平均的なへその緒の長さ・太さと役割は?胎児の臍帯異常の種類

af888b46fdfa8d93820e441c3e1f88f5

この記事の読了時間は約 6 分です。

臍帯とは

臍帯とは、胎児の身体と妊婦の胎盤をつなぐ管状の組織のことで、いわゆる「へその緒」です。

臍帯の管の中には動脈が2本と静脈が1本通っており、その周りがワルトン膠質というゼリー状の物質で満たされ、臍帯自体は羊膜で覆われています。ワルトン膠質は弾力があり、動脈や静脈が簡単に傷つかないように守る役割があります。

臍帯の平均的な長さ・太さ

胎児によって多少の個人差はありますが、臍帯の平均的な長さは50-60cm程で、太さは1-2cm程あります。

臍帯の機能・役割

臍帯の静脈には母体から胎児に栄養や酸素を含んだ血液が流れ、動脈には胎児から母体に老廃物や二酸化炭素を含んだ血液が流れることで胎児の生命を維持し、成長を助けています。

つまり、胎児にとって臍帯は生きるために必要不可欠な管のため、臍帯異常によって臍帯に流れる血流が弱くなることは、生命に危険を及ぼす可能性があります。

臍帯異常とは、何らかの原因で胎児の生命を維持している臍帯の血流に悪影響が起こることです。

今回は、そんな大切な臍帯(へその緒)におこる臍帯異常の種類についてお話したいと思います。

臍帯異常1.臍帯巻絡(さいたいけんらく)

臍帯巻絡とは、妊娠時、または分娩時に胎児の首や身体の一部にへその緒が巻き付いている状態を言います。

臍帯巻絡は出産全体の25%ほどに見られる臍帯異常ですが、ほとんどが身体のどこかに1周巻き付いているだけです。

2周以上巻きついている臍帯巻絡は、臍帯巻絡全体の10-15%ほど(出産全体の2.5-3.75%)、3周以上の臍帯巻絡は、臍帯巻絡全体の0.2%ほど(出産全体の0.05%)です。

臍帯が身体に巻かれて圧迫が強いほど血流が悪くなり、胎児ジストレスや新生児仮死の原因になる場合もあります。

へその緒が首に巻きつく臍帯巻絡の原因や確率は?予防・対処法は?

臍帯異常2.臍帯過捻転(さいたかねんてん)・臍帯過少捻転(さいたいかしょうねんてん)

臍帯過捻転とは、胎児の臍帯が過剰にねじれてしまう状態を言います。臍帯には元々ねじれがあるのですが、ねじれが過剰になると臍帯巻絡と同じように血流が悪くなる可能性があります。

臍帯過少捻転とは、臍帯過捻転と逆で、ねじれがなくなってしまう状態を言います。ねじれがなくなることで、血流が悪くなるだけでなく、分娩の際に臍帯自体が弱く折れやすくなってしまいます。

へその緒が捻れる臍帯過捻転・過少捻転の原因や確率、予防法は?

臍帯異常3.過長臍帯(かちょうさいたい)・過短臍帯(かたんさいたい)

過長臍帯とは臍帯が75cm以上あること、過短臍帯とは臍帯が25cm以下であることを言います。

過長臍帯は、臍帯内血管の血行不良を起こしたり、胎児の身体(心臓)に負担をかけるだけでなく、臍帯が長いことで臍帯巻絡や臍帯真結束の原因になる可能性があります。

過短臍帯は、遷延分娩になる可能性があるだけでなく、短い臍帯が子宮を引っ張ることで、臍帯の血行不全、臍帯の断裂、胎盤の剥離、子宮内反などが起こる可能性があります。

へその緒が長い・短いと異常?過長臍帯・過短臍帯の原因と影響

臍帯異常4.臍帯下垂(さいたいかすい)・臍帯脱出(さいたいだっしゅつ)

臍帯下垂とは、出産を控えた母体が破水を起こす前に、臍帯が胎児よりも先に子宮口に下りてくることを言います。そして、臍帯下垂が治らなければ、そのまま臍帯脱出になる可能性が高まります。

臍帯脱出とは、臍帯下垂の状態で破水が起こってしまったり、分娩の際に児頭骨盤不均衡などによって、臍帯が胎児よりも先に子宮から出てしまった状態のことを言います。

もし臍帯脱出が起こってしまうと、分娩時に常に臍帯が圧迫されるため、新生児仮死や死産などの原因になってしまいます。

臍帯下垂と臍帯脱出が起こる原因とは?発症確率と治し方

臍帯異常5.臍帯真結節(さいたいしんけっせつ)・臍帯偽結節(さいたいぎけっせつ)

臍帯真結節とは、胎内で臍帯に結び目ができてしまう症状を言い、出産全体の0.5-1%程度の確率で起こる臍帯異常です。

臍帯真結節は、結び目が緩ければ良いのですが、何らかの影響で固く結ばれてしまうと臍帯内の血管を圧迫し、胎児ジストレスや新生児仮死の原因になってしまいます。

臍帯偽結節とは、一見結び目のように見えますが、血管が臍帯の中で偏って腫瘤(こぶ)できているだけの症状を言います。臍帯偽結節は、臍帯真結節とは違い胎児に影響はありません。

へその緒に結び目…臍帯真結節の原因や確率は?偽結節との違い

臍帯異常6.卵膜付着(らんまくふちゃく)

卵膜付着とは、臍帯が胎盤に直接つながっておらず卵膜につながっている状態を言い、出産全体の1-2%の確率で起こります。

通常、臍帯内の血管はワルトン膠質に覆われているのですが、卵膜付着が起こると、付着部分から胎盤まで伸びている臍帯にはワルトン膠質は無く、薄い卵膜に覆われているだけの状態です。

そのため、ほぼむき出しの血管が圧迫されると胎児機能不全や胎児死亡の原因になる可能性があります。

臍帯異常7.前置血管(ぜんちけっかん)

前置血管とは、卵膜付着した血管が子宮口の上を通っている状態を言い、出産全体の0.05-0.1%の確率で起こります。

前置血管は、卵膜付着のため血管が圧迫されて胎児死亡を起こす確率が高いだけでなく、子宮口を塞いでいる血管が分娩の邪魔になってしまうため、卵膜付着よりもリスクが高い状態です。

前置血管自体の確率は低いのですが、早期発見が大切で、帝王切開までは前期破水を起こさない様に気を付けなければいけません。

臍帯異常は周産期死亡の原因第3位

日本産科婦人科学会の周産期登録データベースによると、このような臍帯異常は、常位胎盤早期剥離、形態異常に次いで3番目に多い周産期死亡原因となっています。

・常位胎盤早期剥離(17%)
・形態異常(16%)
・臍帯異常(15%)

赤ちゃんに起こる周産期死亡10の原因と死因別割合

しかも3番目と言っても、その割合は上記通り常位胎盤早期剥離、形態異常とほぼ変わりません。

臍帯異常は発見が難しいだけでなく、発見したとしても根本的な治療方法はありません。ただし、早期発見をすることで経過観察を行い、胎児の生命を助ける帝王切開などの出産方法を検討することはできます。

そのため、妊婦は何か違和感を感じたら積極的に検査を行い医師と話をすることで、不安の解消と心の準備をしておけるようにしましょう。


参考|へその緒の異常|インターネットホスピタル|北村医院

記事のURLとタイトルをコピー