名前変えたい!手続きに必要な改名理由・条件・費用から戸籍変更まで

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改名の申請件数と受理件数

今日本では、どれくらいの人が自分の名前に愛着を持っているのでしょうか。反対に、どれくらいの人が改名を検討しているのでしょうか。

改名するためには、家庭裁判所に対して改名の申請手続きを行なわなければいけません。「えー、裁判所に申請なんて面倒くさい……。」と思っている人……戸籍はそんなに簡単なものではありませんし、改名の準備や改名後の手続きにも色々と時間がかかるものなんです。

しかも、実際に改名ができるのは、申請されたうちの75%前後で、残りは却下、または取り消しと言うことになります。以下は、平成27年度から過去10年分の家庭裁判所に対する「名前」の改名申請件数と認容割合の一覧です。

ちなみに却下とは、裁判所が申請を受理して審議した結果、基準が満たされておらず認容できない処分のことで、取り下げとは、申請者が審査の中断を申し出ることです。

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参考|平成27年 司法統計年報 3 家事編など

それぞれの年度で検索し、「家事審判事件の受理,既済,未済手続別事件別件数」というPDFの「戸籍法による名の変更についての許可」という箇所を見ると、件数が書かれています。

この改名の申請件数を多いと見るか少ないと見るかは、人によって異なると思いますが、毎年一定の人が改名を検討し、実際に名前を変えています。

では、なぜわざわざ家庭裁判所に申請手続きをしてまで、改名を検討する人が毎年いるのでしょうか。

今回は、改名を検討する理由と改名の手続きの方法、改名後に必要な手続きなどについてお話したいと思います。

改名は簡単に許可されない

家庭裁判所に申請手続きをして自分の名前を変える行為は、単純にその人の呼び方が変わるだけではなく、戸籍を変えてしまう行為です。

戸籍を変えるということは、改名希望者に行なわれてきた行政的な行為、今後行われる行政的な行為だけでなく、不動産や自動車の所有名義、銀行口座、その他もろもろの手続きを全てやり直すということです。

また、仮に改名希望者が「今日までは田中一郎だったけど、明日からは田中星空にしよう!」としてそれが通った場合、明日から誰もあなたのことを認識できなくなる可能性があります。

そのため、単なる個人的趣味、感情、信仰上の希望など、具体的には以下のような理由だけでは、簡単に改名はできないものだという認識を持っておきましょう。

・憧れのアイドルと同じ名前に変えたい
・画数を調べたら名前を変えた方が良いと言われた
・可愛い名前を思いついたから、そっちの方が良い
・結婚した人の苗字と今の名前を合わせると微妙……
・何となく名前を変えてみたい

改名が認められる正当な理由とは

改名が認められるためには、正当な理由が必要です。正当な理由は、家庭裁判所への申請用紙である「名の変更許可申立書」に「申立の理由」として、いくつかの項目が記されています。

1.奇妙な名である。
2.むずかしくて正確に読まれない。
3.同姓同名者がいて不便である。
4.異性とまぎらわしい。
5.外国人とまぎらわしい。
6.平成○年○月神官・僧侶となった(やめた)。
7.通称として永年使用した。
8.その他

ただし、これらの理由は本人の認識と裁判所の認識が違う場合があります。

改名の理由1.奇妙な名である

最近は、変わった名前が「キラキラネーム」とカテゴライズされているため、何がどこまで変わった名前で、それがどのような実害に結びついているのかを判断することは難しくなります。

いじめや差別を助長する名前、常識に照らしておかしいと思える名前など、どちらにしても具体的な事情があった方が改名しやすいことは確かです。

キラキラネーム・シワシワネーム・普通の名前の違いと事例

改名の理由2.むずかしくて正確に読まれない

こちらもキラキラネームに多いのですが、漢字が当て字のため、正確に名前を呼ばれたことが無かったり、覚えてもらえない場合は、社会生活に不利益が生じていると判断され、改名が許可されやすくなります。

後悔しない赤ちゃんの名前に…キラキラネームを避ける名付け方法

改名の理由3.同姓同名者がいて不便である

一番わかり易いものは、有名人と同姓同名の場合です。たとえば、その有名人が犯罪などを犯し、それによって全く関係ない同姓同名の人が注目を集めることになった場合は、改名が許可されやすくなります。

また、近所に同姓同名がいて何らかの支障をきたした場合、養子縁組などで姓を変えた結果、配偶者や扶養家族と同姓同名になり混乱してしまうなども改名が認められる理由だと考えられます。

改名の理由4.異性とまぎらわしい

かおる、あい、ひかりなどはまだ良いのですが、「○○子」なのに男、「○○郎」なのに女など、名前で性別を誤認させる場合も、改名が認められる理由になります。

改名の理由5.外国人とまぎらわしい

最近は、純日本人でもカタカナ名を見ることが多くなってきました。ただ、他の国に比べて外国人が少ない日本において、マイケル、キャサリンなどあまりにも外国人をイメージする名前だと、社会生活に不利益を生じる場合があります。

改名の理由6.神官・僧侶となった

神官・僧侶になる際、または神官・僧侶をやめる際は改名をします。そのため、改名の正当な理由になります。

改名の理由7.通称として永年使用した

名前は公的な文書や契約にかかわる事項での偽りがなければ、普段の生活や仕事上でどのように名乗っていても問題がないとされています。

そのため、たとえば郵便物などに通称を使っても問題ありませんし、表札や名刺に通称を使っても問題ありません。

そのような通称を5年以上使い続けた実績(郵便物、名刺など)があれば、それまで名乗っていた通称に改名することができます。

改名の理由8.その他

また、その他という項目もあります。上記に改名したい理由がなければその他に書き込みます。過去の改名理由の事例には以下のものがあります。

・会社の営業上の理由による襲名の場合
・伝統芸能の継承者が世襲によって改名する場合
・帰化した際に日本風の名に改める必要がある場合
・出生届を提出した際に実は名前が間違っていた場合
・過去の想起で精神的苦痛をきたし、日常生活に支障を及ぼす場合
・性同一性障害など、性別の不一致がある場合
など

参考|名の変更届 – Wikipedia

改名の申請手続きに必要な書類・条件

正当な理由があり、戸籍の名を変更するためには、改名の申立人の住所地の家庭裁判所に対して、必要な書類などを提出する手続きが必要になります。

改名の申立人

改名をしたい場合、15歳以上であれば申立人として家庭裁判所に申請できます。15歳未満で改名を希望する場合は、法定代理人(親や養育者など)が代理で申請を行ないます。

改名の申立てに必要な費用

改名にかかる費用は、「名の変更許可申立書」に貼る800円分の収入印紙と、家庭裁判所での審査後連絡用の郵便切手160円分(80円切手を2枚)のみです。

郵便切手は、家庭裁判所によって変わる場合があるため、改名を申請する裁判所のウェブサイトで確認してください。

改名の申立てに必要な書類

名の変更許可申立書(PDFダウンロード)
・申立人の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
・名の変更の理由になる資料など

戸籍謄本は本籍地でしか発行されないため、現在の住所から入手が難しい場合は、本籍地の市区町村役所に連絡をして郵送で取り寄せ申請してください。

名の変更の理由になる資料とは、たとえば通称名を使用した郵便物の伝票など、日付がわかるものをコピーして用意します。通称名を使い続けているという実績が必要なので、複数年分の書類を用意しましょう。

名の変更許可申立書記載例

以下は、名の変更許可申立書(15歳以上)の記載例です。

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15歳未満の場合の名の変更許可申立書の記載例は以下を参考にしてください。

参考|7437-2nanohenkou-15miman.pdf

改名の申請方法

では、改名の申請方法から、改名許可後の戸籍変更までの流れを見ていきましょう。

改名の流れ1.申立て

用意した改名に必要な書類などを家庭裁判所に持っていきます。または、郵送で必要書類を家庭裁判所に送っても問題ありません。

家庭裁判所は改名のために提出された書類に目を通し、改名が行えるかどうかの審査を行い、面談(審問)の日時を設定します。

その後、面談の日時が記載された「審問期日通知書」が送られてきますが、早い場合は1週間、年度前後など裁判所が混んでいる場合は1か月ほどかかる場合があります。

改名の流れ2.面談(審問)

面談当日は、審問期日通知書に記載された日時に遅れないように家庭裁判所に行きましょう。当日必要なものは、以下のとおりです。

・審問期日通知書
・免許証などの身分証明証
・シャチハタ以外の印鑑

面談の内容は、裁判官に対して、名前を変更する事情や必要性を話すことになります。もし、審問日時の都合がつかない場合は、事前に連絡をして日時を変更する必要があります。

改名の流れ3.審判書の送付

面談が終わると、家庭裁判所から数日-1か月以内に「審判書」が送られてきて、改名許可の結果がわかります。

改名の流れ4.戸籍変更の手続き

審判書を受け取り、無事改名許可がおりた場合は、”判決が確定した日”から1か月以内に本籍地の市区町村役所に行き、戸籍担当窓口で戸籍変更の手続きを行います。

もしくは、現住所で戸籍変更行う場合は、戸籍謄本を取り寄せてから手続きを行います。その際は、審判書の原本が必要です。念のため、印鑑や身分証明証を持参しましょう(詳しくは市区町村役所に尋ねてください)。

改名の流れ5.各種名義変更の手続き

戸籍の変更は、反映されるまでに数日-1週間ほどの時間がかかる場合があります。次の手続きをスムーズに行うために、窓口でどれくらいかかるか聞いておきましょう。

戸籍変更が完了したら、住民票と戸籍抄本など必要な書類を用意して、運転免許証、保険証、銀行口座など重要な契約が交わされている書面の名義変更手続きを行います。

各種名義変更は、それぞれかかる時間や手順が異なります。戸籍変更が反映される前に抜け漏れなくピックアップして、事前準備を済ませておきましょう。全ての手続きが終われば、無事改名は完了です。

戸籍に関係なければ通称名は使える

世の中には、色々な理由で改名をしたい人は多いでしょう。仕事のために名前を変えたい人、普段の生活の中でどうしても戸籍の名前を使いたくない人もいると思います。

ただ、今回お話した通り、改名はサッと行えるわけではなく、長い場合は家庭裁判所に申請手続をしてから数か月かかることもあるようです。

もちろん、その後様々な契約事項の変更が必要になるため、改名に関わる全ての行為が終わるまでに半年以上かかる人もいるでしょう。

そのため、今後どうしても名前を変えることを検討している人、また改名をしようか迷っている人は、まず自分の身の回りを通称名に変えることから始めてみれば良いと思います。

郵送先の名前や名刺に書く名前は自分が名乗りたい名前でも構いません。通称名は、芸能人が芸名を使うようなものですね。

どちらにしても、改名をするということは戸籍を変えることなので、軽く考えてはいけません。改名を本気で考えているなら、改名を申請する前に周囲の人(できれば年長者)にも相談してみてください。


参考|裁判所|名の変更許可
参考|改名・改姓申立手続き相談室|御苑総合司法書士事務所

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