妊娠から産休・育休申請・給付金支給までの手続きと必要な書類など

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産休・育休が活用しきれていない理由

もし働く女性が妊娠したら、会社に対して産休の申請をしなければいけません。そして、必要なら育休の申請もしなければいけません。

現在、産休と育休の両方を取得して活用できている女性は、平成26年度で86.6%(平成26年度雇用均等基本調査|厚生労働省)ほどです。

一見多い数字に見えますが、10人中1人以上の女性が満足に産休と育休を取得できない状況だとも言えます。

さらに、この調査には従業員10人未満の企業が含まれていません。少し古いデータですが、総務庁統計局「事業所統計調査報告」によると、2001年度の従業員10人未満の事業所数は5,081,715事業所もあります(会社の数ではない)。

これは当時の全事業所数の80%にあたります。そのため、産休と育休の両方を取得できている女性は、実際はもっと低い数字だと予想します。

また、男性の育休の取得率はグラフで見ると右肩上がりですが、平成26年度で2.3%しかありません。

66cd8e19c69227f7766f42b043ac93cc 男性の育児休業取得率や日数は?育休メリットと取得すべき理由

産休や育休は国が行う少子化対策の1つです。それが、あまり活用されていないのはいくつかの問題がありますが、そもそも産休・育休の取得方法や取得の流れなどを個人・会社の両者が把握できていない可能性があります。

そこで今回は、産休の申請から育休の終了までをの流れとそれぞれの手続きに必要な書類の紹介をしたいと思います。

妊娠・産休・出産・育休・復職の大まかな流れ

働く女性が妊娠をしてから、産休と育休を取得して、仕事に復帰する場合の簡単な流れは以下の通りです。

1.妊娠が発覚(妊娠4-6週ごろ)

2.会社へ妊娠の報告(妊娠16-19週ごろ)

3.産休・育休の申請(妊娠26-29週ごろ)

4.産前休業の開始(妊娠33-34週ごろ、多胎妊娠の場合は25-26週ごろ)

5.出産・産後休業の開始(一般的には妊娠40週ごろ)

6.育児休業の開始(産後9週から)

7.職場復帰(産後9週から子が1歳までのどこか)

まず妊婦が行うのは、妊娠安定期である妊娠5か月に入った後に会社に妊娠を告げ、産休と育休の申請を行うことです。安定期に入ってから妊娠を報告する理由は、まだ妊娠が継続できるかが不確定だからです。

その際、会社は産休と育休に必要な書類を用意してくれます。また、手続きに必要な書類などの準備を促されます。必要な書類などをまとめて、会社に正式に提出するのは産休に入る1か月以上前が一般的です(会社による)。

会社への産休・育休申請の期限は?いつ妊娠を報告すべき?

では、それぞれの手続きに必要な書類などを流れに沿って解説をしていきます。

妊娠・産休・育休申請・給付金支給の流れ1.妊娠が発覚

一般的には妊娠が発覚するのは、妊娠4-6週ごろが多いでしょう。その後、妊娠7-10週ごろには妊娠予定日がわかり、ようやく母子手帳をもらいに行くことができるようになります。

母子手帳は地方自治体で交付されるものですが、をもらうためには妊娠届出書などが必要です。母子手帳の交付方法などは以下を参考にしてください。

母子手帳はいつもらう?引越しても使える?紛失時は再発行?

また、母子手帳の交付に必要な妊娠届出書とは、病院で妊娠確定した診断された場合に、病院でもらう妊娠報告をするための書類のことです。

妊娠届出書を受け取ったら必要事項を記載して地方自治体の窓口に提出することで、母子手帳や妊婦健診の受診券(妊婦健診の助成)などを受け取ることができます。

妊娠届出書とは?正しい書き方は?入籍前・未婚でも提出できる?

妊娠・産休・育休申請・給付金支給の流れ2.会社に妊娠の報告

妊婦は安定期(妊娠16週以降)に入ったら、会社に妊娠を報告し、産休と育休を取得する可能性がある旨を伝えます。

多くの会社が、産休1か月前までに産休と育休の申請を同時に行うよう決められている場合が多いため、さらに1か月前の期間から余裕を持って産休と育休の申請を行えるようにしましょう。妊娠26-29週ごろが目安です。

注意点としては、産前休業(出産予定日を含む42日間)、産後休業(出産日の翌日から56日間)、育児休業(産後休業の翌日から子どもが1歳の誕生日まで)の中で、産後休業は義務ですが、産前休業と育児休業は任意だということです。

そのため、産前休業と育休の日数をどうするかを産休・育休申請までによく考えておきましょう。産休と育休の制度詳細は以下で確認してください。

産休と育休の取得条件の違いは?休暇中の給料・手当はどうなる?

会社に対して産休・育休を申請する行為は、会社が妊婦に代わって「健康保険組合」「年金事務所」「ハローワーク」に必要書類を代理提出する行為を任されたことになります。

妊娠・産休・育休申請・給付金支給の流れ3.産休・育休の申請

通常、産休・育休の申請は会社のみに行い、その後会社がハローワークや年金事務所に対して所定の手続きを行います。

そのため、産休・育休申請に必要な書類は、会社の様式による「産前産後休業申請書」「育児休業申請書」です。申請書名は会社によって異なると思いますが、これらの書類は会社が把握するために必要になるはずです。

出産手当金に必要な書類

会社に妊娠を報告すると、産休期間に応じた出産手当金申請のために必要な書類を提示されます。以下の書類などを会社が指定する期日までに会社に提出(または会社が用意)します。

1.出勤簿(タイムカード)の写し
2.申請期間と期間前1か月分の賃金台帳の写し
3.母子健康手帳の写し
4.健康保険証の写し
5.健康保険出産手当金支給申請書
6.添付書類

出勤簿と賃金台帳の写しは会社が用意します。健康保険証と母子健康手帳の写しは自分で用意してください。

「健康保険出産手当金支給申請書」は、会社に妊娠の報告をした際にもらう書類です。ただし、この書類は病院で病院証明欄の記載が必要なため、出産後に会社に郵送をすることになります。その後、会社が協会けんぽに提出します。

添付書類は、条件に該当する人のみ必要な書類のため、会社が必要だと判断した場合にもらえます。添付書類の内容や出産手当金の各種詳細は以下を参考にしてください。

産休でいくらもらえる?出産手当金の支給日と金額計算方法

育児休業給付金に必要な書類

会社から育休期間に応じた育児休業給付金申請のために必要な書類を提示されます。以下の書類などを会社が指定する期日までに会社に提出(または会社が用意)します。

1.出勤簿(タイムカード)の写し
2.申請期間と期間前1か月分の賃金台帳の写し
3.母子健康手帳の写し
4.雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
5.育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書

1-4は出産手当金に必要な書類と同一なため省きます。

雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書は、会社が記載する書類なのですが、記載事項に相違がないことを被保険者が確認し、押印または自筆の署名が必要になります。

「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」は、育休開始から4か月を経過する日の属する月の末日までにハローワークに提出されなければいけないため、出産後に「健康保険出産手当金支給申請書」といっしょに会社に郵送するのが一般的でしょう。

社会保険料免除に必要な書類

会社から社会保険料免除の手続きに必要な書類を提示されます。以下の書類などを会社が指定する期日までに会社に提出(または会社が用意)します。

1.健康保険・厚生年金保険産前産後休業取得者申出書
2.健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書

産休期間と育休期間で必要な書類が違いますが、どちらも必要事項を記載して会社に提出すれば、残りの手続きは基本的に会社が行い、年金事務所に提出してくれます。

会社が年金事務所に社会保険料免除の申請する期限は、産休分は産休期間中、育休分は育休期間中となっています。

妊娠・産休・育休申請・給付金支給の流れ4.産前休業の開始

産前休業は出産予定日を含む42日間(6週間)であるため、出産のおよそ1か月半前から産休が開始されることになります。

産休期間中には特に手続きなど行うことはありません。出産に向けて体調を整え、気持ちを作るようにしましょう。

妊娠・産休・育休申請・給付金支給の流れ5.出産・産後休業の開始

出産予定日は妊娠40週に設定される場合と、妊娠8-10週ごろの胎児の頭臀長(とうでんちょう)の長さによって決まる場合があります。

どちらにしても妊娠40週前後が出産予定日になることが多いのですが、出産予定日通りに産まれてくる赤ちゃんは、全体の5-6%以下しかいないため、妊娠の経過に問題がなければ、多少出産予定日とずれてもあまり気にする必要はありません。

赤ちゃんが出産予定日通り産まれる確率は?何日ズレても良い?

産後休業は出産日の次の日から始まり、56日間(8週間)続きます。その間にしておいた方が良いことは、前述した通り、「健康保険出産手当金支給申請書」と「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」を会社に郵送する行為です。

どちらも遅れてしまうと、出産手当金、育児休業給付金の振込が遅れてしまうため、忘れずに郵送してください。

また、産休・育休とは関係ありませんが、出産後に必要な手続きには、「出生届の提出」「児童手当の申請」「出産育児一時金の申請」「乳幼児医療費助成制度の申請」「健康保険証の申請」などがあります。

どれも今後必要なものばかりなので、早めに申請や手続きを行ってください。もちろん、全ての手続きを旦那さんにお任せしても良いと思います。

妊娠・産休・育休申請・給付金支給の流れ6.育児休業の開始

産後休業が終了すると育児休業が開始されます。育児休業の期間中に行うことは、二回目以降の育児休業給付金の支給申請です。

初回の育児休業給付金の申請は「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」によって会社が行なってくれることが多いため、育休が開始されてから2か月後から3か月以内に、育休2か月分の振込があるはずです。

たとえば、4月10日に育休が始まった場合、6月10日以降に振り込みがあり、その際に「支給決定通知書」「育児休業給付金支給申請書(次回申請書)」が郵送されます。

二回目以降の育児休業給付金の支給申請は、郵送されてきた「育児休業給付金支給申請書」を使って行います。育休期間中は2か月毎に支給申請を繰り返します。

また、出産手当金は産休終了後に会社が健康保険に支給申請を行います。記入ミスなどがなければ、会社が支給申請した後、数週間から遅くても2か月前後で出産手当金が振り込まれると思います。

もう1つ育休期間中に考えなければいけないことは、育休期間を変更するかどうか、または育休を延長するかどうかです。

育休期間を変更する場合

育休期間の変更には「繰り上げ開始」「繰り下げ終了」「1歳以降の育休延長」の3つがあります。

この中で「繰り上げ開始」は、産後休業期間中に育休期間を予定よりも早く開始するために必要な手続きです。「繰り上げ開始」を必要とするのは、出産予定日より早く赤ちゃんが産まれた場合です。

育休期間の繰り上げ変更を行うには、新しく育休を開始しようとする日の1週間前までに、書面による変更の申出が必要になります。

「繰り下げ終了」は、育休期間中に育休期間を予定よりも遅く終了させるために必要な手続きです。「繰り下げ終了」は理由関係なく、1回のみ育休を終了する日を予定より延長することができます。

育休期間の繰り下げ変更を行うには、元々育休を終了する予定だった日の1か月前までに、書面による変更の申出が必要になります。

「1歳以降の育休延長」は、育休期間中に1歳までの育休を最大1歳6か月まで延長するために必要な手続きです。「1歳以降の育休延長」は、1歳以降も保育所に入所できない場合、配偶者の病気、死亡、または離婚によって子どもの養育が困難になった場合に延長を行うことができます。

1歳以降の育休延長を行うには、歳に達する日までの育児休業を終了する日について、元々育休を終了する予定だった日の2週間前までに、書面による変更の申出が必要になります。

「1歳以降の育休延長」の詳細は以下を参考にしてください。

育休延長の3つの手続きとは?給付金の延長条件・申請方法は?

また、「1歳以降の育休延長」の期間においても、子が1歳6か月になるまでの間であれば、「繰り下げ終了」を行うことができます。

育休は子どもの育児に慣れるためだけではなく、今後の身の振り方を考え、女性であれば職場復帰のために準備をする期間でもあります。そのため、育休の期間は上手く使えるように工夫し、そのうえで繰り下げ変更などをするようにしましょう。

職場復帰までに行うことは意外とたくさんあります。職場復帰後の仕事をスムーズに行い、かつ、家庭との両立を目指すのであれば、育休期間中の準備を怠らないようにましょう。

育休明けの仕事復帰が不安…育児の両立に必要な21の準備とは

妊娠・産休・育休申請・給付金支給の流れ7.職場復帰

育児休業を終了して無事に職場を復帰を果たしたら、後は仕事と家庭の両立のためにがんばるだけです。

ある程度育児のストレスが溜まることは仕方がありません。ある程度仕事のストレスが溜まることも仕方がありません。

まずはこの一連の流れを押さえて、抜け漏れがないようにしておきましょう。

特に出産手当金や育児休業給付金は申請のタイミングによって、給付金の支給が大きくズレ込んでしまうため、申請だけは忘れないように会社と調整するようにしてください。


参考|「平成 26 年度雇用均等基本調査」の結果概要 – 厚生労働省
参考|統計局ホームページ/第6章 企業活動

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