妊婦の運動はいつから?妊娠中おすすめな運動・してはいけない運動

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妊娠中に運動してはいけない?

妊娠中はなるべく安静にして動いてはいけない……と勘違いしている人はいませんか?

もちろん、妊娠中は無理に身体を動かしてはいけません。特に、つわりが酷い時期や安定期に入る前はなるべく身体に気を付けて、心身ともに穏やかに過ごした方が良いでしょう。

ところが、妊娠期間はおよそ10か月間あります。この期間中に全く身体を動かさなければ、出産後におしり周り、腰回り、背中、下半身が恐ろしいことになってしまいます……(-_-)

単純に産後の体重が元に戻らないだけなら良いのですが(良くないですが)、妊娠中に脂肪をつけすぎることで、出産に向けて様々な弊害が起こるかもしれません。

体重増えすぎの影響1.妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
体重増えすぎの影響2.妊娠糖尿病
体重増えすぎの影響3.腰痛・肩こりなど
体重増えすぎの影響4.胎内脂肪による産道の圧迫
体重増えすぎの影響5.微弱陣痛
体重増えすぎの影響6.産後の成人病
体重増えすぎの影響7.年齢的に脂肪が落ちにくい…

妊婦の体重増加の理想は何キロ?増えすぎ痩せすぎは胎児に影響?

妊婦が体重の増えすぎや肥満によるデメリットを被らないために必要なことは、生活習慣を整え、バランスの良い食事と十分な睡眠を摂り、適度な運動をすることが大切です。

では、妊婦は、一体いつごろからどのような運動をすれば良いのでしょうか。おすすめの運動やしてはいけない運動はあるのでしょうか。

今回は、妊娠中いつから運動を始めれば良いのか、妊婦が行っても良い運動、してはいけない運動についてお話したいと思います。

妊婦が運動する際の安全基準

妊婦が運動をすることは良いことですが、必ず安全に行なわなければいけません。日本臨床スポーツ医学会が発表した「妊婦スポーツの安全管理基準」には、妊婦が運動をする際の安全基準が決められています。以下、噛み砕いてご紹介します。

参考|妊婦スポーツの安全管理基準|日本臨床スポーツ医学会

妊婦の運動条件1.母体の健康

1.妊婦が健康で早産や流産の恐れがないと認められていること
2.単胎妊娠で胎児の発育に異常が認められないこと
3.原則として妊娠12週以降であること
4.妊婦健診などで十分に医師の診断が行なわれていること

運動をするためには妊婦が健康で、かつ切迫流産の可能性がない状態でなければいけません。もちろん、妊婦自身が切迫流産を判断できないため、運動を開始するためには医師の許可が必要だです。

ただし、妊婦がこの時期に運動始める必要はなく、より安全に運動したい場合は、妊娠中期以降(妊娠16週~)を1つの基準としましょう。

妊婦の運動条件2.環境

1.真夏などの炎天下に屋外で運動をしないこと
2.平坦でなだらかな場所で運動を行うこと

こちらも当たり前のことですが、夏の暑い日に外で運動をしたり、急勾配の場所で運動をしてはいけません。

ちなみに、夏日は25度以上、真夏日は30度以上、猛暑日は35度以上と定義があることに対して、炎天下が何度と決まってはいません。そのため、夏日に日差しを浴びながら運動をするのは避けた方が良いと思います。

妊婦の運動条件3.行う運動

1.長く続けられる有酸素運動が望ましい
2.どのような運動でも運動強度を抑えて行う必要がある
3.競技性・瞬発性・接触性の高い運動、転倒の危険がある運動、腹部に圧迫が加わる運動は避ける
4.妊娠16週以降は、仰臥位での運動は避ける
5.心拍数で150bpm以下、自覚的運動強度としては「ややきつい」以下が望ましい。

妊婦が行う運動は瞬発性や競技性が高い運動ではなく、長く続けられる有酸素運動を行いましょう。元々競技性の高いスポーツをしていた人は、つい熱くなりがちですが、出産後しばらくまでは我慢してください。

仰臥位(ぎょうがい)とは、仰向けのことですが、お腹が大きくなった妊婦にとって仰向けの体制は骨盤に負担がかかるため推奨されていません。

妊婦の心拍数、脈拍数は時期によって変わりますが、平均で80-90bpmほどです。1分間の心拍数が150bpmというのは、軽いジョギング程度ですね。5-6km/時のウォーキングを継続すると120-130bpmほどだと思います(人による)。

妊婦の運動条件4.医師の診断

妊婦の運動は、妊婦用の運動教室に通うか、個人的に運動を行うかに分かれます。どちらの場合でも、運動の前後に心拍数や体温などを測り、異常がないか確認しましょう。

1.妊婦スポーツ教室を実施する場合のチェック事項
 ・医療施設が併設されているか
 ・運動開始前後に血圧、心拍数、体温測定などの実施があるか
2.個人でスポーツを行う場合
 ・医師に運動の許可をもらっているか
 ・運動前後に心拍数・体温などを測定できるか

妊婦の運動条件5.運動の時間

1.午前10時から午後2時の間が望ましい
2.週2-3回で、1回の運動時間は60分以内とする

妊娠中の運動は極端に痩せようとしたり、心肺を強くするための運動ではありません。そのため、まずは散歩から初めて、5-6km/時のウォーキングを20分、30分など、続けられる程度で問題ありません。

また、時間帯も日差しが強い日中を避ければ良いため、朝もう少し早くても良いですし、夕方でも良いと思います。ただし、夜は防犯の観点から避けた方が良いと思います。

妊婦が運動することのメリット

妊婦は妊娠中の体調に注意しつつ、適度な運動をするようにしてください。妊婦が運動をすることで、具体的に以下のメリットがあります。

メリット1.むくみの解消

妊娠中のむくみは、手足の冷えによる血行不良を引き起こし、ときに手足のしびれや疲れ、歩行にまで影響を与えることがあります。

適度な運動を行うことで血行が良くなります。血行が良くなると、むくみの原因である細胞間液が老廃物として排泄されやすくなり、むくみが解消されます。

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メリット2.体重コントロール

妊婦は、ついお腹の中の赤ちゃんに気を使って、動くことをためらってしまいがちです。

ところが、妊娠期間は10か月もあるため、日常生活の運動機会をなくしてしまうと、太りやすくなるだけでなく筋力が落ちてしまい、分娩を困難にする可能性もあります。

また、妊婦が体重を増やしすぎると妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、難産などたくさんのデメリットがあります。

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メリット3.ホルモンバランスの改善

妊娠初期から中期にかけて、子宮の変化や胎盤形成、胎児の成長などで身体が急激に変化し、その際に大量の女性ホルモンが分泌されます。

そのため、身体の調子が悪くなるとともに、頭痛、胃痛、味覚変化、嗅覚変化、涙もろくなる、肌荒れ、イライラ、眠い、だるいなどの妊娠初期症状が起こり、心身ともに辛くなります。

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そこで軽い運動を行って、セロトニンというホルモン分泌を促しましょう。セロトニンはストレスを解消し、気持ちをリフレッシュさせ、集中力や記憶力を高める効果があるため、普段の気持ちが落ち着いたり快眠につながります。

メリット4.便秘の改善

適度な運動をすることで、便秘が解消されやすくなることはわかりますよね。妊娠中も全く同じです。

女性は、妊娠前、妊娠中、出産後、出産後しばらく後で排便傾向が変わる場合があります。これまで快便だった人も、妊娠すると妊娠初期症状で便秘になることがあるため、運動をする癖をつけておいた方が良いでしょう。

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メリット5.腰痛の解消

妊娠期間中の腰痛は、妊娠初期と妊娠後期によく起こります。腰痛の原因は異なりますが、どちらも適度な運動で血行を改善し、筋肉を維持することで、腰回りを支えやすくなるため痛みが和らぎます。

メリット6.産後に体型が戻りやすい

産後に太ってしまう一番の原因は、骨盤が開いたまま元に戻らない状態で過ごしてしまうからです。骨盤が開いた状態でどれだけダイエットをしても、開いた骨盤周辺に脂肪がつくと腰回りに貫禄が出てしまいます……。

骨盤を閉じるためには、産後に骨盤を閉じる運動をする必要があります。そのため、妊娠中も骨盤周辺の筋肉が落ちないように、適度な運動を継続する必要があります。

メリット7.安産のため

妊娠中に運動を行うと、安産に効果があります。分娩の際は赤ちゃんの回旋や陣痛のタイミングに合わせてお腹に力を入れていきみますが、下半身、特に腹筋が弱いと腹圧に影響を及ぼすため、分娩に時間がかかってしまいます。

また、運動をして股関節の可動域を上げておくと骨盤が開きやすくなり、スムーズな分娩につながります。

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妊娠中におすすめの運動の種類

妊娠中の妊婦が適切な時期に適度な運動することは、とても良い効果をもたらします。では、妊娠初期の妊婦にはどのような運動が良いのでしょうか。

妊娠中の運動1.ウォーキング

妊娠中の基本的な運動としてウォーキングを行いましょう。ただし、あまり早く歩くことは避け、普通の速度で歩くことを意識しながら、自宅から10-20分圏内を歩くようにしてください。

ウォーキングを行う時期に決まりはありませんが、夏場の暑い日中や天候が悪い日は避けた方が良いでしょう。

妊娠中の運動2.マタニティヨガ

マタニティヨガとは、妊婦が行うヨガのことです。マタニティヨガは、体幹を鍛えてインナーマッスルをつけるだけでなく、呼吸法を覚えることで心身をリラックスさせ、柔軟な身体をつくることができます。

ホットヨガは血圧が上がりやすいため行えません。

妊娠中の運動3.マタニティスイミング

マタニティスイミングとは、仰向けに浮いたり、歩いたり、呼吸法を覚えることなどを中心に行う水中のエクササイズのことです。泳げなくても問題ないですし、本格的に泳ぐことも可能です。

水の中は浮力があるので、徐々に増えていく体重を気にせずに運動できますし、マタニティスイミングを提供しているジムであれば、水温が調節されていることも多く、身体の冷やし過ぎを防いでくれます。

妊娠中の運動4.マタニティビクス

マタニティビクスとは、エアロビクス運動やマタニティスロートレーニング、ストレッチ、エクササイズ、リラクゼーションなどによって、出産に必要な基礎体力の向上を目指すトータルフィットネスのことです。

マタニティビクスの詳細は、マタニティフィットネス協会のサイトを参考にしてください。

参考|JMFA – 一般社団法人日本マタニティフィットネス協会

妊娠中にしてはいけない運動の種類

妊婦は妊娠中に適度な運動をした方が良いのですが、どのような運動をしても良いわけではありません。以下の運動は、たとえ軽くでも行わない方が良いでしょう。

してはいけない運動1.勢いよくひねる運動

勢いよく腰をひねる運動は、子宮に負担がかかるため行ってはいけない運動です。

腰をひねる運動はほとんどが両足で踏ん張って、上半身をひねります。そのため、たとえ軽くでも卓球やテニスなど、反射的にひねる動作が入る運動は避けた方が良いでしょう。

してはいけない運動2.飛ぶ運動

ジャンプをして着地をする際は、体重の6倍の衝撃が足にかかると言います。そのため、子宮に掛かる衝撃も大きいと思ってください。

単純にジャンプを避ければ良いわけではなく、スライドが大きすぎるジョギングも足が地面から浮くため避けた方が良いでしょう。

してはいけない運動3.一般的な球技

相手と競い合うような球技は、単独・複数人は関係なく避けた方が良いでしょう。バレーボール、バスケットボール、フットサルなど、一般的な球技はほとんどがそうですね。

どの球技も勢いよく身体を捻りますし、ジャンプもしますし、熱くなってしまったらつい張り切りすぎるかもしれません。

してはいけない運動4.サイクリング

ロードバイクのような本格的なものだけでなく、自転車の運転も避けた方が良いです。特に、妊娠後期はお腹が大きくなりバランスが取れなくなるため、転倒する危険性があります。

してはいけない運動5.重い物を持ち上げる運動

重い物を持ち上げるときは、腹筋に力が入ります。腹筋に力が入ると膣圧がかかり、子宮が下がりやすくなります。そのため、重い物を持ち上げるなどの腹筋に力が入る運動は避けた方が良いでしょう。

重い物には個人差がありますし、2人目・3人目の妊娠であれば必然的に10-15kgくらいは日常的に持ち上げることにはなると思います。ただ、無理はしないようにしましょう。

妊婦が運動するときの4つのポイント

妊婦の運動は、体重をコントロールし、体調を整えて健康管理をするだけではなく、スムーズで安全な出産を行う準備になり、さらに産後の産褥期を短くする効果もあります。

今は昔よりも30代・40代の出産が増えています。比較的高齢で行う出産は胎児の健康維持だけでなく、妊婦の健康維持も難しい場合があり、余計に出産に抵抗感が出てしまいます。

妊婦の健康と安全な出産の確率を上げるためにも、妊娠中の適切な運動は欠かせないものと言って良いでしょう。

もちろん、妊婦の個人差で行える運動の量は変わりますし、動きやすい時期も変わります。そのため、以下のことに十分注意して適切な運動を行うようにしましょう。

妊娠中の運動のポイント
・最初に医師の指示を仰いだうえで運動を始める
・医師から安静の指示を受けた期間は運動を行わない
・お腹の張りや痛みがある場合は運動を行わない
・決して無理をしたり、やりすぎない

長い妊娠生活なので、上手に運動を取り入れてストレスを溜めない健康的な生活と健康的な出産に向けて、がんばってください。

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