出生届けなどに使う嫡出子と非嫡出子の意味と違い、嫡出推定とは

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出生届けに必要な嫡出子の欄

出生届を書く際に、「父母との続き柄」という項目があり、ここに「嫡出子(ちゃくしゅつし)」と「嫡出でない子」を選択する項目があります。このことは以前、出生届の書き方をお伝えした際に少しだけ触れました。

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嫡出子と嫡出でない子(非嫡出子)を簡単に言うと、嫡出子は婚姻関係がある相手との間に生まれた子どものこと、嫡出でない子(非嫡出子)は婚姻関係がない相手との間に生まれた子どものことです。

嫡出子?職業?筆頭者?本籍?出生届の正しい書き方と記入例

嫡出子と非嫡出子は、夫婦関係にとって、婚姻関係にとって、親子関係にとって非常に大切なものです。

今回は、嫡出子と非嫡出子の違いやそれぞれの意味についてお話したいと思います。

嫡出子(ちゃくしゅつし)と非嫡出子(ひちゃくしゅつし)とは

嫡出子と非嫡出子は、一般的にはそれほどややこしいものではありません。

前述した通り、嫡出子は結婚した相手との間に生まれた子どものことで、非嫡出子(婚外子)は結婚していない相手との間に生まれた子どものことです。

通常は結婚をしてから子どもができるので、大抵の子どもは嫡出子として生まれてくることになります。

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もし生まれてくる子どもが非嫡出子の場合、出生届の「父母の氏名」欄の「父」の名前を空欄にして提出しなければいけません。

嫡出子と非嫡出子の定義

嫡出子の定義は、婚姻した男女の間に生まれた子ども、または以下の条件に当てはまる子どものことで、非嫡出子の定義は嫡出子に当てはまらない子どものことです。

・婚姻中に妊娠をした子ども
・婚姻後201日目以後に生まれた子ども
・父親の死亡後、もしくは離婚後300日以内に生まれたこども
・未婚時に生まれて認知をされ、その後に父母が婚姻した子ども。
・未婚時に生まれてから、父母が婚姻し、父親が認知をした子ども
・養子縁組の子ども

引用|非嫡出子の相続をする際の注意点と相続争いを避けるコツ|厳選 相続弁護士ナビ

非嫡出子の疑問点1.出生届提出後に入籍する場合は非嫡出子?

では、前述した嫡出子と非嫡出子の定義から、思いつく疑問点とその回答をみていきましょう。

もし、結婚予定の男女が何らかの理由があって入籍が遅れてしまい、先に赤ちゃんを出産して出生届を出してしまったら、生まれてきた赤ちゃんは「非嫡出子(婚外子)」になってしまいます。

そのため、出生届の「父」の名前は空欄で提出しなければいけません。

また、入籍をすると自動的に「子」の父親になるわけではないため、何もしなければ赤ちゃんには父親がいないままになり、相続の権利を持つこともできなくなってしまいます。

そのため、赤ちゃんが父親の「子」なるためには、必ず「認知届(にんちとどけ)」を提出する必要があります。

非嫡出子の疑問点2.非嫡出子は誰の戸籍に入るのか?

非嫡出子の赤ちゃんの出生届を提出すると、赤ちゃんは母親の戸籍に入ることになります。

つまり、その母親は今まで入っていた家族の戸籍を抜けて、戸籍の筆頭者として新しい戸籍を作り、その戸籍に赤ちゃんを入れなければいけません。

母親の新しい戸籍は、「その他」の欄に新しい本籍地を記載します。

03 嫡出子?職業?筆頭者?本籍?出生届の正しい書き方と記入例

父親が子どもを認知をすることは婚姻とは関係ないため、妊娠後であればいつでも認知可能です。もし婚姻が遅れてしまうとしても、認知はできるだけ早めに済ませてしまうのが良いでしょう。

嫡出子と非嫡出子の問題点1.婚姻と認知の関係

嫡出子と非嫡出子は、必ず相続関係の話とセットで出てきます。少しややこしいので整理をします。

法務省では平成25年12月の法改正により、非嫡出子の相続権が改められました。

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引用|法務省:民法の一部が改正されました

この図を見て分かる通り、法改正によって非嫡出子と嫡出子の相続権の重みは同じになります。

仮に父親が死亡してしまい1,200万円の相続が発生した場合、これまでは嫡出子に2/6(400万円)、非嫡出子に1/6(200万円)相続されていたものが、法改正によって嫡出子も非嫡出子も1/4(300万円)の権利を持つことになりました。

もし、実父と実母から生まれた子どもで、婚姻と出産の順番の関係によって非嫡出子になってしまった場合、取る対応は以下の4つです。

父親と母親が婚姻関係を結び子どもを認知した場合

父親と母親が婚姻関係を結び、子どもを認知した場合は非嫡出子は嫡出子になり、父親の戸籍に「子」が記載されます。もちろん実子としての相続権も発生します。

父親と母親が婚姻関係だけを結んだ場合

父親と母親が婚姻関係だけを結んだ場合、「子」は母親の戸籍に記載されたままで、母親の子ではあるが父親の子ではないということになります。この場合、父親からの相続権は得られません。

父親が子どもを認知だけした場合

父親が子どもを認知だけした場合、「子」は父親からの相続権を得られますが、母親の戸籍から父親の戸籍に移されるわけではありません。ただし、母親の戸籍には「子」の父親の名前が記載されます。

父親と母親が婚姻関係を結ばず認知もしない場合

父親と母親が婚姻関係を結ばず認知もしない場合、その後も何もアクションをしなければ「子」と父親は赤の他人(いっしょに住んでいる場合は同居人)ということになります。

嫡出子と非嫡出子の問題点3.離婚後300日以内の子は前の夫との嫡出子?

「嫡出推定(ちゃくしゅつすいてい)」という言葉があります。嫡出推定とは、妻が婚姻中に懐胎(妊娠)した子は夫婦の子どもだとみなすことを言います。

嫡出推定の条件は以下の通りです。

・婚姻中に妻が妊娠した場合の子どもは夫婦の子どもとみなされる
・婚姻後200日以降に出産した子は、嫡出推定によって、出生届を提出した夫婦の嫡出子として戸籍に記載される
・離婚後300日以内に出産した子は、嫡出推定によって、出生届を提出した夫婦の嫡出子として戸籍に記載される

この嫡出推定の条件であれば、たとえ夫以外の男性との間に生まれた子であっても、夫の子どもということになってしまいます。

たとえば、結婚後200日を経過している妻が浮気をして夫以外の子を産んだ場合、夫が気付かずに夫婦で出生届を提出してしまえば「子」は夫の「嫡出子」となります。

さらに、離婚後300日以内に出産した子どもも、”元夫”が否認をしなければ「嫡出子」になってしまいます。

上記の場合は”元妻”が、子どもの父親は別の人だと知りながら嫡出推定によって、相続権や養育費の請求権を持つために出生届を提出することもあるそうです。

“元夫”が嫡出子の否認するためには、裁判所に対していくつかの調停を起こさなければいけません。

「でも、DNA鑑定すればすぐ本当の父親がわかるじゃん!」と思うかもしれませんが、一度戸籍に入ってしまうと、たとえ血の繋がりがなくても、また”元夫”が親子関係を否定したとしても、裁判で嫡出推定が有効になってしまう場合もあります。

参考|DNA鑑定vs民法 最高裁は嫡出推定を支持 | kasiko[カシコ]

血縁関係と戸籍はどちらが重要か

血縁関係と戸籍はどちらが重要かと言われると、「そのときの状況によって変わる」としか言いようが無いと思います。

ただ、「嫡出推定」の話は、あまりにも戸籍を重要視しすぎて怖い気がしますね……。

そのため、夫婦関係にとって、婚姻関係にとって、親子関係にとって、嫡出子であるか非嫡出子であるかを決定する出生届は慎重に提出することをおすすめします。

できちゃった結婚のことを「授かり婚」と言うようになって、かなり年月が経っていますが、法整備が整わないまま何となく響きが良い言葉が落ち着いてしまったため、一時的に非嫡出子になる子どもが増えました。

結婚より先に子どもを生むことが悪いわけではないのですが、法整備の遅れや不備によって問題が起こったときに、それを解決できないことやトラブルを起こしてしまうのは問題です。

ちなみに、立教大学で兼任講師や執筆活動を行なっている 本川 裕氏の「社会実情データ図録」によると、1980年と2008年を比べて日本の婚外子の割合は2.5倍アップ(0.8%から2.1%)しています。

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引用|図録▽婚外子(非嫡出子)の割合(国際比較)|社会実情データ図録

世界的にも非嫡出子の割合はとても多くなっているんですね……。


参考|愛人の子、婚外子(非嫡出子)は相続することができるのか?

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