運転、赤ちゃんとの外出などの許可がおりたからといって、全てが回復したと思わないことです。たとえ1か月で体調が良くなり、体力が回復したように思えても、身体の機能自体はまだ全て回復したわけではありません。

ママが体調を崩すと赤ちゃんに影響が出るため、十分に休むことも母親の責任だと考えてください。

記事のURLとタイトルをコピー