出産直後に赤ちゃんが泣かない…新生児が産声をあげない原因とは

78f5ed5fd84faadf985229232f731ec8

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

赤ちゃんは出産直後に必ず泣く?

赤ちゃんは個人差はありますが、産まれて少ししてから「オギャー!」と泣き始めます。

この赤ちゃんがあげる産声のことを「第一啼泣(ていきゅう)」と言い、赤ちゃんが産まれて最初に肺呼吸を始めた合図として、その場にいる人達を「ホッ」と安心させます。

赤ちゃんが初めての肺呼吸を行うためには、まず無理矢理泣くことで羊水を体外に出さなければいけません。

ところが、出産で精根尽き果てているママの耳に、そろそろ聞こえてきても良いはずの赤ちゃんの泣き声が聞こえてきません。

「え……?元気な男の子ですよって言ってくれたよね!?」……このような経験はできればしたくはないのですが、産まれたばかりの赤ちゃんが生きているにもかかわらず泣き声が聞こえてこないのは、いくつかの原因があります。

今回は、出産後に赤ちゃんが産声をあげない原因、また、赤ちゃんが泣かない場合の対処法についてお話したいと思います。

赤ちゃんは出産直後に泣くとは限らない

産まれたばかりの赤ちゃんは、必ずしも「オギャー!」と泣くとは限りません。「くぅー」と小さな声で泣く子もいれば、全く泣かない子もいます。

赤ちゃんは産まれてすぐに「オギャー!」と泣かなければいけないのではなく、とにかく静かでも良いので肺呼吸をしなければいけません。

ただ、赤ちゃんにとっては初めての肺呼吸なので、まず身体の中(呼吸器の中)にある羊水を吐き出す必要があり、勢い良く吐き出しながら肺呼吸を始めるために「オギャー!」と泣いた方が効率が良いのです。

ところが、赤ちゃんが「オギャー!」と泣くこともできず、つたない肺呼吸もできない場合があります。原因はいくつもありますが、主に

・羊水が呼吸器に詰まっている
・へその緒が巻き付いている
・その他の原因で新生児仮死になった

などが原因として考えられます。

赤ちゃんが泣かない原因1.羊水が呼吸器に詰まっているから

赤ちゃんはママの胎内にいる間は羊水に浸かり、肺の中まで羊水に満たされています。初めて胎外に出た赤ちゃんは、肺呼吸をするたに羊水を肺から排出しなければいけません。

そのため、赤ちゃんは勢いよく空気を吸い込み、肺胞を広げ、一気に羊水を吐き出してから「オギャー!」と泣くのですが、うまく空気が吸い込めなかったり、羊水が吐き出せない場合は、ゴポゴポと羊水が肺の中で行ったり来たりするため、泣くどころか肺呼吸もできません。

そこで、吸引器で肺の中の羊水を吸い出し、肺呼吸ができる準備をするとともに自力で呼吸ができるように刺激を与えます。

もし赤ちゃんがうまく肺呼吸ができなければ(泣かなければ)、足を持って逆さにし、背中を叩いたり、おしりを叩いたり、つねったりして泣かせることもあります。

赤ちゃんが産まれて初めて泣く瞬間は?産声をあげる理由は?

また、赤ちゃんが肺呼吸を始めたとしても、勢いよく泣かない場合もあります。ただ、大きな声で泣かなくても、羊水を吐き出し肺呼吸をしていれば心配する必要はありません。

赤ちゃんが泣かない原因2.へその緒が巻き付いているから

赤ちゃんの首や身体などにへその緒が巻き付いている場合は、分娩の過程で赤ちゃんに酸素が供給されていない可能性があります。

これは赤ちゃんの首にへその緒が巻き付くことで窒息をするのではなく、巻き付いたへその緒が圧迫されることで、酸素を含んだ血液が赤ちゃんに供給されないためです。

そのため、へその緒をお腹や手足で挟みこんだり圧迫することでも、赤ちゃんが窒息をする可能性があります。

このようにへその緒が身体に巻き付いている状態を「臍帯巻絡(さいたいけんらく)」と言い、出産時の25%の赤ちゃんに起こります。ちなみに臍帯とはへその緒のことです。

へその緒が首に巻きつく臍帯巻絡の原因や確率は?予防・対処法は?

赤ちゃんは、重度の臍帯巻絡によって新生児仮死を起こし、産声をあげられないことがあります。

臍帯巻絡の赤ちゃんはエコーで心拍の様子が確認され、臍帯に重度の圧迫が見られる場合は、迅速な出産が求められます。状況によっては臍帯を切断したり、出産方法を帝王切開に切り替える場合もあります。

pz-linkcard: Incorrect URL specification.(url=)
予定帝王切開と緊急帝王切開とは?手術の理由・原因や割合は?

赤ちゃんが泣かない原因3.その他の原因で新生児仮死になったから

出産に入る前は胎動が見られた赤ちゃんが、何らかの理由で仮死状態で産まれる可能性があります。これを「新生児仮死(しんせいじかし)」と言います。

新生児仮死が分娩時に起こる原因は、母体因子、胎児因子、妊娠・分娩因子があります。

たとえば、へその緒が赤ちゃんに絡まる臍帯巻絡や赤ちゃんよりも先に臍帯が出てしまう臍帯脱出(さいたいだっしゅつ)、へその緒に結び目ができる臍帯真結節などの臍帯異常は、どれも臍帯が圧迫されることで、赤ちゃんに酸素が供給されない可能性があります。

また、分娩前の段階では赤ちゃんの発育不全、胎盤の機能不全・常位胎盤早期剥離などの胎盤異常が原因で、循環不全が起こり新生児仮死や死産になることがあります。

さらに、妊婦が内臓疾患を患っていたり、妊娠高血圧症候群などで胎盤の機能が充分に形成されていない場合も、新生児仮死のリスクが高くなります。

新生児仮死の原因や新生児仮死の場合にどのような処置が行われるかは、以下を参考にしてください。

新生児仮死の原因と治療法は?脳性麻痺など後遺症の確率

赤ちゃんは分娩まで状態がわかりにくい

赤ちゃんがなかなか産声をあげない原因、泣かない原因と詳細についてお話しました。

出産後に羊水が赤ちゃんの呼吸器に溜まったままの状態は一般的ですし、分娩中にへその緒が首に1回巻きつくくらいならよくあるお話しです。

ただし、へその緒が首に巻き付いていたり、胎盤に機能不全があったり、赤ちゃんに発育不全があったりなどの赤ちゃんの状態は、エコーでもよくわからないことがあり、実際に出産してみなければ医師も対処を行えません。

そのため、赤ちゃんが無事に分娩されても、産声を聞くまではなかなか安心ができないんです。

もしかしたら、赤ちゃんが出産直後にあげる大きな産声は、わたしたち以上に医師や看護師を安心させるのかもしれません。

記事のURLとタイトルをコピー