乳幼児の脱水症状に必要な母乳と経口補水液の飲み方・注意点

314fc6c341ccef2271f8f5ebe33e4182

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

熱中症の間違った知識

熱中症を正しく理解している人はそれほど多くはありません。

熱中症とは、体温が上がって大量に汗をかくことで水分や塩分を失って脱水症状を起こしたり、体温が上がったまま体温調節ができなくなることが原因で、「熱失神」「熱痙攣」「熱疲労」「熱射病」の4つの症状を引き起こすことを言います。

熱失神・熱痙攣・熱疲労・熱射病は、手足のしびれや頭痛、吐き気、めまい、失神、痙攣などを起こし、症状が悪化すると臓器不全、機能障害、意識喪失などにつながり、最悪死亡にまで至る可能性があります。

熱中症とは?熱失神、熱痙攣、熱疲労、熱射病の具体的な症状

特に年配の方が熱中症に間違った知識を持っていることが多く、

・7-8月の真夏に限った病気?
・かかりやすい気温は30度以上?
・強い直射日光を浴びなければ大丈夫?
・屋内にいれば問題ない?
・昼間にしか起こらない?
・熱中症になったら水を飲めば良い?

このような勘違いをしてしまうことで、熱中症の重傷者が毎年多数出てしまいます。

熱中症は、初夏の6月ごろから9月ごろまで続き、気温25度前後から起こり始め、直射日光が原因ではないため屋内でも夜間でも発症することがあり、単純に水を飲んでいるだけでは熱中症による脱水症状が回復しない可能性がある病気のことです。

「えっ?ちゃんと水分補給していれば良いんじゃないの?」

適切な水分補給をしていれば問題は無いのですが、「水」だけでは熱中症を悪化させてしまう可能性があります。

熱中症が起こる仕組みと脱水症状の種類

以前もお話しましたが、脱水症状は単純に身体の水分がなくなるだけではなく以下の3つの状態があります。それぞれの脱水症状によって、対応が異なるため注意が必要です。

・水分がなくなる高張性脱水

高張性脱水は、汗・おしっこなどで身体から水分がなくなることで起きる脱水症状。水分だけを失うため身体の塩分濃度が高くなり、のどの渇きを感じやすくなる。

・電解質がなくなる低張性脱水

低張性脱水は、嘔吐・下痢などで身体から水分を失ったときに、体内の電解質(ナトリウム・カリウムなど)をより多く失うことで起きる脱水症状。身体の塩分濃度が低くなるため、のどの渇きはあまり感じない。

・水分・電解質がなくなる等張性脱水

等張性脱水は、様々な理由で体から水分と電解質が同じくらい失われることで起きる脱水症状。水分と電解質が失われるため、のどの渇きを感じ水分補給しても電解質が足りないため、身体のバランスを崩し低張性脱水に移行する。

年中起こる乳幼児の脱水症状が悪化する仕組みと応急処置の方法

熱中症と脱水症状が起こる仕組み

熱中症(と脱水症状)が起こる仕組みはとても単純なものです。

気温が高い場所に居続けると体温が上がる

体温が上がるため血液の温度も上がる

体温調節機能1.血管が拡張し体表面を多く流れることで外気で体温を下げようとするが、気温が高いため、体表面に流れる血液の温度がさらに上がってしまう

体温調節機能2.汗を大量にかき、蒸発する際に熱を奪って体温を下げようとするが、血液の温度が上がっているため熱が下がらないうえに、身体の水分をどんどん失ってしまう

熱射病や脱水症状が悪化してしまう

さらに、水分を失ってしまったからといって水だけを補給してしまうと、前述した「低張性脱水」を起こし、頭痛や手足のしびれが発生し、場合によっては動けなくなり、熱中症が悪化してしまいます。

さらに、低張性脱水を起こすことで電解質バランスが崩れるため、水分を体外に出しバランスを取ろうという機能が働き、脱水症状も進行してしまいます。

熱中症はこのようなループが非常に怖いんです。

それほど気温が高くなくても気が付かないうちに身体の水分を失ってしまい、水分補給をしようとして水をがぶ飲みすると低張性脱水になって動けなくなり、その場から移動できないうえに余計に水分を失うことで症状が悪化し、最悪の場合死に至る……というものです。

大塚製薬のサイト内の画像がわかりやすいと話題になっていたので、引用させていただきます。これは脱水症状を起こす仕組みの1つですね。

sect_01_img

引用|効率的な水分補給|大塚製薬

脱水症状予防のための水分補給

真夏の暑い日であれば、まず避けなければいけないのは長時間の直射日光ですが、それほど気温が高くない場合でも適切な水分補給をして、熱中症を予防しておかなければいけません。

離乳食前の赤ちゃんの水分補給

離乳食が始まる前(生後5-6か月)の赤ちゃんの水分補給はおっぱいとミルクだけで十分です。おっぱいとミルクをしっかり飲む子であれば、他の水分は摂らせない方が良いでしょう。

ママによって多少差はありますが、赤ちゃんの低張性脱水を防ぐためにも必要なナトリウムは15mg/母乳100g、カリウムは48mg/母乳100gと母乳には十分な電解質が含まれています。

そのため、もし緊急で水分摂取が必要なとき以外におっぱい以外の水分を大量にとってしまうと、赤ちゃんはおっぱいの飲みが悪くなり、十分な栄養を摂取できなくなる可能性があります。

離乳食前の赤ちゃんの母乳・ミルク以外の水分補給はいつ必要?

生後6か月以降の赤ちゃんの水分補給

生後6か月-1歳までの赤ちゃんの水分補給も基本的にはおっぱいやミルクで十分ですが、離乳食が始まるため飲み物も少しずつ変わっていく時期です。

熱中症による脱水症状を起こす前であれば、ミネラルウォーター、湯冷まし、薄めた麦茶などを適量・適温で与えます。注意点は以下をご参考に。

赤ちゃんが飲むミネラルウォーター・湯冷まし・麦茶の注意点

2-6歳の幼児の水分補給

2歳になると色々な味にも慣れるため、通常の麦茶を飲ませても飲みにくいということはないでしょう。

年齢や生活環境によって好みは変わりますが、スポーツドリンクでも問題ありません。ただし糖分が多いため、家庭で薄めるなどの調整をしても良いでしょう。

以下の成分比較も参考にしてください。

子どもの脱水症状を防ぐ飲み物は?スポーツ飲料と麦茶等の成分比較

脱水症状を起こした場合の対処と水分補給

もし予防をできずに脱水症状を起こしてしまった場合も、脱水症状を和らげるための対応+水分補給をしなければいけません。

離乳食前の赤ちゃんの脱水症状時の対処

もし離乳食前の赤ちゃんが熱中症にかかったり、脱水症状を起こしてしまった場合は、やっぱりおっぱいやミルクを飲ませることが一番良いでしょう。赤ちゃんがおっぱいやミルクを十分に飲むことができれば全て事足ります。

ただし、何らかの理由でおっぱいやミルクの飲みが悪い場合は、経口補水液(大塚製薬が販売している「OS-1」が有名)を適量飲ませましょう。

ただし、水分補給のために飲むのではなく、脱水症状を和らげるために飲むものなので、用量を守って飲むようにしてください。大人でもがぶ飲みはNGです。

cl3_text

引用|経口補水液OS-1(オーエスワン) 下痢・嘔吐・発熱等による脱水状態に |大塚製薬工場

乳児の場合は体重1kgあたり30-50ml/日と書いてありますが、離乳食前の赤ちゃんはもっと少なくて構いません。

おっぱいやミルクを飲ませた後に飲みが足りないと感じた場合のみ、小さじ1-2杯(5-10cc)程度を飲ませるようにします。

脱水症状を起こした場合は必ず病院に連れて行きます。そのため、経口補水液をどの程度与えれば良いか、ひとまずの対応策を電話でかかりつけ医に聞いても良いでしょう。

生後6か月以降の赤ちゃんと幼児の脱水症状時の水分摂取

離乳食後の赤ちゃんと子どもが熱中症で脱水症状を起こした場合は、容量を守って経口補水液を飲ませてあげてください。

軽い脱水症状が回復した場合であれば、水や麦茶を適量(少量ずつ)飲ませて、これ以上水分を失わないように補給してあげてください。

もし、嘔吐下痢を起こしている場合は、水、麦茶などの水分補給はしないで、経口補水液だけを用量を守って飲ませるようにしましょう。

経口補水液(けいこうほすいえき)とは

経口補水液とは、食塩とブドウ糖を一定の割合で水に溶かした飲用水のことで、主に点滴をすぐに受けられない発展途上国で下痢、嘔吐、発熱などによる脱水症状の治療に用いられています。

「昔から脱水症状対策にはスポーツドリンクって決まってるんだけど?」

たしかに普段の水分補給にスポーツドリンクを飲むことは有効だと思います。

ただし、スポーツドリンクは脱水症状を起こす前に飲む飲料で、経口補水液は熱中症の軽度、中等度、重症の3段階のうちの軽度と中等度のときに飲む飲料のため役割が違います。

熱中症の症状が出ている際、特に乳幼児にスポーツドリンクを大量に飲ませてしまうと、低ナトリウム血症から水中毒を引き起こす可能性もあります。

OS-1は厚生労働省認可の特別用途食品の中の個別評価型病者用食品という扱いを受けており、通常の飲料水ではなく医薬品に近いものになっています。

a071029f0982e2e9a058731930243687

引用|特別用途食品制度について|消費者庁

経口補水液の飲み方と注意点

経口補水液は病者用の食餌療法(しょくじりょうほう)に使われる飲料のため飲み方と用量が決まっており、健康な人が普段の飲料用として飲んではいけません。

そのため一般的には、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士の指導を受けて飲用することがすすめられています。

経口補水液は、もともと病気の際に起こる脱水症状を緩和するために点滴を打っていたものが、より簡易的に(脱水症状時の)水分補給ができるようにと経口摂取が広まったものです。

ただし、水分補給と言っても経口補水液はガブガブ飲むものではなく、低張性脱水などによって崩れてしまった身体の電解質バランスを整えるために、少しずつ摂取するための水分です。

まだ経口補水液の正しい摂取の仕方が広まっていないため、スポーツドリンクや栄養ドリンクと同じ感覚でがぶ飲みしてしまい、電解質バランスを崩してしまうと、重度な脱水症状につながってしまうこともあります。

特に子どもは大人に比べて腎機能の発達が不十分なため電解質バランスを崩しやすく、経口補水液を摂取する際も注意して飲ませなければいけません。

ママは面倒でも小さじスプーンなどを使って量を計りながら経口補水液を飲ませたて落ち着いた後に、他の水分もこまめにあげるようにしてください。


参考|経口補水液OS-1(オーエスワン) 下痢・嘔吐・発熱等による脱水状態に |大塚製薬工場

記事のURLとタイトルをコピー