目やにや片目だけ涙の症状…先天性鼻涙管閉塞の原因と治療法

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あれ?新生児なのに涙が出る…

「うちの子産まれたばかりなのに、もう涙が出るの……。」

通常赤ちゃんがよく涙を流すようになるのは生後3-4か月ごろからです。それまでは大きな声を出して泣いているように見えても、涙はあまり流れていません。

ただ、涙を流す機能には赤ちゃんの個人差があるため、早い子では生後2週間ぐらいで涙がボロボロ流れることもあるようです。

でも、ママは「それなら安心。」と軽く流さないでください。

もし、赤ちゃんの涙がなかなか止まらなかったり、片目だけやたら涙が出たり、目やにが多い場合、「先天性鼻涙管閉塞(せんてんせいびるいかんへいそく)」という病気の可能性があります。

今回は、先天性鼻涙管閉塞がどのような病気なのか、先天性鼻涙管閉塞の原因、症状、治療法などについてお話したいと思います。

先天性鼻涙管閉塞(せんてんせいびるいかんへいそく)とは

先天性鼻涙管閉塞とは、涙腺から出た涙がのどに流れこむ際に通る「鼻涙管」が閉塞、または鼻涙管が欠損した状態のため、目から涙が溢れてしまったり、目やにが過剰に溜まってしまう症状のことです。

ちなみに涙が通る道を「涙道(るいどう)」と呼び、以下のように涙が流れます。

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a.涙腺(るいせん)
b.上涙点(じょうるいてん)
c.上涙小管(じょうるいしょうかん)
d.涙嚢(るいのう)
e.下涙点(かるいてん)
f.下涙小管(かるいしょうかん)
g.鼻涙管(びるいかん)

涙は目尻の上の方の「涙腺」から流れ出て、目頭の上下にある「涙点」に流れ込みます。涙点に涙が流れこむと「涙小管(るいしょうかん)」「涙嚢(るいのう)」「鼻涙管(びるいかん)」を通り、鼻から涙が出てくるという仕組みになっています。

赤ちゃんが泣いても涙が出ない理由は?涙が出る時期はいつから?

先天性鼻涙管閉塞は、赤ちゃんの鼻涙管が閉塞したまま産まれてきた症状で、反対に産まれた後の「後天性鼻涙管閉塞」は蓄膿症(ちくのうしょう)や結膜炎(けつまくえん)などの感染によって起こります。

先天性鼻涙管閉塞は、新生児のおよそ10-15%前後に発症する割とポピュラーな病気で、そのうち約90%が片目、約10%が両目に発症します。

参考|群馬県伊勢崎市 新田眼科

先天性鼻涙管閉塞の症状

先天性鼻涙管閉塞の赤ちゃんは、鼻涙管が詰まっていて涙が鼻に流れないため、常に涙目の状態です。

涙嚢(るいのう)に溜まっている涙が流れないと、涙嚢で涙に細菌が繁殖してしまい、目の周りやまつ毛に目やにが溜まりやすくなり、目やにがこびりつくことで目が開けにくくなります。

また、涙嚢に溜まった細菌のせいで炎症を起こして、「涙嚢炎(るいのうえん)」などの感染症に発展する可能性があります。

涙嚢炎とは、まぶたが腫れて痛みを伴ったり発熱を起こす病気のことで、涙嚢炎が悪化すると頬や鼻にかけて大きく腫れ上がることがあります。

同様の症状は単純に目に細菌が入った場合でも起こりますが、その場合は新生児用の目薬を使うことで症状は治まります。

先天性鼻涙管閉塞の赤ちゃんは、鼻涙管を鼻に通すなど鼻涙管の閉塞を解消する根本的な治療が必要です。

先天性鼻涙管閉塞の治療方法

もし、赤ちゃんが先天性鼻涙管閉塞を発症しても、生後3か月以内に70%、1年以内に90%以上が自然治癒するため、多くは緊急の治療が必要ありません。

もちろん、数%の赤ちゃんは先天性鼻涙管閉塞が自然治癒しないため、眼科での治療が必要になります。

参考|新生児の涙とメヤニ(先天鼻涙管閉塞)|広辻眼科

先天性鼻涙管閉塞の治療1.涙嚢(るいのう)マッサージ

先天性鼻涙管閉塞が軽度の場合は、抗生物質入りの目薬を使用しながら、目頭近くを刺激する涙嚢マッサージを行い、鼻涙管の開通を促します。

涙嚢マッサージの方法は簡単で、1日3回目尻と鼻の間にある涙嚢を軽く10回ほど押すだけですが、マッサージで涙嚢が破け、細菌が目に広がる可能性もあるため、まずは専門医の指導が必要です。

マッサージ中に目やにが出てきた場合は、ガーゼなどで軽く拭き取り、マッサージ後は処方してもらった新生児用の目薬をして清潔に保ちます。もちろん、マッサージ前後のママの指は必ず洗って清潔にします。

以下の動画は中国語ですが、これを見ると涙嚢マッサージがイメージできると思います。

先天性鼻涙管閉塞の治療2.鼻涙管開通手術

涙嚢マッサージ治療を続けても鼻涙管閉塞改善しない場合は、生後6か月以降であれば「プジー」という針金状の器具を通して、鼻涙管を開通させる手術を行う場合があります(自然治癒に期待して、1歳近くになるまでは行わないそう)。

鼻涙管開通手術によって鼻涙管の詰まりが開放された後は、シリコンチューブを涙点から挿入して2-3か月ほど経過観察をします。

先天性鼻涙管閉塞の治療3.涙嚢鼻腔吻合術(るいのうびくうふんごうじゅつ)

もし、鼻涙管開通手術後に再び鼻涙管が閉塞し、慢性的に鼻涙管閉塞になってしまう場合は、涙嚢と鼻腔(びくう)の間にある骨を削って、鼻と涙嚢をつなげる「涙嚢鼻腔吻合術」という手術を行う場合があります。

鼻涙管閉塞の予防法

先天性鼻涙管閉塞は、先天性の病気のため予防法はありません。早期発見をして病院に連れていき、新生児用の目薬の処方と涙嚢マッサージの指導を受けるしかありません。

後天性鼻涙管閉塞は、蓄膿症や結膜炎によって鼻涙管が閉塞して起こるため、それらの病気を防ぐことが予防になります。

特に子どもは蓄膿症にかかりやすく、蓄膿症が長引きやすいため注意が必要です。蓄膿症の詳細は、以下を参考にしてください。

子どもの鼻づまり放置で蓄膿症に!厄介な症状と予防・治療法

赤ちゃんのウルウルし過ぎに注意

新生児の赤ちゃんは、あまり涙が出ない代わりに目を乾かさないよう瞳の表面が涙で潤ってウルウルとしています。

このウルウルとした涙を「基礎分泌」と呼びますが、一般的にまばたきの度に大人よりも多くの基礎分泌がされて、目の角膜を乾燥や細菌から守っています。

赤ちゃんが泣いても涙が出ない理由は?涙が出る時期はいつから?

赤ちゃんは大人とは違いまばたきの回数が大人の半分以下しかないため、多めに涙が基礎分泌されるようになっているそうです。

ただし、今回のお話通り、あまりにも目がウルウルしている場合は「あら、ウルウルして可愛い❤」ではなく、鼻涙管閉塞の可能性があることに注意して、赤ちゃんの様子を見てあげましょう。

せっかくママの顔を覚えてほしい時期に、赤ちゃんの目が目やにのせいで開きにくくなったり、視界がぼやけてしまうと悲しいですよね。

赤ちゃんはあまり涙が出ないため、ある程度の目やには溜まりやすくなっています。心配になったら定期健診などで確認するのが良いと思います。


参考|日本眼科学会:目の病気 新生児涙嚢炎
参考|さの眼科: 涙嚢鼻腔吻合術

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